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![]() | 【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ差し出されたフォカッチャ1つを受け取り、 取り出したティッシュの上に。 フォカッチャは男が好んで買うパンではあるが、 食べたあとで食欲がないのか直ぐには手をつけようとしない。 無理をしている訳ではないから、 ゆっくり食べるよと君に言葉を返して。 「…あぁ、引き継ぎする間もなく人が減った分、 こうして残る人員に回ってくるものだね」 端に寄せた書類に手を置き、 髪を整える暇もないんだと冗談まじりに笑った。 少し乱れた髪も今はそのままだ。 「それに、戻ってきた時に残っているものが多いと困るだろう。 少しでも減らしておけばきっと楽になるから」 そのためにもいつも通りに、 いつも以上に頑張る必要性があった。 (-336) sinorit 2023/09/22(Fri) 10:12:26 |
![]() | 【秘】 情報屋 エリカ → 傷入りのネイル ダニエラ──そう、そのはずだった。 約束を違える理由の方が、あなたには存在しない。 その夢は、あなたが眠りに落ちたその状況を ほとんどそのまま写したような場所だった。 それでもはっきり、これは夢だと思えた。 山積みのダンボール、夕日の光が射す部屋。 傍らには預かり物の鞄たち……。 ──そして異物の知らない誰か。 あなたと同じく床に腰を下ろしているが、 どうやら上背があるらしいことは窺えた。 (-337) 66111 2023/09/22(Fri) 10:43:20 |
![]() | 【秘】 情報屋 エリカ → 傷入りのネイル ダニエラまどろみにまだとらわれたままのあなたをさておいて、 誰かはボストンバッグに手を入れる。 中身も見ずに何かを引き抜けば、それを開いてあなたに見せた。 『よいこのダニエラはさわってはいけません』 子どもでも読めるような字が書かれた紙。 あなたが見ることが想定されている内容。 もう子どもじゃないあなた宛。 あなたは中身に触れていない。 目の前の誰かが、勝手に触っただけである。 「開けようか。それとも、開けずに内容物の仔細を言おうか」 低い、落ち着いた声が投げかけられた。 あなたの意思一つで構わない。 そんなことでも言っていそうな、寄り添う空気感がそこにある。 /* ポップコーン殺人事件様からOK出ました。 ダニエラのリアクション後に開示したいと思います。 (-338) 66111 2023/09/22(Fri) 10:44:09 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 月桂樹の花 ニコロ「ええ?それ、聞いちゃいますう?」 からからと、それでも控えめな笑い声。 まるで歌でも歌うように、明るい声音が嘯いた。 「あたしの目的はあ」 「 あなたたち にいなくなってもらうこと、ですよお。」これは、本当。 「だってえ。そうでもしないとお」 「いつかあたしが、逮捕されちゃうかもしれないじゃないですかあ。」 これも、本当。 「ニコロさんが逮捕した、カンターミネ・ヴォーフル。」 「あたしの、幼馴染なんですよお。」 これも、本当。 「――たったそれだけの理由でえ」 「無実のあたしが逮捕されるなんて、おかしいじゃないですかあ。」 これが、嘘。 虚実を織り交ぜ、女はいう。 曰く、正当防衛である、と。 そんな身勝手な女である、と。 …そのために、あなたたち摘発チームを解体するのが目的だった、と。 (-354) oO832mk 2023/09/22(Fri) 12:47:13 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「なるほどお…。」 フォカッチャを口元に寄せたまま、静かに感心の声。 …みんなが戻ってくる日は、来るだろうか。 そのとき、自分の居場所はもうないだろうけど。 「…【A.C.A】って、警察の人…ですよねえ。」 「どうしてこんなに、警察のことも摘発していくんでしょお」 きっとその殆どが冤罪だろうに。 