人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス

「………………、」

きっと、わたしのことを慮ってそう言うのだろう。
でも、そうなったら。
トットも居なくなった今。
あなたは終わるまで一人で、罪を重ねていくのだろうか。

それは怖いことな気がした。
あなたがそのまま、罪の意識なんかも
分からなくなっちゃったりしないか、なんて。

けれど。
選ばれたのなら───無理にでも、あなたは
わたしを連れてかなきゃいけないんだろうから。
わたしの出来ることなんて。
迷惑かけずに連れてかれるか、
無理矢理連れてかれるか。それしか、ないんだろう。



「…………」

頷くしかないことは、分かってるのに。
声が出なかった。
声が出なくて、
手元のホットミルクを、口元に持ってくる。
それをゆっくりと、飲み下す。
(-155) Rurux_is_me 2022/05/08(Sun) 16:20:16

【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ

心まで石になっていく心地がする。
そう思っていた。
けれど、そう思いたかっただけなのかもしれない。
罪の意識に蝕まれないように、心の外側を石で覆っていただけ。
その下にまだ血が巡っていることを、最近知った。

きっとこんな時でも、あなたは自分への負担を考えていてくれるのだろうなと。
それがとても、申し訳なかった。
こんな手段しか選べない自分が情けなかった。

「………」

飲み下されるそれは、無言の肯定だったのだろう。
かつかつと、ゆっくり黒板にまた文字が書かれる。

『ありがとう』
『ごめんなさい』

せめて、苦しみが少なくて済むことを祈るしかできなかった。
(-162) dome 2022/05/08(Sun) 17:12:20

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

血の塩気を求めるように舌が動く。
日常から剥離した味を吸い上げる内に次第に、頭ははっきりとして。
ある時やっとはっとしたように目を上げた、けど。

「……」

貴方の手が優しかったから。これでいいのかな、なんて。
受け入れられたのかと状況を違えたまま、貴方の手を掴んで話さない。
退けられなかった口先はちると、自分でつけた傷に口づける。

どれだけ時間がたったのか。ごく短いものだったかもしれない。
肉食獣のそれのようにざらついた舌が、肉を削るかすかないやな感触。
この場所であれば些細なことかもしれないけれど、それでも。
手首を引き寄せる力をどうするかを決めるのは、貴方の自由だ。
(-169) redhaguki 2022/05/08(Sun) 18:17:59

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

ざりざりと肉が削れるような感覚がして身体が強張る。
頭の奥で痛みが警鐘を鳴らす。
まだ自分には生身の部分が残っているんだ、なんて当たり前で余計なことに思考を巡らせた。

一連の行動を経て、漸くあの夜の姿と青年が重なる。
それは戯れにじゃれついて小動物を害してしまう獣のように思えた。

「………、」

青年を拒むことはしたくなかったけれど、自分の指がどうにかなっては流石に困る。
それこそ噛み千切られて生身が無くなったら本末転倒だ。
頭に置いていた手を、少し顔の方にずらす。
額のあたりをぐい、と軽く押して離そうと試みた。
(-177) dome 2022/05/08(Sun) 19:01:45

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

鈍く動きの悪い頭は、ただ。
ひた隠しに抱えていたものが他に受け入れられたことが嬉しくて。
それが良くないことだと理解したのは、貴方の小さな手で押しのけられてから。
ぱっと顔をあげて口を離す。しばらく、様子を伺うように薄い色の目が貴方を見た。

「……」
「……ご」
「め、ん」

唇の皺には血が濃く滲み、啜った血と唾液が混ざったものが顎まで垂れていた。
自分がしたことに対してどんな言い訳を吐けばいいのか。
頭の回らないまま視線は消極的に下がっていって、うつむいた。

「戻って、いい……よ。
 まだ僕は戻らないから、……森にはいかない、大丈夫」

共に歩いて帰るのは、こんなことをしてしまった後では厳しいだろうと。
指を押さえつける手はなく、貴方に縋りつくだけの指もなく。
いつでもあなたは、自分の好きな時に逃げられる状態だ。
(-180) redhaguki 2022/05/08(Sun) 19:14:30

