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【人】 狐娘 レイ[ロンが記憶を無くしたことは知らないまま。>>84 それからも何度か泉へ訪れた。 あのとき、子供ながらに誓いを立てた「けっこん」の約束。 今になって思えば自分本位なものであったかもしれないが、 少なくとも指輪を送ってくれたのなら、 何かしら彼にも思うところがあったのだろうと信じて。 二十歳になった今でも操を立てたまま、 日々薄れゆく初恋の思い出に今も囚われていた。 わたしにとっての「おうじさま」は今も唯一人。 なのに、婚儀の日は近づいて。 「だんなさま」になる男の名前を知らされる。 「小龍」という名前の響きが、少しだけ彼に似ていて。 なおさら悲しくなってしまった。 年の頃も近ければ、彼も今回の婚儀に選ばれているかもしれない。 そう思うときゅうと胸が締め付けられた。 なぜその相手がわたしではなかったのか。 今も彼はヴィス族として暮らしているのだろうか。 だが、彼が今も一族に居たとして。 石を投げつけるような一族の子を、再び好きになってくれるだろうか。] (99) milkxxxx 2021/12/02(Thu) 23:21:38 |
【人】 狐娘 レイ[……今、その片割れの方は、ぶすくれた顔で頬を膨らませていた。>>88 彼は男の子だけれとどこか愛嬌のある人だと思う。 表情がくるくると変わるから見ていて面白い。] やっぱり逃げようとしたのね。 諦めないところは、感心するけれど……。 [ミノムシがじたばたとしている姿を眺めながら、 少し呆れたような声を漏らしていれば。 不意に小さくなったジャヤートの声に、小首を傾けた。 彼の後生を聞くのはこれで10回をとうに越えている。 いや、それ以上か。 だが、今回ばかりは彼の肩も持ちたくなるもので、ううんと唸り声を上げた。] (101) milkxxxx 2021/12/02(Thu) 23:22:01 |
【人】 狐娘 レイそれはそうだけど……。 縄を解いたら、ジャヤートまた逃げるでしょう? 叱られるのはいやよ、わたし。 [つんつんと、縄を指先で突付くだけ。 今彼が逃げ出してしまえば、一波乱では済まない気がして頭を悩ませる。 それに……、] ヴィス族だって、悪い人ばかりではないはずよ? [それは、実体験からも言えること。 彼がヴィス族のことをよく思っていないことは知っているが、そこだけは助け舟を出すように、婚儀に前向きなことを話してみたりしたけれど、彼の反応はどうだっただろうか。*] (102) milkxxxx 2021/12/02(Thu) 23:22:32 |
【人】 狐娘 レイ[まぶい子という思い入れは彼が昔からずっと言い続けていることだった。>>54 かと言って、レイ自身もまぶい子認定されるぐらいなのだから、彼の趣味は分からない。 彼の目にかかればきっとシオンもまぶい子だ。] うーん、ヴィス族にも可愛い子はきっと居るわよ? [先程見かけた女の子たちを思い浮かべながら伝えても、今のジャヤートでは素直に頷いてくれはしないだろうが。 代わりに、眩しいぐらいの微笑みを向けられて困ってしまう。 一蓮托生という程ではないが、彼とは同じ村で育ってきた馴染みがある。 まぶい子への強い思いも、自由へ憧れる思いも、共に見てきたから知っている。 つん、と縄を突付いていた手が弱くなり、彼の言のままに結び目へと手が伸びそうになってしまう。 話題が自身のことへと向かったのなら、眉尻を下げた。] (123) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 0:51:27 |
【人】 狐娘 レイ……前向き、ではないわ。 私も逃げ出せるなら逃げ出したいぐらい。 好きな人は、ずっとロンだけだもの。 [ジャヤートに伝えたことがあるその名前をもう一度口にする。言葉にすることで、ロンが居たことが現実であったと自分に言い聞かせるために。*] (124) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 0:51:53 |
