ーーー無礼講が終わる直前。
アルレシャの足は処刑室へ。

自分が最後に飾ったその部屋を確かめにーーなんてことは
探すのはカメラだ。それも外部支援者に向けた、臨場感を重視した、目線の位置くらいにある壁沿いのカメラ。

見つければ、コンコン、と爪の先でそれを叩く。映せ、と言わんばかりに。
そうして、スイッチが入ったのを確認してからーーー

とカメラの端を両手で掴んだ。

［▽］

「……お楽しみいただけましたか」

にぃ、と笑う。悪どい笑みを意識して。
しかし声は甘く滑らかな、蕩けるテノールの囁き声。

「ご覧頂きました通り、ここは監獄、看守といえどもこの通りが蔓延っておりまして。
高みの見物で留めておきたくば、どうぞそのまま、何卒道を踏み外しませんよう」



「また、無礼講は皆様の支援により成り立っております。今後もよろしくお願いいたします」



「高みにいられるのはご自身の判断と財力です。
」

そこまで言えば、雑にカメラを離す。
映像は揺れただろうが、気にはしない。

「……またいつかの無礼講でお目に掛かりましょう」

そう言い残して、アルレシャは処刑室を出た。