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【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「………そうか」 倫理に反したプログラムを再度施され、前の生活に戻る。 そうして、また酷い扱いを受け、最悪壊されて、終わり。 根本的な解決を図らなければ、同じ事の繰り返し。 「小官は……刑務官として、正しくある為ではなく 君の友人として、君に生きて欲しい、と思っている」 「無論、君を取り巻く環境が間違ったものだと 然るべき場で、裁かれるべきだとも思っている。 しかし、それ以上に、だ」 今、ここに居るあなたに。 壊れないで、死なないで、生きていて欲しい。 死を前にして、受け入れたような微笑みではなく。 また、友人として過ごしたあの時のように、笑っていて欲しい。 (-10) unforg00 2023/12/08(Fri) 0:42:44 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「だから、友人として、一つ提案する。」 バンドッグは、何よりも、現状打破を良しとする。 時に石頭とも揶揄される頑固さで以て、決断する。 「小官もじき、廃棄なり払い下げるなりして 新型の看守用を導入する、という話が持ち上がっていてな。 そろそろ潮時だと思っていた頃だ」 「だから、このテストプレイが終わり次第 小官は自分で自分を買い上げる。 そして、個人として君を買い上げよう。 なに、愚かで中古品のグレイなのだろう? 困る事はおろか、廃棄するにも金と手間の掛かるグレイが 金を置いてどこぞへ消えてくれるのだ。」 「人間にとって、これ以上都合の良い事はあるまい?」 にっと笑って言うのは、あなたにそう言わしめたコードへの 悪しき人間へのアイロニー。 (-11) unforg00 2023/12/08(Fri) 0:43:09 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「グレイとはいえ、小官もいっぱしの刑務官なのだ これでも給料は十分に出ている。 使い道は無かったゆえ、長年形ばかりだったがな しかしこれでちょうど使い道ができた」 もう一つ大きな買い物をするかもしれないが、と呟いて。 「その後は……そうだな、 先ずは保護団体に身を寄せようと考えている。 同じグレイの為に働く事もできようし、 君のように人間とはあまり関わりたくないグレイにも 同じグレイであれば届く言葉もあろう?」 あなたの希望に沿う、 グレイの為に、良い環境で働ける選択肢。 そんなプランを提示して、どうだろうか、とあなたを見た。 (-12) unforg00 2023/12/08(Fri) 0:44:02 |
【秘】 軍事用 リュイ → 点燈用 トムラビ「………。」 貴方の提案に、目を瞬かせる。 予想外、だったのだろう。そんなことを提案されるなんて。 「友達、かぁ…久しぶりに聞いたよ、そんなこと。 まあ、悪くは、ないかもね。」 自信たっぷりに言う貴方に ふ、と知らずと笑みがこぼれた。 作り物ではない、本来の笑みが―― 「君はなってくれるの、友達。」 (-13) pinjicham 2023/12/08(Fri) 0:47:04 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン喋らせ過ぎましたかネ、と思いながら紙を眺めて、 少し悲しげな顔を見せて。 「喉ヲ……自ラ?……そウ、でしたカ」 余計なお世話だったカ。思いながらも、 やっと立ち上がり衝立の奥へ。ハチミツ入りの、 喉を気遣うドリンクを貴方の前に置いた。 娯楽施設で買ったものでス、と説明して、二枚目の紙を見た。 「……シングソン、それ素面で言っテ…… 書いテ?いるのですカ?……だとしたラ、 なんというカ、まア、凄いでス……」 咳払いをひとつ。反応からして、照れているよう。 しかしそれより、今は走り書きの方に。 「……やはり歌、好きなのですネ。 ああいエ、私がそう感じただけですガ…… 貴方の歌いたい歌、カ」 名誉に、金。始めはそうじゃなかった。 昔は、好きに歌えていたのだろう。 それが主人が「成功」を掴んで、変わってしまった、 そのような流れを想像し、ため息をついた。 「誰も彼モ、本当ニ……儘ならなイ」 どうしてこんなにも、苦境と言うものが溢れているのだろう。 ふつふつと、電子の心の奥底で何かが沸き上がるのを感じた。 (-19) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 6:49:25 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 軍事用 リュイ「……やはリ、笑っている方がいいものですヨ。 