そう、ぽつりと言ちる。 まるで、自分のことじゃないみたいに。 (-359) oO832mk 2023/09/22(Fri) 13:21:26 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → マスター エリカ同じ景色に、知らない誰か。 それをすんなりと受け入れたのは、これが夢だと分かったから。 記された文字を見つめる。 なんだこれは。まさか開けると思っていたのか。 浮かんだのはそんな憤り。子供みたいに、少し拗ねる。 それでもそんなものを、その当人に預けたのだ。 もしかしたら逆に、信頼の証と受け止めるべきかもしれない。 そう浮かんだところでつい口元を歪めた。 信頼されていると、思いたいんだ。あたしは。 (-377) oO832mk 2023/09/22(Fri) 16:04:23 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → マスター エリカ「…開けちゃ、だめですう。」 女が悩むことはなかった。 「でも、あなたは」 「中身を、知ってるんですかあ」 そうして無垢な瞳で問いかける。 女はほんとうのことを知りたかった。 この荷物がそれを、教えてくれるかはわからなかったけど。 (-378) oO832mk 2023/09/22(Fri) 16:05:57 |
![]() | 【念】 傷入りのネイル ダニエラ煉瓦道の一角。人気のケーキ屋。この店のことは知っている。 だけど、ダニエラ・エーコのルーチンには存在しない店だった。 だから、立ち寄ったことはない。 「つめ…?」 小首を傾げ。両手は猫を抱いている。 今はお見せすることが出来ないが、 左手小指のエナメルは、傷が入って、剥がしもされずにそのまま。 けれどまあ、返答としては「ネイルなら少ししてまあす。」とそんなものだろう。 問題はどこから、その話を聞いたのかであるが。 猫を差し出す。 手放しても、数秒程はその体温が手の平に残っていた。 (!6) oO832mk 2023/09/22(Fri) 16:24:18 |
![]() | 【秘】 情報屋 エリカ → 傷入りのネイル ダニエラ「ああ、知っているとも」 誰かは言った。 拗ねた子の頭に手を伸ばすことを考えたが、考えただけだった。 ひとつひとつ、補足が必要であればそれも添えて。 誰かは鞄の中身を挙げ連ねていく。 /* 【ボストンバッグ】 ・武器弾薬 (ピストル、ソードオフ・ショットガンライフル、カービンライフル、グレネード数種、サブマシンガン、およびその弾薬─いずれもセルフディフェンス用では許可の下りない軍用弾薬使用モデル) ・“目が飛び出る”のに十分な量の爆薬 ・市内の地図、特に下水道や駐車場に書き込みがある ・車のキーがいくつか ・「よいこのダニエラはさわってはいけません」とかかれた紙 【スーツケース】 ・人間一人が”人生をやり直す“のに十分な量の大金、および金塊、宝石などの資産 ・海外に逃亡するために手配された、アレッサンドロ所有のプレジャーボートの隠し場所と隣国の“窓口”への連絡手段 ・新しい身分のための一式…身分書や書類など。名義は「ドナータ・ウォータストン」となっている。アメリカ国籍の女性に生まれ変われる魔法のアイテム ・アレッサンドロの店、Mazzettoの鍵 ・オリジナルブレンドのコーヒー豆 ・紙(この彼女がパッと知らせたがらなかっただけで、内容は預かっています) (-384) 66111 2023/09/22(Fri) 16:33:46 |
![]() | 【秘】 情報屋 エリカ → 傷入りのネイル ダニエラ一通り告げれば、スーツケースをトントン叩いた。 何も持っていなかった手に、いつの間にやら折り畳まれた紙切れが収まっている。手品か何かのよう。 「これも、お前宛てだ」 「見たら後戻りはできない。 …が、これは夢だ。情報屋ロッシの夢だ」 「言い訳は、しようと思えばいくらでもできるだろう」 あなたはこの紙の中身を自分で見ることも、読み上げてもらうこともできる。当然、中身を確認しなくても構わない。 (-385) 66111 2023/09/22(Fri) 16:34:08 |
