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　　人間という生き物は、いたく耳が弱い。
　　彼も例外なく耳に関しては弱いのだ。
　　だから、体勢によって彼女の吐息が耳にかかれば
　　彼の方からもいつもとは違ううわずった声が
　　彼女に聞こえていたかもしれない。

　　彼女にかっこいいと言われれば、
　　嬉しそうな笑みを見せて、
　　彼女の手を彼の体に導いてみたはず。

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　　　美鶴さん、どないしたん……
　　　そんな、膝合わせて。
　　　俺に近寄られたくないん？

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　　くすくすと笑いながら、
　　彼は彼女の膝を割って脚の間に入り込む。
　　その体勢は、パジャマ越しに
　　お互いの熱が分かるような。
　　勿論、すぐにはあげない。
　　焦らしすぎないわけではないけど
　　多少は焦らしてこそ、彼女の可愛さが見れる。

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　体勢によっては
　彼の耳元で啼かされることもあったわけで。
　そんなときは潤さんもいつもと違う声をあげてたけど
　でも、啼かされている時点て聞く余裕はない。
　耳には届いているから、精神的に高ぶる原因にはなったかも。

　導かれるまま、体に手が触れる。
　自分と違って筋肉のある潤さんの体は、
　なんとなくぺたぺたと触っていたくなる。
　触っているときは私もちょっと満足そうな顔になってたかな。
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　　　　ぁ……ちが、う……
　　　　
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　私がすでに欲しがっていることなんて
　潤さんならお見通しのはずなのに。
　知っててこんなこと言うんだから意地悪だ。
　膝を割られて入り込まれると、
　潤さんの熱も伝わってきてひぅっと思わず声をあげた。
　あてられたら欲しくなるのに、くれる気配がなくて。
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　　　　じゅんさん…

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　なんて名前を呼んで物欲しそうに
　彼のことを少し潤んだ目で見つめた。
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