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【秘】 墓守 トラヴィス → 中堅看守 アンタレス「……どう、だろうね。」 死を。痛みを自ら志望した男は、きっと『怖い』といえどそれを本当に感じていると断言するには足りない。痛みも、怖い。逃げ出したくなるほどに怖い。だが、やはりそれも自ら希望した。焼き切れる神経の感覚を思えば未だに震えが来るが、あらゆる感情を混ぜ捏ねた深淵を見るのは、それを思うときではない。目眩を掻き消すほどに叫びたいのは、それを振り返るときではない。 「……それよりも、私は、……私は、ひとりが、怖いよ」 それを見るくらいなら死んだままでいい。 そういう確信があるから、何度でも死ねる。何度でもそれを味わう気持ちになれる。少なくともそこに孤独はない。なぜならそこには何もないからだ。 何も見なくて済む。 「君が、私の孤独ほどに死を恐れるのなら。 わかった。走り切るまでは、私は君を待つよ。 私も、それを扱うのは本当に…………時間がかかるから」 あなたの赤い髪飾りをつん、と突いた。 「待っているよ、私のクランベリーちゃん」 (-1) tasukete 2021/10/17(Sun) 0:10:59 |
【秘】 墓守 トラヴィス → 知情意 アマノ「 ハァ??? 」トラヴィスはここ一番デカい声をあげてキレた。ブチブチにキレた。 「お前それ耐えてる場合じゃないだろう、何を野放しに加担しているんだ。検挙するしかないな、退職した相手だから遠慮も圧力もあるものか、是が非でも息の根を絶つ。味を占めた性犯罪者は何をするか分からん、元の主人とは***だな?聞いたか大道具!逃せば貴様らの有給も虚無行きだ、キリキリ働け!」 ガン、と壁にフォークの柄をぶつけた。穴が空いた。 「……治療の申請をしたまえ、今すぐにでも。記録された肉体とは別の形となるだろうから、手続きはやや煩雑だが。スタッフは信頼できるものを配備する。私は能力の関係上、医療班にも噛んでいる」 深い息と共に立ち上がりかけていた身体をなんとか椅子に落ち着かせ、額を掌に預けた。ああ。頭が痛い話だ、何もかも。 「バカが。このバカ。大馬鹿者。嗚呼なんてことだ、何に怒っているのか最早分からんくらいに怒りの対象が多すぎる!わざとではあるまいな、ああ、ああもう。何より自分に腹が立つな。自責で死ぬかもしれん、……ああ……」 (-8) tasukete 2021/10/17(Sun) 0:59:20 |
【秘】 墓守 トラヴィス → 知情意 アマノ「馬鹿が」 滲む怒りと共に吐き捨てた。 「……散々言ってる。お前は耐えるべきじゃないと」 何が、慣れているからだ、と、かつてのその男を今から殴りにいきたいところだ(なんと、もう居ないのだ。喜ばしいことだが、全く喜ばしくない、とトラヴィスは思った。殴る相手がいない)。気づかなかった。幾つかのデータはかの看守に改竄され、それ故にここまで表沙汰になることはなかったに違いない。気づいていないままに看守をし続けていた。隣の理不尽を、犯罪を見逃して。今すぐにでもこの節穴の眼球に剣の本領発揮をさせるべきだ、と己の評価者が囁いていた。クソ、止めようとしている精神自傷を活き活きと復活させるんじゃない。 「貴様の精神は、過剰な自己犠牲は、…環境による洗脳にも近い影響が大きいのだろうよ。いいか、遊戯が終わればすぐに聴取と精神治療に叩き込むぞ、覚悟しておけ、大馬鹿者」 慰めるつもりはない。 ただ、それが、怒らないのならば。 どれほど怒っても足りないのだというところを見せねばならないと、トラヴィスは思った。 (-14) tasukete 2021/10/17(Sun) 1:58:49 |