![]() | 【秘】 pasticciona アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ「どんな話に切り替えてもいいの?」 「じゃあそうね」 「──どうしてニーノだったの?」 「それとも、手柄が欲しかっただけ?」 本当は、ずっと聞きたかった。 どうして貴方で、彼で。そんな事をしていたのかって。 けれど先程の答えを思うに、答えて貰えないだろうか。 最も、不意に話題を切り替えた事に後悔はない。 あるとしたら、張り詰めた緊張感だけ。 (-391) poru 2023/09/22(Fri) 17:15:10 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェきょと、と丸くした目は、確かに動揺からきたものだった。 だけど本当にひとつの瞬きの間に、口を歪めて笑っている。 「そおですねえ。」 あなたの心地と相反して、弛緩した声。 間延びして。気怠げで。――そんな、いつも通りの。 「もしそうだったら、1番嫌だから。」 「…あんまり知られたくないこと、知られてたんですよお。ニーノくんにはあ。」 それが何なのかどころか、そんな理由だったことすらも知らぬまま、彼は牢獄へと押し込まれてしまったわけだが。 「悪いことしたなあって、思いますよお。」 「あれは、あたしの不手際でしたしい。」 女は何ひとつ、嘘をついていない。 ただその態度に何ひとつとして反省も後悔も見えないだけ。 笑って自分の想いを隠すのは、得意だったから。 (-396) oO832mk 2023/09/22(Fri) 18:03:43 |
![]() | 【秘】 pasticciona アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ「そんな……」 本当は何と言ってほしかったんだろう。 弁解の言葉か、あるいは仕方のないと思えるような理由か。 愚かにもこの段階においても、女は望んでいて。 だがそんな女が望むものは何一つ与えられない。 「あの牢獄は、生易しい物じゃないわ……。 沢山血を見て、陰惨で、目を覆いたくなるような光景も多くて……」 こんな事を語るからには、誰かに会いに行ったことがあるのだろう。女にとっては地獄とも思える光景だった。 「嫌だから、って理由だけで、入れちゃうなんて…… 同じ、一緒に働く仲間なのに……」 そんな場所に入れた事を、"いつも通り"に答えられる様子が恐ろしい。 本心であれ本心じゃなかれ、いずれにしてもそう振舞える人間は、自分なんかより余程場数を踏んでいると考えているから。 「……ダニエラ。貴方、何者なの? 普通の巡査にそんな事できるとは到底思えないよ」 (-397) poru 2023/09/22(Fri) 18:12:43 |
![]() | 【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ皆が戻ってくる日があるか。 それは未来で、明確に答えにするのは難しい。 しかし、戻らないと断定することも、また。 君の問いに、首を傾け、悩むような仕草。 「……上の考えることは分からないし、 俺個人として知ろうとは思わないが」 「摘発する側はそうせざるを得ないのかもしれないね。 恐らく上からの命令で、それって圧力だろう? 止まりたくても止まれないとか」 どうだろう、真実は当人に問うまで分からない。 お上は警察とマフィアに等しく法を執行することで、 従順な軍隊でも作ろうとしているのか。 「何にせよ、答えは俺には出せないし、 話が聞けるなら聞きたいところだね」 それは上にではなく、そうせざるを得ない者に。 (-401) sinorit 2023/09/22(Fri) 18:36:53 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 情報屋 エリカあなたの声以外はひとつとして音のしない、 それは、本当に静かな時間だった。 最初はただ黙って聞いていたに過ぎなかった女だったが、 徐々にその口を引き結び、息を呑み、目を伏して。 ――狭い車内と、遠く夕陽の海を望む。 