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![]() | 【人】 小泉義哉思うだけじゃなくて>>102、か…… [そこを突かれると痛い。 言葉にするほどの思いなどさほどなかったことを 見透かされたような気になった。 好かれればわざわざ傷つけたくもなし、 付き合ってみるもののやがて粗にも気づかれ ちくちく言われるうちに面倒になる。 振られれば悲しい。しかしそれは 慕わしい女性を失ったからというよりも 自分を好いてくれる存在に拒絶されて プライドが傷ついた、と表現する方が正しい。 結局のところ、表面的には優しげな皮をかぶっているが くるまれた本質は怠惰によって成り立っているのを 鋭い女の嗅覚で感づかれるのだろう。 一抹の後ろめたさこそあれど、 人間なんて多かれ少なかれそんなものと 内心開き直っているのがまた良く無い。 そのくせ、批判はされるのは怖いから どっしり構えることができず 卑屈さがにじみ出てしまう。] (118) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:27:58 |
![]() | 【人】 小泉義哉それは、安住みたいに? [くるくると爪楊枝をもてあそびながら聞き返した。 紛らわしいタイミングだったから 「安住みたいなまともな子」と言ったように とらえられてしまったかもしれないけれど そういう意味で言ったのではない。 彼女のように悠然と構えていられれば 確かに良い相手に恵まれるだろう。 事実、一緒に過ごしていると 肩の力がほぐれ、内向いていた心が解放されるような 人を惹きつける心地よさがあった。 だが同じようにできれば苦労はしないと 苦笑いを返した。] (119) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:29:21 |
![]() | 【人】 小泉義哉[鋭い勘も持たない男は 彼女が明るい笑顔の下で 柔らかな心を痛めていることなど 思いもよらなかった。] (120) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:30:15 |
![]() | 【人】 小泉義哉[結局気の利いた言葉は言えず 押し黙ったまま背中を向けたものの 身なりを整える衣擦れの音が生々しい。 テレビもついていない二人きりの部屋では 些細な音も妙に意識してしまって 今しがた目にしてしまった素肌を ありありと思い起こさせた。 上の空で、彼女の突っ込みを聞き漏らして 「うん?」生返事とともに聞き返そうとすると 不意に空気が動いて、肌を隠した香菜が 追い抜いて行った。 通り過ぎる際、バスローブからのぞく裸のかかとに 視線を鋭くちらっと宿してしまったが、 ごく一瞬のことだったし 彼女はドアに気を取られていたから 気づかれなかっただろう。] (122) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:33:43 |
![]() | 【人】 小泉義哉あ、別にそっちも [制止する前に音を立ててドアが開かれた。 背中越しにも明らかな動揺を見せながら 開けたのと同じ速度でぱたんと閉じる。] ………… [セックスしないと出られない部屋だそうです、 とはまさか言えず。] (123) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:34:13 |
![]() | 【人】 小泉義哉[彼女は状況が分かっているのか分かっていないのか くつろぐための衣服を固く結びあげながら くるくると思考を巡らせていたようだが やがて持ち前の気風の良さを取り戻すと 勇ましくはっぱをかけてきた。] ……まぁ、そうだね。 閉じ込められた以上、入ってきた場所があるはずだし。 出口は分かりにくく隠されてるだけかも。 [安直なAVじゃあるまいし、 まさか本当にシないと出られない部屋ではないだろう。 第一、彼女の言う通り首謀者がいるとしたら 言葉通りに従ったところで解放してくれるとも思えない。 何しろ大人二人を拉致監禁するような相手だ。まともじゃない。] (124) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:35:41 |
![]() | 【人】 小泉義哉[奮い立つ心を分けられて頷いたが 彼女が勇ましくロープの裾をまくり上げると どうにも目に毒で、不自然に目を泳がせた。 威勢のいい料理人の香菜のこと、 袖程度、暑い厨房でもよくまくり上げているのだが 良くも悪くも清潔で健全な仕事着ではなく 性の匂い立つような衣服を身にまとっていると すっと伸びる健康的な二の腕の柔らかさが 不思議に悪魔じみた誘惑を感じさせた。] それじゃあ、俺はこっちの方から探してみる。 手分けした方が早いだろうし。 なんか見つけたら呼んで。 [部屋の雰囲気に充てられて妙な気を起こさぬように 適当な口実をつけて香菜に背を向けたものの ものの数秒もしないうちに何かを見つけたようだ。] (125) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:36:37 |
![]() | 【人】 小泉義哉…… はぁ …… あのさぁ、 [凍り付いた時間を溶いたのは、男が先だった。 小さく嘆息すると、諦めたように頭を振って ずかずかと歩み寄った。 彼女が数歩下がろうとも 狭い部屋ではそう身も引けないだろう。 成長してからはついぞ無かったほど近くに身を寄せ バイブを握る手を取り、もう一方の腕は彼女の腰に回した。] (127) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:38:53 |
