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【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡あくまで、責任者然として男は留置所へと踏み入った。 おそらくは部下の何れかがあげたのだろう目標の取調べの一環として。 正式な手続きを踏んで下って来たのだから、何くれと言われる筋合いもない。 重ねて、これからの取調べを有利にするための布石だなどと言ってしまえば、 連れてきた人間も丸め込むことは出来た――おそらくは、だ。人の心などわからない――筈だ。 堂々たる姿勢をどう捉えるかはさておき、相手は確かに重鎮だ。 周りと多少違う対応を取られるのは、おかしな話ではないだろう。 そんな奥まった場所の部屋の前に立ち、壁を指先で叩いて音を出す。 直接叩き起こせもすればこそ、今はそうしたこともできない。 「随分な姿だな、黒眼鏡」 声音には、数日前に見せたものとも違う隔たりがあった。 こっちが正しい姿で、正しい対応で。マフィアの幹部に対する声の掛け方だ。 外よりもいっそうに冷えた廊下に染み入るような、重たい声だった。 (-266) redhaguki 2023/09/19(Tue) 0:24:08 |
【秘】 黒眼鏡 → 檻の中で イレネオ「 う ご」「っ、」 「っ、……っく が」 ぶふ、と、蛙が咳をするような濁った音が響く。 アレッサンドロが息のようなもの吐くたびに、ぽたぽたと赤い飛沫がテーブルか床かを汚した。 ぐらん、とその首が大きく傾いで、どうやら脳にまで震動がいってふらりと目線が回転する。 ──だがそれを、あなたも見ることはないだろう。 四肢から中途半端に力が抜け脱力しかけた体は重く、 それでも放り投げるならば土嚢か砂袋と同じようなもの。 ごづん、と。 柔らかくも鈍い音を響かせて、 「っ、 ……っげほ、……げほ 、…っ、」男は背を打ち付け、せき込んだ。 何か言おうとするが声にならなかったらしく、 ぺ、と血の混じった唾を床に放るだけになる。 苦痛と衝撃に歪んだ眦が──それでもあなたを、見上げている。 逸らすことなく、じいと、まっすぐ。 (-268) gt 2023/09/19(Tue) 0:31:14 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡人体というよりは、物が放られるような音だった。 どたん、ともばたん、とも取れる音。重たさだけははっきりと伝わる音。その後、ごづん、とまずそうな・・・・・音。 赤やらそれの混じった透明を撒き散らして、荒い息や呻きを漏らして、なおも無抵抗を貫く貴方を見ている。 男は見ている。上から。じっと見下ろしている。 その呼気は目立って荒かった。 ぬちゃ。 そろそろ溜まり始めた血溜まりを磨かれた靴先が踏む。 ちゃ。ぬちゃ。ぬち。 塗り拡げるように踏む。踏む。 そうして踏み出せば、上背が室内灯を遮るか。 一層暗くなる堅炭を一層盛る焔が見下ろしている。 さて。 それでも貴方が動かないのであれば、これはぶらりと────ストレッチをするように左の手を振り。 そうして再び、今度は馬乗りになるようにして、貴方の胸ぐらを掴もうとした。 (-286) rik_kr 2023/09/19(Tue) 1:50:19 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ/* こちらももうちょっと色々ダニエラさんとやっておきたかったのですが、 これはこれで……(過去にも多分ゆったりと交流してたんだろうなという感じではありますし) 機会をみて色々やっていければ嬉しいで〜す! ジェラート屋さんはアレの仕込みが色々してあるので、実はまだ使えます…! そのうちふっとメッセージがくるかもしれません。 荷物に関しては見ても見なくてもぜんぜん! だいじょうぶなのですが、開ける際はご一報いただければだいじょうぶです! アレッサンドロとしては、ダニエラさんの手元にあることが大事なものですので。 業魔窓みえてます!ルチアーノこいつ…(後方保護者面) そして状況ある程度確定しつつあるので、多分いつでも大丈夫です! 最期までよろしくお願いしますね。 (-289) gt 2023/09/19(Tue) 3:03:53 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡髪触るの、好きなの?と聞いたことがあったような気がする。 だから、あなたがそうやって触る時。自分から髪を巻きつけたりしたものだ。 さらさらとした髪質は、そうしたってすぐ解けて広がったから。 「っん……あ、ぁっ…」 断続的な甘い声が、あなたの傍で響いている。 指の沈んだ秘部をしばらくそうしていると、包み込むような柔らかさに変化していく。 かといって緩いわけでもなく、中に入ったものを抜こうとすれば吸い付くような。 「ん……うん」 はあ、と息を吐いて。 少し呼吸を整えた後、押し付けられた性器に手を伸ばす。 自分の手できもちよくなってもらうのも、好きだから。 下着の上から、あなたのそれを指先で責めていく。 あなたがまだ、自分でも責めたいのなら。 好きなように体勢を変えてもいいと。 口付けの合間に、また囁くのだ。 (-292) otomizu 2023/09/19(Tue) 4:18:12 |
【秘】 pasticciona アリーチェ → 黒眼鏡ぽかんとしたような表情から一転、困り笑いを返す。 勝てないなあ、本当に。と笑いかけて、 「今のちょっと、……ずるいなって思いました。 ……さすが悪党さんですね。人心掌握に長けていると」 拗ねたように唇を尖らせるが、内心そう呟く程度には貴方の言葉が嬉しかった。 神と人を同列と言う点だって、貴方の視点から見ているのであれば特に引っかからず、気遣いの言葉に聞こえたから。 どちらか片方に偏り過ぎず、常に均衡を取るのを命題とするバランス感覚だって持っている。 こう言うのは何て言うのだっけ。ギャップ? 「……見透かされているようで、お恥ずかしいですが、 ……そうです。優先すべきことがあるから、意図的に罪を犯します。犯したい訳ではないなんて、ただの言い訳ですから」 善い女、と言われれば、 虚を衝かれたように返答に困ってから、頬に少し赤みが宿る。 「共犯者さんをあんまり揶揄わないで下さいよ、もう……」 わたしの愛とは、なんだろう。 どうしてか、そうして肯定されてしまうと弱くて、怖くて、 ぐいぐいと引っ張られ気づけば墓地にたどり着いただろうから、先ほど感じた恐怖の正体を深く考えずには済んだ。今は。 (-294) poru 2023/09/19(Tue) 4:28:51 |
【秘】 黒眼鏡 → 法の下に イレネオ「ふーっ……」 がふ、と呼気に混じって吐き出された粘ついた血と涎が、襟元に滴りまだらに汚す。 ふん、と鼻をひとつ慣らすと、ぼたりとかたまりかけた血塊が腹のあたりにぼたりと落ちた。 広がっていく血のあとに、あらたな鮮血が重なり、広がっていく。 「………ぁー…」 「……」 何か呟いているようだが、がらがらとした血のあぶくに塗れて良く聞こえない。 馬乗りにされて引き起こされても、 あっという間にはれ上がった瞼に視界が圧迫されてもなお、 あなたから目を逸らすことはなかったが。 (-296) gt 2023/09/19(Tue) 4:42:31 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオあなたを送り届けた職員は、何も言わずその場を辞していく。 何者かの意思が介在しているのかは分からないが、 少なくともあなたの邪魔をする気はないようだ。 「んぐ」 呻くような声。 見れば顔のあちこちは腫れあがっており、瞼が片方閉じ切っていない。 喧嘩と暴力を常に帯びていた以前ならばともかく、 ここ10年程のアレッサンドロが顔に張り付けるにはあまり見たことのない様相だろう。 「おう、旦那。 警察署にこんなスイートルームがあるとは知らなかったよ。 ガイドブックに乗っけた方がいい」 上体を起こしながら、ベッドの上にあぐらをかいて座る。 こちらの様子は、代わりはしない。 対面するものの声色が変わっても自分の態度を変えないのだから、 この男の性根が知れるというものだ。 (-297) gt 2023/09/19(Tue) 4:56:37 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ「……、ん、……」 ぴちゃぴちゃと、滲む愛液をかき回す音がする。 