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【人】 秋月壮真[自室へと入ると それまで大事に抱えてきた彼女の身体を ロング丈のベッドの上に横たえた。 窓から差し込む月明かりが 美しい寝顔を柔らかく照らしている。 長い髪にそぉっと触れてみると 一本一本が自分のよりずっと細くて さらさらしていた。 ────ついに。 ついに、ついに、手に入れたんだ!] (1) nagaren_rp 2024/05/25(Sat) 7:47:30 |
【人】 秋月壮真[興奮で頭がおかしくなってしまいそうだ。 尤も。おかしいのは元々かも知れない。] ……一度頭を冷やしてこよう [シャワーを浴びて汗を流すと 普段着のパーカーを着た。 前髪はいつものように下ろした。 自室を離れたのはそれきり。] (3) nagaren_rp 2024/05/25(Sat) 7:48:09 |
【人】 秋月壮真[あとは姫が目覚めるその時まで ベッドの横の床に座り 小さな手を握り 愛らしい顔を眺め続けて 一睡たりともしなかった。*] (4) nagaren_rp 2024/05/25(Sat) 7:48:25 |
【人】 初波華音[一生モニター越しにしか逢えないと思ってた 憧れの人に食事に誘われた。 初めて面と向かって顔を合わせて、 並んで一緒に歩いて、いろんなお話をして 素敵な個室で美味しいコースディナーを頂いた。 出てくるお料理は私の好きなものばかり。 極めつけはとっておきのラザニア。 私達って周りからどう見えてるのかな? 記念日デート中の彼氏彼女に見えたりする? 今日まで生きてきて良かった、神さまありがとう。 泣きたくなるほど嬉しくて サイコーに幸せな時間だった。 現実としてはあまりに出来すぎているくらいに。 そう。 現実としては、あまりにも出来すぎていた。 ──つまり、] (5) rinto 2024/05/25(Sat) 11:06:27 |
【人】 初波華音[ア〜〜〜〜〜〜〜〜 はいはいなるほどねOKわかった完璧に理解した。 夢ね!! ソウマくんへの想いが募りすぎて 自分に都合の良い夢を見てたんだわ!! 納得!!! 我ながら失礼!!!! は〜〜いい夢見たな〜〜〜〜〜!!!!!! そうよ絶対そうに違いないわ。 この私が生ソウマくんを前にして まして食事中に眠るわけないもの。 起きたら変わり映えのない日常が待ってるわ華音。 そうと判れば早く起きなきゃ。 ソウマくんの配信ちゃんと聴き直したいし 昨日撮ったスクショ印刷して部屋の壁を潤したいし あっ西洋音楽史の復習もしておきたいわね はー忙しいいくらあっても時間が足んない!!] (6) rinto 2024/05/25(Sat) 11:06:44 |
【人】 初波華音[……でも、 全部が夢だったなんて思いたくないな。 もし本当に夢ならどこからが夢だった? それに何でだろう、なんか手があったかい。 私の手を握ってくれる人なんて 傍には誰もいないはずなのに──] (7) rinto 2024/05/25(Sat) 11:07:01 |
【人】 初波華音う…………、 んん〜〜………… えへへ……♡ おはよぉソウマくん 今日もだいす ヒッッッッ!??!? [いつものように壁に話しかけようと 蕩けきった表情と声で愛おしい名を呼び 『今日も大好き♡』と続けかけて心臓が止まった。 私の目が確かであれば 目に映るソウマくんが平面じゃない。 ひゃ〜〜やっぱりソウマくんはカッコイイな〜♡♡♡ じゃ、なくて! て!!] (8) rinto 2024/05/25(Sat) 11:08:20 |
【人】 初波華音え? …………????? [数度瞬きを繰り返し 瞼を擦ろうとして初めて気づく。 自分の手が他ならぬ彼の手によって ホールドされていることに。] ????????????? [そういえばうちと壁が違う。天井も違う。 匂いも違えばベッドのふかふか具合も違う。 いっそもう一度、気を失ってしまいたかった。] (9) rinto 2024/05/25(Sat) 11:09:27 |
【人】 初波華音……え え、……あの もしかして私 運んでいただいたり、とか…… ごっ、ごめんなさい……!! [一気に目が覚めた。 まさか一服盛られて運ばれてきたとは思いもしない。*] (10) rinto 2024/05/25(Sat) 11:10:21 |
【人】 秋月壮真[そんな中漸く彼女が目を覚ましたかと思うと 突然かわいく告白? しようとしてきたり 申し訳なさそうにしていたり万華鏡のようだ。 見ていて飽きない。] ……、謝る必要はない 無理矢理眠らせて連れてきたのは 俺だから ここは俺の家 薬の量は計算したのだけれど 万が一このまま目覚めなかったら どうしようかと…… 杞憂に済んでよかった ……あ、失礼 [さらりと種明かしをして。 握ったままだったのを思い出してぱっと手を離した。 改めて意識すると照れくさい。 柔らかくて、小さくて、細くて。滑らかな手だった。] (13) nagaren_rp 2024/05/25(Sat) 16:05:44 |
【人】 秋月壮真[まだそんな感覚が残る自らの手を下ろす。] 華音。俺はきみをなにものからも守りたい だから……、ずっとここに居てほしい [教えられていない名を呼び、切なる願いを伝えた。 ただ返事がどうあれ逃がすつもりはない。 そこに自由意志を与える気があれば はじめから強硬手段はとっていないのだから。] (14) nagaren_rp 2024/05/25(Sat) 16:07:04 |