【人】 狐娘 レイ[ロンに石を投げつけた兄弟たちは、今や立派な大人になり、リル族で世帯を持っている。 過去に強くヴィス族を疎んでいたことは、レイのひたすら懇切的な説得でいくらか軟化したが、今でも少し蟠りはあるようだった。 だから、今回の付き人には彼らは居ない。 世帯を持っている身分で、付き人をさせるわけにはいかないし、ヴィス族を敬遠するような人を、付き人にさせたくないレイの一存からだ。 レイの付き人には子供の頃から世話をしてくれた中年の女性がついており、身の回りの世話や、荷物を運び入れる作業は彼女が担ってくれていた。 もう、同じようなことを彼らにはしたくはない。 泉に訪れなくなってしまった程、ロンを傷つけるようなことを。 彼らには――。**] (125) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 0:53:05 |
【人】 狐娘 レイ[こちらの動作一つで、ジャヤートのぱっと輝いた顔はしおしおと萎れてしまう。 そのことを少し申し訳なくも思いながらも、きっちりした性格の娘は首は縦には振らなかった。 彼曰く、まぶいは褒め言葉であるということは分かるから。 笑い混じりに言う言葉には、はいはい、と聞き流すようにして受け取っておく。 胡乱げな視線を向けられて、少し自信を無くしながらも、先程見たものが確かならばと頷いた。] 見たことあるわ。 ……多分、だけれど。 ほら、あそこの女の子たち、 きっとそうじゃないかしら? [そうして指先で指し示して彼の視線を誘導する。 彼女たちが先程から場所を移動していなければ、まだそこに居るはずだ。多分、だけれど。] (128) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 8:18:46 |
【人】 狐娘 レイ[乗り気じゃないジャヤートは頭を横にしたままだったか。>>126 ジャヤートの萎れた頭が元気を取り戻せばいいなと思う。 彼に曇った表情はあまり似合わないから。 ロンの話も、見たわけでもないのに鵜呑みにして信じてくれた。>>127 だから、ついつい彼には本音を零してしまうのだ。 見たと力強く言ってくれる彼に、表情を苦く綻ばせた。] だめよ。 そんなことをしたら、おとうさまたちが悲しむもの。 [ロンも大事だが、同じように両親たちもまた大事なのだ。 結び目を目の前にかざされて、少し思案した後に根負けしてしまって、結び目に手を伸ばす。 自由を求める彼に縄は可哀想だと思ってのこと。 結び目は少しばかり固かったが、注意深く手をつければ、緩やかに解けていく。] いい?ジャヤート。 縄は解いてあげるけれど、 親父様達に迷惑かけちゃだめよ? [縄を解いた時と同じように根気よく彼に言い聞かせて見せたものの、伝わったかどうか。 せめてヴィス族の女の子達が、彼のお眼鏡に叶えばいいと願うばかりだ。**] (129) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 8:19:37 |
狐娘 レイは、メモを貼った。 (a20) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 18:49:04 |
【人】 狐娘 レイ―― 泉のほとり ―― [先客に遠慮をして足を止めれば、彼が気づいた。>>158 彼の言葉に、昔似たようなことを言った子が居たと目を細める。>>33] ……懐かしい。 昔、同じようなことを言われたことがあります。 [小さく微笑みを返して、今度は足を止めずに泉へと向かう。 リル族の民はあまり物怖じしない。 例え相手がヴィス族の者であったとしても、好奇心が勝つからだ。 ヴィス族であることを名乗る彼に、緩く首を振り揺らす。] あなた、つよい? [問い掛けに応える代わりに、問いを投げ返して泉を見つめた。 泉には今も、あのときロンが送ってくれた指輪が沈んでいるだろうか。 思い出せば思い出すほど、切なくなる胸を抑えた。*] (162) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 21:19:11 |
