人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

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【秘】 エウロパ → ユスティ




   
「どう、して…………?」



   どうやって来たんだろう。
   どうして、ここに来たんだろう。


 
(-38) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:42:21

【秘】 エウロパ → ユスティ



   浮かぶ疑問をすべて言葉にすることは出来ず
   掠れたような声しか出ない。

   体に力が入らない。
   魔力が失われ続けているせいで
   起き上がることさえできず、君の方を見る。


   ごめんね、って謝らなきゃ。
   言いたいことはいっぱいあるのに。


  
(-39) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:43:21

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   意識を保つことがやっとの状況では
   君の励ましの言葉も、何をしてくれているかも
   あまり、理解は出来ていなくて。
  

   責任って言葉の意味を理解する前には
   もう、私はユスティに抱きしめられてた。
   そして―――――。


 
(-40) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:43:55

【秘】 エウロパ → ユスティ

   

   
口元に感じる柔らかな感触。

   微かに目を見開いて、すぐに閉じる。
   

   身体に魔力が流れ込んでくる。
   どうして、ここまでしてくれるの?

               わからない、けど。
 

  
(-41) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:44:57

【秘】 エウロパ → ユスティ




      
「………大好き」



  
(-42) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:45:32

【秘】 エウロパ → ユスティ



   君の腕の中で、淡く微笑んで
   ずっとずっと伝えたかったことを言うと。

   満足したみたいに、私は意識を失った。*


  
(-43) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:46:07

【墓】 エウロパ


***

   過去にも似たことがあったらしい。
   森の周りだけ気象が変わる魔力暴走。

   過去と違うのは天候の荒れ方。
   以前と比じゃないほどに天は荒れ狂い
   誰かが近づくことさえ危険な状況。

   魔力が枯渇すれば止まる。
   今この状況で近づけば犠牲が増えるかもしれない。

   少女一人の命と大勢の命を天秤にかければ>>+38
   先生達の判断は、間違いと糾弾出来るものでもない。

  
(+49) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:46:56

【墓】 エウロパ



   
―――――でも、やれることさえしないのは罪だ。


   シトゥラは窓の外からでも見える 
   魔力暴走に目をやり、友人の無事を祈りながら
   魔法薬調合の作業を止めることはない。

  
(+50) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:47:39

【墓】 エウロパ



   エウロパの素直な性格が好ましいと思っていた。
   彼女の言葉には何の含みもない。
   この学園に来て最初に仲良くなった人。
   一緒に居て居心地のいい友人なのだ。
   本当は今すぐにでも助けに行きたい。

   
でも、今あの場に行けるほどの能力が自分にない。

   それが分かっているから、行かない。
   
誰よりも彼女を想う秀才ならきっと大丈夫。>>+41


  
(+51) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:48:50

【墓】 エウロパ



   そう信じて、手元で調合するのは回復薬。
   あれほどの魔力暴走を起こしたのなら
   きっとエウロパの魔力は枯渇寸前。
   魔力の回復を早める薬を作らなければ。

   学校の医務室に常備されているものでは
   彼女に使うには効き目が足りない。 
   あれは、一般の生徒に使う事を
   想定した物だと知っている。

   彼女ほどの魔力の持ち主なら
   効果を10倍して足りるかどうか。


   
(+52) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:49:32

【墓】 エウロパ



   効き目が弱すぎても強すぎてもいけない。
   難しい調整を終え、魔法薬を作り終えた
   シトゥラは、出来上がったものを瓶に詰める。
   同時に作っていた怪我の治癒薬も持つと
   向かうのは医務室。

