人狼物語 三日月国


132 【身内RP】穏健なる提案【R18G】

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【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

『へぇ、意外と社交的。』
『いいね、話すの、大事だもん。』
『誰かと仲良くなれた?』
『そんな話も、会ってからする方が良いのかな。』

『寮にいるよ。』
『じゃあ、入り口で待ってるね。』
(-202) arenda 2022/02/21(Mon) 18:17:58
エノは、寮の入り口でしばし時間を潰していた。
(a43) arenda 2022/02/21(Mon) 20:20:33

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「すごいね、バイク。乗ったことないや。」

君がバイクを止めるのを観察する。
VR世界のバイクを心配そうに見るなんて、随分物を大事にする人なんだと思った。
問いかけに、緩く首を縦に振って。

「ごめんね、俺が遅くしちゃったから。」
「いいよ。俺の部屋にする?フカワ君の部屋でもいいけれど。」
「身体冷えてない?」

俺の部屋なら暖房つけっぱだから暖かいけど、と首を傾げて。
(-220) arenda 2022/02/21(Mon) 20:24:28

【赤】 美術 エノ

『ありがとう。』
『あの人がどんなことをしたかによるけど』
『片づけは助かるよ。』
『しっかり理解できるといいな。』

なにを思って罪を犯したのか、何故その手段を選んだのか。
一つ一つを聞いて、一つ一つを真似してあげたい。
理解してあげたい。そうすれば寂しくない。
ただそれだけの想い。

『いいよ。俺、人のお願い聞くの好きだから。』
『君のお願い、何でも聞いてあげる。』
『ぜひ頼ってね、カミクズくん。』

契約は結ばれる。
(*11) arenda 2022/02/21(Mon) 20:38:13

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「へぇ、俺はあんまりわかんないけど」
「バイクって高いんでしょ。免許もタダじゃないし。」
「すごい好きなんだ、バイクの事。」
「いいじゃん、乗れずに死ぬよりは。」

部屋はこっち、と先導する。
金属製の扉を開ければ、中から暖気が溢れてきた。
寒がりなのか、設定温度の高い温風がエアコンから流れ出ている。

「何かと知的好奇心があるね、フカワくんは。」
「うーん、どうなんだろう。応援とか協力って、打算的な感じがする。」
「相手の事を100%考えてされる行為って、思えないんだよな。」

なんか飲む?と台所のほうにいって。
別にその気になれば、空から飲み物くらい出せるけど。

「本当に仲良しなら。」
「死んだ時、一緒に死んであげた方が良いと思う。」

その方が寂しくない。
(-226) arenda 2022/02/21(Mon) 20:47:02

【赤】 美術 エノ

言葉が通じない場所にいる。
呟きがどこに届くこともなく。
青年は部屋で一人、端末を操作している。

「へぇ。」

興味の湧いたような呟きもまた、どこにも届かない。

『死体の処理に慣れているんだ。』
『なんだか不思議だね。』
『そういう仕事にでもついてたの?』

理解さえできればいい。
理解のためなら何をしてもいい。
だって、理解より幸せなことなんてないんだから。

今、理解の矛先は君に向いた。
端末の向こう側で、夕焼けのような眼が君の文字をなぞった。
(*13) arenda 2022/02/21(Mon) 21:28:22
エノは、理解がしたい。理解されるために。
(a47) arenda 2022/02/21(Mon) 21:56:18

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「まぁ、免許のお金は無意味だったね。」
「ここで焼肉食べればいいんじゃない。」
「気分くらいは晴れるかも。」

「そうだね、人に触れる感触も現実と同じみたい。」
「首に触ったら、脈拍すら感じるよ。凄いね。」

注文通りのコーヒーを作って、小さなテーブルにことりと置く。
自分はオレンジジュースを出して、ストローを咥えた。

「へぇ、そう。誰に言われたの。」
「って、教えられないかな。そう言う話し合い、もうされてるんだ。」
「誰かに票を集中させようとか、そう言う感じ?」

まぁそう言うのもやっぱり水面下では行われてるんだな、とジュースを啜って。
誰もが同じことを考え付くものだ、きっと昔からずっと、同じような冷戦があったのだろう。

「生憎と。そもそもあんまり人と会話できてないんだ。」
「そうだね、仲良し……というか、理解者が欲しいんだよ。」
「俺の好きなものとか、嫌いなものとか、なにを考えてるかとか、どうしてたいとか、そう言うのを言わずとも分かってくれる人。」
「親友とか、恋人とか、そう言う名前が付けられてる事もあるけど。」
「形は拘らないから、理解者が欲しい、そんな感じ。」
(-266) arenda 2022/02/21(Mon) 23:22:43

