人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「よくないで〜〜す……」

どうしようかな、と思っていた。
自分は酒は飲むが、一定のラインを超えると逆に酔わない方だった。酔い方に波が無い。少しふわふわする程度に留まる。

「お前、そんな酔い方するんだ……」
「ここで寝ないよ。帰るか、フレッド」

てろてろな貴方をよっこいせと剥がせば、
きっと酒のせいでより体温が高くなっているのだろう。
子供か、なんて胸中独り言ち。

「立てる? なんならおぶるか?」
「家行けっかな……オレんちでいいか……」

お泊り会は案外早く来るかもしれない。
(-578) susuya 2023/09/23(Sat) 10:36:36

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ

名前が幾度も呼ばれている。
鉄格子越しに貴方の姿が見える気がする。
声が聞きたいと、姿が見たいと願うばかりに見ている夢か。
だとしてそれでもよかったから。

近づこうとした。そのために立ち上がろうとした。
熱が収まらないから足に力が入らなかった。ならば這い寄ろうとした。
手錠に繋がれた両手を地面について、そのまま。
──ズキリ。


「ぃッ」


刹那走る痛みに声を詰まらせて身体を折る。
情けなく地に一度伏せ、それでもと求める場所へ寄ろうとする。
もう少し光の届く場所へ、その体躯が辿り着いたなら貴方にも見えるだろうか。
薄汚れてはいるが酷い外傷はあまりない──ひとつを除いて。

右手の甲が腫れ上がり、
ちいさな穴が開いている

その腫れ方から骨が割れているのだと、人より傷を見たことがある貴方なら理解できるだろうか。


「……ねえ、さ、ん」


[1/2]
(-580) mspn 2023/09/23(Sat) 10:50:48

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ


──会いたかった、会いたかったな。


貴方を見上げた。泣きじゃくり続け濡れた瞳で。

──ずっと考えてたんだ、オレの悪いこと。


今のこの状況を、迎えるに相応しい己の悪事はなんだろうと。
熱に浮かされ朦朧とした頭で考え続けたらいくつか出てきた。
そのひとつをだから、貴方に会ったら、言おうとして。

「……ご、めんな、さい」


これが今までの罰だとするなら、ほら、帳尻が合うだろう。

「ごめん、なさい」


思い出す。
この世の掃き溜めの隅。
だれもいない場所で歩けなくなった日のこと。
目が覚めたら暖かなベッドの上にいたこと。

──連れ出された新たな場所陽光の元には、あなたがいなかったこと。


「オ、レだけ、ひろわれて、ごっ、めんなさ、ぃ……」

燻る罪悪感は今になってその重さに耐えきれなくなったように。
頭を垂れた、許しが欲しいんじゃなかった、ただどうしても謝りたかった。
壊れた涙腺がまたはたはたと涙を零したけれど、もうそれもよくわからなかった。

[2/2]
(-581) mspn 2023/09/23(Sat) 10:52:34

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ

「なんで……」

なんでではない。
剥がされると中々に不満そうだった。
勿論回るアルコールのせいで体温はさらに高くなってしまっている。
冬のカイロにちょうどいいぐらいだろう。

「たて、ぅ」

それでもできる?を尋ねられると、できる!を言いたくなるのが子どもというものだ。
立ち上がろうとして……当然のようによろめいて。
目の前で貴方が見てくれていたので、多分支えてもらったりしていたのかもしれない。

「……たててる……」


だめそう。
やっぱりお泊り会は案外早く来るかもしれない。
(-584) mspn 2023/09/23(Sat) 11:05:57

【秘】 路地の花 フィオレ → 暗雲の陰に ニーノ

ほら、寄ってきてくれる。
いつもみたいに、明るい笑顔で。
笑顔、で。

────何が起きているのか、すぐには理解できなかった。
涙に濡れた顔が痛みに歪んだことも。
熱に浮かされたような表情も。
腫れ上がった右手も。


なんで、と。ただ声がこぼれ落ちた。


「何、言ってるの」

謝らないでよ、と声が上擦った。
あなたが暖かい場所で拾われたこと、スラムで過ごしていた時よりもずっと肉付きもよくなって。安定した生活が送れていたこと。
全て、自分のことのように嬉しかったのだ。

