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【人】 因幡 フウタ[そして初日の出を浴びた後。 理恵を露天風呂に誘って、ちょっとした戯れに誘って、それから、岩陰に誘う事になった。 こそこそしながら怒られて、 つい、変な事を口走った。いや本心だけど…… 理恵も何も言わず黙ってしまったじゃないか、とか冷静になる事もできずに小さな身体を抱き締めた。それがまた、勃起をわかり易く伝えてしまって、理恵に己の気持ちを伝える片棒を担ぐ。 墓穴をほりほりしているが、 弁解を聞いた理恵が、長い沈黙の後に頷く。>>30 こっちは湯の事を考えていた訳ではないが、 とりあえず追及がなくて助かった…… けれど事態が悪化へ向かう音が聞こえた。 悪化……否、寧ろ己が欲にとっては好機なんだろう。 理恵もしっかり向こうのメスの声を聴いている様だし、 まんまと瞳が燃え燻ぶり、映した理恵にも熱を分け与えるかのごとく、色を濃くする。 我慢がききそうになかったから、 これだけでも欲しい、と秘かに欲張る心で奪ったのは、唇。 拒まれない事に幸福を覚えるのは、何度目か。 離れ難くなる前に退いたが、理恵の吐息を唇に浴びてしまう。 震え出してしまいそうになる唇を引き結んで、解決法を提示した。 嫌だと一蹴された。>>31] (39) nikibi 2021/01/10(Sun) 4:56:06 |
【人】 因幡 フウタ[けれど他に方法が無さそうだと観念すれば、 めちゃめちゃ念押ししてくる。>>32 よく引用してくんな、そのセリフ。 悪いが俺だってよく覚えてる] 離さん! [今までのひそひそ声とは一線を画す小声で大きく頷いて、 目を瞑って首にひっついて来る理恵の背中を支える。 縮んだ理恵の、頭と後ろ足をしっかりと抱える。 というか理恵はすげー念押ししてきたが、昨日人間サイズの理恵を抱えて風呂からベッドまで移動したんだがな。 しっかり掴めるところが少ないという意味ではうさぎの方が難易度が高いと言えるかもしれないが、理恵に怪我なんてさせない。 速さと安全を両立した安心運搬を心掛け、そして遂行した。 男用の脱衣所の入り口から理恵を放った時、 震えていた様だったから心配したが、 服とか脱衣所に置いてるから一度分かれざるを得ない。 まぁ……もう少し撫でて落ち着かせてやったらよかったかもしれないが、乱入グループがこっちに来てうさぎの理恵が見付かったら面倒だもんな…… うさぎ捕獲隊がやって来るとびくびくしたが、 理恵ならうまくやってくれる筈……そもそもうさぎに戻らなければ何の問題もないのだし、と。 大丈夫大丈夫、と自分に言い聞かせる様に頷きながらも、 早々と着替えて外で理恵を待った。 詫びになるかわからなかったが理恵にこーひーぎゅうにゅうを奢って、腰に手を当てて二人で並んで飲んだ。通りすがりの宿泊客の微笑まし気な視線を感じたが、意味がわからなかった] (40) nikibi 2021/01/10(Sun) 4:56:35 |
【人】 因幡 フウタ[理恵の腹の音には気付けないまま、 竜宮城の朝の馳走が運ばれてきて、また二人で摘まんでいく。 理恵が珍しく、こちらにしか用意されていない食べ物に興味を持った。温泉卵だった。>>22 言われた通り小鉢を差し出して好きなだけ取らせたが、 反応はあまり期待していなかった。 わりといけるとの評価に少し驚いたが、それだけ。 小さな差異を、へぇ、と頷いて流してしまって、 そのあとのかりっとまんじゅうとやらに二人で舌鼓を打った。 土産屋にないのかな、探してみよう、と提案したりして、 元旦の朝飯もいい時間となった。 食後に御簾の中で二人で寛いでいると、 ふと、理恵が窓の方へ視線をやる。 そうかと思えばこちらに乗っかって来て、その突拍子もない襲撃に「ぐェ」と鳴いてしまうのは割とよくある光景。 だが目の前に差し出された問い>>23に、 沈黙──そして、こく、と喉が鳴る音] 理恵が、 いやじゃないんなら。 [そりゃ露天風呂のは落ち着いたが、 散らせなかった劣情の記憶はまだ新しいもので。 気が乗る様にしてみるけど、 気が乗らないんなら途中まででもいいだろうとは考えながら、 朝餉が運ばれる前に着替えていた理恵の服の裾に手を添わせる。 指先で縁をなぞるだけから、摘まんでぴら、と裾を持ち上げる] (41) nikibi 2021/01/10(Sun) 5:17:04 |
