[いつだって一緒にいる。
真由美の大好きな笑顔も、泣き顔もたくさん知ってるから。]


　　まだ……その言葉は早い、な。


[意地悪をする様に笑った。
これからだって、もっともっと良かったって思わせるから、今よりもずっと。だから、その言葉は最後でいいから。]


　　これからも愛してくれるか？*
　

［そう言えばここ大学の正門だった。
　──まあ、女子大とは言え男女交際に煩い学校ではないから、
　それは良いんだけど。いや、そうじゃない。

　衆目を集めただけなら、まだいい。
　でも！でも！！どうして！！
　そこで帽子を落としてしまったの！！！！］

［麗央くんが待たせていたタクシーまで
　阿鼻叫喚のパニックの中を縫って逃げる。

　いや、アクション映画じゃないんだから。
　──今なら女優にでもなれそうな気がしたわ。無理か。

　タクシーに飛び乗って、逃げる。］

　　………か、帰るに帰れないよっ！
　　こ、これ、SNSとか、やばいやつじゃないの……？？

［三上麗央のプロポーズは瞬く間に広がるだろう。
　女子の情報ネットワークを舐めてはいけない。
　真偽の程が定かにはならないだろうということは、
　幸なのか、不幸なのか。］

［SNSを伝わり広まった情報は妹の手を通じて両親にも渡るだろう。
　長女から突如送られてきた「ごめん、今日帰れない」という
　メッセージの正体に気付くのは、いつ頃か。

　どちらにせよ帰れないのだから、と
　ある程度で連絡を放棄して、
　ついでにSNSも全部放り出して

　彼氏改め婚約者となった人の腕の中で、幸せなひとときを、ね］*

［いつの間にか人の流れが変わり。
打ちあがる花火に音。］


　　だから。
　　これからは、俺だけにしといてよ。


［ボサボサにされた頭のまま。
掴んだ彼女の手をも一度繋ぎ直して、そっぽ向いた。
これじゃ食べれないけど。かき氷は溶けたら飲んじゃえばいいか。*］

　
　　　智詞さ…………あ、あああっ！？
　
　
［壁を背に、身長差から肩膝を曲げて彼の腰に絡めて
　位置を合わせた、と思った瞬間に突き上げられる。
　ずぷん！と勢いよく貫かれて唇がはくはく、と
　呼吸を求めて戦慄いたけれど
　やがて真一文字に閉じて引きむすんで、
　彼の肩口に頭を擦り付けていた。
　強く抱きしめられるのが嬉しくて、
　激しく求められたのが嬉しくて。
　紡がれる言葉にこくりと頷いた。］
　
　
　　　……わたし、も。
　　　智詞さんのこと、……好きだから。

　　　もっと、知っていきたいの。
　
　
［この芽が出たばかりの愛をゆっくりゆっくりと育てて
　大切にしたなら大樹になって
　花が咲き、実が実り、幸せになれるかしら？
　私もっと貴方のことを愛したいの。
　そんな想いがあふれて溢れてまた唇を重ねて。］
　

　
　　　…これから、続けていきたい。
　　　わたしと智詞さんの、物語。
　
　
［あなたと詠う愛の唄。］
　

　
［あなたの色にわたしを染めて。
　わたしの色にあなたを染めて。
　お互いを知っていきましょう。
　愛を深めていきましょう。
　この出会いが素晴らしいものだったと
　今の想いが永遠になるものだと
　私たちで証明していきたいの。


　…でもね。
　たっぷり愛されたあと、
　私はちょっとだけいたずら心。］
　
　
　　　……内側から染めてくれて、良かったのに？
　
　
［クスクス笑いながら。　
　この旅の最後の夜を刻んでいく。
　明日別れるときはきっと名残惜しい。
　何度も何度もあなたと愛を確かめ合って、
　そして…………。］