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【赤】 鬼の子 千[祖母は優しくあったがいつも悲しそうな顔をしていて、事あるごとに伯父に孫に謝っていた。 家族の世話をする時も、何処か顔色をうかがい行動しているように感じた。 鬼子にはそれがどうしようもなく嫌だった。本当にこちらを想っているようには感じず、なのに何故自分を構おうとするのか分からない。 彼女と話すより暗い部屋で一人で書物を読むほうが好きだった。村に移る時に持ち込んだものもあるのか、幸いなことに知識欲を満たすだけの量が家に存在していた。] (*4) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:01:46 |
【赤】 鬼の子 千[港は開かれ、異国人に対する差別意識は薄れた時代。 しかし田舎の、それも特別な事情を抱えた山間の農村には未だ遠い価値観。血は問題の一つでしかなければ、一層に。 汚い生まれであると、混血であると囁き合う大人たちの話を聞いたことがない村の子供はいなかった。 しかし誰も鬼子を虐めることは出来なかった。 正確には、虐めようとしたがそれは叶わなかったのだが。] こんなことをしていいの? おまえの家は、そんなにえらかった? かわいそうだね。おまえのおやはかわいそう これからきっと、つらい目にあうぞ [自分を突き飛ばした少年を、地に倒れたままの黒眼が凝視する。 鬼子はその頃から異様な程に、偏った方面に向けて賢かった。] (*5) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:02:13 |
【赤】 鬼の子 千[何を言えば己を虐げようとする子供らを怯えさせられるのか、手に取るように理解出来た。 狭い社会の中で築かれた大人たちの上下関係も、生きていく為に口に出来ない暗い感情も。 それだけ周りを見ていたというだけのことだが、他の子供らにはただただ不気味に感じただろう。 いや、大人にとってもそうだったのかもしれない。自分達の知らないことを学んだ子供というだけでも、ただでさえ扱い難いのだ。] ……ひひ [「気持ち悪い」 そんな捨て台詞を置いて去っていく子供らを見送り、不気味に笑い声を上げる鬼子 一人で外遊びをする頃には既に、黒髪に白が混じっていた。] (*6) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:02:48 |
【赤】 鬼の子 千[何事も吸収し自我にする年頃、悪癖は容易に根付くこととなる。 黙らせる為に無造作に与えられた玩具には関心が無かった。 自分を見ているようで他の何かが常に心にある祖母の言葉は素直に受け取れなかった。 言葉で誰かの感情を揺らがすことが何よりも楽しかった。 怒りであれ怯えであれ、はたまた嫌悪でも構わない。表層を剥ぎ表れた顔に浮かぶそれを見ることだけが生き甲斐だった。] (*7) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:03:06 |
【赤】 鬼の子 千[だから何度でも繰り返した。 成長する毎に、理解出来ることは増えていき、より有害になっていった。 ある時は若い男の不貞を指摘し、その妻が包丁を持ち出す騒ぎになった。 次に、不作に村が喘ぐ中自分の家で食糧を貯め込んでいた家族を言い当てた。 何度も何度も、何度も────そしていつしか、ただ陰口を耳打たれる忌み子ではなく鬼子と呼ばれるようになっていた。] (*8) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:03:22 |
【赤】 鬼の子 千ちがうよ、それは買った物じゃない あの商人さんが売れないって断って、持って山に行ったじゃないか どうしてここにあるの? ねえ、どうして目をそらすの? [最後にその標的は実の伯父となった。 今まで鬼子が野放しだった理由である男は、無給で使われる名誉職の村長よりずっと力があったその者は自分の番では黙ってなどいなかった。 小さな頬を打ち、手を引っ張り陽の当たらない部屋へ連れて行く。 念入りに窓を板打ちしそのまま十年、甥を許すことは無かった。 自分のことばかりを考えていたのではない。 何しろ鬼子は、村の要たる部分へとついに手を伸ばしてしまったのだから。] (*9) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:03:41 |
