人狼物語 三日月国


148 霧の夜、惑え酒場のタランテラ

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【人】 ヴィム



 [ それはまだ『メルヴェイユ』という名を冠す国が
   誕生するよりも前の話。

   名前すら定かではないこの国に
   ある未熟な魔法使いがいた。

   この国の子どもならば簡単に出来るであろう
   ランプに火をつけることすらままならない。

   そんな未熟な魔法使いはついに己の限界を悟り、
   町外れに住む魔法使いに師事するため
   その門下を訪れ、何度も頭を下げていた。]



(177) 西 2022/05/21(Sat) 12:39:30

【人】 ヴィム



 [ 師は飛び込んでは幾度となく頭を下げる
   未熟な魔法使いを見かねて、ついに問うた。


   「どうしてそこまでして...。
    なにも魔法に頼らずとも方法はいくらでもある。」



   師はそう諭す。
   なにも魔法使いでなければ生きていけない
   なんてことはない。

   それが無理なら剣士でも、武闘家でもいいはず。]


(178) 西 2022/05/21(Sat) 12:41:14

【人】 ヴィム




   「魔法はこの国の宝なんだ。

       僕はこの宝を、守りたい。」





(179) 西 2022/05/21(Sat) 12:42:19

【人】 ヴィム



 [ しかし返ってきた答えは輝かしい光。
   世界の痛みなど何も知らないと言いたげな
   純真たる魂の輝き。

   師はその覚悟を認め、未熟な魔法使いを
   受け入れることに決める。

   それが、後に英雄と大罪人と呼ばれた

              二人の出会いであった。]*


(180) 西 2022/05/21(Sat) 12:43:48

【人】 ヴィム



    メルヴェイユの英雄の物語はもうしばし続く。


(221) 西 2022/05/21(Sat) 19:26:34

【人】 ヴィム



 [ 神のイタズラにより出会った英雄と大罪人。
   弟子となった未熟な魔法使いがその才能を
   発現するようになるまで時間はかからなかった。


   師は言う。

      「周りの環境が悪いだけだ。」
、と。


   首を傾げながら素直に師の教えを守る
   愛らしい弟子を師は次第にその扱いを改め
   弟子からW友人Wとその呼び名を変えた。 ]


(222) 西 2022/05/21(Sat) 19:28:08

【人】 ヴィム



 [ 師弟であり、仲間であり、友でもある。

   いつしか師を超えるほどの魔法使いへと
   成長を遂げた愛弟子はといえば

   新たな仲間達に恵まれ、魔法使いとして
   名を馳せるほどの栄誉を手に入れていった。

   どれだけ困難な依頼が舞い込もうとも
   この魔法使いがいるパーティならば
   達成してくれる、そんな伝説さえ囁かれるほどに。]


(223) 西 2022/05/21(Sat) 19:28:57

【人】 ヴィム




   愛弟子は言う。


  「それでも僕は師匠とずっと一緒にいたい。」
、と。


   師は言う。


   「お前はいつか自立しなければならない。」
、と。



(224) 西 2022/05/21(Sat) 19:31:05

【人】 ヴィム



 [ 師は愛弟子を認めなかったわけでは無い。
   真相はむしろその逆であり
   師は愛弟子の力を誰よりも理解していた。

   故に師は愛弟子が己に依存することを懸念し
   自立を促し続けていたのだった。


      愛弟子が己へと向けている
      尊敬と淡い恋慕が入り交じるその感情に

            師は気づいていたのだから。


      
(225) 西 2022/05/21(Sat) 19:32:10

【人】 ヴィム



   師はそれが愛弟子のためだと信じていた。
                信じていたかった。



(226) 西 2022/05/21(Sat) 19:34:40

【人】 ヴィム





                               しかし、現実は非情なり


(227) 西 2022/05/21(Sat) 19:35:27

【人】 ヴィム



      ...........................。


(228) 西 2022/05/21(Sat) 19:36:06

【人】 ヴィム



 [ 夜までに戻ると告げたこの日。

   青年が姿を現したこの国は
   今も相変わらず盛況していた。

   魔法を学ぶなら『メルヴェイユ』へ。


   そんなキャッチコピーをかかげた魔法都市には
   この国を破滅の未来から救った英雄の石像が
   掲げられ、今も守り神として祀られていた。

   石造りの偶像を前に目を細めると、
   過去を懐かしみ、噛み締めるよう、青年は呟く。]
   

(229) 西 2022/05/21(Sat) 19:39:00

【人】 ヴィム




   君も随分人気者になったね。


          ............
として、誇らしいよ。




(230) 西 2022/05/21(Sat) 19:40:12

【人】 ヴィム


 [ 独り言と共に指先を石像へと向けて。
   ついた汚れを丁寧に魔法で落としていく。

   これが、青年の日課であった。

   酒場の誰かには、ここまでなら
   話すこともあっただろう。
   裏を返せば、話していたのはここまでだ。


   日課を終えれば、青年はその銅像の前から姿を消し
   仲間達の待つW酒場Wへとその脚を向かわせる。]

