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![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ きっと紙幣を散らそうと、 金を遠くへ投げようと、 薔薇の血の通う限り 逃れられない牙だった。 ──今此処に生きているのだって、 唯、奇跡のようなもの。 …あの夜の夢も、大概酷かった。 背中に残る傷を背負い、獣の唸りを耳元に聞く。 そりゃあ良い夢なんか見られようはずも無い。] (183) is0716 2020/05/19(Tue) 21:40:09 |
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![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ 薔薇ばかりの咲き誇る、中庭。 外からは見えないし、滅多に邪魔の入らない、 男にとっては、第二の私室のようであった。 散りばめられたベンチにも、座るのなぞひとりくらいで 中央に座すガゼボには、ラタンの家具が詰め込まれ… “第一”の私室に比べて、だいぶごちゃごちゃしていた。 本棚のラインナップも、 随分と“大衆向け”に変わっていた。] (185) is0716 2020/05/19(Tue) 21:43:20 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー( ほとんど客を通すことのない、 そういった部屋だ。 良く知る執事も、ホットミルクを置いて 直ぐ、何も言わずに消えている。 ) (186) is0716 2020/05/19(Tue) 21:44:03 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサーふふ、 彼らももう諦めているよ。 君を“連れ込む”のも、僕が外に出ないのも。 それとも、もっと好待遇が良いのかい? (187) is0716 2020/05/19(Tue) 21:44:25 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ ──先ずはドレスを着るところからだな。 ソファに沈み込みながら、マグに口を付ける。 微かにブランデーの香り。 アルコールなんかとうに飛んでいるけれど、 温かさに解れた舌はさらりと 悪態を受け流していた。 見上げれば、まあるい月。 燭台の明かりなど、必要もないかもしれない。 すこぅしずつ、 頬にも色が差していた。] (188) is0716 2020/05/19(Tue) 21:45:27 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー──香りが良いだろう? 特に紅はいい。 僕の色だ。 元々百合園だったのだがね、僕は好かなかったんだ。 息苦しいような気がして── (189) is0716 2020/05/19(Tue) 21:45:49 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ “リドル”の家の証は、百合であった。 二十年前、前“リドル”が死んだ時まで、 薔薇の咲き誇る屋敷になったのは、つい最近のこと。 ──知らない、というのが、 心地良いときだって ある。 外に出ない以上、新しい景色を見ることもない そんな男にとって 目の前の彼女は、 ──確かに、目であるのだろう。 碧の、 未来以外を映す、 ] (190) is0716 2020/05/19(Tue) 21:46:32 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサーこの薔薇は食用だよ。 パンの代わりに薔薇を食べるのだって良い。 [ ──大して腹には貯まらないけれど。 そうわらいつつ。 窓を薄く開け、いくつか花弁を手折ったなら、 硝子と、マグにひとひらずつ、香りを足すように。] (191) is0716 2020/05/19(Tue) 21:47:20 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ 花弁を喰んだくちびるは、 薔薇色を塗るには向かないようだ。 ドレスも、 なにも。 服だけでなく靴だって不自由だというから、 拷問というのも強ち間違いではないのかも知れない。 ──嗚呼、それこそ、 黄薔薇が良いか。 白には紅が映えすぎる。] (260) is0716 2020/05/20(Wed) 11:21:29 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ ぬるりとした陶器の白。 冷め始めた水面は薄く張った膜が波打っていた。 ──花弁は、乗っているだけに見える。 口をつけると乳膜が付いてくるから、 赤いばかりの舌が唇を這った。 薄く、色味のないくちびるだ。 これだって 滅多に彩られることないもの。] (261) is0716 2020/05/20(Wed) 11:22:22 |
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![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ 手渡された薔薇の背表紙は、童話集であった。 薔薇の話ばかりを詰めたものだと言うので、 古書を持ち込んだ行商より買い求めたもの。 実は、完全に“積み本”だ。 ──話は、そう難しくないが、 古書ならではの読みにくさがある。 数頁をめくった後、ひとつで手を止めた。] (263) is0716 2020/05/20(Wed) 11:23:09 |
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![]() | 【教】 世界の中心 アーサーむかしむかし、とってもえらい男がおりました。 男は世界一うつくしいと言われる薔薇園と、 世界一うつくしい妻と、 世界一うつくしい娘を持っていました。 彼はとても幸せでした。 世界一うつくしい日々を送っていたのです。 ────…… (/11) is0716 2020/05/20(Wed) 11:23:59 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ 男は、低い声をしている。 こどもに聞かせるよな、優しい声ではなかったろう。 遠回しに読めと言い出した彼女にむけての、 届けるよな語りでもなく── まるで 己を語るかのような、] (265) is0716 2020/05/20(Wed) 11:24:31 |
![]() | 【教】 世界の中心 アーサーある日、彼の妻が重い病気にかかってしまいました。 お医者様を3人呼びましたが、3人とも、 彼の妻を助けることはできませんでした。 彼は悲嘆に暮れました。 毎日、薔薇園の真ん中で泣いてばかりです。 流れる涙はやがてちぃさな池になりました。 ちぃさな池には蝶々が集まって、 彼の悲しみを聞いておりました。 「ひとつだけ、おくさまを助ける方法があります。」 そう話しかけたのは、 ぼろぼろの羽をした、 今にも堕ちてしまいそうな蝶々でした。 ────…… (/12) is0716 2020/05/20(Wed) 11:25:22 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ 挿絵を向ける。 うつくしい庭園に、蝶々の絵。 今、満月に照らされたこの中庭に、 何処となく 似ている。] この話が一番好きなんだよ。 ──結末は童話らしい教訓なのだけどね。 “金で買えない大事なもの”っていう… 僕には今のところ、この話でしか身近でないけれど。 (266) is0716 2020/05/20(Wed) 11:26:09 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ ──自分で読むかい? 揶揄する響きは 無い。 “読み聞かせ”に飽きただけの話だ。 …おそらく。 **] (267) is0716 2020/05/20(Wed) 11:28:22 |
![]() | 【独】 世界の中心 アーサー/* アンデルセン童話に世界一うつくしいばらっていうのがあるけど ままではない 時間かかってしまった…すまない… (-72) is0716 2020/05/20(Wed) 11:30:25 |
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![]() | 【人】 世界の中心 アーサー* [ そりゃあもう、不機嫌を貼り付けている。 “捕まってしまった”というバツの悪さなんてない。 だって此方は悪くないもの!] (307) is0716 2020/05/20(Wed) 21:58:37 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ 割合、屋敷の中であれば、男は温厚で、 怒ることだって、不機嫌を露わにすることだって ほとんどないのだ。 珍しいと言える。 貼り付けた笑みも、今回ばかりは剥がれ落ちている。 随分と“御行儀の良い”おひめさまだった。 ──折角おとうさまが直々に招待したのに! まあ、要約すればそう言った文脈だった。 知らん。 誠に遺憾である。 そんな態度を欠片も隠しもしない主人に、 物腰穏やかな執事も諦感を滲ませている。] (308) is0716 2020/05/20(Wed) 21:59:24 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサーそれで今日は何を? [ ──文句を言いにいらしたので? 冷え切った問いかけは、どうやら油だったらしい。] (309) is0716 2020/05/20(Wed) 22:00:04 |
![]() | 【人】 世界の中心 アーサー[ 部屋に戻ってきた頃には、脚がふらつく思いであった。 キィンとした耳鳴りが未だ抜けない。 耳が遠いような気もしている。 後ろ手にゆっくりと扉を閉め、 すぅ…と 音のするほど息を吸い、 ] (311) is0716 2020/05/20(Wed) 22:01:15 |
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