【人】 因幡 フウタ[くるんと理恵の身体を優しくひっくり返して、畳の上に敷く。 身体に指を添わせながら、するすると裾を引っ張り上げていく。 足の付け根や、腹や、胸を通る時は酷くゆっくりした動きになりながら、鎖骨あたりまで捲り上げる。 ワンピースを脱がせる時の独特の光景もまた、理恵だから、俺を昂らせる。 服を剥ぎ取らず中途半端に乱したまま、 下着に手を伸ばし………] (42) nikibi 2021/01/10(Sun) 5:17:15 |
【人】 因幡 フウタ[朝から熱いひと時があっただろうか。 何はともあれ、出掛けたのは昼過ぎ。>>24 初詣をやっているらしい。 己もそのチラシは読めなかったが、なるほど初詣は知っている。 箱に金を入れて何か鐘を振り回して願い事を言ったりアリガトウゴザイマスと感謝をするんだ。 神社が近くにあるとは思わなかった。 元旦に行けるなんて幸運だと思っていそいそ準備をしたが…… 流石は元日。 視界の奥の方まで人ばっかりだ。 住んでいる町でこんな行列は見た事がないと思う。 理恵の悪役の様なセリフに、あちらこちらでフッと笑う声が聞こえる。まぁゴミって例えるせんすが面白いもんな、と、〇ピュタ未視聴の俺は思うのだった。 夏祭りの様に食べ物をゲットしたり(今回は千円以上ある) 亀を撫でる理恵に「冬眠しとるに決まっとるじゃろ、おいそんなに触るな」と大真面目に 嫉妬 答えたり、理恵の手にポケットを占拠されたり、絵馬を書いたりした。文字は未だに苦手だが、「理恵」の字だけやたら上手い。 ばあちゃんが教えてくれて、それを真似て練習したからだ。 絵馬を覗き見ようとするうさぎを回避して、一番高いところに引っ掛けた。 「お前だって見せたくないんじゃろ?お互い様じゃ」と、ふんす、息を吐いて、他人様の絵馬を覗き見る理恵を「やめろ」と慌てて止める。 「せっくすとは交尾じゃ。せっくすれすが何かは知らんが、人には見られたくないもんじゃろきっと」と理恵を注意する声はそれなりにデカかったので、またまわりから視線を集めた。 何かもうようわからんから、静かに列に並ぼうかと 最後尾の方へ足を向ける。 まぁ理恵と一緒で静かに、なんて無理なんだが] (43) nikibi 2021/01/10(Sun) 6:48:26 |
【人】 因幡 フウタ[また他愛もない話で時間を潰すが、 今度は大晦日の夜より長い時間そうしていたか。 取り替えたマフラーは、理恵はいいんだが、俺がオレンジって似合わんじゃろと少し照れくさそうに俯いた。 理恵が俺のマフラーの匂いを嗅いでいたから同じ様にしてみた。 「うん、理恵の匂いがする」と目元を緩めるその姿は、まさしくバカップルの片割れに映るだろう。 割り込みは早々に諦めてくれてよかった。 ようやく辿り着いた賽銭箱に、同じく見よう見まねで小銭を投入。 上を見ると鐘じゃなくて浮いているのは鈴の様だったか。 そのあたりも見よう見まねで、 けれど挨拶と、心の中で願いを声にする時は真剣に。 願いは考えてきた筈なのにうまく言葉にできないでいる間に、 理恵は目を開いていて>>25、手も祈りのかたちから解いて、 隣の俺にすら聴こえない声で何かを話し掛けていた] (44) nikibi 2021/01/10(Sun) 6:48:35 |
【人】 因幡 フウタ[目を開いた時、理恵はもう願い事を終えていた様だったが、 ちょっと様子がおかしかった。 とりあえずここから退かないと、と思って理恵を促そうとしたら、名を呼んで、左手を握って来る] どうしたんじゃ……? [指輪の触れる感覚にも気をやらず理恵を見降ろすが、 理恵は口を開いたまま動かない。 視線が理恵の顔から下へ落ちる。 腹に当てている右手が気になる…… 否、右手が当てている腹が気になるのか…… こちらも口をきけないまま、 しばし時が過ぎる。 ようやく言葉を紡ぎ出した理恵は、 腹の中が動いとると言う。 その意味が理解できないのに、聞き返す事もできず、理恵の顔と腹を交互に見遣る。 左手を導かれるままに理恵の腹の上に乗せても>>27、 言葉も、触感も、まだ何も理解できない] (45) nikibi 2021/01/10(Sun) 6:48:38 |
