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【独】 0251 鏡沼 創―――鏡沼創は愛がわからない。 正確には他者へ向ける愛がわからない。 一定のラインを越える好意は束縛だ。 押し付けられ見返りを求められる愛情というものは泥濘のようだ。 鏡沼創は、ほどほどに長生きするのだろうなという確信がある。 鏡沼創は、死ぬ時はひとりであるのだろうという確信がある。 ずっと誰かの傍で生きてゆき、最期は誰にも知られずに死ぬのだろうと思う。 それが自身の普通なのだと、思っている。 誰になんと言われようと、『鏡沼創』はそれを当然と思って、ふらりと日々を生きていく。 それでも。 どこかの探偵の冤罪が晴れたというニュースを見て。 誰かの死刑が執行されたというニュースを見て。 身体の奥に一瞬燻る熱を思い出して。 ふと、ここを思い出す事もあるのだろう。 (-162) sym 2021/10/04(Mon) 20:56:12 |
鏡沼 創は、昨日も今日も『鏡沼創』だ。きっと、これからも。 (a60) sym 2021/10/04(Mon) 20:56:59 |
【人】 0043 榊 潤目が覚めた、看守に頼んでキッチンを借りていた。 誰に食わすわけでもないのに、適当なパンを作っていた。 誰もいない食堂を見た。 誰もいない談話室を見た。 ひどく違和感を感じて、首を傾げて。 これは叔父に作ってあげたときの癖だろうか、と思い出す。 家事をすべてやっていたときの癖。 片付けも、食事も、外で買い物もさせてもらえなかったから。 家にあるもので何かを作らなければならなかったときの知恵。 (30) toumi_ 2021/10/04(Mon) 20:57:15 |
【独】 0043 榊 潤『潤は優れている』 異能を自覚していないのに。 『潤は賢い』 お前のためにしか動いていないのに。 『『潤は』』 会いたい二人はもういないのに。 また彼らの声がリフレインして、 (-163) toumi_ 2021/10/04(Mon) 20:58:33 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「いいよ」 「“靖史”じゃなくて、ちゃんと“靖史”って呼んでね。ふみちゃんでもいいよ。それ、俺個人が付けて貰った名前だから」 「名字とか、戸籍に登録されてる“靖史”だと、俺が愛した人の方になっちゃうんだよ。だから、言われなくても怒るよ。 『あれだけ言ったじゃん!』ってさ」 “再演”と言う事は、つまりは一度幕引きだ。“終演”が訪れる。 「俺本当は物凄く執念深いから。 “ただしい人”のまま生きるの、認めるつもりないから」 「それを腹立たしいものだと、最初に教えられた潤ちゃんの事、置いていくつもりもないから。嫌って言われても助けにいくから」 (-164) poru 2021/10/04(Mon) 20:58:34 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「だから、今度会った時は、」 「半端に俺に 希望を与えた責任を負って貰うので」 「半端に私に 「証明に付き合って貰うよ。俺達に見つけられるべき── “ただしい”と違う、新たな“答え”がこの世界にあると」 「またね」 『さよなら』 (-165) poru 2021/10/04(Mon) 20:59:18 |
【人】 0043 榊 潤「……」 足音がした、振り返った。 いつの間にか同室にされたやつだろうか。 この間適当に犯したやつだろうか。 やかましく笑いながら騒いでるやつだろうか。 笑って。真面目で。個性が強い。あいつ等だろうか。 「……食べるか?」 なんて、声をかけた。 なんだか、無性に美味いオムライスが食べたくなってきた。 (31) toumi_ 2021/10/04(Mon) 20:59:20 |
迷彩 リョウは、これからも生き続ける。 (a61) wazakideath 2021/10/04(Mon) 20:59:21 |
南波 靖史は、『南波靖史(やすし)』は、今度こそ終幕を見届けた。 (a62) poru 2021/10/04(Mon) 20:59:50 |
【妖】 9949 普川 尚久「暗いところに行きたいな」 最初から、ずっとそれがあったのさ。 愛してくれる人がいて、食事や寝床に困らないくらいの、 高望みしない普通の幸せって、自分の幸福に思えなかった。 多分これがもっといっぱいいっぱい…… ──誰も彼もからあいされて、贅沢がいっぱいできて。 そんなふうになっても幸せにはなれないのが、漠然と感じられて。 それでも、きっとそれは決まっていることだって確信があって。 だから、幸せって言えない方に向かってみた。 結果としては、幸せとまでは言わないけど、 それまでの人生よりは満足感があると思えた。 ひどく扱われて、なんだか生きている心地がした。 自分が可哀想な立場になったり、不幸に見舞われる方向に 行こうとするのを止められないのは、知っているけど形にしていない。 ($0) Vellky 2021/10/04(Mon) 20:59:50 |
【妖】 9949 普川 尚久 こんないびつな存在は、自分のほかになくていい。 だからなくそうとするんですよ。 可哀想な君らに、ほしいものをあげるよ。 ぼくだったらほしいから。 たすけたげるよ、他に引く手がないのなら。 ぼくはたすけてをずっと言えない。 自分で立ってられるだなんて、ただの意地だろうから。 ひとりはさみしいだろ? だから、手を取る誰かが現れるまでは、勝手に手を引いていたげる。 だれかができたら、ほどいていいよ。 たすけてが聞こえたら、そう思ったら、 ぼくもいつかいえるかな。 僕は好きに振る舞いますよ。 さみしいな だれかたすけて ($1) Vellky 2021/10/04(Mon) 20:59:52 |
9949 普川 尚久は、メモを貼った。 (a63) Vellky 2021/10/04(Mon) 20:59:55 |
【赤】 8435 黒塚 彰人指輪の話……大概重たい、それを聞き。 いや、知らないが……? という顔をした。手慰みの行為で、何か意味を込めたつもりもなかった。そしてそれが己の指へ嵌められ、節のあたりに引っかかるのをぼうっと見ている。 「……心中する気はないからな」 そんなことを言いながら指を曲げ、関節のあたりに光る銀色を暫し眺めて。 不意に、そこへ口づけを落とす。 やっぱりそこに深い意味も、思慮も無かった。とりあえず、今のところは。 (*18) 榛 2021/10/04(Mon) 21:00:00 |
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