![]() | 【人】 小泉義哉香菜は忘れてるみたいだけど、俺も男なんだよね。 ……自分が大事なら、挑発しないでくれる? [触れた指先が、強烈な電気のように 彼女の腕の細さと、頼りない腰の柔らかさを 脳に伝えてきて驚いた。 まずい、とどこか冷静な自分が警鐘を鳴らす。 だがそれ以上に酷く乱暴な気分になっていた。 色っぽく考えないように、と意識をそらしていたのに 能天気にアダルトグッズを見せびらかす彼女が腹立たしい。 まさか成熟した肉を持つ彼女が 使い道を知らぬとは思いもよらず。 こんなのは人として最低な行為だ、と理性が叫び、 同時にどうにでもなれという投げやりな暴力性が 嵐のように胸の内に渦巻いた。] (128) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:40:12 |
![]() | 【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜こんなふざけた部屋に二人きりで、 バイブ持って男に声かけてさ、 香菜はからかってるつもりでも、 ……抱くよ? [玩具を握りしめた手を上から強く握ると 電源を押したのだろう、 ぶぶ、と低い唸りを上げて震えだした。 ぐ、と更に体を引き寄せれば こちらも気の抜けた部屋着のこと、 密着した腰が、既に昂った欲を伝えただろう。] (-71) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:42:12 |
![]() | 【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[彼女の方がいくらか背が低く、 艶々しい髪が甘やかな香りを放つのをまともに吸い込んだ。 幼い日にその髪に口づけたことを思い出せば どうしようもないほどの切なさと罪悪感に 血の味を感じるほど強く唇を噛んだ。] (-72) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:43:53 |
![]() | 【人】 小泉義哉……ごめん。 ちょっと、頭冷やさなきゃいけないみたいだ。 [何がきっかけだったか。 我に返ったのは、ほとんど奇跡と言っていい。 白くなるほどきつく握りしめていた手を解放すると 頭を振って彼女から離れ、床に向かって謝罪した。]** (129) kumiwacake 2021/06/05(Sat) 20:44:25 |
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![]() | 【独】 小泉義哉/* 待って今更ながら最後の秘話 そっち!?状況的に「泣くほど嫌かそりゃそうだよなごめんな」て思ってたのにそっち???? (-81) kumiwacake 2021/06/06(Sun) 0:18:32 |
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![]() | 【人】 小泉義哉[恋の戯れにおいて何の面白みもない朴念仁のこと 思わせぶりな駆け引きのつもりは毛頭なく 急に沈黙した>>130幼馴染を不思議そうに見やった。 「どうかしたの?」と問いかけるよりも先に ずっと店内にいた初老の男が香菜に呼びかけた。 そこそこの時間邪魔していたこともあり そのタイミングで小泉も帰ることにしたのだが 店を出ると、今しがた会計を済ませた客が呼び止めてきた。 彼は幼馴染の父親で、古くからの付き合いがあり 幼いころには「子猿どもめ」と可愛がられていたのだが 成長するにつれて小泉の方はすっかり疎遠になっていた。 呼び止められた理由が思い当らず きょとんとしていると、男は嘆息した。 「お前は悪い奴じゃないが、最悪な男だなぁ」 しみじみとした呟きが、夕刻の雑踏に紛れ込んだ。] (153) kumiwacake 2021/06/06(Sun) 10:10:38 |
![]() | 【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[重ねた指のすべすべしい調子や 指のはまるほどくびれた腹や、くるくると回る瞳の揺らぎに 淫らな予兆を嗅ぎ取って、ますます猛りが昂った。 このどこまでも清潔な香菜が 幾枚もの皮にくるんで心の底に隠している欲念を 自分の雄の力で掘り起こしてみたくてたまらなくなった。 それを他の男に任せるのが妬ましくてたまらなくなった。 長い髪に五本の指を挿し入れ、かき乱し、 思いのままに彼女を揺さぶる様を夢見ながら つやつやしく光るその髪に口づけを落とす。 すると熱い息吹で喉元を焙られて ますます彼女の胎の中に自らを捧げたくなる。 喰われるのは自分かもしれないと茫洋とした頭で思った。] (-89) kumiwacake 2021/06/06(Sun) 10:13:56 |
![]() | 【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[しかし香菜はやはり清潔で、 淫らな予兆と感じたのは小泉の思い違いでしかなく、 緊張と怯えによってすっかり体が固くなっている。 視線が交錯することはなく、濡れたように輝くまつげが 小さく、時間をかけて、揺れた。] (-90) kumiwacake 2021/06/06(Sun) 10:14:30 |
![]() | 【人】 小泉義哉[その時、淫らな部屋の何もかもが消え失せて 神聖な境内の、穏やかな木漏れ日が降り注いだ。 穢れを知らぬままの香菜が、白い花々の冠を乗せ 照れくさそうにまつ毛を伏し、ゆっくりと瞬いて、 溢れんばかりの幸福を宿して微笑む様を、見た。] (156) kumiwacake 2021/06/06(Sun) 10:15:27 |
![]() | 【人】 小泉義哉[手分けして探索したものの、碌な働きはできなかった。 さして広くもない密室でのこと、 性の欲望が渦巻いていても解消する術はない。 だがそれ以上に、先ほどの美しい幻想が 今度はもやもやとした蟠りとなって胸の中で重く凝る。 彼女もいつか、幻想ではなく 現実で花嫁となる日が来るだろう。 どっしりと構えた彼女のこと きっと良い相手に恵まれる。 彼女は秘密主義だから 今既に交際相手がいるのかもしれない。 自分は心から祝えるだろうか。 あの幸福な微笑みで他の男を見上げる様を 笑顔で見守れるだろうか。] (158) kumiwacake 2021/06/06(Sun) 10:17:15 |
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