その後ろ頭と流れる景色を、瞼の裏に浮かべていた。 (-406) oO832mk 2023/09/22(Fri) 19:08:06 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 情報屋 エリカ目を、開く。 静かな時間は続いていた。 無音で首を振る。…そうしてようやく、口を開いた。 「少し、悩んだんですけどお」 「読まないことにしましたあ。」 「読むのはあ」 「 夢から覚めてから にしますう。」もったいぶって、そういって。 へにゃり、と、頬を緩めて笑う。 「そおしたらあ」 「言い訳なんて、しようがないと思うのでえ。」 「それで、ちゃあんと、向き合って」 「…そのあと、考えよおと思いますう。」 続いたのは、暢気にゆらりと、間延びした声。 「ありがとおございましたあ」と、向き合うきっかけをくれた、あなたへ。 (-407) oO832mk 2023/09/22(Fri) 19:08:58 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ「そおなんですかあ。」 へらり。感想は、それだけ。 「ふふー。でも、嬉しいですねえ。」 「ちゃあんと仲間だって、思っててくれたんですねえ。」 一緒に街を見回って、休み時間は笑いあって。 あなたの作ったお菓子を食べて、また作ってくださあいなんておねだりをする。 そんな日々。 その日々は決して、嘘だけではなかったけれど。 嘘だとしていた方が、あなたにもきっと都合がいいはずだと女は信じていた。 「…んー。聞いちゃいますかあ?それえ」 「でもその答えを、聞いちゃったらあ」 「アリーチェさんも」 「 ニーノくんとおんなじとこ に」「連れてかれるかもって思いませえん?」 無垢そうな瞳で、恐ろしいことをいう。 そうしてまた何もなかったみたいににこりと笑った。 それだけは教えられないのだ。この女は。 だからそんな言い方で、あなたのことを牽制している。 (-412) oO832mk 2023/09/22(Fri) 19:37:06 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「あはー。なるほどお。」 頷く。暢気なものだ。 またフォカッチャを、ひとつ齧る。 「でもお、それじゃあー」 「もし。…もし、お話を聞けたとしてですよお?」 「 そういうの じゃなくって、ほんとおに悪うい人だったらあ」「リヴィオさんは、どおしますかあ?」 「…やっぱり、逮捕、しちゃいますう?」 こてり、と。首を傾げて、ミントブルーがあなたを窺う。 流れるのは、ただの雑談の延長だと嘯くような、日常的で、穏やかな空気。 (-414) oO832mk 2023/09/22(Fri) 19:59:24 |
![]() | 【秘】 無敵の リヴィオ → 傷入りのネイル ダニエラ男の机上、置かれたフォカッチャは まだ歯型もなく欠けもない。 問いかけにまた首を傾げ、指先で顎を撫でる。 「そうだね、もしも悪い人だったら。 そうだったら……いや、逮捕よりも皆の解放を願うかな」 「一人を逮捕しても何も変わらないだろう? だったらそう願う方が現状を変えられそうだ。 最も、俺のこれは願いや望みってやつなんだろう」 希望論でしかないもしもだが、 だったら同じ目に合わせようというのは堂々巡りでしかない。 リヴィオ・アリオストは、そう考えている。 「……君なら。君ならどうする?ダニエラ君」 それじゃあ君は、問う君はどうだろう。 同じように雑談の延長線、その続きを君と続けよう。 (-418) sinorit 2023/09/22(Fri) 20:21:54 |
