【人】 羽井 有徒── ホテル:遊技場 ── ……そこだ。 [一番遠いポケットをキューで指し示した。 まもなくしてコツンと小さな音。 弾かれた白球がすっとと転がり黒球にぶつかり、コンという音で押し出された8番が指定されたポケットへ一直線に向けて進む。] また、俺の勝ちだな。 [ガコンという確かな音と共にボールが吸い込まれる。 同時に左手で小さくガッツポーズを取ると勝ち誇った笑みが対戦相手に向けられる。] これで俺の4戦全勝だ、そろそろ清算しよう。 [手を伸ばす、もちろんそれは握手の催促ではなくて。 相手は渋々といった感じながらも財布から札を3枚取り出して男へと渡した。] 毎度あり。 リベンジしたくなったら何時でも言ってくれ。 [受け取ったお札は裸のままポケットへと仕舞い込んだ。]* (30) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 12:01:25 |
【人】 羽井 有徒── 如月町駅:数日前 ── [この街に足を踏み入れたのは初めてだった。 都心から2時間ほどのそう遠くないこの町にも縁はある。 かつての友人の足取りがここにあった。 そう、それはもうずっと前からわかっていたことだったが。] 何してるんだか。 [女と別れた程度で、と陰口をたたく者は少なくなかった。 かつて、彼の羽振りがよかったときは友人面で傍にいた者でさえ。 それは仕方ない、そういう世界だ。 自分だって似たようなもの、何一つ声を掛けてやれずに、ただその背中を見送った。] ……ここだな。 [それはある路地にあった喫茶店、あるいはバーだったか。 ドアをゆっくり開けば、ああ、そこには懐かしい顔があった。] (58) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 18:57:52 |
【人】 羽井 有徒[如月町に来たのは休暇だった。 その休暇というのも無理やり取らされたのだけど。 旅行、というには近場すぎる。 それでもこの町を選んだのはかつての友人がいるという話と、この町の評判がすこぶる良かったからだ。 ありふれた町、だけど何かがあると、そう皆が言う。 それに町の規模の割には商業施設やら観光施設が充実しているという。 何かあってもすぐに戻れる場所だし、そういう意味では1週間程度の休暇にはちょうど良かったのかもしれない。] (59) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 18:58:10 |
【人】 羽井 有徒[懐かしい友との再会も済ませ、駅前へと戻ってきた。 かつて見送った背中はすでに無く、彼は彼なりにこの町に根を下ろしているようだ。 昔みたいにギラついたところはなくなっていたが、今はそれで良さそうだった。 可愛らしい相方もいるようだったし。] さて、先にチェックインを済ませるか。 [1週間の滞在、その宿には『アムシェル・モーゼス』というリゾートホテルを選んだ。 せっかくの休みだし豪勢に過ごしても誰に文句を言われることもないだろうし。 さすがにスイートというわけにはいかなかったが。] 如月町、か。 さて何がどう”特別”なのか.教えてもらおうか。 [見上げた空には雲一つない晴天。 季節は本格的な夏、ずいぶんと暑くなりそうな予感がした。]* (60) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 18:59:03 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a20) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 19:01:32 |
【人】 羽井 有徒── ホテル:遊技場 ── ふむ………。 [一瞥して逡巡。 歳は二十歳かそこそこだろうか、バレー選手のように背が高い。 ただ、だいぶ長い前髪からしてスポーツ選手という感じはしない。] 構わない。 こっちもどうせ暇な一人だ。 [一人旅と聞けば少し意外な感じだが、こちらも一人旅だ、それは言わないでおこう。] (79) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 21:06:14 |
【人】 羽井 有徒[戻そうとしたキューをそのまま手にしてテーブルへと戻る。 9つのボールをひし形状のラックに組んでセットする。] 初心者ならナインボールのほうがいいな。 コールもいらないし。 [比較簡単なルールのナインボール。 一番小さい数字に当てて、9番ボールをポケットした方の勝ち。 入れるポケットの指定もなければ運でいきなり9番が入ってしまうこともある。] と、言うか。 まったくの初めてか? [ある程度のルールを説明してからあとは実際にプレイしてみるのがいいだろう。 と思ったがもしかしてキューを持つのも初めてかもしれない。 もしそうなら打ち方から教えたほうがいいだろうか。たぶん、まっすぐ撞くのも難しいだろうから。]* (80) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 21:06:34 |
