情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
エノは、池の前にイーゼルを立てて、キャンパスに絵を描いている。 (a71) arenda 2022/02/22(Tue) 17:52:22 |
【人】 美術 エノ「…………………………」 焼肉屋だ…………なんかある……。 いつの間にか生えてきた日常感溢れる建物を眺める。 「……うーん、また夜になったら食べようかな。」 お肉は夜に食べたい。なんとなく。 (194) arenda 2022/02/23(Wed) 6:47:54 |
【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ「なるほど……うん、いいね。」 「フカワくんのこと、またひとつ知れた。」 「嬉しいよ。君の事を知れるのが。」 髪を手に取られても、それに嫌そうな顔をすることも無く。 むしろ、もっととでも言うように頭を差し出す。 まじまじと、一つ一つの色を確かめるような所作に、 拒絶どころかむしろ、恍惚とした表情すら浮かべて。 好奇心の目に晒されることが気持ち良い。 もっと自分のことを見て、理解して欲しい。 衣服を一枚一枚脱がすかのように、裸の心を抱きしめて欲しい。 「別に俺がすごいわけじゃない。親から生まれただけだし。」 「自由だよ。会社を次ぐとか考える事もないし、お金も困らないし」 「友達にも気を使われる。あの会社の息子かって。」 「苦しいことなんて何も無い、恵まれた生活をしてたよ。」 「ただ、退屈ではあったけど。」 君も、自己紹介があるんだ、と。 ワクワクしながら、傾聴して。 (-442) arenda 2022/02/23(Wed) 7:09:54 |
【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ「……クニユキくん。それが君の本当の名前。」 「弟君を騙ってたの?どうしてそんなことをしたんだろう?」 責めるような言葉、ではなく。 ただなんで?どうして?と純真な子供のように。 楽しげな目で、君に質問をなげかける。 「うん、いいね、人とご飯、あんま食べたことないや。」 「楽しみ……うん、楽しみだな。」 「バイクも趣味じゃないんだ…………思い出す?」 「記憶が無いの?」 あんまりそんな感じには見えなかったから、少し眉を上げて。 両手を君に伸ばして、頬に触れようとする。 何もかもを知りたい。 何もかもを知られたいから。 「……あぁ、用事があるなら、話を区切って貰ってもいいからね。」 叶うなら頬を撫でながら、そうこぼす。 毎日会えるなら、無理をしなくたっていいはずだから。 (-443) arenda 2022/02/23(Wed) 7:16:11 |
【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ「そう、きっと、ラッキーな生まれだった。」 「でも俺は、もっと庶民的な家で、一人っ子が良かったな」 「無い物ねだりだよね、こういうのは。」 撫でられる頭に自分からすり付けるように小さく首を振り。 家族の距離が遠かった。 沢山いる兄弟とも、そこまで仲が良くなく、悪くもなく。 一緒に出かけることもないし、喧嘩もしない。 親ともそう。…………だから、撫でられたこともないし。 消化不足って、どんな感じなんだろう。 満たされない感じなのかな。だとしたら、お揃いなのかな。 お揃いなら少し嬉しい。 「そっか、着ぐるみみたいなものなんだ。」 「……フカワ君の本当の姿が見れないのは、少し残念。」 「でも、そう。なんとなく、君はそういうことしそうだなって、感じするな。」 「君の事、ちょっと理解してきてるのかも。」 嘘が付けなさそうだし、歳も自分より上。 抱いていたイメージ通りで、それがなんとなく嬉しい。 自分が生き残ってしまった時、思い出す君の顔がきみのものじゃないのだけが残念だ。 (-462) arenda 2022/02/23(Wed) 12:25:37 |