【赤】 美術 エノ

「特殊清掃員………」

呟いて、端末に浮かぶ文字を眺めて。
指を動かす。

『孤独死した老人とかを回収する人だ。』
『そりゃ後片付けもうまくなるね。』
『何でそんな仕事選んだの。』
『望んでやる人なんていなさそう。』

理解の刃は留まる事を知らない。
遠慮もなにもなく土足で踏み込んでいく。

『ちなみに。』
『何か俺にお願いしたくなるような事、あるの?』

今はまだないのかな。端末の向こうで首を傾げた。
(*16) arenda 2022/02/21(Mon) 23:31:59

【赤】 美術 エノ

『ふぅん、家族から離れたかったの。』
『理由を付けてでも一人で暮らしたいくらい。』

理由を付けないと、一人暮らし出来なかったんだ、と思った。
自分にはわからない感覚だ。
なにをしようとそれを止められたりすることもなかったし。
ただひたすらに放任主義だった。
面と向かって話してるわけでもなし、君の隠し事に気付けることもなく。

『大丈夫、拒否しないよ。』
『どんなことでもしてあげる。』
『君の事を理解したいからね。』
『思いついたらぜひ、お気軽に。』

誰かを拒否する事なんてしない。
理解を邪魔するあらゆることを、自分からすることはない。
(*18) arenda 2022/02/22(Tue) 0:09:13

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「………えーっと………」
「……あぁ、アイドルの。」
「そういえば、会ったって言ってたもんね。」

あの子か、と顔を浮かべる。
なるほど、そう言う提案を持ち掛けてそうだ。
よほど死にたくないんだな、なんて思いながら。

「フカワ君は結構、性格が悪いね。」
「いや、好奇心が旺盛なのかな。常に逆側がどうなってるのか気になるタイプだ。」
「まぁ、何の指標もないよりかは、票も入れやすいだろうね。」

嫌いな奴とか、死んでも良さそうな奴とか、そう言うのを決めるより。
死にたくない奴を除外していった方が楽だ。
誰だって目的もなく人を死に追いやったりしたくない。

「フカワ君は最初からそうだったけど、成り行きに任せるよね。」
「何があっても仕方ない、どうしようもないって思う人?」
「君は大丈夫そうだよ。色んな人と話してるから。」

ごくごくと飲んだオレンジジュースが底まで下がって、ズズ、と行儀の悪い音を鳴らす。
溶けた氷の水を吸いながら、君に視線は向け続けて。

「俺もそうだよ。理解者を作る時間に充てたい」
「それだけが未練だから…………」

そうして、齎される言葉に。
(-280) arenda 2022/02/22(Tue) 0:27:18

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「…なってくれるの?理解者に。」

前屈みに頬杖をついて、少しだけ距離を縮めて。
嬉しそうな、楽しそうな顔をして。

「いいね、やってみようよ、理解者ごっこ。」
「理解者がいたらどんな気分なのか、知れるかも。」
「理解者ごっこって、どうやればいいのかな。」
「どうすればいいと思う?フカワ君」
「コーヒーに砂糖を入れないフカワ君。バイクに憧れのあるフカワ君、贅沢なご飯と言えば焼肉を思い浮かべるフカワ君、何かと諦観的なフカワ君。意外とお喋りなフカワ君、好奇心旺盛なフカワ君。」


「……まだこれだけしか君を知らないや。」
「もっと知らなきゃ、理解者になれないね。」


君の理解者になれるよう頑張らなきゃね、と、楽し気に。
(-281) arenda 2022/02/22(Tue) 0:35:27

【赤】 美術 エノ

面と向かって話してるわけじゃない。
無機質な文字しか伝わらない。
今どんな顔をしているかなんてわからない。
もし、目の前に居たら。
その表情の遍歴を目の前で眺めていたなら、青年は───

───それはそれは嬉しそうに、笑ったことだろう。

『うん、ばいばい。』

通信の切れる表示。
端末をぽい、とすぐそこに投げ、ベッドに体を倒した。

「…また一人になっちゃった。」

どこかに出かけようかな、なんて考えながら。
青年は青年の日々を過ごしていくのだった。
(*20) arenda 2022/02/22(Tue) 1:17:16

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「なるほど。つまり君は……うーん……」
「参考にしたい?人の事を。」