【秘】 墓守 トラヴィス → 知情意 アマノ男が泣いているであろうことは察しがついていて、今まで(150年!なんという無益な生!)繰り返し考えた、望んだ欲望はそれに酷い苦痛を覚えた。そうさせたのは私ではない。邪悪たるは以前の看守で私ではない──── けれど、己が同じ行為を出来るかと問えば、否、だ。何一つ理解はできなかった。吐き気と嫌悪を強く感じた。トラヴィスという男はほんとうに、凡庸で、犯罪を、心から厭っている。 「礼など」 必要はないと思った。それを見逃していた社会は、私でもあった。それを許していた社会は、私でもあった。恨め、と、それに囁くべきだ。私欲はそれを肯定する。だが、それは誤った社会だ。少なくとも、いま、その男は被害者として扱うべきだった。犯罪者ではなく。恨みを引き出して殺させるような精神治療の妨げは避けるべきだった。 「……それは、全て済んでからに、とっておけ」 男から目を逸らして。 トラヴィスは通信端末で、かつての看守についての捜査が始まったことを知る。 礼を受け取るべき時は、そう遠くないだろう。 (-21) tasukete 2021/10/17(Sun) 3:12:22 |
【赤】 墓守 トラヴィス「私が死んだ時のことかな……アマノが拷問に向いた能力だからって思って頼ったんだけど」 指折り一つ。 「それともチャンドラが復活すること知ってて…結果的に秘密になってた件かな……」 指折り二つ。 「……心当たりが……多いな……?」 残りの指も彷徨っている。 (*3) tasukete 2021/10/17(Sun) 3:17:29 |
【秘】 墓守 トラヴィス → 『不死兎』 ニアこんこん、とあなたの通る廊下の後ろで壁を叩く音。 「そこゆくお嬢さん、お急ぎでなければ私の茶会に招待したいのだけど、あなたの時間をほんの少し恵んでくれることをお許し頂けるかな?」 訳:ようそこの姉ちゃん、お茶しない? 「……約束してただろう?ひと段落ついたし、どうかと思ってね」 (-23) tasukete 2021/10/17(Sun) 3:23:25 |
【赤】 墓守 トラヴィス「いやー、私が死んだ時はね。『殺してくれる?』『いいよ』くらいのもので、特に深い何かも無かったというか…… 強いて言うなら、君たちに絆されかけたから、絆されてなるものかと思って。基本的に私、他殺願望わりとあるから」 情報量のないやりとりが明かされてしまった。 要約するならばそうなのだ。 「あとジャックの方はなんも聞かされてないから知らなかったね……あの……血飲む?たまに支配するけど、って言われて、いいよ飲むー、しただけで……」 情報量のないやりとりが明かされてしまった。 こいつその場の勢いしかないのか? (*5) tasukete 2021/10/17(Sun) 3:27:27 |
【赤】 墓守 トラヴィス「ジャックの方はねえ、あの、私、 放送聞いて初めてそうなんだーって知って ……だから事前準備も何にもなくて、ナフとアマノがメンバーなのも知らないし2人に話通ってたのも知らないし武器捨てていけば身内なのわからなくても攻撃されないかなってその場の判断でやったくらいで……」ほんとになんも知らん人でした 集合場所も知らん さまよってた (*9) tasukete 2021/10/17(Sun) 3:37:28 |
【赤】 墓守 トラヴィス「……ああ、あれね。【大損をする勝ち目の薄い可能性】に【賭ける】って認識だとそう見えるかもね。少なくともあれ、ルヴァは一人勝ちだよ」 肩をすくめた。 ジャックのことは何にもわからないけど、ルヴァのことは少しわかる。 「彼の希望は幾つかある。どう転がってもそのどれかは叶う。だからそうしたんだ。他のメンバーは知らないけど、彼はそうだったよ、おそらく」 「……私は報酬先払いだったから、満足してるしね」 (*11) tasukete 2021/10/17(Sun) 4:18:10 |
【秘】 墓守 トラヴィス → 『不死兎』 ニア「ふふ。今日はね、前はフレーバーのついたものを考えていたんだけど……ミルクティーをね、勧めようかなって」 話しながらたどり着くのは、以前にも言葉を交わした個室だ。 既に殆どの用意が済んでいて(この間にはなかったレースのテーブルクロスまであるのだ!)、残りは座ってロボの給仕を待つばかりといった具合だ。 「ストレートは……苦くて、飲むのに慣れが必要だけど、フレーバーでお茶の味をあまりわからないままというのももったいないからね」 椅子を引いて、座るように招いた。今日はちょっと紳士なのだ、この間よりは余裕があるから。 (-27) tasukete 2021/10/17(Sun) 4:24:10 |