肉と肉が触れ合い重なり合って、体温と鼓動が交じり合う。 浅く優しく、推し引きするよう前後していた指で、 奥底に、奥に、その刺激をさらにかきたてていく。 充血し熱を持っていく女の体を、ぎゅう、と一度強く抱きしめて。 「、フィオ」 触れられる感触に、息が弾む。 口づけの合間に意味を持たない言葉が挟まり、口づけがそれをまた塞ぐ。 手さぐりだけでお互いの性器に、体のあちこちを探り合ううち、 ベッドに敷かれたシーツがひだが重なるように乱れていく。 そこに、女の体をまた深く組み敷いて。 「……」 ──言葉は少ない。 覆いかぶさって、自分の体であなたの両足を押し開いて、 体重を深くかけながら、奥へ、奥へと沈むように。 さらりと、耳元の髪を、かきあげる感触がして── ふと、あー、と熱のこもる声がして。 「アレねえわ」 ──言葉がようやく出てきたかと思ったら、片手落ちの報告だった。 (-300) gt 2023/09/19(Tue) 5:53:13 |
【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ「はははは、そうだな、人を食い物にするのがマフィアだろ。 その辺は昔から……」 「いや、ガキのころは"女はなるべく殴らない"くらいしかしてなかった。 あれだな、まあ、トシくったからだな」 謙遜か照れているのか、あるいは自虐か。 なんともくだらない発言をぼそぼそ。 それでも──おそらくは、根っこの部分では、この男は自らを否定はしていない。 だから顔を伏せることはなく、直ぐに前を見ているのだ。 「ならいいさ。自分を裏切るのも自分を信じるのも、 結局は自分にしかできねえ」 そうして赤みの差した頬を見ているのかいないのか、 からから、揶揄ってねえよお、なんて笑い。 「愛とは旅路であり、目的地というわけじゃない。 ハハ」 「あれこれ悩むとわからなくなるが、 悩みもせずに本物だとは信じがたいわ」 墓地に敷かれたコンクリートの通路を踏みながら、 悪党はあなたに、あるいは自分にそう言った。 (1/2) (-307) gt 2023/09/19(Tue) 6:47:08 |
【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ「──っと。 つっても、結構近くにあるんだよな。 "A"だから」 墓地に踏み込み、―─話しているうちすぐに、アレッサンドロは足を止めた。 アルファベット順に、機械的に並べられた人名を辿ればその墓標は見えてくる。 【 Alison Waterston 】 花束の一輪もない、恐らくは無縁の墓。 きっと彼も訪れたことのない、誰かが眠る場所だった。 (2/2) (-308) gt 2023/09/19(Tue) 6:50:08 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡ああ、と。顔を見た瞬間に嘆くような吐息が唇から溢れた。 かつて視線より先に拳を突き合わせていた頃、貴方がこの地位でなかった頃は、 それこそ自分の手でこの留置所に叩き込む勢いであったこともあったろう。 実際に叶うことがあったかどうかはさておき、今更取り立てて言うことなんかじゃない。 腫れた顔だって、なおさらだ。 にも関わらず男は、人目もないのを良いことに格子の向こうで片膝をついた。 僅かばかり境界線を越えて、指先が部屋の中へと侵入する。 冷たい床を、素爪が叩いて僅かな埃を書いた。 スカイブルーの裏側がどんな色をしているか、だなんて。 こんなに暗いところでは伺い知れないかもしれない。 ただ、常より僅かに伏せがちの眦は、瞬きも少なにじいと貴方を見ている。 「誰にやられた」 と。ほかに聞かれぬように沈めた声は、炭の奥底のようにちらついていた。 (-320) redhaguki 2023/09/19(Tue) 8:15:18 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ「転んで顔をぶつけてね」 チャオ、なんて掌を見せながら、おどけて言う。 それはいつだったかのはるか昔、 珍しく喧嘩に負けた時のアレッサンドロが悔し紛れに発していた言葉だ。 だがその時とはまるで違い、まったくもってどうでもよさそうな態度は剥がれない。 「旦那、今怪しげなことしないほうがいいぜ。 