【人】 因幡 フウタ[理恵がぶぅと鳴いた後、和らいだ唇で話し掛けた言葉を聞いても、まだ呑み込めない。ぽか、と口を開いて、 のろのろとその意味を紐解こうとして、 そうしてようやくその意味に心が当たれば、] ─────、 [ぼろっと、大粒の涙が零れた。 彼女の前でこんなにはっきり涙を見せたのは初めてだっただろう。 しかし言葉を探している内に時は過ぎていて、 既に何組か入れ替わった後の隣の、人の良さそうな中年女性が「痴話喧嘩はここじゃないところでやった方がいいわよ」とやんわり注意してくれた。 謝ろうかと思ったけどその言葉すら出てこなくて、こくっと頭を深く下げて、理恵の手を引いた。 列からも見えない落ち着ける場所まで来て足を止めて、理恵を振り返る。涙こそ出ていないが、少し情けない顔をしていただろう。 それは、恐れや哀しみからではない。 またしばらく言葉を探して押し黙ってしまったが、理恵をじっと見下ろしていた。 やがて、「あの、」と、カサカサに乾燥した唇を開いた] (46) nikibi 2021/01/10(Sun) 6:48:41 |
【人】 因幡 フウタあのな……… 俺……… ずっと、理恵との子が欲しかった…… [「本当に妊娠したのか?」なんて野暮な言葉は出て来なかった。 彼女がそうだと言うなら、きっと本当なんだと。 今までの俺ならぬか喜びを恐れそうなもんだが、彼女の顔を見て、何故か強く確信させられた。 おそろしくて哀しい夢をずっと見ていた。 理恵がいなくなるのが不安だった。 そんな事を過去の話として話す日が、いつか来るかもしれない。 けれど今は喜び合いたい。 彼女は俺との間に、 新しい命を授かってくれたんだ……] だから、 (47) nikibi 2021/01/10(Sun) 6:48:44 |
【人】 因幡 フウタ[冷たい左手で、理恵の小さくて白い頬をさする。 幸福で泣いてしまいそうだが、今は笑っていたいから堪えた。 これからもっと彼女を大切にしたい。 労わりたい、力になりたい、支えたい、一緒に幸せになりたい。 新しい気持ちがふつふつとたくさん湧いてきて、 今、俺は新しい自分になった気分だった。 言葉も交わしながら、 長い間、愛おしい人の顔をじっと見つめていただろう。 抱き締めるのもキスをするのも勿体ない様な…… 今までにない気持ちだった。*] (48) nikibi 2021/01/10(Sun) 6:48:53 |
【独】 因幡 フウタ/* おはようさぎ〜 俺も書きながら泣いてるびえーん 酒はしかたねえ、ちゃんと没収するロル書いたから安心しろ☆ それより激しいセッ大丈夫だったのかな…ってなってるフウタ (-84) nikibi 2021/01/10(Sun) 7:44:08 |
【人】 因幡 フウタ[宿に戻った後、じゃあ酒は没収な、と亀齢は俺の鞄に移動させた。妊婦に何が駄目か詳しくは記憶していないが、酒が駄目な事は知っていたので早々に取り上げた。帰ったらばあちゃんとちびちび呑むのだろう。 元旦に竜宮城で眠った時、夢を見た。 目の前にかわいいうさぎがいる、あ、理恵か、と思ったら理恵が毛繕いをしてくれる。ぶぅぶぅと気持ちよさそうに鳴く声が聞こえて……あれ?と思ったら、俺の目の前、床にもふもふの両手が置かれていた。なんと俺もうさぎになって理恵に頭をぺろぺろ舐められていた──という、よくわからない初夢を見たのだった。 まぁ他に切ない要素もなかったので良しとしよう…… 閑話休題。 旅行から帰ったらばあちゃんに新年の挨拶をして、 それから、理恵が妊娠したと思うと伝えた。 ばあちゃんの紹介で婦人科を受診して、改めて妊娠していると告げられる。 そうだと思ったから取り乱しませんとも。 嬉しそうな顔を隠せてはいなかった様で、医者がよかったね!おめでとう!とめちゃめちゃ祝ってくれたが。 仕事仲間に報告……というより、 顔がふにゃふにゃだぞって指摘されて話す事になった。 「お前指輪なんて買ってる場合じゃねーじゃん」と言われて「……本当じゃな」と真顔で返したら仲間たちは笑って祝ってくれた。 稼がなければいけないのは本当で、 でも理恵との時間が削れるのは不本意だったので、 短時間でキツイ仕事なんかを主に請け負った。 毎日二人共必死で大変だっただろうけれど、 きっと時は、 あっという間に過ぎ去って、] (49) nikibi 2021/01/10(Sun) 8:00:11 |