【人】 秋月壮真[こちらを見る華音越しに、 沢山の華音が見える。 壁には、彼女の部屋周りに仕掛けた 監視カメラの映像を切り出したものや スマートフォンのカメラで盗撮した写真が プリントアウトされ大量に貼られている。 どれもお気に入りだけれど……、 ほんものがいちばんかわいいよ。] (15) nagaren_rp 2024/05/25(Sat) 16:07:21 |
【人】 秋月壮真[この部屋に見覚えはない筈だ。 自室で配信を行ったことはなかった。 ベッドに机、椅子、クローゼット。 シンプルであまり物がない。 掃除は行き届いているものの建物自体に それなりの年季が入っている。 壁の写真以外に特記すべきは、 入り口の扉のノブには鍵穴があり 鍵がなければ内側からも開けられないこと。 扉の上には、監視カメラがつけられていること。 どちらも真新しさはなく、今回の為に 新たに設置されたものではないが……。*] (16) nagaren_rp 2024/05/25(Sat) 16:08:23 |
【人】 初波華音えっ…………? [ゆっくりと身を起こす。一瞬耳を疑った。 無理矢理眠らせて連れてきたのは俺、って この人今、さらっとそう言った?] くすり、って…… じょ、冗談ですよね ソウマくんはそんなことしな── [言いかけた言葉を呑み込む。 彼の表情を見る限り、 嘘を言っているようには思えない。 知らぬ間に薬を飲まさせられたのなら、 あの異常な睡魔にも説明がついてしまう。 それどころか、] (17) rinto 2024/05/25(Sat) 19:24:11 |
【人】 初波華音──……私 名前が華音だなんて、 まだひと言も言ってない…… [『ハツナ』としか私は名乗っていないのに。 彼は私をいま、『華音』と本名で呼んだ。 プロポーズまがいの熱い台詞に心臓は跳ねたのに、 解放された掌の方は急速に冷えていく。 いつか本当の名前を呼んでもらえたら、って 確かに思ってはいたけれど。] ……もしかして私達 昔、どこかで知り合いでした……? え? そういうわけではない?? そ、そう……じゃあなんで あ、あの…… とても光栄ではあるんですけど どうして、そこまで私を……? だって、私達は昨日初めて会ったばかりで ソウマくんも、私のこと まだほとんど何も知らないと思…… (18) rinto 2024/05/25(Sat) 19:24:46 |
【人】 初波華音うぇええっっっっっ!?!?!??! ……っ や、なにコレ…………!! [彼の視線から逃れるように向けた背後の壁に 貼られていたのは、大量の写真。 そのすべてに私が映っていた。 家のベランダや玄関先で撮られたらしいものから 大学での講義中のもの、バイト先での写真まで。 何これ。何よこれ。凄い。怖い。 貴方から、私はこんな風に見えてたの? そのどれもこれもが 明らかな盗撮であることを除けば、 親近感すら覚えてしまいかねない有様の壁だ。 この埋め方、私の部屋の壁とそう大差ない。 私だってソウマくんの写真は何枚でも欲しい。 違うのは、 それを私本人に臆さず見せられる異常さ。] (19) rinto 2024/05/25(Sat) 19:25:38 |
【人】 初波華音そ、ソウマくん……?? あの〜〜……、 失礼ながらこれは……一体、 [ベッドから降りてどこか歪な室内を見回す。 ぞくりと、全身の肌が粟立った。] (20) rinto 2024/05/25(Sat) 19:26:21 |
【人】 初波華音[──もし配信者と視聴者という形ではなくて 例えば、大学の講義で出逢って意気投合して 好きになって、恋人関係になれて じっくり時間を掛けてからだったなら。 もう少し感想は違っていたかもしれない。 こんなにも私を見つめて、必要としてくれる人がいた。 私を守りたい、 ずっとここに居てほしいとまで言ってくれてる。 私も彼のことが好き。彼を守りたい。 叶うならずっと傍に居てほしい。 何だ、一緒じゃない。なんの問題もない。そう、 なんの問題もない、はずなのに ……こわい。 いやいや無理無理無理絶対ムリだって!!!!! こんな密室でソウマくんとずっと二人きりで居たら 命が幾つあっても足りないでしょ!!! いろんな意味で!!!! はっきり言っていまこのお部屋で いちばんの脅威はソウマくんなのよ!!?!?!!] (21) rinto 2024/05/25(Sat) 19:27:46 |
【人】 初波華音…………、私、も ソウマくんの傍に、ずっと居たい……です えへへ………… でもあの、些か急じゃありません?? もう少しこう段階を踏みたい、というか い、いますぐには…… ちょっと お気持ちはすごく、すご〜く 本当に嬉しいんですけど……!! [顔は彼の方へ向けたまま、 じりじりと出入口らしき方へと後ずさる。 後ろ手に、扉のノブに手を掛ける。] 美味しいディナー御馳走さまでした〜〜!! 私、今日はこれで帰らせていただきますね それじゃ──── ……あ、あらっ ドアが開かない……!? [どんなに回そうとしても、ただただ 空しい金属音だけが部屋に響く。 壁一面の私が私を見つめているような気がした。*] (22) rinto 2024/05/25(Sat) 19:30:14 |
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