自分が拾われなかったことを、恨んだことなんて一度もない。だから。

「謝らないでよ…っ、フレッドに謝ってもらうことなんて一つもない…!」

笑って安心させてあげなきゃいけないのに、涙があふれて床を濡らしていく。
(-588) otomizu 2023/09/23(Sat) 11:17:27

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「おっと」「いや……立ててないですケド……」

よろめいた所を咄嗟に支えて、
やれやれとため息まじりに笑った。
マスターに退店を伝えて会計を済ませる。
その最中も貴方を支えていた。

「……ほら。おんぶ」

まるで子供にするみたいに、
貴方を立たせてから貴方に背を向けて少し屈む。
腕を伸ばしてくれるなら、そのままおぶり上げるだろう。

「帰ろ。帰りは寝てていいから」

呼ぶならタクシーも呼べるのにそうしないのは、
自分もやってみたかったからだ。
今なら人通りも少ないし、見られることもないだろう。
(-595) susuya 2023/09/23(Sat) 11:39:30

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ

聞こえる声が涙で滲んでいる。
ゆっくりと上げた顔、移る視界に貴方の涙が雨のように降っていた。
なかないで、とおもった。
いつもそうしてくれるみたいに、だきしめたかった。
望みはなにひとつ、この場で叶うものではないのだけれど。

「……ね、ぇさん」
「ごめんなさ、い」

出来るのは案じてそう呼ぶことだけ。
己の謝罪で泣かせてしまったことを……また謝ることだけだった。
そうしてその頃になってようやく──夢ではないのだな、と理解する。
ああ、ならば。

「……ぁ、……にげて」

アレッサンドロ・ルカーニオはノッテ・ファミリーの幹部カポ・レジーム
既にそれを知っているだから捕えられた男は、もうひとつの予想もとうに付いていた。
きっとあなたも。


「つかまっちゃう」
「オレ、だいじょうぶだから」

あんな拷問を受ける姿を想像したら、ぞっとしたから。


「ねえさん、ここ、早く出て……」
(-617) mspn 2023/09/23(Sat) 13:41:23

【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ

奇妙な可笑しさがこれの喉を転がる。
それは空気を揺らして笑いになった。

貴方の顔がさっと青褪める。
大きな双眸から涙が落ちる。
唇が開いて音もなく震えた。

男はペンから手を離した。

両手で包むように貴方の頬に触れる。大きな厚い手のひらだ。貴方とこの男では一回りも二回りも体格が違う。伴って当然、男の手は貴方の頭に比して大きい。

貴方の手は自由になった。
今なら抵抗することは出来る。
しないのであれば、再びの口づけが寄越されることは明白だ。
貴方にとっては目的も分からない、ただ恐怖を想起するだけの口づけが。
(-619) rik_kr 2023/09/23(Sat) 13:53:25

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ

立ててない指摘には、たててる……とまた主張していたものの。
一人ではろくに歩けそうにない男は貴方に支えられたままだ。
そうして目の前に向けられた背を見つめると、ゆっくりと瞬きを一度、二度。

「…………おんぶ」

してもらうの、いつぶりだっけ。
わからないけれど両腕を伸ばすことに抵抗は無かった。
そうして貴方がおぶり上げれば思ったよりも軽いと感じるかもしれない。女子よりは当然重いのだが、男子にしては発育が良いわけではないので。

「あはは、おんぶ」

笑いながらぎゅぅと腕に力を込めたのは、落ちないようにというよりはうれしくて。
緩む頬に癖のあるひだまりの髪が触れて、くすぐったくて、しあわせだった。

「かえる、かえろー、ろめおにい」

呼んで、その内に貴方が歩き出してくれることだろうか。
規則正しいリズムに揺られるのは揺り籠にも似ていた。
少しの間はふにゃふにゃと起きていて、言っていることは「ろめにい」「ろーにい……」となにやら改めての呼び方の模索だったが。
じきに穏やかに寝息を立て始める、安堵し切った子供と同じ。
(-620) mspn 2023/09/23(Sat) 13:55:03

