人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

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【秘】 エウロパ → ユスティ



   「あなたはとても強い魔力の持ち主ね。」


   「ぜひ、魔法学園トカリスに来て欲しい。」


   通りかかった大人に、
   花を咲かせた瞬間を見られてすべてが変わった。

   私をスカウトしたのは学園トカリスの関係者。
   誰だったのかはもう、よく覚えてない。

  
(-51) alice0327 2023/09/26(Tue) 19:23:49

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
……選ばれたのは、それを求めてた君じゃなかった。



   魔法が使えないと思われていた私に
   選ばれたものの証である手紙が届いて。

   ユスティは魔法学園に入学するんだと思ってたし
   魔法が使えない私は入学出来ないとも思ってた。

   だからね、手紙が来たのは素直に嬉しかったんだ。
   君も喜んでくれるんじゃないかって
   勝手に、そう思ってた。


   
(-52) alice0327 2023/09/26(Tue) 19:26:07

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「ユスティー!
    きいてきいて!
    この間、魔法が成功したの!
    お花咲かせたんだよ!
    ユスティにも見て欲しいなって思って。
   
    それとね、魔法学園トカリスから手紙貰った!」


   自慢なんかじゃなかったの。
   ただ、私は、これで君と同じ魔法使いだね、って。
   同じ場所に行けるよね、って。

   ただそれだけのつもり、だったのに。**


  
(-53) alice0327 2023/09/26(Tue) 19:26:52

【秘】 ユスティ → エウロパ



   魔法が使えることがそんなに偉いのか
   迫害とも呼べる文化的風潮の暴力に晒され
   まるで逃げるようにやってきた少女

   魔法というものを忌み嫌ってしまっても
   おかしくないはずなのに
   たった一言賞賛を口にできることが
   どれだけ素晴らしい行為なのか

   知れば追い返そうだなどとは決して思わない。


(-54) 西 2023/09/26(Tue) 23:32:09

【秘】 ユスティ → エウロパ



     「キミもきっとできるようになるよ
      魔法には不可能なんてないんだ!」



(-56) 西 2023/09/26(Tue) 23:33:57

【秘】 ユスティ → エウロパ



   幼き少年は少女の不安げな声に首を縦に振る
   暗い表情が物語るその出来事は
   この場所では起こらないのだと示すように。


   「魔法のコツは想像力なんだ。
    イメージがすごく大切なんだよ。」


   やれるまで練習すればきっとできる
   そう信じて疑わないユスティは
   自ら学んできた魔法の扱い方を
   エウロパに惜しみなく伝えて

   時には練習に付き合うとさえ
   言ってみせるようになった。


(-57) 西 2023/09/26(Tue) 23:35:47

【秘】 ユスティ → エウロパ




   いつかキミと二人で魔法を使えたら。



      エウロパに魔法を教えていくにつれ
      そんな憧れに近い空想が身体を突き動かす。
      最後はもう理屈で語ることは出来ずに
      ただひたすらに彼女の成功を願う。