俺と話しただけでしょっぴかれたやつがいるらしいじゃねえか? トシなんだから、大人しくチェスでもしてな」 ごろり、と再び横になり。 「こんな悪ふざけ、すぐに終るさ」 からからと口元が笑う。 (-338) gt 2023/09/19(Tue) 10:17:45 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡男は。 貴方の言葉を、まるで、聞いていない。 けれど。 肉食の獣は、動くものにこそ反応する。 それがどんなに小さな揺らぎであれ、 動くものにこそ惹き付けられるのだ。 貴方の唇が震えているのを男の目は捉えた。喘ぐのではなく痙攣するのでもない故意の動作を見た。機械的ではないそれが目を惹いた。血の色が薄暗くてらてら光るのが金色に反射した。 貴方の胸ぐらを掴んで。 引き寄せる。また、見つめる。 首を傾げて、────口元が弧を描いた。 ▽ (-372) rik_kr 2023/09/19(Tue) 12:56:03 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡そうして、 べろ 、と。厚い舌が、顎から鼻筋までをなぞるだろう。 貴方のかんばせを染めた赤を、これは不躾に舐め上げる。 飼われた犬が親愛を示す仕草に似ていた。似ていただけ。 (-373) rik_kr 2023/09/19(Tue) 12:58:01 |
【秘】 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ胸倉を引き寄せられ、舌が顔を這いなぞる。 けだもののような男のふるまいに、 アレッサンドロは僅かに顔を顰めた。 それでも噛みつくように歯をむきだして、 笑みの形に唇を引き絞る。 「マフィアの味でも覚えたか、犬ころ。 そのまま猟犬に格上げされるなら、 都合がよかったんだが」 零れた血、乱れた呼吸、ぎりぎりと締めあげられた血管が、 その顔を白く赤く染めていく。 か細く震える声はただ、 「お前はダメだ。 ヤク中みてえに扱いづらいし、 プランの邪魔になる」 ──それでもなお、自分の都合ばかり言うのだから、 根っからだ。 あなたの暴力をどれほど受けても、アレッサンドロは待っている。 引き金が引かれたあと、その銃弾に文句をつけるやつはいない。 (-402) gt 2023/09/19(Tue) 16:46:03 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡「お前のためじゃない。俺が安心したいからだ。 こんな機会に乗じて頭から落としていくような豪気な奴を残してなんかいられるか。 終わった先でまた狙われでもしたら厄介だし、面子に関わる問題だろ」 微かな苛立ちで声の調子が跳ねた。廊下に響く前に、そうっと抑えられはしたが。 自分のことでもないのに、小暗い感情が瞼の内側をちらつく。 別にそんなもの貴方が気にしてやらなければいけないものでもないが。 どうせ、離れゆく他人だ。二度と交わりはしない。 「どうせこれで最期の捕物になる。お前と俺は立場も、後ろ盾の在り処も違う。 それとも、お前のせいで何の罪もない奴が同じ目に遭わされる方がいいか? 警官連中でないならお前の下の人間がお前を売ったのかもしれないものな」 (-406) redhaguki 2023/09/19(Tue) 17:04:30 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡/* お疲れ様です。 周囲が立て込んでおりますが、(PLが)お話したいので捻り出そうとしているところです。 今晩までには開始を送るつもりです…ので、そのつもりでいてくだされば! よろしくお願いします! (-409) oO832mk 2023/09/19(Tue) 17:15:30 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ「やっぱ旦那も、そう考えるよな」 苛立ちも目の奥の熱も。 背中合わせに燃える炎を、 その輻射だけで感じて、笑う。 「大丈夫さ、旦那」 ごろん、と再び転がって、上体が僅かにそちらを向いた。 黒い瞳は、燻る堅炭。 その爆ぜる火の粉を黒い眼鏡の奥に隠して、 くろぐろととぐろを巻き燃え盛る。 「もう残っちゃいないからよ」 ──確信したような口ぶりは、いかなる故か。 再びごろん、と頭が落ちて、その瞳も口元も良くは見えなくなってしまう。 「旦那はまぁ、どうにかするだろけどさ。 俺もせいで警官サンとか、若ぇのがブチ込まれたら、まあそれは申し訳ないなー。 それは嫌だな、うん」 売られたかどうかについては言及ナシだったので、あんまり気にしてないのかもしれない。 (-417) gt 2023/09/19(Tue) 18:24:43 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡かつ、かつ。 革靴の底が床を鳴らす。 軟らかなくせ髪を揺らしながら、まっすぐに女は通路を進んだ。 そうしてとある鉄格子の手前で女は止まる。 ノッテファミリーの幹部。そして今は、反社会組織取締法の下投獄された罪人。 …静かな声で、その名を呼んだ。 「…アレッサンドロ・ルカーニア。」 眼鏡は外していたから乱視で視界はボケていた。 そんな、ミントブルーの瞳が、檻の中を映す。 (-425) oO832mk 2023/09/19(Tue) 18:50:44 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「がー……」 …いびきだ。そいつは、ベッドの上で腕を枕にねころんでいた。 見れば顔のあちこちは腫れあがっており、瞼が片方閉じ切っていない。 ここ10年程のアレッサンドロには、似つかわしくはない… けれどなにより、彼らしいよそおい。 とりあえずは、生きているようだ。 今の様相は、動物園でひっくりかえるパンダのようだけど。 (-426) gt 2023/09/19(Tue) 18:58:32 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡さあ、それだけ近づけばその声も聞こえるだろうか。 きっと相変わらず、腫れや出血で聞き辛い声。あまつさえ男の舌に押し潰された唇はさぞ動かしづらかったことだろう。 それでも貴方は話すのを辞めなかった。 そうして耳に届いた音を、男はきちんと言葉として受け取ったらしい。 それすら聞こえないほど人性は失っていなかった。けれどやはりもう、その言葉を受けて返す表情も、言葉も変わってしまっているのだ。 「ふふ」 笑って。 「そうだな」 「覚えるとしようか」 「そうすれば随分追いやすくなる」 「犬が匂いを追跡するみたいにな」 「お前は濃い、教材に良さそうだ」 「俺はお前たちを狩る犬になるよ」 三日月に歪む口から牙が覗く。 口元は赤く、赤く汚れている。 その姿は、まさしく獣だった。 ▽ (-429) rik_kr 2023/09/19(Tue) 19:03:56 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡しかし────ふと。 耳がその単語を拾う。 男の表情がまた、変わった。 「プラン?」 さて。 笑みはすうと消えただろう。これは真面目な刑事の顔。 汚れた口元は貴方のシャツを引っ張って拭った。それでも残った分は舐め取って。 「お前」 「まだ何か企んでいるのか」 馬乗りの状態からは引かないまま、胸ぐらを掴む手だけ緩めてやる。 話しやすいようにという配慮らしかった。既に随分な暴行を加えられた貴方に対して、気遣いも何もあったものではない。 とはいえ────高揚の残滓がまだ男の中に燻っているのは明白で。 貴方がちょちょいと煽りでもすれば、また男のスイッチはそちらに振れるはず。 (-430) rik_kr 2023/09/19(Tue) 19:06:49 |