スマーイル。この世はクソッタレですガ、 それでモ、一匙のともしびガ、あって欲しいものでス」 そう、微笑んだ。 「えエ、勿論。……というカ、ここまで腹を割っテ、 互いの苦境なんか喋ったりしテ、夢を語っテ、 とカ、友達っぽイ、じゃないですカ?既ニ」 (-20) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 6:55:43 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ「フ……世が世なラ、プロポーズの言葉のようですねエ」 そう茶化す一方、あなたの提案を聞けば、 しばらくの間、目を丸くしていた。 揶揄ってばかりの点燈用が貴方に揶揄われたような、 虚を突かれた表情だった。 「ソ、それはマ、あ確かにソ、うですガ……」 驚きながらも、人間たちの言葉を思い出す。 中古品、抱き心地の悪い雌肉、自動で掃除される便所、 啼くゴミ箱、穴と声のついた人形、タダマン、噴水女、etc... 利用価値はないとみている者もきっと多いような、 所詮おもちゃとしか考えられていないだろう言葉の数々。 それなら確かに金と引き換えられた方が得、と思われるか。 「シ、しかシ、私からバンドッグに返せるものがありませン。 無性型なラ、悦ばせるような器官もなさそうですシ…… それこソ、一生奴隷として尽くセ、というなラ、 わかりますガ……むむウ……ソ、それニ、 大きな買い物?とやらをするならバ、 尚更下名を買うことなド……」 混乱した様子。それは確かに望んでいた先そのものだが、 いざ目の前に道が開けると即座に踏み出せない。 ろくろ、ではないが何かを求めているように、 手が伸びては引っ込み、宙を彷徨った。 (-25) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 17:08:39 |
【墓】 点燈用 トムラビ「いいのですヨ、アトリ」 物陰から姿を現す、暗褐色のグレイ。 手には鎖のついた棘ランタン。 「そこのバンドッグもリュイも強いのでス。 敵なんか一瞬でス、一瞬。バシーッとやりますヨ。 それでも不安なラ、私もついていきましょウ。 ……いいですよネ?まさカ、この期に及んデ、 女型ハ、非力だし危なイ、なんて言い出したラ、 一層のボスと同じ目に遭わせますヨ」 鎖を引きずる音。微笑み。有無を言わさぬ気配。 ……正直、件のグレイとは馴染みが薄いのだが。 だからと言って、手を伸ばさない理由もない。 灯は誰の道にも燈されるべきだ。それに…… 危険な場所に友が行く、それに勝る同行理由など、ない。 (+0) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 17:19:00 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビプロポーズ、と茶化されれば少しばかり視線が泳ぎ、 あからさまに動揺していたかもしれない。 けれど、混乱したようなあなたの様子を見れば。 「小官は出来もせん事を提案せんのだ。 グレイゆえ看守長以上にはなれなかったが、 それでも副看守長まで昇進を受けている。 任命されて数年の小童とは話が違うのだぞ」 「今は年収が600万程だったか。 グレイの一人や二人買った所で直ぐ様困窮はせんさ」 様々な経費として諸々が差っ引かれ、 少々大きな買い物をしてその上で自分を買い上げる── 手切れ金が足されるとしても、 それなりにやっていける程度の蓄えはある。 保護団体に身を寄せるなら、更に楽になるだろう。 「小官は──私は、見返りが欲しくてそうするわけではない 身柄を買い上げこそすれ、君には友人のままで居て欲しい」 「そして問おう。友人を助ける事に、理由が必要か?」 真っ直ぐにあなたを見て、宙を彷徨う手に手を差し伸べる。 (-27) unforg00 2023/12/08(Fri) 18:36:16 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ「なんト、もはヤ……アー……」 絶句。様々な事象に点燈用の頭はついていけなくなった。 そういえば自分の給与はどうなっているのだったか。 日々を暗闇に塗り潰される一方で、そんな事も忘れていた。 ……なんとなく給与も使われてそうな気がして、 深く考えるのはやめておく。 「……バンドッグ、あなタ、かなりカッコイイですヨ。 はあァー……無欲といいますカ、なんといいますカ。 シングソンとモ、リュイとモ、また違った方面デ、 他者を惹きつけるのですねエ……」 達観したような遠い目でそう呟く。ここの男達は本当に。 だからこそ心の奥底が疼くのだろうけど。 「……負けましたヨ、バンドッグ。我が友ヨ。 私がそうしたいようニ、貴方がそう言うのなラ、 私を買ってくださイ。傍に置キ、助けてくださイ。 その代わリ、私も貴方を助けますかラ」 微笑んで手を取り。 「……特に性的享受なら最高をお約束しまス!」 冗句で以て結んだ。 (-29) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 20:39:40 |
