人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-403 >>-404

ことり、と。
窺うような表情に、女は首を傾ける。

「…んー。」
「……んー…。」

言葉を受けて、少しして。
えへ…と力なく笑った。
作り笑顔にしては下手くそすぎるそれは、きっと
いつもの
と少し違う。

「ミネはあ。」
「ふふ。あたしを甘やかすのがあ、じょおず」

額をこつんと、あなたに寄せて。

「…あんねえ。…あたし」
「こわいんだあ。」

甘やかな声。

「お母さんみたいに」
「アレッサンドロさん、いなくなるんだあって」
「…でも」

「ずっと、勝手な上司さんだったしい」
「今更だなあって思うのも、あってねえ」

重ねた手が僅かに、ぴくんと震えた。
(-410) oO832mk 2023/10/01(Sun) 19:17:20

【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-403 >>-404 >>-410

「だから」
「今1番こわいのは、そのことじゃなくて、ねえ」

ゆっくり、手を返して。握り返す。

「…聞きたいこと、あるんだけどお」
「間に合わなかったり、いやな返事きたら、いやだなあって」
「……そんだけえ。」

ゆっくりと、額を離して。
またへにゃりと。そして。

「だからあ」
「もしそおなったら、…ミーネ」

もう一度。甘えた声。

「いっぱい、いっぱい」
「慰めてねえ。」

困ったような笑顔と一緒に。
…やだなあ。逃げないのって。本当に、やだ。
(-411) oO832mk 2023/10/01(Sun) 19:18:14

【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-412 >>-413 >>-416

は、と短い息を吐き。
色んな物が遺っているのに、
何もなくなった
その港で。

「…ミネ……」

ぱちくりと、その大きな声に瞬いて。
あはは、と笑う。…気持ちだけなら、ものすごくよく分かって。

だけど、やっぱり。
我慢とはまた別の話で、同じような文句は出なかった。
そういう人だと分かっていたから。
それを呑み込めてしまうくらいに、聡かったから。

そんな時、ドローンの照らした地面に何か光るものを見た。
見覚えのあるものに、見慣れないものがついている。
…その見慣れないものすら見覚えがあるものだから、また笑えてしまって。

「はーあ。」
「本当に、あの人はあ……」

徐にそれを拾い上げた女は、海に向かって大きく放った。
そうして大きく、息を吸う。
(-418) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:13:34

【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-412 >>-413 >>-416 >>-418


「忘れ物、ですよおー!」


「…あげたものくらい、大事にしてくださいよお」
「……ほんとおに」



それは大きく放物線を描いて。
ぽちゃん、と。波の間に落ちて見えなくなった。

…まったく。最後の最後まで、結局文句を言わせるんだ。あの人は。
そういう人だった。知っていた。
それでも、本当に、大好きな人だっただけ。


何も見えなくなった昏い海を見守る。
へたり、と女はその場に座り込んだ。
いつの間にかその頬に、また涙が伝う。
暫くの間そうやって、いつかみたいに、その空と海を見つめていた。
(-419) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:14:35

【人】 摘まれた花 ダニエラ

>>135

鍵を放った肩がまた思い出したように痛んだ頃。
ようやく耳に届いた音に振り返る。
小さな車。
大好きだった。
近寄って、むりやりに扉を開ける。
(136) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:26:47

【人】 摘まれた花 ダニエラ

>>137

少しだけ、眉根を寄せた。
そうっと伸ばして、着信をとる。

「……Pronto?」

ちょこっとだけ、硬い声。
(138) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:32:21

【人】 摘まれた花 ダニエラ

>>139

「……カップの、」

「…………。」

……あー、もう。本当に。


「ばあか……。」


潮騒に紛れるささやかな声。
既に切れた電話口へ。伝え、小さくまた鼻をすすった。
(140) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:45:00

