まるで、そこに見えない階段でもあるかのように
　　私は空中を駆け上がっていく。
　　ふわり、ふわりと軽やかに。

　　体に翼でもあるかのようなその動きは
　　魔法じゃなければ成し得ない動き。　

　　

　　　　　　　　　　　　　　　　
　　

　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　
　　

　　　

　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　
　　

　　　


　　

　　　「ユスティー！みてた？？？

　　　　ほら、これはもう、3秒ぴったりでしょ！

　　　　異論は認めません！
　　　　これで宿題手伝ってくれるんでしょ？」

　　

　　はしゃぎながらトン、と
　　君の横へと降り立つ頃には
　　巻き起こっていたはずの風は全てやんでいる。



　　

　　　「あのねー、天文学の宿題を手伝ってほしくて！
　　　　いいよね？そういう約束だもんね？

　　　　……あれ、そういえばユスティは
　　　　ここで何してたの？
　　　　なんか魔法使ってたみたいだけど。」


　　微かに空気に残る魔力は君の物、そうでしょう？
　　何してたんだろうって気になって聞いてみたけど
　　答えてもらえたかな？　*

　　

　　　何が好きで手伝わなければいけないのか。
　　　勘弁して欲しいとユスティは苦虫を噛み潰す。

　　　無理難題に逆上してくれれば
　　　どれだけ楽なのだろうか

　　　残念ながらエウロパという少女は
　　　そう思い通りにはなってくれない>>31

　　　「…………意地悪がすぎたかな。」

　　　どうせできるわけが無い。
　　　ユスティはその憶測を疑わない。

　　　エウロパが辿り着くことがないと踏み
　　　屋上を後にしようとその声に背を向ける。



　　　何度も無言の芸当を見せられた側の彼には
　　　今更詠唱を行う姿など滑稽そのものだ。>>34

　　　再びため息をつくと扉に手をかけ、

　　　「ボクが何をしていたかなんて
　　　　キミには分からないよ。

　　　　　　　　　　　　………分かられたくもない。」