【赤】 墓守 トラヴィス「…………それが罪だよ、キンウ」 犯罪に焦がれ、憎み、足掻いた男は笑った。 「罪とは為したもの以外のものには遠く、届かないものだ。 知ろうと手を伸ばし、こじ開け、解体し並べても。 そこには本人以外理解のできない理屈があるだけ。」 かつてのお前もそうなのだと言外に指しながら、トラヴィスは端末越しに話しかけた。遠い。全ては。誰に知られる必要もないと、そのくせ傷だけは振りまいて駆けるように去っていく。 「知りたいのなら、墓守の列に並ぶことだ」 だから逃さぬように埋めなければ。 あるいはそれが、口を開いて語りかけるようになるかもしれないのだと、トラヴィスはこの間、知ったばかりだ。 (*14) tasukete 2021/10/17(Sun) 4:37:42 |
【赤】 墓守 トラヴィス「お前もやはり犯罪者だねえ」 椅子を揺らしながらトラヴィスは頷いた。 「それを問うことが傷を作ることだというのをまだ理解していない。お前、『そうまでして嫌がるほど嫌だった』ことを、『そんなに嫌なのか』と問うことがどれほどの痛みを生むか、わかって問うているのかい?」 こんこん、と端末を叩いた。忠告するには距離が遠いな、と、現状を少しだけ憂いた。 「……思考や価値観は同一にはならないのだよ、キンウ。それが本来の世界だ。ゆっくりと学ぶことだね」 (*17) tasukete 2021/10/17(Sun) 4:58:16 |
【赤】 墓守 トラヴィス「学んだころには。 常にチャンドラのそばにあることも、きっと許されるさ」 墓守はなにも、己だけではない。 数ある未来のうちの一つを示して、トラヴィスは目を伏せた。 (*18) tasukete 2021/10/17(Sun) 4:59:44 |
【秘】 墓守 トラヴィス → 『不死兎』 ニア「君によく似合うかと思って、装飾も茶器も華やかなものを選んだよ。ほら、君の服も柔らかな花に似ているだろう」 お洒落、といわれれば、選択の理由をわかりやすく述べる。この間持って来させたのはグラスだったから色合いもなにもなかったけれど、今日のティーカップは薄く花弁の形に透けていて、少女の選んだ服に合わせたように馴染んだ。 トラヴィスが座れば、図ったかのようにロボが控えめに紅茶のポットを持ち出して、各々のカップに緋色の茶を注ぎ込んだ。ほこほこと白い湯気があがる。 「色々飲んでみたいなら、ミルクを入れる前に一口飲む?そのままでも美味しいけれど……どうかな。好みにもよるのだよね、こういうのは」 フレーバーをつけたものはどうしても受け付けない人種とかいるし、実際のところは試してみないとわからないのが常だ。トラヴィスもカップを持ち上げて一口。うむ。馥郁たる香りの芸術。 「ちなみに私はブランデーと合わせるのが好み」 酒じゃんそれは。 (-30) tasukete 2021/10/17(Sun) 8:55:39 |
【人】 墓守 トラヴィス「……?」 察しが悪い人をプレイ。 困るととりあえず笑うタイプだ。 なんだっけ。主役ってすごい私に遠い言葉だな、この間ルヴァが言ったけども……イマイチ馴染まない、馴染むようになるのかな、などと関係のある単語をつらつらと脳裏に浮かべていたが、 「………………あ、……処刑?あれっみんな忘れてると思ったけどこれそういう感じの流れ?あっ、えーと、ふうん……そうなんだ……」 ぐいぐいぐい……(押されているのとは別方向に少しずつ移動したらナフがいたので断念した絶妙な動き) 「いや、ええー、良いといえばいいんだけど、参加率悪かったら私かなり落ち込むし辞めない?いや参加率の低さって別に本来悪いことじゃないんだけど長年の価値観がそうさせるっていうか、いやっこの間みたいに逆恨みするほどではないと思うけどでもやっぱ……ねえー!!」 もちろん、イクリールは聞いてくれないのだ(信頼と安心の確定ロール)。タグもっと豪華にしてあげればよかったかな、金入ったインクとかで…… (14) tasukete 2021/10/17(Sun) 13:48:08 |