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「………」

身動きが取れるようになったけれど、
視線を下げている姿が、
それこそ捨て置かれた子どものように見えてしまったから。

まずはポケットからハンカチを取り出して、血が垂れた口元を拭おうとする。
避けられなければ、お返しとばかりにぐしぐしと少し乱暴に拭かれるだろう。
この際汚れても良いかと割り切って。
それから折り畳んで、きれいな面を傷に当てて結んだ。
深刻な傷ではないと思うけれど、念の為。

手当が済めば立ち上がる。
でも一人で立ち去ることはせずに、あなたの腕をぐい、と引っ張った。
大きな身体は、自分の力だけでは動かせない。
青年の意思でついてきてもらわなければ。

『一緒に帰りましょう』

自由になった両手で、黒板にそう書いた。
(-184) dome 2022/05/08(Sun) 19:31:33

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

「……」

いいのか、と見上げる目。
貴方は声は出ないのだから、青年が黙ってしまうと何の音も交わせないまま。
ぱちぱちと、目を瞬くまま見上げる時間があった。

「いいの?」

何に関しての問いかというのは、なんともあやふやなままだ。
日のない内は十分に言葉も話せるだろうに、声に成ったのはそれだけ。
言葉を尽くさねばわからないことさえ、足りないままの小さな言葉。

惑うような沈黙が流れたのは、そう長い時間ではなかっただろう。
それでも焦れて、勿体ぶっているように感じられるには十分なもの。
立ち上がった貴方よりも視線の低い、しゃがんだ身体はようやっと、
ちらちらと辺りに振れる目をひとつに留めて、立ち上がった。

きゅ、と握った手は頼りなく、無事なほうの手を握りつぶしてしまうことのないように。
指の先をちょっとひっかけただけの、とてもささやかなもの。

「……」
「ラピスが、いい」

何が。なんてのはやっぱり、言葉足らずの飾り気のないもの、
貴方が手を引いてくれるなら、貴方の足に合わせて寮への道を歩く。
(-191) redhaguki 2022/05/08(Sun) 19:51:07

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

言葉なく見つめ合う時間があって、短くない間そうしていた気がする。

「!」

やっと指先が引っ掛けられれば、随分上にあるのにどこか今は頼りなさそうな、所在ない表情を見上げて満足気に微笑んだ。
青年の言葉にははっきりとした頷きで返す。
音は紡がれなくとも、それでも少女の浮かべる感情はわかりやすい。
無口な二人は、時に思惑がすれ違うこともあるけれど。
今、一緒に帰ろうと歩む気持ちは同じだった。

『今度は』
『バットくんの手袋の話を聞かせてくださいね』

小さな歩幅に合わせてもらいながら、寮までの道を手を引いて歩き出す。
そうしてそこまで遠くない帰路を辿って、その日はそれぞれの部屋に戻ったことだろう。
(-197) dome 2022/05/08(Sun) 20:11:11

【赤】 高等部 ラピス

深夜。
寮の部屋を抜け出して、空き教室へ訪れた。
気づく同室者も今はいない。

「………、………」

ぼんやりとした顔で、黒板でチョークを削っている。
何度も何度も上から書かれた文字列はもはや何が書かれているのか読み取れない。

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きっと色んなことを私は間違えた。
(*16) dome 2022/05/08(Sun) 20:15:45

【赤】 高等部 ラピス

「………………」

もうすぐ終わる筈だ。

黒板を綺麗に掃除してから、教室を後にした。
もう、ここに誰かが来ることは暫くないだろう。
(*17) dome 2022/05/08(Sun) 20:15:57

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

貴方の顔を見下ろせば逆光になってしまうのだろう。
たとえどんな恐ろしい表情をしていたとしても、
貴方には何も見えはしないのだろう。
だから、そう。そこにある表情が確かな慈しみだと、伝わっていたならいい。
指先がとても熱く感じるのは、血が流れるせいばかりではない。

「……うん」

移り変わった月光が照らす貴方の表情は、とても尊いものなのだろう。
少なくとも青年にとっては、そうだ。
言葉少なな懐いが何であるかというのは、今はわからなくとも。
どうか己が貴方を傷つけてしまわないように。
どうか貴方が己を見守っていてくれるように。
どうか同じ気持ちでありますように。