【人】 因幡 フウタ[そこから、出産のその時までの時間は壮絶だった。>>33 理恵が悶え苦しんでいる姿は、 これまで見たどの姿よりも痛々しくて、弱々しい。 自分は痛みを味わっている訳でもないのにばくばくと心臓が騒いで、毛が逆立って、背筋が震える。 こんなの普通じゃないじゃろと医者や付き添ってくれたばあちゃんに喚いたが、どうやら一般的な分娩なんだという。 痛みに助けを求める理恵に顔を歪ませた。 「理恵、理恵」と何度も名前を呼んで手を握って勇気づけたつもりだが、気休めにもならない事は、理恵の様子を見ていてわかる。 己の無力さに打ちひしがれながらも、 何かできる事はないかと思い巡らせる。 そしてまた無力な自分を思い知り、心が確かに削れる。 それを繰り返しながら、理恵の要望にも応える。怒られるのは平気だ。何を言われても受け止めた。けれど、腰を揉む強さが全然弱いと文句を言われて驚く。かなり力を込めているのに、これ以上の痛みなのか、と想像するしかできない痛みを、呪う。 こんなに大事に守ってきた理恵を、己の子にとはいえ傷つけられている光景に、何故なんだとか、理不尽だとか、やめてほしいとか、俺がこんなにしたんだとか、俺が理恵にこんな痛い思いをさせているんだとか、様々な負の感情が俺を襲って、目を逸らしたくなる。 理恵が苦しんでるのに泣いていられないと、涙こそ流さなかったが、酷い顔をしていたんだろう。 途中でばあちゃんに「フウタちゃんも少し休んでらっしゃい」と言われたけれど、水を少し飲んだだけで、ずっと理恵の傍に居た。 理恵は……本当に綺麗な顔をしているのに、 今は美しい髪をぼさぼさに乱して、涙と汗で肌を汚している。 痛みに暴れている時は腰を揉んだりくらいしかできなかったが、ふと、眠ったのか、目を閉じた理恵の頬を濡れたタオルで拭う。 しかしそれもほんの短い間の事。 またここを涙が通るんだろうと思うと、胸が苦しい。 でも、本当にこんな事しかできなかった] (51) nikibi 2021/01/10(Sun) 8:00:23 |
【人】 因幡 フウタとき…… 理恵…… [胎動を俺にも伝えてくれた彼女の事を想う。 彼女と彼女の名前を決めた時の事を想う。 時間そのものが、 理恵の中で育ってる…… そうならば、 二人と逢える時間を、どうかこの世にもたらしてくれ。 理恵の小さな手を両手で握り込んで 二人の無事を祈った後、少しだけ眠ってしまった様だった。 理恵が遠くにいってしまう夢ではなくて、 小さな子を間に、三人で手を繋いでいる夢を見た気がした。**] (52) nikibi 2021/01/10(Sun) 8:00:26 |
【独】 因幡 フウタ/* きらきら世界……ええやないか…… ありがとう理恵……がんばった…… お母様もお誕生日おめでとうございます! 連絡してえらいな (-94) nikibi 2021/01/10(Sun) 13:05:31 |
【独】 因幡 フウタ/* ようやく瞼がマシになってきた仕事おわり…… (眠いのと泣いてちょっと腫れたのかめちゃ重だった……) 寒いな、風邪ひかんようにね (-95) nikibi 2021/01/10(Sun) 22:55:41 |
【独】 因幡 フウタ/* 風邪ひきそうな寒さよな、ありがと(くっつき亀) 出産前に頑張りすぎたので今日は早めに寝そう 〆……〆……(風呂で考えようかなな顔) (-97) nikibi 2021/01/10(Sun) 23:29:41 |
【独】 因幡 フウタ/* 電池がしぬ。今回も沢山ありがとう >>2:-5 ツラユキさんのありがたぁいお言葉! >>2:-10 ごめんこっちが長いせいで……俺もこの時書き終わんねーってなってたので()、それにお返事するとなるとやっぱり長くなるでしょう、書き切ってくれてありがとう、最高に可愛かったしすげーと思った >>2:-23 本当?