【赤】 鬼の子 千[牢の中少年は青年へと変化していく 黒髪は完全に色を失い、対象的に目元の隈は濃くなっていく。 せめてもと祖母が時折持って来る書物を除けば、娯楽など無い暗い世界。 それなのに鬼子は殆ど、限界が来るまで眠りたがらなかった。 思考するだけで充分に愉しく、昂ぶったからだ。 伯父に取らせた行動は今までで一番の成果であり、自己の成長を感じさせるものだった。 これから更に愉しめるのだと、あれこれ村の者について考えれば時間を忘れた。 その部屋に足を踏み入れる者は、ただ一人以外皆言葉で嫐られる。 そうすることで酷く打たれても罵声を浴びせられても、変わることは無かった。] (*10) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:04:02 |
【赤】 鬼の子 千[故に自分は被害者などではないし、悪癖を今更改めるつもりもなく、 他のことに愉しみを感じる筈はない。 そう当人は、本気で思っていた。 他人の奥底ばかり覗き込む者が、自分の根源に気づけはしない。*] (*11) ガラテア 2021/06/23(Wed) 2:05:14 |
【念】 将軍 かんぅ[まだ己は理性を保てるとかんぅは思っていた。 だが、唇にふわりと微笑む婿殿がまたいやらしく変わる。あれほどの無垢の中にこれほどの淫靡を隠していたとは、かんぅびっくり。いやびっくりどころではない。よく他に踏み荒らされずにいたものだ。あの生贄の娘ですら気づけば開発していたのでは、そう思ってしまう。押し倒した婿殿は美麗であった。 その身を穢す事への興奮があった。 いっそ貫きたがる熱を抑え 身を焦がし] ……っ。 [彼の言葉に息を飲んだ。 ふーふのいとなみ。交尾を知っていたか。いや、これを勘違いするのなら、知らぬも同然。ふっと笑い。] (!22) sudati 2021/06/23(Wed) 7:23:48 |
【念】 将軍 かんぅ否―――、これはまだよ [まだ。] ……婿殿っ、何も考えずともいい。 ただ気持ちよくなればっ くっ [気持ちよくなっているのが分かる。 形のよい彼の熱に触れるたびに、此方の熱も育っていく。ぐちゅぐちゅと卑猥な音が溢れる閨は確かに交尾をしているようだった。腰が揺れる、腰の動きが激しくなる。膝を抱く姿は必死に締め付けているよう。だが、それだけではない。 手を滑らせる彼が選んだものは いやらしい手淫だ] (!23) sudati 2021/06/23(Wed) 7:24:10 |
【念】 将軍 かんぅっ、婿殿、婿殿!!!! [吠えた。 彼の手で擦られた其処が一気に昂ぶり。 彼の手を太腿を、体を穢していく。白い肌に白いものが飛ぶ、それが美しいのだと初めて知った。はぁはぁと肩で息をするものの未だ興奮は冷めやらず] (!24) sudati 2021/06/23(Wed) 7:24:31 |
【念】 将軍 かんぅ[息を整えてより] ……婿殿は、気持ちいいのが好きな おのこなのだな。 [ずるっと太腿から熱を抜けば 白濁が糸ひくすがたにごくりと息を飲んだ。そしてそのまま抱き寄せるように腕の中へ。啄むように唇を重ね、手は彼の肉体に触れる。最初は頬に、次に、肩に。臍に、胸に。] かんぅも、好きである。 [婿殿が好きだ。] ……夫婦の営みを今よりしても [無理やりに奪わなんでよかった。 これほどの宝を、無理やりとして傷をつけたら取返しのつかないところであった。大事、大事と触れる手は武人のもの。無骨な其れが胸の中心、粒を撫でて、愛で。雄と雌ではないが、獣のように、いや、人としてまぐあいを求め。 許可を求めるのは――聞きたいがため 獲物を狙う目は野生的ではないか*] (!25) sudati 2021/06/23(Wed) 7:25:27 |
【念】 白竜 ヤオディ あ、すごい……… [肌の上に注がれたかんぅのものは、先ほどの自分のものとは違う。 色も濃く、匂いも濃厚で、量もすごい。 人と魔物の違いなのだろうか、それともかんぅ殿が特別なのだろうか。 息を乱しているかんぅを他所に、こうして、こうするのよな? と体に浴びせられたものを、指先でぬぐい、ちゅぱ、と口に入れる。 作法はかんぅ殿が教えてくれた、とばかりに肌の上のものを手に取ると、舐めていく。 生臭く、美味しくなくて眉をしかめてしまったが] (!26) momizituki 2021/06/23(Wed) 8:22:55 |
【念】 白竜 ヤオディ気持ちいいの……? 確かに、好きよの 嫌う者などおるのか? [こんな感情が爆発するような気持ちいいことの存在を知らなかった。 思い出してはうっとりとしてしまう。 自慰を覚えた猿はそればかりするようになるというが、それに近い強烈な体験を覚えてしまったようだ。 彼が口づけをしながら、あちこち肌をまさぐるものだから、またどんどんいやらしい気持ちになってきて、腹の奥がきゅんきゅんするような感覚がたまっていって。 覚えたばかりの、手によって放たれる心地よさを思い出して、ぎゅっと反応しだした己の雄芯を握りしめる] (!27) momizituki 2021/06/23(Wed) 8:23:09 |