死を間近にした人間がどうするべきか分からないから。
だから、人の事を見ていたいのかと受け取った。
ある意味ではそれも"理解"だ。
少しばかりの共感もできる。

「生きたい、死にたくない」
「大体皆そう言うよね。何度か聞いた。」
「漠然と生きたいと思うのが普通なのかな。」

理由などなくても生きたいのだと、演劇家が言っていた。
まだあまり理解できない心の機微だ。

目線があって、目に映った顔に。
笑うのが下手だね、とすっぱり言ってしまって。
(-369) arenda 2022/02/22(Tue) 17:16:47

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「うん、なるほど……話し合い。」
「知りたい事を聞き、知って欲しい事を話す……」

なるほどな、と頷いて。
自分が欲しがっているのは、鏡か奇跡の類の物。
容易に手に入らないそれを、されど求めてしまう。
かといって降って落ちてくるようなものではなく、きっとそれは、長い時間と段階を踏んで、やっと手に入るもので。
ならば、まずは………

「つまり、まずはお友達からと言うわけだ。」

一緒に死んでもいいと思えるくらいの。
"仲良し"なお友達を目指すとしよう。

そうして最期は理解されよう。
理解されなかったらどうしよう。
それでも理解を求めようか。
理解してくれるまで、何度も、何度も、何度も。
自分の全てを分かられるまで。
(-371) arenda 2022/02/22(Tue) 17:24:17

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

そうして聞く、君の内側の一つ。

「暇つぶし。死ぬまでの。」
「俺を理解するのも暇つぶし。」

「……良いね。」


嬉しい。一つ君を理解できたことが。
嬉しい。暇つぶしに選んでくれたことが。
だって、暇をつぶすためなら君は。
好奇心の刃で俺の心を切り裂いてくれるだろうから。

撫でられる頭に拒むこともなく目を細めた。
少し心地良さそうにする。

「……じゃあ、俺も一つ。」
「俺の本当の名前は、
虹谷 絵乃(にじや えの)

「ニジヤ製薬っていう会社の、社長の息子。」

それは、この国でも有数の、どこでも名前を聞くであろう会社。
絵はただの趣味なんだよね、と、心地良さげな目で君を見ながら告げる。
(-372) arenda 2022/02/22(Tue) 17:36:55
エノは、池の前にイーゼルを立てて、キャンパスに絵を描いている。
(a71) arenda 2022/02/22(Tue) 17:52:22

【人】 美術 エノ

「…………………………」

焼肉屋だ…………なんかある……。
いつの間にか生えてきた日常感溢れる建物を眺める。

「……うーん、また夜になったら食べようかな。」

お肉は夜に食べたい。なんとなく。
(194) arenda 2022/02/23(Wed) 6:47:54

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「なるほど……うん、いいね。」
「フカワくんのこと、またひとつ知れた。」
「嬉しいよ。君の事を知れるのが。」

髪を手に取られても、それに嫌そうな顔をすることも無く。
むしろ、もっととでも言うように頭を差し出す。
まじまじと、一つ一つの色を確かめるような所作に、
拒絶どころかむしろ、恍惚とした表情すら浮かべて。
好奇心の目に晒されることが気持ち良い。
もっと自分のことを見て、理解して欲しい。
衣服を一枚一枚脱がすかのように、裸の心を抱きしめて欲しい。

「別に俺がすごいわけじゃない。親から生まれただけだし。」
「自由だよ。会社を次ぐとか考える事もないし、お金も困らないし」
「友達にも気を使われる。あの会社の息子かって。」
「苦しいことなんて何も無い、恵まれた生活をしてたよ。」
「ただ、退屈ではあったけど。」

君も、自己紹介があるんだ、と。
ワクワクしながら、傾聴して。
(-442) arenda 2022/02/23(Wed) 7:09:54

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「……クニユキくん。それが君の本当の名前。」
「弟君を騙ってたの?どうしてそんなことをしたんだろう?」

責めるような言葉、ではなく。
ただなんで?どうして?と純真な子供のように。
楽しげな目で、君に質問をなげかける。

「うん、いいね、人とご飯、あんま食べたことないや。」
「楽しみ……うん、楽しみだな。」
「バイクも趣味じゃないんだ…………思い出す?」
「記憶が無いの?」

あんまりそんな感じには見えなかったから、少し眉を上げて。
両手を君に伸ばして、頬に触れようとする。
何もかもを知りたい。
何もかもを知られたいから。

「……あぁ、用事があるなら、話を区切って貰ってもいいからね。」

叶うなら頬を撫でながら、そうこぼす。
毎日会えるなら、無理をしなくたっていいはずだから。
(-443) arenda 2022/02/23(Wed) 7:16:11