【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ頬を優しく指で撫でる。 むに、と少し摘んでみたり。 人の顔って、こんな感触なんだな。 まぁVRだから、本当の顔ではないんだけど。 触れる度なんとなく理解度が高まるようで、嬉しい。 「……そっか。君は、君をちゃんと理解出来てないんだ。」 「分からないんだね、自分のことが、ちゃんと。」 「……今度一緒に出かけよう。図書館とか、公園、池もあるはず」 「どこか楽しい場所を見つけてみようよ。君の好きなものを見つけたいな。」 そうして見つけた君の好きなものの記憶に、 自分も顔を出していればいい。 自分の中に誰かを残したいし、誰かの中に自分を残したい。 君とは真逆。きっと、心に傷を刻み付けたいのだろう。 自分という傷を。 「うん、まぁ、理解者は1人いれば満足なんだけど。」 「連絡、待ってるね。お土産話も楽しみ。…………んー……」 「……早めだと嬉しい。」 君に理解してもらうために、思ったことをそのまま告げて。 次は何時間後だろう。待ち遠しく感じる。 そうして一度、汗ばむくらい室温の高い部屋から。 冷えた外へと、君を送り出すことだろう。 (-465) arenda 2022/02/23(Wed) 12:34:52 |
【人】 美術 エノ日も暮れてくる頃、随分肌寒くなってきた。 そんな中青年は、南西の区画、広場の噴水前にイーゼルを立てる。 「噴水か。いいね。」 「綺麗にかけるかな。」 合議以外の時間は暇だ。 絵を描くにはちょうどいい時間なのだった。 (206) arenda 2022/02/23(Wed) 14:02:12 |
【人】 美術 エノ>>217 「そうなんだ。まぁ、あんま人前で描く人いないか。」 大道芸くらいかな、と納得を示す。 君がそのまま見ていくようなので、正面に向き直り。 飛び散る雫の一つ一つを描いていく。 「楽しいから好きになるんじゃない?」 それって分けられるものなのかな?と首を傾げ。 あらかた風景を描き終われば、今度は人影をひとつ描いていく。 噴水に向かい合うような影。 「俺は楽しいし、好きだよ。」 「自分が作ったものを残せることが好きなのかも。」 「この絵を見て、自分のことを少しでも理解してくれる人がいるかもしれないから。」 人影の前にイーゼルを描き足して。 ざくざくと、さほど時間もかけずに描いていく。 「君はどう?なにか趣味はある?」 「その趣味は、好きだからやるの?それとも、楽しいからやるの?」 (219) arenda 2022/02/23(Wed) 15:43:27 |
【赤】 美術 エノ青年はといえば、落ち着いたものだった。 趣味の絵に没頭して、されど別に逃避というわけでもなく。 言うなればそう、時間つぶしのような気持ちで。 筆を滑らせていた。 端末が震え……今は近くに人がいるから、メッセージを網膜の上に映し出す。 前回の経験から、随分VR上で様々な操作ができるようになっていた。 『それは。』 『いいか、悪いかってこと?』 『まぁ、なくていいなら無い方がいい制度だよね。』 死にたくないと思う人がいて。 死んで欲しくないと思う人もきっといる。 突然訪れる平等な死を、肯定できる人は果たしてどれほど居るのだろう。 『辛くなっちゃった?』 『取り留めのないことでも、話したら楽になるよ』 2回も選ばれてしまった君を可哀想、だと思ってるから。 せめて支えになってあげられればいいなと思った (*22) arenda 2022/02/23(Wed) 16:37:40 |
【人】 美術 エノ>>223 ツルギ 筆はやがて、色の多い髪を描いていく。 噴水広場にひとりぽつんと立つ絵描きを、精巧に描いていく。 「無いんだ、趣味。」 「すごいね、退屈で死んじゃいそうだ。」 暇な時どうしてたんだろう。 さほど暇な時もなかったのだろうか。 ある程度描き終えた絵に背を向けて、君に向き直った。 君の言葉を聞く。ひとつ、頷いて。 「なるほど。」 「君は物事を頑張れない人なんだ。」 「何をしても、実らないかもしれない、無駄かもしれない」 「そんな思いでいるんじゃない。」 昨日の会話を思い出しながら、そう告げた。 徒労が嫌だと言っていた、君の言葉。 「成果が出るか分からないものに、力が入れられないのかな。」 つらつら、君を理解するために。 今理解してる中での、君への印象から推測して話す。 (228) arenda 2022/02/23(Wed) 16:42:57 |
【赤】 美術 エノ青年には何も忘れたい事がない。 死んで悲しいなと思えるほど理解できた人もいなかったし。 それより前の、日常生活でも何も困ったことはなかったし。 心の底に何もない、ぬるま湯の風呂のような人生だった。 『うーん。』 『これは俺なりの考えだけれど。』 『死ぬのが怖い人って、未練がある人だと思う。』 それは例えば、もっと何々がしたかった、だとか。 あの人と一緒に居たかった、とか、遊びたかった、とか。 アイドルのライブに行きたい、とか、ドラマの続きが見たい、とか。 そういう、"生きて何かしたかった"から、それが出来なくなる死が怖いのだと、思ってる。 『怖くないよ。』 『生きてやりたいことがないから。』 『寂しいけどね。』 寂しいけど怖くはない。 それが青年の答えだ。 恐怖を感じるほど、未来を見据えた人生じゃなかった。 『君はどう、カミクズくん。』 『怖い?』 (*24) arenda 2022/02/23(Wed) 17:18:51 |