【人】 墓守 トラヴィス「君の時はだって、遠慮があっただろ。君たち独り占めしたがるタイプだし」 分け合いたくないだろ?相方、と、首を傾げ。 「それはそれとしてね、私、なんでも死ぬといえば死ぬんだが、…………反射で治癒するからね。足一本くらいなら放っておくと生える。 強くはないけど手こずる ぞ、それなりに本気で来たまえ」鎮痛再生持ち高MHPエネミーだ。割合ダメージと異常無しでは手こずるタイプ。頑張りたまえ。でないと私が痛い。 (17) tasukete 2021/10/17(Sun) 14:02:48 |
【人】 墓守 トラヴィス「…………無限ではないかな。能力を用いるのにも限度というものはある。耐久性が高いというだけで死ぬには死ぬさ。足が生えるのも瞬間的にというわけではないし、休みなく傷がつけば死ぬ……痛いけど……」 痛いのは、痛いですね。の顔。 「メサの発案が非常に理にかなっていて嫌すぎる。なにより美しくないのが嫌だ。ほんとに嫌」 ほんとに嫌。の顔。 とはいえ殺し方は処刑人の自由だ。それもまた自身に向けられた感情ならば、トラヴィスは、おそらく、己は厭うばかりでないことを理解している。 (21) tasukete 2021/10/17(Sun) 14:21:50 |
【人】 墓守 トラヴィス「いや、違う、死にたがってるわけじゃない。間違えないで欲しい。強めの感情で殺されたらいいのにな〜と……え!?ルヴァ……君…………?」 プロポーズを受けた女の感動のポーズになった。わざとらしい。わざとなので。怒られている時は存分に怒られに向かうのがトラヴィススタイルである。 ところで、私の味は他の誰でもなくこの私が決める、という意思を持って25を振るわけである。 (24) tasukete 2021/10/17(Sun) 14:30:58 |
トラヴィスは、ザマ見ろ……の笑顔。 (a6) tasukete 2021/10/17(Sun) 14:31:10 |
【人】 墓守 トラヴィス「────ッ誘い文句一つ知らぬ台所女め!」 全く優雅でない!と振り向きざま女の腹を横から強く蹴りつけた。男に戦闘センスというものはさほど備わっているわけではないが、強化された肉体は女の肉体を蹴り抜いて壁へ叩きつける程度のことはやってみせる。勿論、それが"真っ当な優雅な女"であった場合だが。 マナーというものを知らんのか、とトラヴィスはすぐにその場から飛び退いて、食卓に座る客人から大きく距離を取った。遠くあるのは当然だ、この距離が無ければ凡人は天才と戦えない! (27) tasukete 2021/10/17(Sun) 14:42:03 |
【人】 墓守 トラヴィス直接頭は、結構困るぞセンスいいな貴様クソッ! と吐き出す暇があったら剣を盾にその足を防ぐべきで、(まだ電源入れてないから熱くないしこれただの金属塊ではないか!中世か!)ジャッ、と鞘から乱雑に抜き出された剣の腹がその踵を防ぐ。速度の乗った重みは圧力である。ぐう、と喉がうめく。胴体部分がガラ空きで凄く嫌だ、複数人と戦うってすごい無茶だなとトラヴィスのうちの観客は喚いた。煩い!生まれたばかりの演者は怒鳴った。 (29) tasukete 2021/10/17(Sun) 14:53:37 |
【人】 墓守 トラヴィス「アァ゛もう!」 ぎ、と膂力をもって剣を押し返し払った。 「頭は!反則だろうが!」 そんなことは全くない。 (32) tasukete 2021/10/17(Sun) 15:32:27 |
【人】 墓守 トラヴィス「──ッ、ぐ、」 狙いは正確だ。胸部肋骨を正確に抜けて左心室を撃ち抜いた金属塊は体内に衝撃打を残してそのまま背部へと抜ける。 常人を超える速度ではないから何だというのか?常人は、当然、銃弾を越える速度で動けない。ど、と遅れて左足がたたらを踏んだ。治癒が始まる────しかし拍動のリズムが崩れれば、直ぐに肉体を動かすことはままならず、痛みに呼吸も乱れてゆく。 (34) tasukete 2021/10/17(Sun) 15:41:26 |
