人狼物語 三日月国


90 【身内】ifかもわからん!【R18G】

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視点:


【妖】 三年 井上清春

するりと離れていく手に、
玩具を取り上げられた子供みたいな気持ちを抱いて、
引っ張られたタオルに気づくのはしばらく後だ。

「あ……。うん、わかった」

こくん、と頷いてタオルを渡す。


それから。
一人立ち上がり先へ行くこともなく、
あなたの支度が済むまで隣で待っていた。


やさしい拒絶にはっとして体の表面の熱は引いた。

というのに芯の部分では未だに燻り続け、
視線を送ってはそらしてを繰り返していた。
($23) szst 2021/08/13(Fri) 20:34:15

【神】 三年 井上清春

先に体を洗い終わったので、
隣の堀江くんの様子を伺っている。
(G75) szst 2021/08/13(Fri) 20:43:20

【神】 三年 井上清春

「どういたしまして〜」

てちてちと湿ったタイルを鳴らして後をついていく。
湯気が霧のようにたちこめて、説明書きも見ずに入った温泉は
体があったかぁ〜くなる湯
(G77) szst 2021/08/13(Fri) 21:18:46

【神】 三年 井上清春

湯の温度は高くない。
むしろ長く浸かっても大丈夫くらいなやさしい温度なのに、
体の熱が高まっていく。

「んん〜〜、長時間移動した甲斐あって風呂が染みる〜!」

なお濁り湯なのでさまざまなものが安心ですね。
(G78) szst 2021/08/13(Fri) 21:26:07

【妖】 三年 井上清春

いつもと同じ距離。
いつもと同じように横に並んで、
肩ひとつ分開いた距離がどこか物足りない。

「なんかさ……、けっこー暑くない……?」

熱で頭がくらむ。
困らせることを言いたくないのに、
気を張らないとまたよからぬことをしてしまいそうだった。
($25) szst 2021/08/13(Fri) 21:32:43

【妖】 三年 井上清春

「わっ…………、大丈夫」

触れられたところに熱が集まる。
それに嫌な気分はなく、むしろ。

その行為で許しを得たように、
猫みたいに触れられた手を額に擦りつけた。


「とよひも暑そう」

熱の浮かぶ顔に不審も不安も抱くことなく、
同じだ、というように指摘した。
($27) szst 2021/08/13(Fri) 23:01:56

【独】 三年 井上清春


(このくらいはいつものことだから。
 あたま、きもちよくて、ぽかぽかする)
 
(-8) szst 2021/08/13(Fri) 23:02:53

【妖】 三年 井上清春

ぉぁー、とそれこそ猫の鳴き声が漏れる。
この距離感はいつものことでこの反応はいつものことじゃない。
それに気づけない。

「なんか……体あつくて……?」
「とよひ見てると、もっと近づきたくなる……?」

もともと柔らかに喋る性質があるが、一段と言葉がやわい。

正常であれば口にしないことを口にして、
あなたに跳ね除けられる可能性は考えない。
これはいつものこと。


蜂蜜色の瞳が指先を見上げる。

「指、さわっていい?」
($29) szst 2021/08/14(Sat) 0:15:04

【妖】 三年 井上清春

承諾を得れば、なにも使われていない湯に沈む手を引き上げて、人差し指を両手でぎゅっぎゅっと握った。

「ふふ…………」

幼い笑顔から吐息ともつかない声が漏れる。

額を撫でられる感触に甘やかされているような気持ちになって、
掴まえた反対の手に愛おしさを与える。

握ったり、さすったり。
それだけのことなのに目の前がくらんで、
背筋がむずむずする。

「とよひ、」

不意に両手を自身の口元まで運ぶ。
つられて持ち上がるあなたの指先になまあたたかな息がかかる。

「…………んー…………」

ぽかんと半開きの口から舌が覗く。
言葉を綴るたびにその動きが見えたことだ。
($31) szst 2021/08/14(Sat) 1:52:33

【妖】 三年 井上清春

額のあたたかいが離れていく。
生まれた心細さは距離が近づいたことで直ちに霧散した。

それでもまだ隙間があることが不満で、
もっとがほしくてたまらない。

「……ふぁ……」


吹き込まれた息にぶるりと体を震わせた。
ひとつの問いかけのもとへ思考は収束する。
はやく答えなければと舌がもつれて、
なのに明確にどうしたいのかわからない。

したいこと。

かたにもたれかかりたい。
みつめられるとのぞかれたくて、
しんぞうがうるさい。

もっと、さわられたい。

「たべたい」
おんなじくらい、さわりたい。



あーんと口を開けてあなたの人差し指を口に含もうとする。
($33) szst 2021/08/14(Sat) 10:48:06

【妖】 三年 井上清春

あなたのためになれた気がして、
あなたの喜びが悦びに変わって下腹を重くした。


……ぁ……み
ふぇ………」

あなたの指が飲みこまれるところを。
撫でられるだけでぴりぴり電流が背中を走って、
瞳をとろけさせるのを。
やらかい舌先を流れる血潮の赤きを。

指先ひとつでこの身を掌握された気がした
はしたなさもまた、
楊梅色の瞳には透けているのだろうか。


見てほしくて開きつづけた口から
溢れた唾液がおとがいをつたう。
それすらきもちよくて身を震わせた。
($35) szst 2021/08/14(Sat) 12:36:29