(231) 西 2022/05/21(Sat) 19:43:05

【人】 ヴィム




   メルヴェイユの英雄、Chloe。


         彼女の苦悩こそ、歴史に眠る
         メルヴェイユの介在配列。**




(232) 西 2022/05/21(Sat) 19:43:57

【人】 ヴィム



   「生命とは死を迎えるまでの猶予期間だよ。」



         はるか昔、青年は自身の愛弟子に
         そう教え伝えたことがあった。


(276) 西 2022/05/21(Sat) 23:24:55

【人】 ヴィム



 [ 人はいつか死ぬ。

   善人だろうと、悪人だろうと
   英雄であろうと、大罪人であろうと。

   分かりきっている事だ。
   しかしながら、何故生きるかと問われれば
   答えられる者は決して多くない。

   初めからその答えを知っているものは
   この酒場に行き着いたりなどしないのだから。]


(277) 西 2022/05/21(Sat) 23:25:52

【人】 ヴィム



 [ ならば猶予期間で何を得るのか。
   何を見い出し、受け止めるのか。


         人の数だけ色があるのなら>>106
         その数だけ答えがある。>>187  ]


(278) 西 2022/05/21(Sat) 23:27:56

【人】 ヴィム



 [ この世界にはW真理Wなんてものはない。
   己が何を思い、答えとするのか。
   つまりは自分がどう在りたいか。


      W真理WはW心理Wに眠るもの。



      それが青年の持つ死生観であった。]


(279) 西 2022/05/21(Sat) 23:29:24

【人】 ヴィム



 [ もっとも、その死生観を語る口など
   死人にありはしないのだが。

   過去をひとしきり懐かしめば
   今夜の宴のために帰路に向かう。

   迷子になるなと言われたものだから>>38
   青年はといえば道中に
青いバラ
を植えて
   目印を作ってきたのだ。

   花屋の青いバラが一束無くなったと
   今頃街の花屋は大慌てかもしれない。



(280) 西 2022/05/21(Sat) 23:30:09

【人】 ヴィム



   そう。君だけだ。

   君がWどう在りたいのかWを
   僕は一度だって、聞いたことがない。

   ここで働きたいという願いも>>82
   在るべき場所を知っているような瞳も>>93

   唯一あったのは、幽霊の軍勢ゴーストパレードに隠れた
   小さな、願いのような言葉。>>35

   

(281) 西 2022/05/21(Sat) 23:34:07

【人】 ヴィム




   僕が知らないだけなのか


            それとも──────?>>210



(282) 西 2022/05/21(Sat) 23:35:03

【人】 ヴィム




      浮かない顔をしているね。

         

(283) 西 2022/05/21(Sat) 23:35:42

【人】 ヴィム



 [ 聴こえない足音を奏でながら
   青年は店の外にいる彼に声をかける。>>211

   そう。外で見えないのは人の身のみ。
   魂だけの青年には、その光景が鮮明に映っていた。]*


(284) 西 2022/05/21(Sat) 23:38:23

【人】 ヴィム



   大丈夫さ。
   僕のW帰る場所Wはここしかないからね。
   道に迷ったりはしない。


 [ 青年は暗に言う。
   本来還るべき場所が自分には無いのだと。>>348

   目印となる青いバラは
   橋にかけるディテールに同じ。
   つまりはお洒落のようなものだった。]


   緊張か。
   ここに来る子は皆普通じゃないからね。
   話せば面白いと思うよ。


 [ そんなことを言って緊張を解こうとするが
   緊張というお題目は闇夜の霧に等しく
   その心内を覆い隠すためのもの。

   それはきっと、お互い様だ。>>348

   

(385) 西 2022/05/22(Sun) 15:41:14

【人】 ヴィム



 [ メルヴェイユでは子供にある童話を
   聞かせることが習わしとなっている。

   才能豊かな魔法使いが悪の魔法使いを
   打ち倒して英雄になる物語。

   その童話は悪いことをすれば報いおこり
   悪の魔法使いに魂を抜かれるという
   脅迫じみた躾のために利用されていた。]



(386) 西 2022/05/22(Sun) 15:41:47

【人】 ヴィム



  「悪の魔法使いWヴィムWは他国との戦争を
   起こさせることでメルヴェイユを滅ぼし
   国家転覆を乗っ取ろうと暗躍する。

   しかし英雄WクロエWがそれに気づき
   危険を顧みず、命懸けでヴィムを打ち倒す。

   かくしてメルヴェイユは永遠の平和と
   繁栄を手に入れることになったのだ。」



(387) 西 2022/05/22(Sun) 15:42:28

【人】 ヴィム



 [ 興味を持てば誰でも知れる話だろう。
   WヴィムWは国家転覆を測った大罪人。
   己の利欲のために国民を危険に晒した
   血も涙もない魔法使いであったと。


   当の本人は

     「人の噂なんていつもデタラメだ。
      生憎ゴーストなんでね。
      血も涙も、とっくに捨ててきたよ。」


            と呆れて笑っていたものだ。]



(388) 西 2022/05/22(Sun) 15:43:16

【人】 ヴィム



   「死後の逢瀬、か

      そんなに美しい感情じゃない。
      これはそう...一種の罪滅ぼし、かな。」



(389) 西 2022/05/22(Sun) 15:43:46