【人】 羽井 有徒── ホテル:遊技場 ── [破顔する様子に年下らしい可愛らしいさを見て取った。>>88] 羽井(はねい)だ、羽井 有徒(ゆうと)。 [彼女の名乗りに連れてこちらも名を名乗る。 大学2年といえばちょうど二十歳かと、自分の見立ての正しさに小さく頷いた。] 力を抜いて、グリップもブリッジも。 [一見、様になっているそのフォームも見れば少しずつ歪。 キューを握る手の手首をそっと掴むように触れる。 それからテーブルの上でブリッジを作る指に触れて少しだけ形を直す。 そんな風にしていれば自然と体が寄り添うようになる。] 力はまず要らない。 それよりも正確にまっすぐキューを撞くこと。 インパクトで止めたり引いたりしないで押し出すように。 [ビリヤードは力の一切いらない競技。必要なのは正確性だからと。 顔と顔が近い位置でそう伝えてから詩桜から離れた。]* (90) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 21:41:18 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a27) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 21:42:25 |
【人】 羽井 有徒── ホテル:遊技場 ── [向けられた掌>>98にパンと軽く手を合わせる。 随分と素直に感情を表すものだと思った。] ああ、残念ながら寂しい一人モノだ。 女連れでもいれば格好がつくところだがな、 [それはそれで面倒だと一人旅の気楽さがいいと思わないこともなかったが。 しかし、女一人が男一人にそう言う意味をわかってるのだろうか。きっとわかっていないだろうなって思い少しだけ苦笑い。] それじゃ、まぐれじゃないってところ見せてもらおうか。 [さて、その後ビリヤードの指導はどこまで続いたか。 少なくとも詩桜がやめなければゲームができる程度までは続けただろう。}* (101) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 22:33:48 |
【人】 羽井 有徒── 数年前 ── ……居るんじゃないか、さすがに。 [なんでそんなことになっていたのか忘れてしまったが。 気づけばアンニュイなJKが隣でそんなことを言っていた。>>99>>100 良識のある大人なら、学校はどうしたとか馬鹿なこと言うなとか叱るところだろうか。 生憎そんな良識とか常識ってものは備えちゃいない。] 少なくとも今だったら俺が気づく。 目の前で消えたら、さすがに、……な。 [彼女の言ってることがそうじゃないと知りつつ、少しずれた答え。 それから手にした缶コーヒーを開けて一口で半分ぐらい喉に流し込んだ。まるで風味も何もない、ただ少し苦いだけの水みたいなそれ。] (107) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 23:26:04 |
【人】 羽井 有徒どこか行きたいなら連れてってやるぞ。 今日は暇だからな。 [名も知らない、今日会ったばかりのJK相手にそんなこと。 そりゃまずいんじゃないですかって心の声は聞こえるけど。] 海でも行くか? それとも山に柴刈りにでも? [彼女の抱えた深刻さも知らず、ただそんな軽口を叩いた。]* (108) JohnDoe 2020/07/23(Thu) 23:26:27 |
【人】 羽井 有徒[それからしばらく電車に揺られる。 ガラの悪いにいちゃんと、真面目が制服を着てあるいてそうなJKの二人。 人もまばらな電車の中、静かに流れる景色に海が見え始めたころ。] お前、……死にたいのか? [ふと、口をついた。]* (117) JohnDoe 2020/07/24(Fri) 0:15:43 |
【人】 羽井 有徒[ただ別れ際に呼び止めて。] そうそう、俺は702に泊まってるから。 何かあれば気軽に連絡してよ。 [自分の前髪を手で揺らしながら。] それと、前髪は纏めるか止めたほうがいいな。 ボール見にくいだろ? [視界が不明瞭であればミスショットも増える。 せっかく様になってきたのにそれは勿体ないし。] 何よりその綺麗な目。 隠しちゃうのは勿体ないな。 [そう言って笑いかけた。]* (151) JohnDoe 2020/07/24(Fri) 9:05:26 |
【人】 羽井 有徒[そうしていると、ちょうど車内に次の駅の案内が流れる。 降りれば海はすぐそこ。 そこは穴場スポットなこともあって確かに”人気のない海”だ。] ここで降りれば海はすぐそこだ。 [自分は別に海に用があるわけじゃない。 このJKにも用があるわけじゃない。 ただの暇つぶしで特に理由もなくここまで来ただけが。] ……どうする? [選ぶのはお前だと、達観したような、それでいてどこか愉しむような。 そんな笑みを向けて尋ねた。]* (174) JohnDoe 2020/07/24(Fri) 12:09:09 |
【人】 羽井 有徒── 数年前 ── [そりゃそうなるだろうなって感じだった。 意図的に脅したわけだし、逃げられるのは想定内。 だけど、まさか財布ごと置いていくとは思わなかったから。>>183] ……やれやれ。 [電車代もないのにどうするつもりなのか。 折り返して戻れば行くあてのないJK一人見つけるのはたいして苦労もないが。 そんな手間を掛ける意味も必要もない。 閉まるドア。 ポケットに突っ込んであった万札を数枚、それと名刺を一枚。 それは自分のではなく繁華街で私立探偵をやってる奴のもの。本人は”何でも屋”を名乗っていたけど。 それをJKの財布の中へと雑に突っ込んで、動き出した電車の窓を開けた。] (188) JohnDoe 2020/07/24(Fri) 12:53:33 |