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

「そう、きっと、ラッキーな生まれだった。」
「でも俺は、もっと庶民的な家で、一人っ子が良かったな」
「無い物ねだりだよね、こういうのは。」

撫でられる頭に自分からすり付けるように小さく首を振り。
家族の距離が遠かった。
沢山いる兄弟とも、そこまで仲が良くなく、悪くもなく。
一緒に出かけることもないし、喧嘩もしない。
親ともそう。…………だから、撫でられたこともないし。
消化不足って、どんな感じなんだろう。
満たされない感じなのかな。だとしたら、お揃いなのかな。
お揃いなら少し嬉しい。


「そっか、着ぐるみみたいなものなんだ。」
「……フカワ君の本当の姿が見れないのは、少し残念。」
「でも、そう。なんとなく、君はそういうことしそうだなって、感じするな。」
「君の事、ちょっと理解してきてるのかも。」

嘘が付けなさそうだし、歳も自分より上。
抱いていたイメージ通りで、それがなんとなく嬉しい。
自分が生き残ってしまった時、思い出す君の顔がきみのものじゃないのだけが残念だ。
(-462) arenda 2022/02/23(Wed) 12:25:37

【秘】 美術 エノ → 不運 フカワ

頬を優しく指で撫でる。
むに、と少し摘んでみたり。
人の顔って、こんな感触なんだな。
まぁVRだから、本当の顔ではないんだけど。
触れる度なんとなく理解度が高まるようで、嬉しい。

「……そっか。君は、君をちゃんと理解出来てないんだ。」
「分からないんだね、自分のことが、ちゃんと。」
「……今度一緒に出かけよう。図書館とか、公園、池もあるはず」
「どこか楽しい場所を見つけてみようよ。君の好きなものを見つけたいな。」

そうして見つけた君の好きなものの記憶に、
自分も顔を出していればいい。
自分の中に誰かを残したいし、誰かの中に自分を残したい。
君とは真逆。きっと、心に傷を刻み付けたいのだろう。
自分という傷を。

「うん、まぁ、理解者は1人いれば満足なんだけど。」
「連絡、待ってるね。お土産話も楽しみ。…………んー……」
「……早めだと嬉しい。」

君に理解してもらうために、思ったことをそのまま告げて。
次は何時間後だろう。待ち遠しく感じる。
そうして一度、汗ばむくらい室温の高い部屋から。
冷えた外へと、君を送り出すことだろう。
(-465) arenda 2022/02/23(Wed) 12:34:52

【人】 美術 エノ

日も暮れてくる頃、随分肌寒くなってきた。
そんな中青年は、南西の区画、広場の噴水前にイーゼルを立てる。

「噴水か。いいね。」
「綺麗にかけるかな。」

合議以外の時間は暇だ。
絵を描くにはちょうどいい時間なのだった。
(206) arenda 2022/02/23(Wed) 14:02:12

【人】 美術 エノ

>>207

「……〜♪」

鼻歌交じりにパレッドに絵の具を出して。
少しづつ色を塗っていく。
プロ並みに上手い、という程ではなく。
されど素人から見ればなんとなく見栄えよく見えるような。
そんな風景画。ご機嫌な様子でそれを描いていく。

「…………おわ、びっくりした。」

ある程度書いたところで、背後の君に気づいて。
いたんだ、と振り返った。
(214) arenda 2022/02/23(Wed) 15:04:40

【人】 美術 エノ

>>217
「そうなんだ。まぁ、あんま人前で描く人いないか。」

大道芸くらいかな、と納得を示す。
君がそのまま見ていくようなので、正面に向き直り。
飛び散る雫の一つ一つを描いていく。

「楽しいから好きになるんじゃない?」

それって分けられるものなのかな?と首を傾げ。
あらかた風景を描き終われば、今度は人影をひとつ描いていく。
噴水に向かい合うような影。

「俺は楽しいし、好きだよ。」
「自分が作ったものを残せることが好きなのかも。」
「この絵を見て、自分のことを少しでも理解してくれる人がいるかもしれないから。」

人影の前にイーゼルを描き足して。
ざくざくと、さほど時間もかけずに描いていく。

「君はどう?なにか趣味はある?」
「その趣味は、好きだからやるの?それとも、楽しいからやるの?」
(219) arenda 2022/02/23(Wed) 15:43:27