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ

貴方が頷いて、安心を得てからにようやく男はデニッシュにかぶりついた。
複雑でしかしすっきりとした甘さが舌の上に沁みる。
五十年前、マフィアの勢いの強かったいつかと比べれば街の様子は変わった。
どちらが豊かであるかを示すものではない。ただ、変わった。
その片鱗の一つが、法案の形としていま表れているだけ、なのかもしれない。

「正直な話、私も彼らは好きではない。非合法の手段を取っているのには変わりない。
 いずれ衰退して街の産業や活気の中へ落ち延びていってほしいものだ。
 ……人としてそこにある人々を排斥して済まそうとは思わない。
 正しく、歩み寄れる隣人となれるように、徐々に解体されてほしいところだ」

マフィアなんていなくなってしまえばいい、端的にはそういう話だ。
けれどもそれは、彼らの死や破滅を望むのとは違う形だった。

「フレッドが自分の道や、自分の目の前にあるものを見ることができたならいい。
 君が目を塞いでしまわざるをえないことが、私は一番悲しいよ」

服の袖に掛かる僅かな重みを払い除けたりはしなかった。
そこにあるものを、そこにあるように。
されるがままの腕が、貴方へと預けられた。

「革新的に変えるのは難しい話だ、私でもそうだ。
 けれども其れ以外のことをしてはいけないわけではないし、そうだな。
 街の見回りでもして、店の人達やおじいさんおばあさんたちとたくさん話をしなさい。
 彼らにとって、安心できるお巡りさんであるようにね」
(-630) redhaguki 2023/09/23(Sat) 14:35:27

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ


己のそれより大きな掌が両頬を包んだ、刹那。
ちかり、フラッシュバック。

底から這い上がる恐怖で息を呑む。
めのまえにいるの、だれだっけ、

すぐに動かない身体は自由を知らず固まったまま。
いきていくために、ひつよう で 

気が付いたのは──"二度目"が触れてからだ。

「ッ〜〜〜……!」
「ぃ、ぅ」


指先を動かそうとする、ずきんと痛んだ右手に声が落ちる。
それでも腕を上げて、左手で貴方の手首を掴む。
わかりやすく震えていた、何かを取り繕う余裕もなかった。

「……っね、ぇ、せんぱ、い、も、やめて」

「わかんない、の、わかった、でしょ」

声は時折掠れて、詰まって、脳がぐらつく。
荒く繰り返す息は最早痛みよりも恐れによるものが勝っていた。
すぐに手折ることのできる力で、それでもと頬に添えられる片方を引き剝がそうとする。

「なんか、いって、」
「おねがい……」


問いかけへの解は無く、落ちた笑いが鼓膜を揺らしただけ。
その瞬間のぞっとした心地を思い出せば最後、乞うように願いさえもした。
(-648) mspn 2023/09/23(Sat) 16:40:19

【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ

それは、柔らかく。
引き攣った部分を食むように。
強く引き寄せて、触れ方だけは優しく齎された。

男は笑っている。
これ程の力差があって、その気なら無理矢理続ける・・・ことも出来ただろうに。
貴方のあえかな抵抗に従って離れ、再びそのまま笑っていた。

男は貴方に欲情していない。

これ以上の行為・・・・・・・を強いるつもりは毛頭ない。
だからこれは、ただ高揚からだけ来る行動。
弱り切った獲物を甚振って嗤う、肉食の獣。


「はは」
「震えてるな。可哀想に」
「────あいつ・・・と関係なんて持たなければ」
「こんな目に遭うこともなかったのに」

話す言葉ばかりは穏やかなのに、
ぎらついた瞳は貴方を離さない。
わざと優しく撫でる手のひらは、
嫌がらせをよっぽど含んでいた。
最早、尋問など意識の外なのだ。
目的のない責め苦に終点はない。
あるとすればそれは男の満足か、
熱のある貴方の身体が倒れた時。
(-657) rik_kr 2023/09/23(Sat) 17:13:30