ふたつの足音は、また明日へと進んでいく。
(-205) redhaguki 2022/05/08(Sun) 20:41:14
ラピスは、人気のない廊下で教師に呼び止められた。
(a49) dome 2022/05/08(Sun) 20:49:19

【独】 高等部 ラピス

《ラズライト。少しいいかな》

人気のない廊下で教師に呼び止められた。
生徒回収を持ち掛けてきた大人の一人。

空き教室へと先導されて、向かい合って机に座る。
アオツキに個人面談をしてもらった時とは正反対で、
たいそう居心地が良くなかった。

目線を緩慢に巡らせて落ち着かない調子でいたら、
ぺらりと、一枚の用紙が机に置かれた。
小さな四角が縦に並ぶそれは、書き込むことを想定されたもの。
つまるところ、問診票だった。
(-208) dome 2022/05/08(Sun) 20:50:12
ラピスは、空き教室で、問診票への記入を指示された。
(a50) dome 2022/05/08(Sun) 20:51:21

ラピスは、事務的に記入を進めていった。
(a51) dome 2022/05/08(Sun) 20:52:08

【独】 高等部 ラピス

《定期検診のようなものだ》
《これに記入してくれるね》

定期的に、ストレス負荷を調査するための問診。
こんなものを書いたところで、この役割から直様解放されることはないのはわかりきっていた。
あくまで、道具が壊れていないことを確認するためのチェッカーだ。

「………」

特に拒否する理由も益も無い。
大人しく、事務的にチェックボックスを埋めていく。

雑談で場を保たせようという気遣いなのか、
良く言えば他愛のない話、悪く言えば興味もない話を
教師はつらつらと並べ立てる。
他の生徒の治療は順調だとか、
負の感情の回収は目標値まで達成されつつあるとか。
どれも記憶に残らないような内容だったけれど、
その後に掛けられたものが、ひどく頭の中に響いた。

《トットとクロノだが、》
《……ああ、お前もだけれどね》
《期待していたよりも役に立たなかったなぁ》
(-209) dome 2022/05/08(Sun) 20:52:38
ラピスは、ある言葉を教師に掛けられた。耳を疑った。
(a52) dome 2022/05/08(Sun) 20:53:23

【独】 高等部 ラピス

「───」

思考が止まった。
ペンを動かす手が止まった。
呼吸が数瞬、止まった。
まず己の耳を疑って、壁掛け時計の秒針が進む音を聞いて、聴覚は正常であることを再認識して。
次いで耳に届いた言葉が、聞き違えたものではないと再認識して。

ふつ、と胸焼けのような感覚がした。

──役に立たなかったとは、なんだ?

目の前にいるのは、一教師であることは理解している。
無思慮なその発言が、大人全ての総意でないことも。
どれだけ私たちが苦しんだのだろう。
望まぬ治療を受けた子も、望まぬ治療を受けさせた子も。
見守ってくれると約束してくれた大人も。

──くるしいね。
──はやくおわって。
──……応援させてくれますか?
──そんなことが、ゆるされるの?
──僕は"病気のこども"じゃなくなるのかな。
──良いことなんて……悪いことの前には……無力で。


色んな言葉が頭を巡った。
その全てを、踏みにじる言葉が許せなかった。
(-211) dome 2022/05/08(Sun) 20:54:00
ラピスは、その言葉がどうしても許せないと思って、
(a53) dome 2022/05/08(Sun) 20:55:27

【独】 高等部 ラピス

がたり、と乱暴に席を立って、
何事かと瞠目する教師の横まで歩を進める。
暴力が短絡的な手段であることは承知していた。
こんなことをしてもどうにもならないことも。

でも、今は"未熟な子ども"である自分の立場を利用してやろうと思った。
子どもの訴えを、その身で味わってもらうべきだと思った。

これが問題行動と捉えられれば、自分の治療を最後に回収作業を止められるかもしれないと、希望的な観測があった。

だから、
(-214) dome 2022/05/08(Sun) 20:55:47
ラピスは、そのまま腕を振りかぶって、
(a54) dome 2022/05/08(Sun) 20:56:05

ラピスは、初めて、怒りのままに人を殴りつけた。
(a55) dome 2022/05/08(Sun) 20:56:11

ラピスは、初めて、ギムナジウムの大人に反抗した。
(a56) dome 2022/05/08(Sun) 20:56:32

 




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