【赤】 美術 エノ

青年はといえば、落ち着いたものだった。
趣味の絵に没頭して、されど別に逃避というわけでもなく。
言うなればそう、時間つぶしのような気持ちで。
筆を滑らせていた。

端末が震え……今は近くに人がいるから、メッセージを網膜の上に映し出す。
前回の経験から、随分VR上で様々な操作ができるようになっていた。

『それは。』
『いいか、悪いかってこと?』
『まぁ、なくていいなら無い方がいい制度だよね。』

死にたくないと思う人がいて。
死んで欲しくないと思う人もきっといる。
突然訪れる平等な死を、肯定できる人は果たしてどれほど居るのだろう。

『辛くなっちゃった?』
『取り留めのないことでも、話したら楽になるよ』

2回も選ばれてしまった君を可哀想、だと思ってるから。
せめて支えになってあげられればいいなと思った
(*22) arenda 2022/02/23(Wed) 16:37:40

【人】 美術 エノ

>>223 ツルギ
筆はやがて、色の多い髪を描いていく。
噴水広場にひとりぽつんと立つ絵描きを、精巧に描いていく。

「無いんだ、趣味。」
「すごいね、退屈で死んじゃいそうだ。」

暇な時どうしてたんだろう。
さほど暇な時もなかったのだろうか。
ある程度描き終えた絵に背を向けて、君に向き直った。
君の言葉を聞く。ひとつ、頷いて。

「なるほど。」
「君は物事を頑張れない人なんだ。」
「何をしても、実らないかもしれない、無駄かもしれない」
「そんな思いでいるんじゃない。」

昨日の会話を思い出しながら、そう告げた。
徒労が嫌だと言っていた、君の言葉。

「成果が出るか分からないものに、力が入れられないのかな。」

つらつら、君を理解するために。
今理解してる中での、君への印象から推測して話す。
(228) arenda 2022/02/23(Wed) 16:42:57

【赤】 美術 エノ

青年には何も忘れたい事がない。
死んで悲しいなと思えるほど理解できた人もいなかったし。
それより前の、日常生活でも何も困ったことはなかったし。
心の底に何もない、ぬるま湯の風呂のような人生だった。

『うーん。』
『これは俺なりの考えだけれど。』
『死ぬのが怖い人って、未練がある人だと思う。』

それは例えば、もっと何々がしたかった、だとか。
あの人と一緒に居たかった、とか、遊びたかった、とか。
アイドルのライブに行きたい、とか、ドラマの続きが見たい、とか。
そういう、"生きて何かしたかった"から、それが出来なくなる死が怖いのだと、思ってる。

『怖くないよ。』
『生きてやりたいことがないから。』
『寂しいけどね。』

寂しいけど怖くはない。
それが青年の答えだ。
恐怖を感じるほど、未来を見据えた人生じゃなかった。

『君はどう、カミクズくん。』
『怖い?』
(*24) arenda 2022/02/23(Wed) 17:18:51

【人】 美術 エノ

>>232 ツルギ
「退屈から逃れるためにするものではないと思う。」

バッサリ。
自分はどっちもやったことないけれど。
たいてい目的があるとか、好きだからやるものだと聞く。

「結果がすぐ出るような趣味があればいいのかもしれないね。」
「それか、目標を短く設定するとか。」
「例えば、そう。人と話す事。人の話を聞くこと。自分の話をすること。心を近づけてみる事。」
「そうして少しずつ段階を踏めば、いずれ理解者ができるかもしれない。」

細かな目標は大事だよ、なんて。
人生の先輩らしい事を言ってみる。
背中から見ている君は分からないだろうが、青年は自分を描く時、瞳を閉じている。
視界がどこか別の場所にあるように。
それもVRの機能の一種なのかもしれない。もしかしたら、空中に目玉があるのかも。

風景が多数を占めるこの絵は、しかし青年にとっては。
肖像画であった。


「うーん…期待……そうだね。」
「どちらかと言うと、諦められないだけかな。」
「一人でも、心から理解してくれる人がいてほしい。」
「そんな夢を諦められなくて、求めているだけ。」
「俺は君みたいに、何かに裏切られたような経験もないからね。」

風が吹いて、首筋に冷たさを感じた。
肌についた水滴を、指で拭った。
(234) arenda 2022/02/23(Wed) 17:45:47

【赤】 美術 エノ

『へぇ、やりたい事がないんだ。』
『意外だな。』
『だって、理由を付けて家族から離れたいくらい、一人暮らしがしたかったんだよね。』
『一人じゃないとしたい事が出来ないからだと思ってた。』

なにかをしたいから。
そのために一人暮らしがしたかったのだと、思っていた。
そうじゃないというなら。
家族と離れる事
そのものが理由だったのだろうか。
果たしてそれは、どんな事情なのだろうか。

『ないよ。』

君の質問には、すぐに返信が来る。

『元から無かったんだ。よかった事、嬉しい事。』
『だから生き延びた後も当然なくて。』
『何もないまま、今日まで来ちゃったよ。』
『だから、まