人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

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【秘】 エウロパ → ユスティ



   
問いかけに返事は返ってこない。

   
   思い返せば、ユスティが推薦を手にしたと
   一言も聞いてないのに、手にしたのだとばかり
   あの時は信じ込んでいた。

   それが、どれほど残酷なことだったのか
   私には想像することしかできない。
   痛みを真に知っているのはユスティだけ。


  
(-104) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:49:31

【秘】 エウロパ → ユスティ



   次の日、いつもの場所に行っても
   大好きな人の姿はなく。


   
嫌われてしまったんだ、と思った。


   手に握られたスターチス。
   君に渡したいと思ったのに
   君が選んだのは拒絶だったから。


          
渡すことも出来ないまま。


  
(-105) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:50:42

【秘】 エウロパ → ユスティ




   
―――――また、ひとりぼっちだ。



  
(-106) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:51:20

【秘】 エウロパ → ユスティ



   うずくまって泣きじゃくる少女の心に
   反応するかのように周りの温度が下がっていく。
   天まで悲しみに共鳴するかのように
   雨が降り注いで、服が濡れる。

   いつしか心地よい川のせせらぎは聞こえなくなり
   冬でもないのに流れる水はすっかり凍り付き
   降っていた雨は雪へと変わる。

   涙さえ凍り付き、寒さに少女が倒れてしまっても
   魔力が尽きるまで季節外れの雪は降り続ける。


  
(-107) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:51:56

【秘】 エウロパ → ユスティ



   異常な魔力を感知した誰かが
   少女を見つけたときには、
   雪こそ降りやんでいたものの
   あたりは真冬のように寒いまま。
   
少女は寒さで死ぬ寸前だった。


        手に握られたままのスターチスは
        寒さにしおれ、凍り付いてしまっていた。


  
(-108) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:52:39

【秘】 エウロパ → ユスティ



   辛うじて助かった少女は
   どうしてあんな場所にいたのか、
   どうしてあんな魔法を使ったのか
   聞かれても答えることが出来ない。



    
「…………おぼえて、ない。」



   
大切な人に、何を言われたんだっけ。

   
なんとなく、悲しかった気がする。

   記憶を塗りつぶして心を守ろうとした結果。
   原因不明の魔力暴走だけが、残ってしまった。


  
(-109) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:53:23

【秘】 エウロパ → ユスティ



   魔法が成功した、って伝えたかっただけなのに
   その成功体験は、大切な人を傷つけてしまった。


   初めての成功が大失敗に変わったから、
   魔力制御が上手くいかない。

 
   成功が失敗に変わることを
   無意識にずっと恐れている。


   成功すればするほど好きな人から遠ざかるなら
   成功なんて要らない、その気持ちが。


  
(-110) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:54:27

【秘】 エウロパ → ユスティ



   私の身を危険にさらし続けているのだと。
   私自身が知ることはできない。

          拒絶されたあの日の記憶を
          塗りつぶしてしまったから。**


  
(-111) alice0327 2023/09/27(Wed) 12:55:37

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   自分自身が危険なだけなら
   魔力制御なんて簡単に覚えないだろうけれど
   君にまで危険が及ぶのだと、
   そこまで考えを回すことが出来たなら
   話は違ってくるのに。

   君がそこで躊躇わないから。
   当たり前のように危険を冒すから
   大丈夫なのだと思ってしまう。


  
(-113) alice0327 2023/09/27(Wed) 16:53:48

【秘】 エウロパ → ユスティ



   だから、君の行動に甘えてしまうんだ。

   こんな時じゃなくても触れていたいのに
   こんな時じゃなければ触れられない。
   
   求めるように抱きついても
   気づかないふりをされてしまうのが寂しい。
   ただの応急処置、でしかないのかな?
 
         君の心はやっぱり分からないまま。


  
(-114) alice0327 2023/09/27(Wed) 16:55:11

【秘】 エウロパ → ユスティ



   私の心は今も変わらない。
   君は大切な人なの。


   君にとっての私も同じであってほしい、
   それがわがままだとしても。

   私の気持ちすら否定されてしまうのは……。
   返ってこない言葉が否定に感じられて。


   
(-115) alice0327 2023/09/27(Wed) 16:55:46

【秘】 エウロパ → ユスティ

 

   「…………それがわかってないから
    倒れそうになる人だっているのに

    どうして自分を下げるようなことを言うの?
    君だから、分かるんじゃないのかな。」

  
(-116) alice0327 2023/09/27(Wed) 16:56:06

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「自分が分かることが当たり前の事だと
    そう思うのは違うと思うんだけどな。」


  
(-117) alice0327 2023/09/27(Wed) 16:56:24

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「……アドバイス、ありがとう。
    言いたいことは分かるよ。」


   でも、解決方法が分からない。
   特に、魔力を練って洗練させる方法が。


   ……その方法はきっと自分で考えないといけない。
   だから、口を噤んでお礼を言うにとどめて。

  
(-118) alice0327 2023/09/27(Wed) 16:56:48

【人】 ユスティ



     「キミ……水のある衛星は
          全部水星の群だと思ってない?」


(128) 西 2023/09/27(Wed) 20:25:22

【人】 ユスティ



   ユスティが言葉を失ったのは想像に難くない。
   自分のルーツくらい知っておこうとは思わないのか
   ありのまま我が道を生きる天才の感性は
   自らの常識ではやはり語れない。