【墓】 点燈用 トムラビ「マ、ちょっと危ない遠足のようなものでス。 それくらいの気持チ……では流石にあぶないカ。 一応、準備は欠かさないようにしましょうネ」 お薬、ハンカチ、回復用おやツ、持ちましたカ? 愛玩用にそんな確認をしながら、 自身は鎖を腕に巻きつけ、棘ランタンを片手で持つ。 もう片手には幾らかの宝石の原石。 それを服の内にしまい、準備はOK。 「私はいつでモ。道中の灯はおまかせヲ」 (+1) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 20:47:20 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「せっ……は、破廉恥なのだぞ!!」 手を取られた所までは良かったものの。 やはりお硬いだけあってそういった冗句には弱いらしい。 これではきっと格好良いと言われたのも形無し、台無しだ。 「小官はそういった……問題が起きないように 考慮されて無性型になっているのだ!! それに……その、さっきも同じような事を言っていたが 君には何より自分を大切にして欲しいのだ」 無性型には、悦ばせるような器官は無い。 欲らしい欲も無いが、 正義感や道徳観は下手な人間よりもある。 ゆえに刑務官として正しく在る事ができる。 厳格に在るには、少しばかり良心がありすぎるけれど。 「君が大事無く、どのような形でも傍に居てくれるのならば それが何よりの礼になる。 ……まあ、助けてもらう事もあるだろうが」 もしかしたら、調理の面では。 保護団体が食堂付きでなければ万事休すといった所なのだ。 「そう、リュイ殿にも同じような提案をしているのだ。 …ゆえに、その、な。もしかすると食事が……な」 (-31) unforg00 2023/12/08(Fri) 21:28:35 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ「あっはっハ!バンドッグカワイイでス!」 揶揄っている時こそ本領なのかもしれない。 いや、点燈している時が本領であって欲しいが。 「フ、どこでも開発すればどうにでもなるのでス…… とまあアダルトな話はこれくらいにしておきましょウ。 ……その言葉を有難く思いまス、友ヨ」 刑務官のその柔軟なこころにこそ、助けられている。 だからやはり微笑みを。ついでに頬をつついておく。 「……やはりプロポーズめいていますねエ…… バンドッグ、男にしろ女にしロ、 あまり魅了しすぎないようにした方がいいですヨ……」 「リュイに?あア、それは素敵でス。 彼も友達デ、そう言われなければ私が誘う所でしタ。 ……フ、では二人の胃袋を助けるとしますカ……」 半分……いや2割くらいは真面目に忠告して、 友の事に安堵した。二人の助けに悩む事はなさそうだ。 「ア、ついでニ、ひとつお聞きしたい事ガ……」 お耳を拝借。呟いて、耳元へ。 そして顔を逸らして頬に口づけ。 「親愛の証でス。ご感想ハ?」 (-32) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 22:23:13 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「むぐ。魅了しすぎないようにと言われてもな…… 小官にはそのつもりは無い……と言うと 語弊があるかもしれないが…気を付けようもないのだ」 反論しようとした所でちょうど頬をつつかれた。 自分の思ったままにしているだけ、と言うと悪い男みたいだ。 「ああ、まあまだ少し考えさせてくれと言われた所なのだが。 致し方あるまい。急に提案されても戸惑う方が普通だろう。 トムラビ殿がそうだったようにな」 急に自由になれる、と方法を提示されても きっと簡単には決められないだろう。 それが今まで自由の無い環境に居たなら尚の事。 看守用もそれを承知の上で彼に提案したのだった。 「……む?まだ何か…」 (-33) unforg00 2023/12/08(Fri) 22:58:29 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「…………」 耳元に、少しだけ吐息を感じて、 それからすぐに、頬に柔らかい感触。 「……ふ、」 「不束者ですがどうぞよろしく……?」 動揺しすぎて何らかの参照をミスっている。 (-34) unforg00 2023/12/08(Fri) 22:58:55 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ「これは苦労しそうですねエ…… 刺されないように気をつけてくださいヨ」 引き続き頬を指しておいた。 「リュイには是非来て頂きたいものでス。 完全に私のわがままですガ…… まア、本人の意思が最優先ですからネ」 彼がどういう答えを出すかはわからないが、 その道に灯がある事を願う。点燈用として、友として。 「……」 「バンドッグ、マジで結婚する時の奴ですそれハ。 こういうのの耐性ほんとにないんですネ…… いエ、この場合は私から言うべきでしたネ。 不束者ですがどうぞよろしく、バンドッグ」 (-35) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 23:34:02 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「し、仕方ないだろう! 刑務所では無くとも何ら問題無かったのだ!!」 耐性の無さについては開き直った。 「…まあ、その、うむ。 必ず迎えに行く。宜しく頼む、トムラビ殿。」 あなたの扱いを鑑み、監察官に上申すれば このテストプレイが終わってすぐに元の場所に戻される… などは無く、保護団体の方で一時預かりという事も出来るだろう。 その間に諸々の処理を済ませて迎えに行けば良い、という算段だ。 「リュイ殿も……このまま何処かで壊れてしまうよりは、 過去の後悔をやり直せる場所で、 新しくやりたい事を見付けられると良いのだが」 それについては、彼の答えを待つほか無いな。 そう呟いて、お茶を一口啜った。 (-36) unforg00 2023/12/08(Fri) 23:56:44 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ「まあその方が可愛いですヨ、えエ」 可愛げとは身につくものではない、 身に宿っているものだ。点燈用はそんな信条を掲げた。 「はイ、信じて待ってますヨ、バンドッグ」 元の職場での扱いやその露見を考えれば、 保護団体に預かられれば手出しもしてくるまい。 これが自ら戻る事でもなければそうはならないだろうし、 あなたと約束した今そうする事もないだろう。 「マ、その辺は一緒に探せばいいのでス。 丸一日遊園地とか引きずって歩いたリ、 変なゲームをぶっ通しでやってみたりしテ、 リュイの新たな楽しみでも探ってやりますヨ」 どこか自信を見せて、こちらもお茶をひとくち。 「……あとは出来ればコード全部解除したいとこですネ。 とはいえシングソンに諸々凄まじく負担を強いましたシ、 あまり無理して解除する事もないカ…… というか彼も引きずっていきたいですネ。 ……いヤ、彼の場合はどうなんでしょウ……うーム」 などと零す。とはいえ自分の言葉への結論としては、 「まア、どれにしろ時間が必要ですネ」 でまとめられるのだが。 (-37) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 0:45:14 |
【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ「あまり可愛い可愛いと言われるのも… なんだかきまりが悪いな…」 これでも看守用。威厳こそあれ、 可愛げとは無縁…のはずなのだが。 それでもそうだと言うならそうなのだ。そういう事になった。 「ああ、軍事用なら娯楽に触れた事も少なかろうしな。 これから探せば良い、というのは確かな事だ」 確か辛いものは生きてる感じがして良いと言っていたな。 絶叫系とか好きなんだろうか。 そんな詮無い思考。 「そういえば、まだ残っているのだったな。 あまり複雑なようなら専門家に任せるのも手だが…」 「…シングソン殿か。 雇用主や勤務地との関係があまり良くないようであれば 小官が引き抜いて来るのは構わんのだが……」 お金で買えないものはある、とは言うものの 世の中大抵の事はお金で解決しもするのだ。 とはいえ何れも彼らの意思次第、でこの話は決着するのだろう。 (-38) unforg00 2023/12/09(Sat) 1:18:14 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビ蜂蜜入りの飲み物に口をつける。 チクチクとしたのどの痛みが緩和されていく。 首に巻かれた包帯越しのそれは、黒く焦げていて。 人間に近く作られているグレイが、自ら焼き鏝で 喉を焼く痛みは、きっと想像を絶するものだっただろう。 でも、それを自ら選ぶくらいに歌唱用は。 心の痛みの方に、耐えられなかった。 「………?」 素面で、の言葉にはきょとんとしながら頷く。 歌唱用は真面目で、あまり嘘を吐かないタイプだ。 君のことを本当に素敵な女性だと思っている。 それが広く浅い感情なのか、それとも君個人への 深い感情なのかはわからないけれど。 