【念】 白竜 ヤオディむ、先ほどのものとは違うのか? ふーふのいとなみは、気持ちよくないのか? [もう一度、さっきのをしてほしいなぁと思いつつも。 気持ちいいことなら、よいぞ、と] 余は、気持ちいい、が好きだ。 かんぅ殿、余にもっと教えてくれ。 もっと気持ちよくなりたい。 [無知ゆえの、言ってる内容の危うさに気づかずに野獣を野に解き放ったかもしれない*] (!28) momizituki 2021/06/23(Wed) 8:23:25 |
【人】 水分神[ミズガミ様、ミクマリ様は 人の子らが裸で駆け回っていた時代から居る。 ずっと同じ個体ではなく代替わりをするもので ひとりの任期は二百年から伍百年程。 どこからともなく現れては勤めを果たし 元の世へ還っていく。 人の世に居る間は人の子を娶り 相手が天寿を全うするたびに 新しく娶りなおすのが常であったが────、 そうではないミズガミ様も居た。] (60) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:24:20 |
【人】 水分神[先代が正に、そうではない方だった。 最初に得た嫁が輿入れから ほんの数年で逝ってしまった。 けれどその後差し出される替わりの嫁は全て断り 最後まで抜かりなく任を果たした。 ただひとりを想い続けたのだと言う。] (61) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:24:25 |
【人】 水分神[当代は其れを否定した。] 人の子など取るに足らぬ存在よ 心を寄せて何になる? [彼らと我らには、与えられた時が余りに違うのだ。] (62) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:24:45 |
【秘】 水分神 → 龍之介[だけど其れは] あやつ 今も独りでおる先代は愚かじゃ…… [孤独に見える同胞が哀れでならぬ故。 余り素直ではないが……、心根の優しさ故のこと。] (-34) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:24:54 |
【雲】 水分神[幾度となく綴ってきた便り。 早う人の世を離れたいW寂しいWが 故郷への恋しさからのW寂しいWが 別の意味を持って胸に響いた。] (D3) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:25:06 |
【人】 水分神[彼奴の料理の腕だけは認めておる。 ……あ、あと、掃除とか、 妾に向ける笑顔とかも、すこし。 この白いやつも文句なしに美味いじゃろう。 そう思いながら咀嚼し、嚥下したが。] ……全然美味しくないのじゃ [がっかりじゃ。 けれどその手は休むことなく次を口に運び続ける。 ……最後の一つに至るまで。] (64) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:25:51 |
【人】 水分神[彼奴も失敗することがあるらしい。 帰ったら酷いんじゃからな。] っっ、ひっく、えっぐ……っ こりぇ……塩っぱすぎるのじゃよぉ……っ [……嘘じゃ。甘ぁくてンマイのに 余計な味をつけてしまっておるのは妾じゃ。 前が見にくくて苦しくて仕方ないのじゃ。] (65) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:26:07 |
【雲】 水分神[近づくことすら許さなければ 寄せる心もないまま居られるだろう。 そうしたいのに。 少しも好きになりたくないのに。 かくも思い通りには行かぬものらしい。] (D4) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:27:17 |
【秘】 水分神 → 龍之介(お主がおらぬから、寂しいのじゃ……) [呼ぼうとして知らないことに気づく。 其れで漸く思うたのだ。 ────其方の名が知りたい、と。**] (-35) nagaren 2021/06/23(Wed) 9:27:50 |
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