人狼物語 三日月国


246 幾星霜のメモワール

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視点:


【秘】 聖女 リッカ → 寡黙 エミール

>>-53 エミール

伸びたその手は、本当ならば聖女に触れることはない。
聖女にとって、転生者あなたたちはみな手を伸ばしたところですり抜けてしまう流れ星。
触れる温度は、惜しむ気持ちを生むだけだから。

だけどあなたは、権利を得てなおここを離れないのだという。
なら、惜しむ必要も、怯える必要も、どこにもないのではなんて。

そう思った聖女がいたから。その手は、聖女の柔らかな髪に触れている。
静かに、それでいて少し面映ゆそうに、聖女の瞳は伏せていて。

(-55) oO832mk 2024/02/19(Mon) 16:03:30

【秘】 聖女 リッカ → 寡黙 エミール

>>-53>>-55 エミール

次のとき。
そうして、聖女は、くすりと微笑んだ。
同時に、あなたのその手は、するりと聖女の身体をすり抜ける。

そのままひらりと翻して、聖女の身体は宙に浮かぶ。
微笑みのまま、聖女は、
聖女
として。


 「 ――― たしかに 聞き届けたわ。 エミール 」

「 あなたの 願い … 叶えてあげる 」



しん、と静かな教会に。
けれどその声は、響き渡ることもなくただ静かに。


「 …… ファリエのこと たいせつにしてね  
でないと わたしが さらってしまうわ 」

(-56) oO832mk 2024/02/19(Mon) 16:06:35

【秘】 聖女 リッカ → 寡黙 エミール

>>-53>>-55>>-56 エミール

そんな声が聞こえたかと思うと、
聖女の姿はもうそこにはない。
まるで、夢かなにかだったかみたいに。

ただひとひらの雪片が、
聖女がいた場所から舞い降りてゆく。
その雪片に触れたなら、それはあなたの手の中で。
触れなければそのまま教会の床に舞い降りて、
その上で溶けて消えていった。

曇天の薄暗い光がステンドグラスを透かしている。
聖女の像だけは、変わらずに
そこであなたのことを見下ろしていた。

(-57) oO832mk 2024/02/19(Mon) 16:08:02

【秘】 寡黙 エミール → 聖女 リッカ

「違う……って」

なんでだよ、と独り言のように呟く。
聖女像を見上げながらも、なんだか腑に落ちない顔つきだ。

そういえば、ファリエも聖女についてはなんだか色々思うところも、心境の変化もあったようで、それを確かに見せてくれていた。
聖女にも人と同じような感情があるようだから、もしかしたら二人の間には何か交流のようなものがあったのかもしれないと考えた。
だからといって、それをどうこうするつもりはないのだけど。

「当たり前だろ。……大事にするさ」

色濃い方面には大分無知できてしまった男だが、感情は死滅してはいない。
全ては、これからだ。

ひとひらの雪辺を手のひらで受け取れば、じわっと溶けて水になってしまった。

聖女は、もう居ない。


これからの人生は、自分だけが紡いでいく物語ストーリー
(-58) eve_1224 2024/02/19(Mon) 20:38:09

【独】 寡黙 エミール

祭が終わって、様々を整理して。
男は育ててくれた師匠と別れて旅に出た。

傍らには、亜麻色の髪を持つ女が一人。

この世界のキレイなものを沢山見に行きたい。
そうしてこの世界を愛して行きたい。

だから二人で一歩ずつ、この世界を歩いていく。

孤児院を訪れた際には、驚かれたり、子供に泣かれたりと大変だった。
なんでこの子が良かったのと聞かれても、この人が良かったとしか言いようがなく閉口した。
詰め寄ってくる女は怖いと、初めて知った。
       
そういえば、時折
モジョ
という単語を聞いたけれど、あれは一体何だったのだろう。

10年しか向こうの世界で生きられなかった少年には預かり知らぬ単語であったし、孤児院だけで通用する単語だったのだろうと納得して、確かに彼女を貰い受けた。

そこにはもう、喪女などという女は存在しない。
しあわせのかたちを手にした女が居るだけだ。
(-59) eve_1224 2024/02/19(Mon) 20:47:48