【人】 墓守 トラヴィス「死ぬ、……だろ、」 銃創から溢れる血液を押し戻すように胸部を強く抑え、呻いた。死ぬためにやってんだよ。 澄んだ凍土の風に似た殺意に、自然背後を意識する。剣の柄を握るために必要な神経が優先して回復される。防げる気もしないのに、しかし無策で受けるのは絶対に、ごめんだ! (38) tasukete 2021/10/17(Sun) 16:19:46 |
【人】 墓守 トラヴィス衝撃は、強化肉体とはいえその骨格と筋肉を幾つも崩壊させてゆく。ぱりぱりぱり、と、存在しない膜が剥がれ落ちる幻聴を覚えた。天才の脳ならばそれを知覚し、視床下部の治療メインシステムの異常音だと察することができただろうか?しかしトラヴィスはそうではない。思考したのは、 間に合うかこんなもの、 突き上げるように消化液と体液と血液、断裂した骨とずたずたに破壊された内臓が口から、鼻から勢いよく噴出した。ずる。少年めいた男の発達した手腕に、青年の肉体は崩れ落ちる。円形の穴が空いている。 咳込むほどに正常な機能は残っていない。どくどくと流れる液体をそのままに、治療システムが鈍く脊髄の回復をはかっているのが視認できるだろう。 (41) tasukete 2021/10/17(Sun) 16:43:15 |
【人】 墓守 トラヴィス返事はない。 するための軌道は塞がっている。 頭部への衝撃は、頭蓋内部のそれを激しく揺らす。 ばつん。ばつん。 音のない音を聞いた。彼の脳はそれを認識したが、彼の意識が意識したわけではなく。システムが明滅している。崖から落ちる幻。脊髄だけが残る肉体が支え無く繋がり続けるはずもない。 上部と下部がばきりと音を立てて分かたれ、別々に床に倒れ込んだ────右指が。なにかを掴むように、震えた線を描く。もがく。未だ、それは、生きている。 (45) tasukete 2021/10/17(Sun) 17:04:18 |
【人】 墓守 トラヴィス天才は彼の脳を知っている。その治療プログラムを理解している。仕組みを、ハードの位置を完全に把握している。眉間からどの角度で撃てば「それ」に届くか知っている。どう破壊すれば機能を失うか理解している。ならばそれは、彼こそが止める、彼の心臓部だ。 落ちて行く崖の底から夜の空を見た。 暗く落ち続ける深淵の先で、ぎらぎらと燃える恒星が幾つもそらを飾るのを見ていた。 遠く、しかし、それらは遠ざからないことを、 彼の魂は漸く覚えたばかりだ。 やがて底に着く前に、生命活動は完全に停止した。 (47) tasukete 2021/10/17(Sun) 17:34:19 |
トラヴィスは、骸になった。治癒は停止している。 (a14) tasukete 2021/10/17(Sun) 17:34:47 |
【秘】 墓守 トラヴィス → 知能犯 ルヴァ蘇生の為の棺の中。 落ちた崖の底の底に揺蕩う意識は、細胞の再生とともに記憶を浮かび上がらせていた。ひとつ。ひとつ。気泡が上がっては耳の横で、視界の端で弾けていく。 (ここは海溝だ) 意識は、いつか見た調査資料の水音を感じた。肉体には血液が充填されていくが、それは生物の体温を伴わず、じっとりと滞ってその時を待っている。 ご、ぷ、 一際大きな水音が影を伴ってゆっくりと、崖の底へ、落ちていく。 力強い鰭の動きは失くしたのか、ただ水流に任せて落ちて行く。海底で海百合や蟹、目ばかりが大きい魚やめくらの生き物たちを その身を捧げるのだろう。鯨の墓。墓守はそこに行くべきだろうか。 きらきらと輝く海面は遠い。 その時まで私は待っているよ。じゃあ、又いつか。 トラヴィスは、彼の知る墓場は星の上にないことを思い出した。 (-43) tasukete 2021/10/17(Sun) 19:07:21 |
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