![]() | 【念】 傷入りのネイル ダニエラ運ばれていく猫に、指先だけで手を振って。 その頃には手の平に残っていた柔らかさも温かさも消えている。 「…あー。色男さあん。」 ブーケを受け取る。…浮かぶ顔は2つくらいあった。 しかしタイミング的に、片方に絞ることもできそうだ。 …そうやってだれかの顔を浮かべながら花束を見つめるその瞳には、僅かな寂寥が乗った。 「色男さんはあ、このお店、よく来るんですかあ?」 おもむろに顔を上げた女は、気怠そうに間延びした声でそう訊ねる。 ブーゲンビリアは胸の前。香り立つことなく、ただ鮮やかに。 (!8) oO832mk 2023/09/22(Fri) 20:38:41 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ「…あたし、ですかあ。」 問い返され、女は僅かに眉を下げる。 口元の笑みは変わらぬまま。少し、困った様子。 「リヴィオさんみたいに、人ができてないのでえ」 「捕まっちゃえって、思いますねえ」 「…だって、 許せません からあ。」ニーノくん。イレネオさん。 テオドロさん。ニコロさん。ヴィンセンツィオさん。 …実際に悪事を働いていたとされる上級警部を差し引いても、 きっと罪のない仲間たちが4人も牢へと送られた。 「私刑…って言っちゃえば、そおかもしれませんけどお」 「悪いことした人を裁くために、法ってあるんじゃないですかあ」 そんな理想を、語る。許されざる悪人が捕まって。そして。 「…それにい、もしかしたらあ」 「その人に逮捕された人も、釈放とかされるかもしれませんしい?」 罪なき人が元の生活に戻る、大団円。 本当にそうなったら困るのは自分だというのに。 どこかで口に出して消化してしまいたかった。…これも、紛れのない本心。 「…なあんて。流石に出来すぎますよ、ねえー。」 けらけらと、女は自分の言葉を控えめに笑い飛ばす。 どんなときでも本心を隠して笑えるのは、女の特技だった。 (-429) oO832mk 2023/09/22(Fri) 21:10:31 |
![]() | 【秘】 情報屋 エリカ → 傷入りのネイル ダニエラ「……」 「そうか」 目覚めて覚えているのは情報の内容だけ。 他のものを渡しても残らない。 そうであるから。えらいな、なんて個人の感想は口にされなかった。 礼の言葉だって聞き流していたふうだが、 受け取ったらしい空気感はあっただろう。 パチン そうしてひとつの結論が出れば、 別れの挨拶の間もなく夢は弾けた。 (-434) 66111 2023/09/22(Fri) 21:25:13 |
![]() | 【秘】 情報屋 エリカ → 傷入りのネイル ダニエラ目が覚める。 夢の続きの夢でなく、あなたにとっての現実。 傍らの預かり物は、 眠りに落ちる前と同じくそこにある。 (-435) 66111 2023/09/22(Fri) 21:26:05 |
![]() | 【秘】 pasticciona アリーチェ → 傷入りのネイル ダニエラ「……今だって、仲間だったと思ってるわ。 それは嘘じゃない。でも、 貴方の言葉だって、嘘じゃないって思ってる。 ……だから、わかんなくなって、」 信じてる。信じたい。 彼女は面倒臭がりで説明が不足しがちだけど、 こうして今まで一緒に笑い合った、他でもないあなたは、 心ない人物だとは、とても思えなかった。 だからこそ、何か理由があるんじゃないかと。 そんな救いのような言い訳に縋ろうとし続けている。 「…………っ」 ビクリと体が震える。 "あそこに連れて行かれたくはない" 純粋な恐怖と、自分が連行された場合に教会にかかる嫌疑。 そのどちらもが身を竦ませるには十分な威力だった。 「でも、私、貴方の事が知りたくて……」 先程は打って変わって小さくなった声は、 それでも未練たらしく響いている。 (-437) poru 2023/09/22(Fri) 21:34:17 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → マスター エリカ―――ぱちり。 積まれたダンボール。窓の外の夕焼け空。 幾度かの瞬きを繰り返しここが現実であると悟った女は、傍らにある2つの鞄を見た。 立ち上がる。スーツケースを、部屋の中央へ。 一瞬躊躇いはするも本当に一瞬だけのことで、意を決してそれを開いた。 中身をひとつひとつ見つめる。 夢と同じであることの確認を取るだろうか。 そして。 カサ、と最後に手にしたもの。 それを、ゆっくりと、開いた。 (-447) oO832mk 2023/09/22(Fri) 21:58:29 |
