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![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ決意と覚悟、その証左を見届ける。 信念を押し通して。決定的な選択を示してくれた。 本当に最後まで見誤っていたのかもしれない。 己があの日助けた男はどうしようもないほど愚かで、 けれど強くて、マフィアに似つかわしくない真っすぐな心の。 「──なんて」 「本当は……悪役ぶるつもりだったんだけどさァ」 豪快に笑って。ひりつくような獰猛さを解いて、 理知的な、柔らかい声色に戻っては眼を細めた。 「やめた」 「オレは"逃げる"んだ。ソーレからもノッテからも」 聞き落としはなかった。なかったが、 聞き逃していたことは存在した。 見定める為この男が敢えて言わなかっただけの話だったが。 ▽ (-373) backador 2024/04/05(Fri) 1:17:51 |
![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「オレは、そのうちノッテにはいられなくなる。 かといって……ソーレに居場所があるかは怪しくなる。 作戦の成功失敗はまあなんでもいい。オレ一人なら頭を下げればどうとでも飼ってもらえるだろう、けどオマエを連れていけば、ノッテのモンであったことは付いて回る。 ロクなことにならないのは、考えなくてもわかるだろ?」 「オレもオレで……敵ファミリーが潜入していたとなれば、 是が非でも首を取ろうと躍起になられるかもしれないが。 ただ離反しただけの不届き者であるなら、 血の掟を交わしていない以上は本気で殺されることはない」 「仲の良い奴らだったらコッソリ会ってくれるかもしれないな」 あなたの涙を前に、優しく声を掛ける。 両手を広げて身を寄せ、拒まれないのなら抱き寄せる。 熱を持った身体で、もう一度温かさをこの場に取り戻したくて。 「有り体に言えば──」 「ただ、駆け落ちしたいんだよ、ジャコモと」 「オレが今望んだのは誰かの不幸じゃねェ。 二人の幸福だ。それ以外はいらん」 思いついた悪戯を語る様に。 これからの未来を望む男は実に無邪気な顔で。 ──あるいは、恋に恋した青年のように純粋だった。▽ (-374) backador 2024/04/05(Fri) 1:19:55 |
![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「……オレは太陽の威光を前に、 ノッテの不幸を願うことはできるよ。 でも……ノッテに注いだ気持ちは全て本物だった」 それと忠義を切り分けて全てを壊すことはできる。 ただ、切り分けた感情を取り戻して振り返った時。 不手際を責に己の指を差し出せるかと問われれば、それは。 「オレは全部が終わった時、いちど全部を放り捨てる。 ノッテへの愛着も、ソーレへの忠義も」 「それから欲しい物をできる限り多く持っていく。 夢はもっと大きく見よう。宙はこんなにも広いんだから」 お返しの如く唇を重ねた。 今度は長く触れ合うだけの、愛情が籠ったもの。 「──じゃあ、もう一度聞かせてくれ」 「俺を選べ」 「俺とどこまでもついてこい」 「……心変わりは、してないよな?」 (-376) backador 2024/04/05(Fri) 1:24:38 |
![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「もとよりロクでなしどもの相手してたんだ! マフィアが二つ連なったところで大して変わんねえ」 「出会ってから何を考えるにしても、 オマエへの不義理だけは働きたくなかったしな」 絢爛華美な肩書きも、悠々自適な暮らしも、こんな仕事に就いてた時点で望むようなものじゃない。 マフィアは誰もが等しく屑の世界だ。ぶつかり合って食い合って求める結果を目指すだけ。 義も愛も同じ天秤に乗せてしまえばいつだって単純な答えが返ってくる。 負い目はいつしか溢れんばかりの欲望に変わっていたのだ。頭が上がらないわけだ。 「そっちこそ。まだ幻滅もしてないなんて。 最初から馬鹿しかいねェよここには」 抱きしめては目一杯体温と鼓動を伝えた。 生の証で、少し消えたとしても容易く途絶えることはない灯火としていつまでも燃え続ける。 そうしてあなたを絶えず焦し続けるのだろう。▽ (-384) backador 2024/04/05(Fri) 3:41:54 |