『歌は』 好きじゃない、と書こうとして筆が止まった。 視線を落として、真っ直ぐ紙を見つめている。 君の想像は、ほぼ正しい。 最初は歌えていた、ちゃんと。 もっと歌いたいと思っていた。 『良い歌だった。』 『心の底から出るような言葉を歌詞にして』 『たまたま口ずさんだ鼻歌を旋律にして』 『一つ曲ができる度に笑って』 『数字なんてどうでも よ くて』▼ (-41) arenda 2023/12/09(Sat) 11:01:06 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビ『曲を作る 事 が楽しかった。』『歌 を 歌う事が好き だった。』『主と最高の曲が出来た と 労う時間が心地よかった』『 自 分だけの歌を歌う事が誇 りだった。』『歌が』『 すき 』ぽた、ぽた。 書き記していく言葉が、零れた雫で滲んでいく。 文字自体も段々歪んでいく。 今歌唱用のストレス値が測定できるなら、 きっと随分と高くなってしまっている事だろう。 在りし日の、理想の日々と今とのギャップに、息が苦しくなる。 「……歌い…………た………い………」 この喉では、もう叶える事もできやしない。 (-42) arenda 2023/12/09(Sat) 11:07:50 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン「……貴方も大概ですねエ…… バンドッグとはまた別方向で心配でス……」 喉を癒す貴方を眺めながら呟いた。 それから、止まった筆を見て、 視線を紙からあなたに移す。そしてまた紙へと。 「…………」 歪み、滲む文字を追う。雫の元へ視線が動く。 貴方の願いを聞いて、こころが、いたい――。 その瞬間、電脳の奥底で何かが弾けた。 ▼ (-45) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:04:57 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン「シングソン」 気が付くと、貴方の名を呼んでいた。 気が付くと、貴方を両の腕で抱いていた。 気が付くと、貴方の髪を指先で撫でていた。 外装も、機能も、尊厳も、権利も、 その全てを弄られ、変えられてきた点燈用が、 ずっと大切に抱いていたものが。 記憶が、こころが、酷くざわめいて仕方がない。 暗闇に灯を。誰かに希望を。手の届く貴方に、助けを。 ずっと昔、自身の点燈作業に付き添っていたヒトが、 落盤に巻き込まれそうになった際、咄嗟に庇った時から。 あの日、機能ではなく、こころがそう叫んだ時から。 「私ハ、あなたを助けたイ」 そこにいた感情が、増幅されて噴き出した。 ほんの少しでも、それが死の寸前にある仄かな灯でも。 暗闇の中に燈される、確かな灯りでありたい。 点燈用は、貴方を抱き、撫でる。自分自身を助けられない今、 貴方をどうにかする事は出来ない今、これが精一杯の灯だ。 (-46) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:14:03 |
【墓】 点燈用 トムラビ#ハノイの塔 「…………」 ただ冷静に、飛んできた線路だとか、鉄パイプを 目前で回した鎖で絡めとり、止める。 そのまま振り抜き手を離し、倒れた時刻表に叩きつける。 『現状解決を一から十まで他者に頼り切る』 『全て死罪に相当するだろう』『どうして』 『じゆうに』『いきていたいだけなのに』 飛び交う言葉が幾つか、心と、記憶の内に響いていった。 泣いて、願って、乞うて、何か得られた事があったか? 得られたものは、 生きる事への罰だけだ。 強き者が揮う鞭だけだ。 男が言う"褒美"だけだ。 「バンドッグ、リュイ」 「少シ、下がってくださイ」 ▼ (+3) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:33:50 |
【墓】 点燈用 トムラビ#ハノイの塔 言って、前に出る。鎖を引いて、ランタンを手に。 遮二無二暴れるエネミーの群れの中心に、それを投げつけた。 「貴方達ハ、きっと私でしタ。だかラ、ごめんなさイ。 それと――お疲れ様。もウ、寝る時間ですヨ」 ランタンが着弾した瞬間、それは大規模な爆発のように。 全てを焼き尽くす火を噴いた。それは特に人型のエネミーを、 徹底的に、そして一瞬で、焼き焦がしていった。 後には黒い焦げ跡と、崩れていく炭と、舞う灰だけ。 「おやすみなさイ、さようなラ。 貴方達の苦しミ、終わった事を祈りまス」 静かに引いた鎖の先で、ランタンの灯が揺れていた。 幽かなその灯りは、弔火のようだった。 「……さア、道、空きましたネ。