>>43 コトネ

…………っ。

つんけんしてみせているとか、してない。
そう勝手に取っているのは君の方だろう？

[　　なんだ、こいつ。
　　 あの人に似ているとか、一瞬でも思った僕がばかだった。

　　 全然似てない。
　　 子供だし。失礼だし。

半ば呆然としていると勝手に手を取り振り回された。
ぶんぶん、って、握手はそういうものではないだろうに。]

────……気は、済んだ？

[とても久しぶりだった人の体温の温もりには気付かない振り]

>>47 キネイ

[…は"チューニビョー"がなんたるかを知った]
[…は"ヒキコモリ"なら知ってる。知ってるとも]

[しかし何故に自分がチューニビョーでヒキコモリ？キネイの言っている事がさっぱり理解できず、無表情のまま固まっている]

────な!?

撫でて、いらん！いらない！！

[無遠慮に肩掴まれるわ、頭まで触られるわ。こいつの行動は僕の許容量を遥かに逸脱していた]

お前も、そう、コトネもだ。

僕たちは友人じゃない。敵同士だ。
そんな馴れ合いは不要だろうが……っ！

[ああ全く話が通じない。そんな絶望感を抱きつつ]

[…はキネイを見てコトネを見てキネイを見て、そして深く深く深く深く溜息を吐いた]



────もう、それでいいよ。
お前たちが思ってる、それでいい。

でもあまり触れて来ないで欲しい。
それは本当に、慣れてないから。

伝えるべきは伝えないと、と、思ったんだ。
ただ、それだけなのに。

>>55 コトネ

────いや。
先刻程度なのは、まだ、大丈夫だから。

[なんで僕は、遥か遥か年下の少女に宥められるような視線を送られているんだろう。
疑問に思うも、その誤解の解消方法も皆目検討がつかないわけだが。]

あと、陽の出てる時の外出も駄目なんだ。
それは、本当に。

[言葉を紡げば紡ぐほど、２人の子供から"大丈夫だよ"って視線が返って来る。

それをどうにかせねばと思うのに、僕にはどうすることもできないまま、"ゲーム"は無慈悲に進もうとしていたのだった。

"昼夜逆転"なんてものとは関係ない。ジリツシンケー云々も。

日光アレルギーなんてものでもない。
太陽を直視すれば瞳は焼け落ち、肌は瞬時に砂となる。

日傘などというものも、当然ながら全く意味を成さない。

そも、大体、僕は悩んでなど居なかった。
指の間をただ滑り落ちていく日常に倦んでいただけ。

でも、何をどう判じたものか、２人の子供は"仲良くしよう"とか、"仲良くできる"とか。

意味不明な事を幾度も繰り返しては僕に近付き、これなら大丈夫？とそっと触れては囁きかけてくるのだった。

　　────なんなんだ。
　　なんなんだよ、お前たち。

　　僕は、お前らの捕食者なのに。

そうは思うも、不思議と憤りの気持ちは生まれなかった。
人に触れられたのも久方ぶりなら、人に間近に笑いかけられたのも数百年ぶりだったのだから。

>>61 >>63 キネイ

────その。
死んだ肉は、食べられない……んだ。

りんごは……食べられる。

[さすがにそろそろ解ってくる。
こんな事を告げると、また憐れみを帯びた風に見られるって事が。
でも実際、口にすると吐いてしまうから、嘘は混ぜずにそう告げた]

紹介…………。

まだ、人は、怖いから。
そのうちな？

[この言い方で伝わるだろうか？
そも自分は何故こんな事で悩んでいるんだろうか。

目眩がしそうだった。]

────あの……ただ、いま……？

[この状況下、果たして"ただいま"が正しい挨拶で良いのかどうか心底悩みつつ]

……………………。

────あ、りが、と……。

["ただいま"も"ありがとう"も己にとっては全く身近ではない言葉。

判っている、そういう己の言動全部が全部"ヒキコモリ"の特徴そのものになってしまっているという事くらい。

でも、だからと言って、これまで全くしていなかったものをそつなくこなせるほどには、僕は器用ではなくて。

ぽそもそと呟きながら、僕はコップを受け取った。]

[えらいと言われたところで嬉しくなど、ある筈も無い。
断じて、無い。
でも、この子供２人がそうして笑っているところを見るのは、そう嫌なものでは無かった。]

　　…………豆？

[食べた事があっただろうかと首を傾げる。
"蛋白質"なるものは、常なら生き血で充分なのだから。]

　食べた事はない。
　食べられる……とは、思う。

[だから正直に答えた。
もう、相手がどう拾おうと、どうでも良いと思いつつ。]

…………でも、今日はもう寝るよ。
すごく、疲れた。

[それはもう。
心底、疲れた。

僕は吸血鬼であることを知られないよう生きてきたというのに。
意を決して告白してみれば、ヒキコモリのチューニビョー呼ばわりで全否定され、"社会復帰"へ向けた謎のレールを敷かれ子供２人に世話を焼かれている。]

────ねえカピバラ。
これが"楽しむ"って事なの？

[自室に横たわり、誰も居ない中空に向かって問いかける。

とんだ災難だ。
とんだ喜劇だ。

だって彼らは、２人共が敵でしか無いのに。]