【人】 狐娘 レイええ。 私にとっては大事な場所だから。 [彼の言い分に苦笑を零しながらも頷く。>>163 警告されてもなお、この場所に訪れたのは理由があってのことだが、反省の色がないと言われればそれまでだ。 強いと自負するその姿がまた昔と重なった。 でも思い出の彼とは髪色が違う。 過去の記憶は少し薄れ始めていて、今思い出せるのは強く印象に残った赤い瞳と赤い髪と教えてもらった名前だけ。 交わした会話は、いくつか覚えているけれど、形には残らない。] えっ、いいえ。 私は強くは……ないです。 でも、あなたが強いのなら、 少しの間、ここに居てもいいでしょう? [暗に危機が訪れるならば助けて欲しいということを言い換えて、笑って彼に向けた。] (166) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 21:51:40 |
【人】 狐娘 レイ[彼が過去に出会った男の子とは気づかない。 気づいたところで、彼に記憶がないことも知らない。 それでも昔を思い出してしまうのは、 どこかぶっきらぼうな様子がロンと似ていたからだろうか。>>176] そのときは「おうじさま」が助けに来てくれるの。 本当よ、会ったことがあるの。 [くすくすと笑いながら、赤い髪の少年を思う。 いつしか彼につられて口調も崩れてしまっていた。 この時期の泉は少し冷えるかもしれないが、泳ぐわけでもなし。 足を浸すぐらいなら我慢できるだろう。 靴を揃えて、いざ泉に向かおうとしたところで―――、] (179) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 22:44:37 |
【人】 狐娘 レイ……ち、違うの。 そうじゃなくて……、 ……泉に物を落としたから、 それを探そうとしただけで……、 死ぬ、つもり、じゃないのよ……? [あまりの身近な距離にドキドキと逸る胸を抑えながら。 必死に止める彼に少し申し訳なさそうに後ろを振り返れば、 二人の間で尻尾がふわりと揺れた。] (181) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 22:46:03 |
【人】 狐娘 レイ[彼が名乗った名前には聞き覚えがあって。 確かにその名が、言い聞かされた名前と一致する。] ……あなた「が」シャオロン? [初対面の異種族の娘の自殺を慮って、 こうして慌てて引き止めてくれる人だ。 悪い人ではないのはそれだけで分かる。 聞き返した言葉は、暗に自身が婚儀の相手だと応えるように。 改めてまじまじと彼の表情を見つめた。*] (182) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 22:46:34 |
【人】 狐娘 レイ[獣耳をぴこぴこと動かして反応を返す。 彼の目の前で生えた耳はゆらゆら揺れて、しゅんと再び萎れた。] お、驚くと飛び出ちゃうの。 狐には、なれなくて。 耳と、尻尾だけなんだけど……、 先祖還りっていうもので、 家族の中でも、私だけ…… [説明をするつもりがなんだか言い訳がましくなってしまった。 ぱたぱたと尻尾が忙しなく揺れる。 それは腕の中という至近距離であることも十分に理由の一つ。 一度も男に抱かれたことのないレイとっては、離して欲しいなんていう言葉すらも思い浮かばずに、かぁぁ、と熱を持ち始める顔を俯かせることだけに必死だった。] (199) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 23:55:14 |
【人】 狐娘 レイ[旦那様にどんな顔をしていいのか分からなくて、戸惑う。 これから一緒になる人の前で、ロンの話をしていいのかも躊躇った。 だって、自分が同じような状況ならきっと悲しくなってしまう。] うう……、それはそう、なんだけど。 [泉の中を覗き込むことなら何度だってした。 だが、飛び込むまでに至ったのは今日が初めてだ。 それくらい思い悩んでいたのだといえば、そうなのだろう。 泉の深さも知らずに飛び込もうとしたことを、少し恥じながら両手で顔を覆う。] ……笑わないで、恥ずかしい……。 [軽率な行動に今更居た堪れなくなりながら、ぽつりと呟いた。*] (202) milkxxxx 2021/12/03(Fri) 23:57:22 |
狐娘 レイは、メモを貼った。 (a24) milkxxxx 2021/12/04(Sat) 0:11:17 |
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