【妖】 三年 井上清春

たくさんを得ようとした指先は、
口内をぐるりとかき回して、
上顎をくずくり、頬の裏側をすり、
歯列をなぞったかもしれない。

そのたびに鼻からくんと甘い息を漏らして刺激を甘受した。


銀の糸を引いて離れていく指先は淫靡だ。
離れるのを止めようともせず、ただ彼に食べられた。
自分だったものが、彼の指先につれていかれて。

うらやましい。


唾液で濡れた唇は名残惜しそうにもごもごと動いて、

「おれもほしい」

砂漠をさ迷う旅人が渇きに耐えかねて天に祈るように、
だらりと垂らした舌は雨を求めた。
($37) szst 2021/08/14(Sat) 15:31:54

【妖】 三年 井上清春

焦点の合わない距離まで近づかれて、名前を呼ばれるのを耳にした。
とよひ。
呼び返したかったのに、なまえごと食べられてしまった。

「んー、ん、ぅ」

たどたどしく動く舌が熱いものに触れて絡み合わせれば
もう離れられなくなった。
熱く、ぬめって、くちゅくちゅで、
毒みたいに甘くて

むせかえるほどのとよひーの匂いが頭をいっぱいにする。


目の前の快楽がすべてだ。
熱かった。
あなたに触れてほしかった。

さみしかった。
あなたに近づきたかった。

求めた。
あなたに求められたかった。


平素より向けられる視線に心地良さを感じて、
いまこのときも同じように求めた。
結果として暴かれることを望むのと同義だった。
それだけのこと。


心細い腕があなたの背中にしがみつく。
これでまたひとつ隙間が埋まって満たされた。
下腹の兆しがあなたのそれに触れたとしても
すべてきもちいいになっていく。
($39) szst 2021/08/14(Sat) 22:34:05

【妖】 三年 井上清春

ぷは、と息継ぎのために空いた隙間はたちまち塞がれる。
熱に溶かされた体が交わって、
こんなにも至近距離にあるのにまだ遠い。
まだひとつじゃない。


快楽に貪欲でまとまりのない頭は、
最後に残されたひとかけらの理性だけが
『あなた』を指向しつづけた。
どうすれば埋められるかと酸素の足りない頭で思考する。


幾度目かの息継ぎのとき、
とびっきりの甘い
をこめて囁いた。


「ぜんぶ……見て…………」
求めて。暴いて。貪って。

「とよひに……見られるの……好き……から……」
ひだまりみたいなやさしさも。ぴりと刺激を感じる強さも。
呑みこまれそうな出処のわからない不可思議さも。


誘惑と呼ぶには拙い、感情を言葉にしただけの。
他者の心などわからないから、
独りよがりの内面を知ることはない。

しかしあなたも似た気持ち
[欲]
を抱いていると
確信に似たものを抱いている。
だからこの欲望であなたの欲を肯定して、
最後の歯止めすらこわれてしまえと
まほうのことばを唱えるのだ。
($41) szst 2021/08/15(Sun) 12:59:54