(-58) 西 2023/09/26(Tue) 23:37:06

【秘】 ユスティ → エウロパ



   それが功を奏したのか
   はたまたエウロパの観察眼の賜物か

         恋心から造られた想像の具現は
         あまりにも大きな軋轢を生んでしまった。


(-59) 西 2023/09/26(Tue) 23:38:48

【秘】 ユスティ → エウロパ



   時は流れ、そろそろスカウトが終わる時期
   ポストの中身を確認する日課も今日で終わり。

   結果は褒められたものではなかったけど
   あまり落胆はしていなかった。

   自分が特別優れているとは思ってなかったし
   それでも挑戦できたことには
   確かな意義があったとユスティは疑わない。

   そしてなにより
   その努力の中でも大切な時間を過ごせたのだから。

   
(-60) 西 2023/09/26(Tue) 23:39:37

【秘】 ユスティ → エウロパ



   ユスティはその日もまた
   魔法の鍛錬に勤しんでいた。

   今日もまた来てくれるであろうエウロパに
   ダメだったという結果を伝えて。

   それでもまた一から頑張って自力で
   トカリスに入学してみせるという
   決意を表明するために。


(-61) 西 2023/09/26(Tue) 23:40:09

【秘】 ユスティ → エウロパ




   天才なんかじゃなかった。


      それでも良かったのだ。
      普通の魔法使いとして
      普通の彼女の傍にいれるのなら


            どこまでも頑張れる気がした。




(-62) 西 2023/09/26(Tue) 23:41:16

【秘】 ユスティ → エウロパ




       「二人で一緒にトカリスに行こう。
        そしてこれからもずっと、傍いて欲しい。」

(-63) 西 2023/09/26(Tue) 23:42:44

【秘】 ユスティ → エウロパ



       自分が取り残されるなんて考えてすらない。
       今日こそ、そう伝えると決めていたのに。
(-64) 西 2023/09/26(Tue) 23:43:48

【秘】 ユスティ → エウロパ



     本来喜ぶべき成長を
     あるなんて思いもよらない招待状絶望

         ユスティは目の当たりにしてしまう。


(-65) 西 2023/09/26(Tue) 23:45:36

【秘】 ユスティ → エウロパ



      ────────っ



(-66) 西 2023/09/26(Tue) 23:46:35

【秘】 ユスティ → エウロパ



   動悸が止まらない。
   ユスティは堪らず胸をうずくまった。
   脳が煮えたぎり、黒い血が駆け巡る。

   エウロパが受け取った手紙は有能の証。
   つまりエウロパの力は自分よりもずっと上で
   魔法を使えないというのは嘘だったということ。

   そこに当人の自覚があろうとなかろうと
   彼女の力は本物で、自分には無いものだと
   もはや疑いようのない事実。



(-67) 西 2023/09/26(Tue) 23:47:25

【秘】 ユスティ → エウロパ



   この数年、自分も成長したと思っていた。
   いままで出来なかったはずの魔法が使えて

   いままであやふやだった魔法も
   エウロパといる時だけは強力な形となって
   大人にも引けを取らない仕上がりになった。

   好きな女の子前で努力したらいつもより頑張れたと
   己の都合のいい解釈をしただけで

   その実態は自分よりずっとずっと優れた少女の力を
   ただ借りていた、己は狐でしかなかったのだ。


(-68) 西 2023/09/26(Tue) 23:48:43

【秘】 ユスティ → エウロパ



   幸せな
スターチス思い出
が枯れてゆく。

         満ち足りた盆の底に大きな穴が空く。



(-69) 西 2023/09/26(Tue) 23:49:44

【秘】 ユスティ → エウロパ



      世界が黒に墜ちていく。



(-70) 西 2023/09/26(Tue) 23:50:20

【秘】 ユスティ → エウロパ



   「よかったね。

       その調子で、これからも頑張るといいよ。」



(-71) 西 2023/09/26(Tue) 23:51:02

【秘】 ユスティ → エウロパ



     膨大な嫉妬心が、心を変える。


(-72) 西 2023/09/26(Tue) 23:51:51

【秘】 ユスティ → エウロパ



   もし彼女がなにか尋ねようとも
   立ち上がるユスティが何かを答えることはなく。


   その日を最後に
   ユスティがその場所を訪れることはなくなる。


   エウロパに声をかけることも
   エウロパと行動を共にすることも


          全てを拒絶するように
          秀才は天才の前から姿を消した。**



(-73) 西 2023/09/26(Tue) 23:54:43

【人】 エウロパ




   
「厳しいなぁ…その通りなんだけどね。」>>76



  
(85) alice0327 2023/09/27(Wed) 5:55:33

【人】 エウロパ



   努力してない?そうだね。

   私は足りないものを身に着けるための努力を
   怠っていると思う。


   
努力する気になれるはずがないでしょ?


  
(86) alice0327 2023/09/27(Wed) 5:56:28

【人】 エウロパ



   私一人が駆け上がっていったところで
   何の意味もないの。


   
ユスティと一緒に居たいから。

   私がここに入学した理由なんてそれだけなのに
   高名な魔法使いになりたいからじゃないのに。


   努力すればするほど、君から遠ざかってしまう。
   自分のもつ力を過小評価も過大評価もしない。


   
わかるよ、理屈ではなく感覚でわかる。


   
(87) alice0327 2023/09/27(Wed) 5:57:18

【人】 エウロパ



   
   
努力できないんじゃない。


   
その先に待つ未来が怖いからしない。



   
(88) alice0327 2023/09/27(Wed) 5:57:57

【人】 エウロパ




   大きな失敗をしてこの魔力を失ってしまえば
   楽なんじゃないかって思うくらいに―――。



  
(89) alice0327 2023/09/27(Wed) 6:00:06

【人】 エウロパ



   心は全てに影響する。
   魔法においても例外じゃない。 
 

   
(90) alice0327 2023/09/27(Wed) 6:00:25

【人】 エウロパ



   君の言葉から、声から
   微かに滲む怒りを感じ取ると
   目を見開いて、言葉に詰まる。

   天才じゃない、はきっと怒らせてしまう。
   天才であることに抗いたいとか
   天才が秀才を理解したいとかそんな話じゃないのに。


   
どうして、わかってもらえないんだろう。


   理解から遠い憧れの気持ちが
   ユスティの目を曇らせているとも知らない私は
   咄嗟になにかを言うことも出来ない。

  
(91) alice0327 2023/09/27(Wed) 6:01:38

【人】 エウロパ



   何も言えないままによろけてしまった私を
   君は支えてくれた。
   言葉は冷たく感じられたって
   優しい君のままなんだ。

   ……そう思っちゃ、ダメなのかな。

   ため息をつかれてごめんね、ってもう一度つぶやく。

  
(92) alice0327 2023/09/27(Wed) 6:02:26