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「はいはい、おんぶですよ」

あんまりにもこどもみたいだから思わず笑ってしまった。
背中に感じる重みと体温は想像よりも軽くて、それでも別の重みを感じたのだ。背負って歩けないほどではない。
けれど大切な重みだった。

「はーい。オレんちに帰るからね」

マスターに礼を言って、店の外に出ればいい風が吹いた。
火照った体にしんと染みるような涼しい空気は、
確かに秋を連れてきているのだ。

家は近い。おぶって歩くにはやや遠いか。
それでもたまにはこんな帰り道もいいだろう。
背中に聞こえる模索に、少しの気恥ずかしさを感じて。


「……〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜♪」
「……───♪」



ふと、教会にいた頃にずっと聞いて歌っていた、
聖歌の一節をハミングする。
どうか子守歌の代わりにでもなればいいと思った。
どうかおやすみ、かわいい子。

月明り、夜道に二人の影がある。
兄弟の影だ。
ひとりといっぴきの影ではないのだと、
貴方と出会って初めて、ここで思えたのだ。
(-687) susuya 2023/09/23(Sat) 20:38:29

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

貴方がデニッシュにかぶりつくのを見て、こちらも真似るようにパンドーロを一口。
クリスマスシーズンによく出回るものの年中置いてあるパン屋も多い。
ふんわりとした柔らかさに上品な甘さ、粉砂糖から香る微かなバニラの芳香に目を細めた。
そうしながらも話に耳を傾けていれば、貴方自身マフィアを良く思っているわけではない、が伝わってきて視線を上げる。

「……ヴィトーさんらしい、です」

いなくなればいい、そこまでの感情は同じだとして。
末に望むのが"隣人"であるということが、己が好む貴方の暖かさを示してくれているようだったから。
袖を掴んだ指先はそのまま、払い除けられないと知っていたように。
落とされた言葉はまるで祈りのようにも思えて、それが自身に向けられている事実を噛み締めてはたしかな喜びを抱く。

「へへ、悲しいにはなってほしくないなあ。
 オレ、だからちゃんと前を見ていたいです。
 迷っても、悩んでも……ほら、止まない雨はないっていうし。
 ヴィトーさんもきっと、そうやって歩いてきたんですよね」

小さなころから男が見てきた貴方は、もう随分と大人で。
今でもまだ、あの頃の貴方と同じ齢を重ねることさえできていない。
だから今の自分のような姿は想像ができないけれど、なんとなく、そうなのかなと思ったから。

「……そっか。
 それだけでも、いいんだ。
 すぐに何かするのが難しくても……誰かの安心にはなれる」

「あはは、だめだな〜。
 なんだか急いちゃってそういう、大事なこと抜けてました。
 ヴィトーさんと話してるとオレ、まだまだ視野が狭いんだっていつも思います。
 年の功?もあるんだろうけれどヴィトーさんぐらいになったとき、ちゃんとそういうこと言えるかまだ全然想像つかないや」
(-688) mspn 2023/09/23(Sat) 20:39:03

【墓】 暗雲の陰に ニーノ

冷たい牢の奥で毛布に包まり蹲る。
熱と、痛みの波に耐える為の仕草だった。
浅く呼吸を繰り返す最中に耳にする。
看守の噂話、は。

──君が目を塞いでしまざわるをえないことが、私は一番悲しいよ。

「……ヴィトー、さん」


自分の道を見つめていたい。
目の前にあるものをちゃんと見ていたい。
でも、もう。

だれの、いつの、どんな。
笑顔や言葉を信じたらいいんだろう。
わからないのに、信じたいと願うのはどうしたらいいんだろう。
一つを疑えば全てを手放してしまいそうで、それがこわかった。

ならその前に瞼を伏せてしまった方が、ずっと。

#収容所
(+10) mspn 2023/09/23(Sat) 20:46:07
ニーノは、十九年の人生で自分がした、悪いことを数えている。
(c29) mspn 2023/09/23(Sat) 20:46:39

ニーノは、この現実がこれまでの罰であるなら、帳尻が合うはずだから。
(c30) mspn 2023/09/23(Sat) 20:46:48