【妖】 三年 井上清春

楊梅が離れて、蜂蜜はぐにゃりと崩れて滲む。

『おんなじ』は錯誤していたに過ぎなかった。
それをつきつけられてさっと熱が引く。
湯船に浸かっているのに指先までしんと冷たい。

というのに体の中心に燻りつづけた熱は未だ引かず、
首筋に触れられた刺激で淫らな声を漏らした。
はしたない。



縋りつく背をやさしく撫でる。

「大丈夫だよ」

平静の声を取り繕えただろうか。

「とよひー」
「すべて俺のせいにして。悪いのは俺だから」
「怖がらせてごめん」

安心させたくて似たような言葉を何度も繰り返す。

共感した不安に襲われて、
あなたの反応の予期できぬことがひどく恐ろしかった。

それでも縋りつく先が今ここに自分しかいなかったことだけが
唯一の慰めだ。
($43) szst 2021/08/15(Sun) 17:52:56

【妖】 三年 井上清春

さながらシーソーみたいに、
腕の力が緩んだ分だけ代わりに力を入れる。
口ぶりに反して、そこだけは聞き分けの悪い子供だ。

「大事にされているよ」

これまでも、
口内をまさぐる指も舌も大事に愛おしんでくれて

ダメだ。猥雑な思考が抑えられない。

「とよひーが思っているよりたくさんもらっている」

内心を否定するように重ねた言葉は無垢な本心そのものなのに、
『たくさん』の内訳を考えれば
今日この日のやましさがあふれかえる。


吐息が熱い。
あなたに効かなかったまほうはこの身に跳ね返り、
自家製生する毒がじくじくと身を苛んだ。
($46) szst 2021/08/15(Sun) 22:50:46

【妖】 三年 井上清春

「うん…………」


最後に背中をひとなでして緩慢な動作で離れた。

それでも離すことを望まれるまでは、
手をぎゅうと握り続けたのは自身の意思だった。
($47) szst 2021/08/15(Sun) 22:51:34

【神】 三年 井上清春

だいぶ遅れて風呂をあがった。

休憩用のソファに腰掛けてちびちび水を飲んでいる。
長風呂の影響で顔はほてり、
どこかぼんやりとしている。
(G89) szst 2021/08/15(Sun) 22:55:55

【神】 三年 井上清春

あ。
………うん」

こくりと頷いてそれ以上の言葉はない。
隣はひとり分空いているが誘うこともなく、
堀江くんの胸元に焦点の合わない視線を向けていた。
(G91) szst 2021/08/16(Mon) 0:17:13

【独】 三年 井上清春

「みられるの……すき……」


熱に浮かされて口にした言葉に嘘はない。
嘘じゃないから困った。

これまで向けられてきた視線に勝手に意味を見出して、
勝手に気持ちが増幅してしまう。
すべてが好きで
きもちよくて心を乱す種になって

たべられてしまいそうな強い眼差しを思い出すだけで
背筋がぞくぞくして身が震える。

おかしい。よくない。抱いちゃいけない。

傷つけたくないのにあの目がもっとほしくて
頭がおかしくなりそうだった。
(-23) szst 2021/08/16(Mon) 0:25:35

【神】 三年 井上清春

ひんやりした温度に意識が浮上する。
普段より取り繕った明るさでお礼を言おうとして、

「ありがと。俺、これ好きな…………」
交わされた視線に言葉が止まる。

「もうちょっとゆっくりしたら行くから」
「またあとで」
数秒か、数分か、あるいは永遠に近い時間の後に、
背中へそう声をかけた。
(G93) szst 2021/08/16(Mon) 1:09:06

【妖】 三年 井上清春

それから気分を落ち着けようと売店を物色したりして、
部屋に着いたのはだいぶ後のことだった。
浮足だった気持ちに変化はなかった

扉を開いたとき、アロマでも焚いているのか、
ほのかに甘い香りが鼻についた。

「遅くなってごめ〜〜〜……えっ!?」

部屋の中央に設置された大きなベッドに釘付けになり固まる。
男二人やすやすと受け止めてくれそうだがひとつしかない。
二人一部屋なのに。

「あー……。俺、ソファで寝るよ……?」

備え付けのソファを差す。
あんなことがなければ、
床をともにすることに抵抗なかったろう。
($48) szst 2021/08/16(Mon) 1:36:54

【妖】 三年 井上清春

「えっ。ダメ!
 とよひーをソファに寝かせるなんてやだよ。
 睡眠時間とか関係なしに!」
($50) szst 2021/08/16(Mon) 1:51:27

【妖】 三年 井上清春

「もっとよくない」
近づいて、ずいと顔を寄せて、言い聞かせるみたいに言う。

「それならも〜、一緒に寝よう。
 冬馬くんとか深瀬くんみたいに」
すぐに誰かの布団へ潜り込む後輩たちよ。
($52) szst 2021/08/16(Mon) 2:15:05

【妖】 三年 井上清春

「えっ……」

その言葉を契機として
いつも
を演じるために
纏ったものが霧散して瞳が熱くなる。

「平気。平気だから。
 とよひーもへいきなら大丈夫ってことだよ」

ぽやぽやした熱は頭にも移動して、あつくて、
ちゃんと喋れているんだろうか。
呼吸は荒くて心臓がどきどきする。

この顔のひとにあんなのをした。してもらった。
強い視線をもっと向けてほしくて、
一度意識してしまえば情欲が節々に滲む。

「俺はこわくない。
 とよひは……こわい?」

舌がもつれてゆっくりした喋りしかできなくて、
はやく彼に触れられてこわくないよと言ってほしかった。
($54) szst 2021/08/16(Mon) 2:57:59