バーナードの戦闘シーンを現地・映像問わず見たことが、見続けたことがあるのなら。バーナードが射撃戦特化であることはよくよく知っていることだろう。
　接近戦においては訓練の甲斐があってなんとか及第点くらいのものであり、チョコの首を刈ったことについてもバーナード本人が一番びっくりしているであろうことが伺える。

　……バーナードの瞳があなたを捉え、それから。口の動きだけで「びっくりした」と伝えたことだろう。

記録で何度も見たあなたの戦闘シーン（それも貴重な接近戦！）を間近に見られたことに感激していたが、
目が合った上に内緒話をしてもらうというファンサに思わず口元を隠す。



熱い思いを胸に、こくこくと小さく何度も頷き返した。

「エルナト、ちゃんと座って食べること。見学する分にはいいからさ」

　と、あなたの様子を見て笑ったのは模擬戦が始まる前のことだっただろう。

　さて、あなたであれば。僅かではあるがバーナードの動きにぎこちなさがあることに気付くかもしれない。
　接近戦が不得手だからというだけではない、どこか痛むのを隠しているかのようなぎこちなさが伴っていることに、気付くかもしれない。

注意されると素直に着席して、お行儀よく食べ始める。
目だけはせわしなくあなたを追いながら。
そして、あなたの違和感には気づくだろう。それが何を意味するのかは分からないが。



看守なりにあなたの身を案じはするが、口には出さない。あなたが受けると言った真剣勝負の邪魔をしたくはないので。