*


　　　　　　　　*


　　　　*
　　　　　　　　　　　　　　　


　　　　　　　　　　*


　　　*

　　　
　　

　　　ふあっ



　［　　そう。
　　　　霊力なんてない私には
　　　　いまの突風に“意味”なんてあるとは思わない。


　　　　それでも私は　ずっとあなたのことを見つめてた　］

　　こ、こんにちわ。

　　　　　もしかして　たけるの飼い主さんでしたか？
　　　　　ごめんなさい勝手に名前つけて


　［　あっあっ　もしかして私有地？
　　　そもそもこんなところで寝るなとのご指摘はごもっとも。

　　　いいえ、けれどあなたは
　　　すけっちがどうとかおっしゃった？

　　　一生懸命あなたが言った意味を考えるの。
　　　えっと言葉通り　受け取れるだなんて　そんなばかな　］
　　　

　　　　……それとも

　　　　　わたしを　連れ去ってくれるのですか？

　　

　

　［　　初対面の人に何を、って
　　　　　普段の理性ばっちり知的女子してるときなら
　　　　　きっとそんな事は言うまいよ。


　　　　　でも現在の私は睡眠時間10分の寝不足女子。


　　　　　この場のテンションに浮かされて？



　　　　　いいえ、ならばそれは　　]

　　　[　　 月森 瑛莉咲が　望んでいること　　]

　
　

　　［　　なんて

　　　　　　　まともに“恋”も知らなかったくせに


　　　　　　　連れ去って、だなんて。
　　　　一応、現彼氏にとっては浮気ですよ？
　　　　いることを忘れてはおりませんよ　ええ。

　　　　　　　　でも、でも。


　　　　　　私は　あなたを知りたいと思っている。
　　　　　　知りたいと　願っている。　　］　　　　　

　　　[　　あなたが　『かみさま』でなくても


　　　　　　　そうじゃ　なかったとしても




　　　　　　　　ねえ、私はあなたを　］

　　　［　　この胸の痛みの答えを　知りたいの　**　］

　

　　
　　

　[　風に囚われるようなすがたも
　　　　その風を慈しみ口づける様子も

　　わたしは　ずっとそれをながめてた。

　　意味がわからなくたって


　　ちくって刺さったりもしちゃうんだから。

　　虫にも妬く女は風にだって一緒なの　]

　[　でも同時に。
　　　ああ、よかったね、って。


　　舞い上がった花弁に


　　そんな感想を抱くのは


　　なんだか不思議な気持ち。　]

　[　　出会い頭の誘拐願望を、
　　　否定することなく。

　　　待ってた、って。
　　　連れさってくれるんだって

　　　『かみさま』は私に、手を差し伸べる。



　　　あとは私が、手を伸ばすだけ。

　　　足ひとつぶんの異界への境界線。　
　　　踏み込めばもう戻れない　はないちもんめ　]

　　[　私はその手に　指を絡める　]



　
　

　　[　自分で神域がどうのいっちゃう
　　　妖しげなお兄さんに　
　　　いいようにされただけかもしれないし

　　　本当に
　　『かみさま』だったとしても


　　……真実はどっちだって。


　　　もう、どうだって。　]

　　尊龍。


　
　

　[　私の指先はもう、あなたのものよ　]


　
　

　　……たける。


　　　　[　私の運命は、あなた次第で変わる。
　　　　　　かみさまなら　かみさまらしく

　　　　　無遠慮にあなたのもとまで連れ去って。


　　　　　]

　　[　私はふわり、宙に身を投げだすの　

　　　　　　指先はそう、絡めたままで**　]