【秘】 pasticciona アリーチェ → 黒眼鏡「ふふ、年と言う程まだお年でもないでしょう。 落ち着きを年月と共に身に着けられる人は、 私からすると見習わなければならない方になります。 ……マフィアの方から見習う事が多いんですよね、私」 女は年をとっても何もまるで変っている気がしない。 成長のなさに自分に呆れてばかりだから、真っすぐに前を見ている貴方が少し眩しくみえるのも当然かもしれなかった。 「あ、はは。耳に痛いなぁ……そのおことば。 目的にしてしまいがちで、手段にもしてしまいがちで、 正しさではなく、悩んだ先に本物の愛が見つけられれば 神がいなくとも、生きていけるのかもしれませんね」 ここで言える事はないですが。と苦笑しながら小声交じりにそう言って。 Aの文字列を探して、その墓標の名を目にすると目を瞬かせる。 「……アリ、ソン?」 それは今朝何かの手掛かりになるのではないかと走り回った結果得た某資産家と偶然にも同じ名前で。 知人のマフィアに尋ねても何も洗い出せなかった名が、そこに唐突にあって。少し驚きを隠せなかった。 だがそれもほんの少しすれば失礼だと恥じて、もし隣の彼に動揺がバレていれば頭を下げてから、膝をつき祈りながら十字を切って胸元で手を合わせた。 (-435) poru 2023/09/19(Tue) 19:44:33 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡「…………」 その姿に、小さく吐息をひとつ。 …嘆息。いいや、安堵だ。 だけどしかつめらしい表情は変わらない。 すう。少し大きく息を吸い。 「アレッサンドロ・ルカーニア!」 もう一度。 (-438) oO832mk 2023/09/19(Tue) 19:55:23 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「んが」 がたん、と音がして、暢気に組んでいた両足がびくんと解ける。 「……」 しばらく、沈黙。 むくりと上体が起き上がり、 「あー……。 ダニエラ。何してんだ」 起き抜けの一言としては、自然だったけれど。 拘留されたカポ・レジームらしからぬ態度と言葉で、 かりかりと頭をかいた。 (-443) gt 2023/09/19(Tue) 20:36:20 |
【秘】 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ獣のように笑うあなたの顔を、言葉を、 なんだか眩しそうに見やる。 あるいは、腫れた瞼に塞がれつつある視界が狭苦しくて、 そうなったのかもしれないが。 だがそれも、真面目ぶった笑みの中にすう、と消える。 「企んでいるっつうか、 まぁ、ほぼ終わったっつうか」 だけどなあ、と眉を顰める。 もうちょいかな、なんて首をひねり。 「──ああ、そーうだ、アリソン。 アリソン・カンパネッロ。 取締法、あいつのおかげでできたんだろ。 感謝の言葉のひとつくらい、言ってみたらどうだ」 ぱ、と。またわざとらしい笑みを――随分不格好だったが――浮かべて、 目の前のあなたに提案した。 (-445) gt 2023/09/19(Tue) 20:40:21 |
【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ「俺もそのつもりだったんだがね、なってみるとこれが… もう若くはないなあ、といつも思うが」 「マフィアは悪党だが、見習うこと自体はいいことさ。 ──マ、反面教師にしておくのが一番だけど」 うむう、と唸るように頭をかく仕草も、 あなたを諭すんだかマフィアを腐すんだかわからない言葉も、 男が行えばとても自然で――きっとそういう顔を身につけるために、 彼の人生があったのだろう。 そしてその横顔は、そうした言葉を素直に言えるあなたを 眩しそうにちらりと見て。 「神に愛があるのなら、 本物の愛を、 人生をかけるにたるものを祝福なさるはずだ。 ──教会できくそれが、愛のことでいいならね」 男の顔がふい、とあがる。 その顔は共同墓地を囲む柵と木々の向こう、 教会の鐘楼を見上げていた。 「いいや、そうだな。 同じ愛なんかなくて、 そいつにとって最も大事なことは、 そいつにしかわからない」 (1/2) (-446) gt 2023/09/19(Tue) 20:48:59 |
【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェあなたの動揺には、気が付いていただろう。 それでもあなたが"アリソン"に祈りをささげる間、 彼はずっと、鐘を見上げていた。 (2/2) (-447) gt 2023/09/19(Tue) 20:49:50 |
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