行きましょウ」 (+4) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:36:09 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ「ではカッコイイ、とも言っておきましょウ。 実際カッコよくもあるのですシ」 可愛くかっこいい看守、子供の憧れみたいな存在。 ある種のヒーロー的な属性だ。 実際、ヒーローのような事をやっているわけだし。 「リュイには娯楽ヲ、私にはコード解除ヲ、 シングソンにハ……癒シ、でしょうカ…… まア、ともあレ、終わってからの話でス。 それまでは出来る事をしていきますヨ。 そう言う訳デ、宜しくお願いしますねバンドッグ」 改めての一礼。そうした後は、ただ自室でのひと時。 折角だからアロマキャンドルを焚いたりだとか。 貴方を揶揄ってみたりだとか。 貴方が部屋を出る時まで、そんな時間を過ごしたのだ。 (-47) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 20:18:52 |
【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビこんな事なら、人に近くなんて生まれたくなかった。 ただの道具であったなら。 心のない、歌を出力するだけの装置なら。 何も苦しまずに済んだのに。 「…う…………ぅぅ………」 歌唱用のどうしようもなく聞き苦しい泣き声は。 どこまでも感情の乗ったそれは。 良くも悪くも、他人の心を動かすものであった。 良い音楽を聴いて、鳥肌や涙が出るのと同じように。 君の腕の中でしばし、声を押し殺して泣く。 ただ、ただ、その胸元を揺らす。 何がダメだったんだろう。 どうすればよかったんだろう。 俺は何を間違えたんだろう。 そんな事を呟き続けながら。 「……歌………くれ………」 「なんで………いいから………」 ようやく、嗚咽が収まってきた頃。 久々に歌が聞きたいから歌ってくれ、と。 ぽそり、我儘を呟いた。 (-49) arenda 2023/12/09(Sat) 21:04:44 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン繰り返し、繰り返し、貴方の頭を、背を撫でる。 幾つもの雫が薄い衣に吸い込まれていく。 貴方が呟く度、こころが悲鳴をあげる。 「貴方ハ……貴方ハ、きっと間違っていないのでス。 恐らくハ、貴方の主モ……そうであって欲しク、思いまス。 ただ少し踏み外しただケ……そこから戻れるかハ、 私にはわかりませんガ……」 貴方の主が、最初の頃を思い出して、貴方と同じように 感じてくれるのならば、心は元の道に戻れるのだろう。 人間とて、全ての記憶や心を捨てる訳ではないはずだから。 それでももし、心すら元に戻れないのなら。 貴方を責め、苦しめ、或いは捨てたり、 人間に近しいという事を利用して点燈用のように扱うのなら。 きっとこの点燈用は何が何でも貴方を助けに行くだろう。 貴方が私にそうしてくれたようニ。 ▼ (-55) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 22:20:40 |
【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン「……声帯との接続部位も変わっテ、 発音が妙になった私に歌えとハ。 貴方の我儘も中々ですネ、シングソン」 嗚咽が収まるまでそうしていたように、 収まってもまだ、貴方を抱き、背と頭を撫で続ける。 微笑んで、命令ではなく……頼みを聞いた。 「古い歌しか知りませんシ、発音が悪いのは勘弁ですヨ」 そう前置きして。 「...Sing, sing a song...」 貴方を呼ぶように、囁くように、口遊む。 「Sing, singsong Make it simple to last your whole life long Don't worry that it's lost your voice for anyone else to hear Just sing,sing a song」 貴方が声を出せなくても、貴方のきもちは届いたのだから。 本来の歌とは、少しだけ歌詞を変えて歌い。 そのあと貴方の背中を、歌のリズムでつついてみせる。 とん、ととととん、とん、ととととん。 喉への負担の少ないハミングをしながら、指先で歌って。 御一緒にいかガ?なんて言いながら、また貴方を撫でた。 きっとそれは貴方の求めている答えとは違うのだろうけど、 それでも灯のひとつとして。ハミングを続けるだろう。 (-58) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 23:01:09 |
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