【人】 美術 エノ>>232 ツルギ 「退屈から逃れるためにするものではないと思う。」 バッサリ。 自分はどっちもやったことないけれど。 たいてい目的があるとか、好きだからやるものだと聞く。 「結果がすぐ出るような趣味があればいいのかもしれないね。」 「それか、目標を短く設定するとか。」 「例えば、そう。人と話す事。人の話を聞くこと。自分の話をすること。心を近づけてみる事。」 「そうして少しずつ段階を踏めば、いずれ理解者ができるかもしれない。」 細かな目標は大事だよ、なんて。 人生の先輩らしい事を言ってみる。 背中から見ている君は分からないだろうが、青年は自分を描く時、瞳を閉じている。 視界がどこか別の場所にあるように。 それもVRの機能の一種なのかもしれない。もしかしたら、空中に目玉があるのかも。 風景が多数を占めるこの絵は、しかし青年にとっては。 肖像画であった。 「うーん…期待……そうだね。」 「どちらかと言うと、諦められないだけかな。」 「一人でも、心から理解してくれる人がいてほしい。」 「そんな夢を諦められなくて、求めているだけ。」 「俺は君みたいに、何かに裏切られたような経験もないからね。」 風が吹いて、首筋に冷たさを感じた。 肌についた水滴を、指で拭った。 (234) arenda 2022/02/23(Wed) 17:45:47 |
【赤】 美術 エノ『へぇ、やりたい事がないんだ。』 『意外だな。』 『だって、理由を付けて家族から離れたいくらい、一人暮らしがしたかったんだよね。』 『一人じゃないとしたい事が出来ないからだと思ってた。』 なにかをしたいから。 そのために一人暮らしがしたかったのだと、思っていた。 そうじゃないというなら。 家族と離れる事 そのものが理由だったのだろうか。果たしてそれは、どんな事情なのだろうか。 『ないよ。』 君の質問には、すぐに返信が来る。 『元から無かったんだ。よかった事、嬉しい事。』 『だから生き延びた後も当然なくて。』 『何もないまま、今日まで来ちゃったよ。』 『だから、まぁ』 『死んでた方が楽だったかも、とは少し思うね。』 1回目を生きて帰ってきたときの周りの反応も。 腫れ物を触るかのようで、今までもそうされてきたのだけれど。 より一層に距離を置かれたようで、寂しかった。 死が齎す負の感情より、生きて得る虚無の方が多い。 だから死ぬのが、怖くない。 そんな感じだ。 (*26) arenda 2022/02/23(Wed) 17:57:17 |
【赤】 美術 エノ『何から?』 躊躇う事もなく、理解の刃を振るう。 その曖昧さを許さないとでも言うように。 理解のためなら、何も省みないとでも言うように。 ずけずけと、踏み入る。 死んでいたほうが良かった。 全く思わない人間は、相当幸せだ。 誰かを、間接的にとはいえ殺して生きることは。 心からそう言えないくらいの負担で。 最も、青年は。 あまりそこを悩んだりはしていないが。 『そうだね。』 『俺の唯一つの夢だから。』 『できれば叶えたいよ。死んだら敵わない。』 それもある種の、未練だろうか。 (*28) arenda 2022/02/23(Wed) 18:28:01 |
【赤】 美術 エノ君の答えを聞く。 失った空白。代わりになれなかった。 推察できることはある。 なるほど、と一つ頷いた。 『そっか、残念だったね。』 淡白な返事、は、文章だから。 端末の向こうで、青年は一人部屋で。 恍惚の顔をしていた。 それは君の事情がどうとか、そういうのじゃなくて。 ただ、そう、君を一つ理解できたから。 衣服を一枚脱がすかのように、君の心を薄着にできたから。 それが嬉しくて、理解することと理解されることは紙一重だから。 部屋で一人、笑っていた。 『理解者と一緒に死んだらさ』 『そこで変化が止まるのかな。』 『だったらそれが一番だよね。』 そうありたいな。 (*31) arenda 2022/02/23(Wed) 19:20:21 |
エノは、自室から、裁判場に向けて歩き出した。 (a108) arenda 2022/02/23(Wed) 19:49:53 |
エノは、裁判場で、再び絵を描きだした。最初の時と同じように (a113) arenda 2022/02/23(Wed) 20:36:25 |