![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「なんだ」 「まだしてなかったのか」 目を丸くする。ほんのちょっとした本音の外には、 相変わらずの尊大な態度が乗っていて、 容易く奥を覗くことはできないのだが。 「……今更オレの許可が必要かい、アモーレ」 「一緒になろう、ジャコモ。 誰にも見せられねえ景色を捧げてやる」 力強く応える。どのみちあれが最後で、 もう心変わりを問うことはない。▽ (-385) backador 2024/04/05(Fri) 3:42:58 |
![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「オレは一人で迎えの車でも用意するつもりだったが、 やっぱり支度も二人でやりたいか?」 何も言わなければ一人で自害でもするつもりはあった。 こんな場所に居てはいつ身柄を拘束されるか知れない。 「いいよ」 「出発は早い程いい。 遠い旅行に出かけるなら尚更そうだ」 朝食は何にしようか。将来の話をするのは縁起が悪いらしいが、 やはりフラグすらも薙ぎ倒してこその旅路だろう。 妨げるものは何一つ目の前に残してやるつもりはない。 「……オマエは随分大胆になっていくな。 オレの影響か、ハハハ」 (-386) backador 2024/04/05(Fri) 3:46:07 |
![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「オマエにはオレ以外いないだろ?」 「こんなデカブツ相手、不敬を承知の上で、 正面切って見返り持っていこうとするぐらいがいいぜ」 そんな蛮勇を抱ける人間なんか限られているだろうが、 護送の長であるからにはそれぐらいの気概があってもいい。 思って収めなかった時点で一定の大物ではあるとも思っている。 「奴らとの仲はまあまあよかったさ。 頼まれたら性処理をしてやったぐらいにはな。 あいつらが順調に事を運べたら…… この船に居る奴らとやりあうのぐらいはまだ頭に入れてるよ」 余計な一言を足す。やはり嫉妬されたいんではなかろうか。 「殺される相手を選ぶこと自体はそう難しくない。 オレは終いにゃオマエに殺される覚悟もしてはいたんだが…… はン、その辺りは好きにしたらいい。 こうまでなるなら失っても何だって巡り合うとは思ってるが、 何年先とかになったらちょっと笑えねェ」 「……ストレルカ、か。全く、AIの考えることは分からん。 オマエがバックアップを取りに行くなら、 帳尻合わせのために向こうからオレにも話がくるだろうな」 (-433) backador 2024/04/05(Fri) 15:59:25 |
![]() | 【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「あははは。じゃあ猶更ソーレにはいられねェな。 我儘を言われるのは好きだが、出来る限り叶えてやらなきゃ」 誰としていたかを知らせたら様々な方面タダでは済まなさそう。 義体の中に積んだ武装ごと押しやられそうな勢いである。 「何なら夜伽の相手を探してるってことにして、 別のアソシエーテを抱いちまったし」 さらに油を注ぐ。絶対に楽しんでいる。 「でもオマエがそれだけ想ってくれてるんだったら、 やっぱりもっと早く持ちかけてもよかったな〜?」 上体が斜め後ろに倒されながら上機嫌に言う。 やっぱり想われるというのは悪くない。通じ合いもしたし。 「……結果論、乗ってもらってよかったよ。 ジャコモを巻き込まないために口利きすることぐらい、 オレの立場だったら難しくなかったし。 でもそれは──責任を負った者としては下の行動だ」 「相手の何かが気に入らなかったらいつでも喧嘩しよう。 目を逸らしては、この関係には至れなかっただろうから」 (-486) backador 2024/04/05(Fri) 18:14:06 |
ユウィは、オマエばかりじゃないんだけどなあ。 (c5) backador 2024/04/05(Fri) 19:11:57 |
ユウィは、未だ残った多幸感と共に抱きしめて、今度こそ上体を倒した。 (c6) backador 2024/04/05(Fri) 19:12:21 |