   天才とは極端に興味の矛先が偏るものだと
   誰かが言っていたのだが
   エウロパにもその片鱗が見えた瞬間だった。


   思わず眉間を指で押えながら
   魔法でエウロパの持つ参考書のページを捲る。

   ページは木星群にある衛星の内容が書かれた
   場所でぴたりと止まりユスティは解説を挟む。


(129) 西 2023/09/27(Wed) 20:25:48

【人】 ユスティ



   「エウロパという衛星は表面が氷になっていて
    その奥にはたくさんの水があるとされるけど

    最近では生命が生き残れるだけの
    環境があるとも言われているんだ。

    遠い将来エウロパに人が移住する
    そんなことも有り得るかもしれないね。」


(130) 西 2023/09/27(Wed) 20:26:44

【人】 ユスティ



   試験と関係あるかも分からない
   雑学のようなものだが
   興味を引けて本人が自分で調べる気になればいい。

   後はエウロパのやる気次第だ。



   それはそれとして
   優しさにも代償があることを
   彼女は一度知るべきではないだろうか。>>121>>122



   いや、知ってるからこそのお礼なのか
   聞いてみたい反面あまり深堀もしたくない。


(131) 西 2023/09/27(Wed) 20:27:29

【人】 ユスティ



     ただ、それも許してはくれなさそうだ。



(132) 西 2023/09/27(Wed) 20:28:23

【人】 ユスティ



   「そもそも、人に頼らずして
    成し遂げるからこその成功でしょ。

    日頃やろうとしていることなのに
    キミに手伝われてたら意味が無いんだよ。」



(133) 西 2023/09/27(Wed) 20:29:24

【人】 ユスティ



   何もおかしなことは言っていないはず。
   だがそれで彼女を納得させられた、
   というわけでもなさそうだ。

   むしろ行くなと前に立ち塞がれるように
   物理的な逃げ場まで塞がれてしまう。


(134) 西 2023/09/27(Wed) 20:30:44

【人】 ユスティ




       「いや、そういうわけじゃ………………」


(135) 西 2023/09/27(Wed) 20:31:19

【人】 ユスティ




     それは助け舟と呼ぶには小さいけれど。
               ユスティは迷わず乗る。

(136) 西 2023/09/27(Wed) 20:32:37

【人】 ユスティ



   「相変わらず燃費が悪いね。
      何か食べていったらいいんじゃない?」


   そこは魔力との関係も否定できないから
   だらしないなどと言う気もなく。

   ため息をつくエウロパは流石に不憫で
   ついつい買い食いの提案をしてしまう。

   後は自分だけそそくさと帰ろうと思うのだが
   それを果たしてエウロパが許してくれるかどうか。*



(137) 西 2023/09/27(Wed) 20:34:28

【秘】 エウロパ → ユスティ


***


   私が学園トカリスに入学してすぐの頃。
   まだルームメイトとも仲良くなってなくて
   頼れる友達が一人もいなかった頃の話。

   その日はグラスに水を満たす授業があって。
   上手くできなかった私は放課後に
   空き教室でグラスのふちを叩いては
   水を出そうとしていた。 

  
(-119) alice0327 2023/09/28(Thu) 23:15:15

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「みんなどうやってるのーーーー。」


   授業では水を出そうとするたびに
   グラスが粉々に割れてしまって上手くいかなかった。
   出来なかった人は自分で練習するように、と
   言われたから、ため息をつきながら練習していた。
   ……でも、一向に上手くいかない。

  
(-120) alice0327 2023/09/28(Thu) 23:15:37

【秘】 エウロパ → ユスティ



   W魔法のコツは想像力なんだ。W

   幼い頃に聞いた言葉を思い出して
   杖に意識を向けながら水を思い浮かべる。

   ユスティと一緒に練習していた時は
   川のせせらぎが聞こえて来たっけ。


   
……なんて、考えてしまったせいなのか。


  
(-121) alice0327 2023/09/28(Thu) 23:16:05

【秘】 エウロパ → ユスティ



   いつの間にかグラスから特区に溢れた水は
   机を濡らし、足元まで水がしたたり落ちる。


   「え、出来てる……??
    
でもこれどうやって止めるんだっけ?!


 
   止めないと、そう思っても
   焦ってるからなのか、止まらなくて。
   むしろ水の勢いはどんどん増していく。

 
(-122) alice0327 2023/09/28(Thu) 23:16:54

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   服どころか教室の床まで水浸しにして
   それでも私は魔法を止めることが出来ず。


   
「だれかー!!これとめてーー!」



   もう誰でもいいから止めて欲しい。
   そんな気持ちで叫んでた時かな。

           君が来てくれたのは。*

  
(-123) alice0327 2023/09/28(Thu) 23:17:32

【人】 ユスティ



   「バ………。ゴホン。素直すぎるのも考えものだね。」

(152) 西 2023/09/29(Fri) 23:34:55