子どもはあなたに

「ままは、ままだよ」

と要領の得ない返答をした。

「じゅーす！やったー！あのね、わたしいいこだから、ちゃんとぬいだおようふくたためるんだよ。すごいでしょ！」

ひとしきり自慢をするとあなたが風呂に向かったのを見送り服を脱ぎ始めた。

▽

「おようふくたたんだよ！おふろ！」

子どもが風呂場にかけこんでくる。


シトゥラのからだは
平坦な胸にくびれのない腰で
下生えの生えていないそこには微かな筋が見える
二次性徴を迎える前の体で

あなたの知っているシトゥラの顔で

「ね、おふろいっしょ！てんがんもおようふくぬいで！」

といった。

「そうか」

深堀りは、しなかった。

「それは、すごいな。俺は昔そういう事が得意ではなくてよく……怒られたものだ。今でも時々、その辺に置いたままに―――」

湯加減を確かめ、振り返る。
そして貴方の裸体が目に入った。

―――貴方の歳はひとつ上だったと、記憶している
―――貴方は確か、成人していたと、そんな話を記憶している

「……」

「止まれ」

ようやく出たのはその、一言。
用意していたバスタオルを一枚掴み、これ以上貴方の裸体を視界に入れる前包む。

「……待て。待ってくれ。『シトゥラ』？」

男の声は明らかに狼狽えている。

止まれと言われ、正直に足を止め首を傾げる。

「なぁ……きゃっ」

タオルをかけられるとキャアキャアとくすぐったいような声を上げる。きっと本人は遊んでもらってると思っているのだ。
名前を呼ばれるときょとんと

「なぁに？」

と首を傾げる。

/*
アタイです。返信不要と前置きさせてね。そして吐き出させてください。



本日大魚人噛みの推測が正しかった場合。
そして今日、テンガンが襲撃されなかった場合。
シトゥラが死んでいる中で最後の議論を迎えるのですが……マジで言っておられますか……？

あと、今日の発言でも触れていますが魚の音が聞こえなくなったのにシトゥラが生きていてキファとかが死んでいた場合にも、テンガン視点で更に最悪な状況が見えて地獄が増します。

イヤッ…………

失礼いたしました。
最後に、信じてくれてありがとうバーナード……最後まで頑張りましょう……

/*アタイよ。返信不要ってあったけど議論ブンッてしたら見えてめちゃくちゃ笑ったから返すわ。



アタイ泣いてるわ、ありがとうね……アタシがいない間にこちらの援護射撃もしてくれてありがとうね……
お魚さんは襲撃されていたら襲撃されたメッセージが表示されているから分かるはずなのだけど、議論参加が強制ではないから仮定をもとに進めていくしかないのがつらいところね……！
で、まあ、えーと……うん♡（マジで言っておられますかへの返答）

テンガン視点が割と地獄めいていて本当にかわいそうだなって気持ちになっていますが……うん……話は聞くし自称光属性として本来光属性と思われるテンガンのことは本当にめちゃくちゃ応援しています……！

信じてくれて、に関しては否定しておきますわ。
バーナード視点、カストル真は有り得ないし仮に今からヌンキ真を追い直した場合でもキュー狼なのでキュー吊りには大賛同なんですもの。

……なんてね！
最初の出方はどうあれ、あなたは占い師としての役割を、村を勝利に導く者としての役割を、今しっかりと果たしていますわ。
そんなあなただから、当初ほぼ真を切っていたあなたを真だと見ているし、結果としてテンガン-バーナードラインができてともに戦っているのです。
最後まで頑張りましょうお互いに。議論でしかサポートできませんが、あなたのような頼もしい人が運命共同体でよかったわ！愛を込めて。

「……シトゥラ。大事な話がある」

酷く罪悪感を抱きながら……それでも、口を開く。


「あとみだりに裸を見せるのも、いけません」

真面目も真面目、大真面目な口ぶりだった。
これはテンガンの中で常識である。

そして……補足するまでもないが。
つまるところ、これはテンガンの現実逃避でもあった。
テンガンは酷く混乱している。

シトゥラは嫌われたと思ってタオルで体を包みながらポロポロと涙をこぼした。

「わ……わたし、お……おんなじゃ、ないもん……」
「あ……あかちゃんつくれない、から、お、おんなじゃないって……」
「で、でも、ままはそれでいいっていってくれて……」
「お、おんなじゃない、から、おふろいっしょ、できるもん……」
「わ、わたしちゃんと、せいしょくこういできるもん……て、てんがんのかあちゃん、う、うめるもん！！！」

シトゥラが必死に隠していたこと/想いは、“シトゥラ”によって暴かれ



子どものように泣きじゃくった。

いや、どっちでもいいんだが……違うなどちらでも駄目だな……？」

▼テンガンは　激しく　混乱している！

「お、落ち着いてくれ。落ち着け。
……わかった。シトゥラはそれでいい。それでいい事はきっと、間違いない。お前の母親の言う通りだと思う。

だが、どちらにせよ俺は、シトゥラが大事だからこそ、このような状況で、一緒に入る事はできない。
それはシトゥラへの裏切り行為に他ならないと、俺は考える」

「……」

「……大事に、したいんだ。だからシトゥラ。泣き止んでくれ。泣いている顔はできるだけ見たくないんだ。
……見たくなかったんだ」

「だって、だってずっと……ずっとてんがんのおよめさんになりたくて……」
「で、でも、で、できそこないで、あ……あかちゃんうめないから……」
「あかちゃんうめないから、お、およめさんになれないもん……」
「でも、せ、せいしょくこうい、できるから、およめさんになれなくても、せ、せいしょくこういしたい、から……」
「お、おふろ、いっしょにはい、はいりたいから……」

しゃがみこみ、タオルに顔を埋め泣き続ける。
“シトゥラ”は自分勝手な愛を、エゴをあなたに投げつける。
それは本来シトゥラが抱えたまま朽ちようとした感情で、シトゥラの本音そのものなのだ。

「……」
「…………」
「なるほど」


理解をした。今？今するか？？

「……ええと。シトゥラ。まず、誤解がある。
俺は子供が埋めるかどうかで相手を選ばない。選ぶつもりは、ない。
シトゥラがどういう事情を抱えていようともおよめさんにはなれる。そこは安心してくれ。
俺は以前も言った通り、好意に疎い男だ。働く場所だってこの船の中においては数少ない、危険を伴う場所だ。

だから、俺と共にある事は……シトゥラを、何度も悲しませる事になると思う。傷つけてしまうかもしれない。
それでも、本当に俺でいいのか」

せいしょくこうい、は一度横に置いて。
海のような青は貴方を映す。

貴方の『望み』を今すぐでなくとも、いつか叶えるために。
この確認は男にとって必要なものだった。