![]() | 【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 傷入りのネイル ダニエラ「………。」 貴方の言葉を最後まで、静かに聞いた。 時折思うように目を伏せて、それでも。 「言い分は分かった。 だが、やってることはお前も同じなんだぞ。 罪もない人間を罪がある様にでっち上げ 場を混乱させて、良いように利用する。」 「それで良いのか? 正当防衛だから咎められないなんて そんな甘い事はないって、分からない訳ねえよな。」 貴方が分かってないとは思わない。 けれどこれは、同じ仲間のよしみとしての忠告。 (-449) ぴんじぃ 2023/09/22(Fri) 22:11:21 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → pasticciona アリーチェ「……アリーチェさん。」 「振り込め詐欺とか、気をつけた方がいいですよお?」 信じようとしてくれる人間をただただ茶化すように。 いつかきっと口にした言葉。そのときの印象通りのあなたへ。 竦む身体でそれでもなお、甘えた言葉をいうあなたをミントブルーが映している。 笑うことしかできないから、ただただ笑みを浮かべたまま。 ……純粋で、綺麗なひと。 「あー…。それなら言い方を変えましょおかあ。」 「世の中知らない方がいいこともある、…ってことですう。」 ゆらりと女は左手を持ち上げる。 小指にはマリーゴールドカラーのエナメル。 しかし少しだけ欠けていて、塗り直しもされず少し不恰好。 そんな左手であなたの髪に触れようとする。 くすりとやっぱり、変わらない笑顔を乗せたまま。 「…せっかくのきれいな髪、鉄格子の向こうでぼろぼろになるの、あたし、見たくないなあ」 (-450) oO832mk 2023/09/22(Fri) 22:13:48 |
![]() | 【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 月桂樹の花 ニコロミントブルーの瞳を細め。 女は乱視だったから、それでもあなたの顔はぼやけていた。 「――もちろん」 にっこりと笑う。 まるでピザを奢られた時と同じように。 「あたしは、やられる前にやっている…」 「ただ、それだけですからあ」 「同じだってことは、もちろん承知の上ですよお。」 分かっていて、己のためにそれを行い、振り翳す。 それを人々は 悪人 そう呼ばれ思われ恨まれることを女は望む。 中途半端に信じたままより、そっちの方が絶対に幸福だと信じているから。 「まあ…それじゃあ。」 「ご理解頂けたよおですし、そろそろ行きましょおかあ」 「…ニコロさん?」 そういう女の手の平の中には、鈍い銀色の手錠が煌めいていた。 (-452) oO832mk 2023/09/22(Fri) 22:27:25 |
![]() | 【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 傷入りのネイル ダニエラ「お前、半分嘘だな? まあ、今此処で暴いたところでどうにもならねえけどよ。」 本当に自分が可愛い人間は、此処まで割り切れない。 自分も同じように裁かれると分かれば躊躇も生まれよう。 だから、貴方に別の何かがある事だけは、察せられた。 それが何かなんて、分かる訳もないけれど。 「後悔すんなよ。」 何がとは言わない。 男は既に覚悟は決めていた。 遅かれ早かれ、この法の片棒を担いだ罰は来る。 それが、今になっただけのことだから。 それだから、抵抗はしない。 貴方に両の手首を差し出した。 (-453) ぴんじぃ 2023/09/22(Fri) 22:37:54 |
![]() | 【秘】 情報屋 エリカ → 傷入りのネイル ダニエラ鞄の中には、 情報屋から聞いたそれらが正しく収められていた。 夢で開かなかったその紙も、また。 『命令。これを見たらお前は身を隠し、 全てが終わったら国外に逃亡して 以後マフィアに関わらないこと。任務は終わりだ』 あなたの行為を阻むものはなく、 その中身は随分あっさりとさらされたのだった。 (-455) 66111 2023/09/22(Fri) 22:40:35 |