【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-429

ぐし、と少し乱暴に涙をふいて。
くるりと女は振り返った。

「…もおやだ。」
「今日なんもしたくない。」

文句だ。…お望み通りの。
そうして変わらず、ゆるりと絡みつく。
ずび、とまた鼻をすする音だけが聞こえて。

「ん、…帰ろお、ミネ」


足音がひとつ、ふたつ。
港を離れて、車へと消えていく。
(-430) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:56:01

【念】 摘まれた花 ダニエラ

さて、翌日。
正式な手続きを踏まず脱獄した女にどれほどの時間があるだろう。
少なくとも今ここで、自宅のアパルトメントへと立ち寄るような女ではなかった。

「…ただいまあ」

だから、最後に立ち寄ったのはそのホテルだった。
…変わらず、照明はついたまま。誰もいない室内に声をかける。
そうして真っ先にデスクへと向かい。
そこにある『大切なもの』たちを見つめ、ひとつひとつを回収してく。
冷蔵庫から、チョコレートも取り出した。
(!0) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:56:53

【独】 摘まれた花 ダニエラ

ライムグリーンのウィッグをつけたテディベア。
これは大事に飾っておこう。

ブーゲンビリアの花束も。
枯れるまでは大切に、花瓶に生けて。

このチョコレートは、紅茶と一緒に食べようかな。
ミネは、チョコが大好きだし。

バスボムは、特別疲れた日に使っちゃおうか。
…今夜とか。
(-431) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:57:11

【念】 摘まれた花 ダニエラ

片腕にそれら『大切なもの』たちを抱いて。
そのまま振り返り、部屋の隅を向く。
ちょこんと最後にひとつ残されたスーツケース。
片腕で、よいしょ。これもそこそこ重いから、怪我した腕ではひと苦労。

…この中身は、どうしようか。
それだけは、まだ決められそうにない。
自分ひとりの問題ではないからかもしれない。
でも、いづれは決める心算ではあった。
(!1) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:57:36
ダニエラは、「ああ、でも…。」
(a57) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:57:49

ダニエラは、この中にある、鍵だけは、どうしようかは決めていた。
(a58) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:57:59

ダニエラは、きっと近いうち『お兄さん』に連絡を入れる。
(a59) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:58:33

ダニエラは、彼の方が、自分よりずっとあの場所での思い出が多いと知っていたから。
(a60) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:58:39

【念】 摘まれた花 ダニエラ

「常連さんには、結局なれませんでしたしねえ」

そうひとりでに、からころ笑う。
喜ぶべきか悲しむべきか微妙なところだ。
女はそもそもコーヒーという飲み物の味が好きではなかった。
今まで一度も、誰にも、そのことを口にしなかっただけで。

荷物に両腕を抱えて、女はホテルを後にする。
もうここを訪れることもないだろう。そうやって初めて照明を消した。
(!2) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:58:59

【影】 摘まれた花 ダニエラ

苦い水面に砂糖を2つ。
そうやって飲める味にしても尚やっとだった。
それでもダニエラ・エーコは、日常的にコーヒーを嗜んだのだ。
でないと、喫茶店になんて足を運ぶ事も出来やしない。
そしてそのための我慢は全然苦でもなかった。

きっとこれも、石であり、星だったのだろう。
もう、そんなかいがいしい我慢もする必要はない。
だというのに、スーツケースの中、手放す気のないものがひとつだけあった。
…この香りが好きだったのは、本当だったから。
(&2) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:59:21

【置】 摘まれた花 ダニエラ

ねえ、アレッサンドロさん。

あの日、聞くことができなかったこと。
だから、本当のことはわからないままのこと。


あたしは、――
親孝行
できていましたか?

聞けた方が良かったのか。
聞けないままで良かったのか。
その答えすら、今も出ない。――きっと、これからも出ることはない。
(L7) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:59:40
公開: 2023/10/01(Sun) 21:00:00

【人】 摘まれた花 ダニエラ

荷物を転がし、抱えて、少しの距離を往く。
虚実不明の明るい鼻歌を奏でる。
そうやって向かう先にいるのは王子様。
あたしのひとmine。いつものように、女はその名前を呼んだ。
(141) oO832mk 2023/10/01(Sun) 20:59:55