やりすぎじゃねーかなと内心ちょっとビビってたけどとりあえず背筋もう生涯鍛える >>2:-26 なんでダメージ喰らうんやろなこいつ? >>2:-27 やったー伝わってうれしい >>2:-30 せやなわはは >>2:-32 フウタおっきい設定でも腹ボコはやりすぎかなーと思った結果、いい情報が与えられてたので使わない手はなかった >>2:-33 わらうとこやぞ >>2:-36 すまん折角のしんこんりょこうだしなと欲張った >>2:-40 その気持ちだけでめっちゃうれしい! >>3:-3 ありがとうなwwこっちもツラユキさん殺害シスメでこころがしんだ >>3:-14 吸われるロル最高だった(っ˘ڡ˘ς) >>3:-26 いやそういうタイプ保ててるかと?そんでたまにとろ〜んてなるのがもうね… >>3:-36 簡易メモ我慢できなかったー >>3:-38 何度読んでもわらうw >>3:-42 好きかなと思って……<喘ぐの >>3:-43 こういうの好きかなと略 >>3:-50 ありがとう! >>3:-52 同じく >>3:-53 良くしましたか?無茶させましたよ、応えてくれてありがとう、可愛い(現在進行形) (-100) nikibi 2021/01/10(Sun) 23:32:26 |
【人】 因幡 フウタ[理恵の腹に命が宿っていると知った時から今までの月日より、 病院に着いてからの時間の方がずっと長かった様に感じる。 我が子の顔を見たいという気持ちより、 理恵の苦痛をはやく終わりにしてほしいという気持ちが正直大きかっただろう。 けれどどんな気持ちであったって、 理恵の為にできる事は増えはしない。 分娩台に上がってからも理恵に寄り添って、 もう俺の名を呼ぶ事もなくなってしまった理恵の手を握り、名前を呼び、弱い言葉で励ますだけ。 助産師が「大丈夫ですよ」と俺にも声を掛けてくれるが、理恵がいなくなってしまう想像は常につきまとった。 理恵の身体に次々と起こっている変化は、俺にはわからない。 医師たちが連携を取ったり理恵に教える為に状況を説明して、 俺はそれを聞いて理解をするだけ。 これまで何度も気持ちが通じ合う感覚を経験したのに。 幸せを分かち合ってきたのに、痛みを分けてもらえない事が酷くもどかしい。 理恵の涙が溢れては流れ、溢れては流れ…… このままじゃ干からびてしまう、と間抜けな心配をした時、 ふと、 水が沢山あった、あの竜宮城が脳裏によぎった。 こんな時に何を、と思う間もなく色んな景色を瞼の裏に見て…… あの日の、あの光と見紛う光が差し込む部屋の中で、 聴いた事のない声を耳にした。>>53] (57) nikibi 2021/01/11(Mon) 3:09:44 |
【人】 因幡 フウタ[ぼうっとしている間に、 医師たちによって様々な処置が施されたか。 じんわりと泣き声が耳でこだましていて、 「おめでとう」とか言われている声が届かない。 理恵に乗せられた物体を見て…… 理解していくと共に、徐々にこの目が見開かれた] 理恵ッ…… [あぁ、産まれたんだ、本当に。 本当に腹の中にいた、という理恵>>54の気持ちに共感しながら「ありがとう」と涙声で伝えたり、「平気か?平気じゃないよな」とかおろおろ挙動不審になったりした。 理恵の方が痛くて苦しくて大変だったろうに落ち着いて……否、疲れ切っているんだろうけれど、赤ん坊を見つめ、支え、早速乳をやる姿に驚き、感服した。 支える手は白く変色してなお、優しく赤ん坊に添えられている。 理恵が神々しい存在に思えてならなくて、薄らと目を細めた。 自分では気持ちは少し落ち着いたと思っていたが、今鏡に自分の顔を映したら自分で驚くくらい、まともな顔ではなかった様だ。 理恵も突っ込むほど余裕がなかったろうから、 教えてくれる人はいなかっただろうが] (58) nikibi 2021/01/11(Mon) 3:10:43 |
【人】 因幡 フウタ[伸ばした手は、理恵の頭に触れる] ありがとう、理恵。 本当に……ありがとう。 [そうしてもう片方の手を、ときの頭に。 手の感覚はなかなか戻って来ない。 けれどお構いなしに、長い間二人の頭を撫でていた。 両の指先に、両掌に彼女たちの体温が戻ってくれば、 両手にいっぱい幸せをもらった気になって、小さく俯いた。 どんな言葉をもってしてもこの気持ちは言い表せられないんじゃないかとも思うが、もし何事かと聞かれれば、「……嬉しいんじゃ」と、小さく震えただろう] (60) nikibi 2021/01/11(Mon) 3:12:37 |
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