   絶対に彼は私の友人を連れて帰ってくる。
   だから、先回りして待つだけ。

  
(+53) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:50:19

【墓】 エウロパ



   彼が来た時、
   シトゥラは一言添えて、薬を渡す。


   
「君ならお姫様の元へ行けると思ってたよ。」
**

   
(+54) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:51:13

【秘】 ユスティ → エウロパ



   想いは力に変わる。

   歴史に学んだことは間違いではなかった
   決して成功しなかった魔法が成功したのは
   彼女を守ろうという想いが強かったのだから。

   とは言ってもユスティが劇的な進化を遂げるわけでも
   急に魔力を得られるわけでもなく、
   代償としてやってくる枯渇による疲労は著しい。



(-44) 西 2023/10/06(Fri) 21:24:15

【秘】 ユスティ → エウロパ



   死んでも構わないと思っていたわけではない。
   しかし命を懸ける気だったのも本当のこと。

   膨大な器に注ぐにはあまりにも微力すぎる魔力も
   注ぐ側にとっては命懸けで
   ここからは生半可な覚悟では立ち入れない世界だ。



(-45) 西 2023/10/06(Fri) 21:24:49

【秘】 ユスティ → エウロパ



   力を振り絞って放たれた想いは
   勝手に命をかけた相手に送るには

            あまりに贅沢な………


(-46) 西 2023/10/06(Fri) 21:25:22

【秘】 ユスティ → エウロパ



   「続きは、また今度聞かせてほしい。」



(-47) 西 2023/10/06(Fri) 21:26:02

【秘】 ユスティ → エウロパ



   ユスティがエウロパを抱き上げる。
   エウロパの心を表すかのように
   さっきまでの異常な嵐が収まっていた。

   これならなんとか歩いて抜けられるだろう。
   今となってはもう先生達の助けなど
   あてにしたところで仕方がない。

   頼れるのは己の足だけ。
   姫を守れるのは自分だけしかいない。


(-48) 西 2023/10/06(Fri) 21:27:31

【秘】 ユスティ → エウロパ




   歳星の姫を腕に抱き

        秀才ガリレオは嵐の向こう側へ**


(-49) 西 2023/10/06(Fri) 21:28:08

【墓】 ユスティ



***

   しかしエウロパは独りではない。
   彼女を助けようとする人は必ずいる。

   狼狽える先生や生徒など
   初めから眼中にはない。


   そして意外にもその人は天才というよりは秀才で
   薬学においてはユスティを超えていると言っていい。

   彼女の素直な性格に惹き込まれたその一人は
   まるで待っていたかのように
   ユスティが向かったその先、医務室にいた。


(+55) 西 2023/10/06(Fri) 21:29:46

【墓】 ユスティ



   「からかうなよ。

      ボクは王子様でもなんでもない。」


(+56) 西 2023/10/06(Fri) 21:30:00

【墓】 ユスティ



   シトゥラに困ったような笑みで答えると
   エウロパを医務室のベッドに寝かせる。

   彼女の置かれている状況は
   わざわざ言わずともシトゥラなら分かるはずだ。


    「今回の暴走はだいぶ酷いね。
     一体何が原因なのか…わからないな。」


   ここまで事態が悪化することも珍しい。
   まさか自分が大きく起因しているなどと
   その程度を計り知るには至らず

   薬を受け取りながら表情を曇らせた。



(+57) 西 2023/10/06(Fri) 21:31:26

【墓】 ユスティ



   「ボクは………

       彼女の傍にいるには力不足なんだと思う。」


(+58) 西 2023/10/06(Fri) 21:32:35

【墓】 ユスティ



   受け取った薬をエウロパに与えると
   シトゥラの方へと向き直る。


    「エウロパからも聞いたことがあるかな。
     昔、ボクが彼女の前から消えたって話。」


   天才エウロパには話せない。
   かつて犯した過ちと、決して語らなかった心の奥。


(+59) 西 2023/10/06(Fri) 21:35:26

【墓】 ユスティ



   「ボクは彼女の才能に嫉妬したんだ。

    自分が一番だって信じて疑わなくて
    彼女の成功を喜んであげられなかった。」


(+60) 西 2023/10/06(Fri) 21:36:43

【墓】 ユスティ




           その結果が、あの日の氷雪。

(+61) 西 2023/10/06(Fri) 21:37:23

【墓】 ユスティ



    「好きな女の子泣かせておいて

        王子様ガリレオなんて名乗れないでしょ。」



(+62) 西 2023/10/06(Fri) 21:38:36

【墓】 ユスティ



    ユスティはふらふらと歩き出す。
    責任を取ると言った以上、
    エウロパから逃げることはない。

    しかし今この手を、
    魔力が枯渇し、ひび割れた手を
    エウロパに見せるわけにはいかない。


(+63) 西 2023/10/06(Fri) 21:38:57

【墓】 ユスティ



    「少し屋上で治療してくるよ。
     ここでキミの治療を受けてしまったら

        エウロパに気づかれて
        彼女はきっと自分を責めてしまうから。」


(+64) 西 2023/10/06(Fri) 21:40:05

【墓】 ユスティ



   シトゥラに断りを入れたのなら

      ユスティは医務室を抜け出そうとするだろう。*


(+65) 西 2023/10/06(Fri) 21:40:23

【秘】 エウロパ → ユスティ

   

   ぼろぼろの身体に注がれる魔力は
   決して多くはない。
   でも、それを補って余りある想いは
   この状況を変えるには十分すぎるほどで。


  
(-50) alice0327 2023/10/07(Sat) 1:25:56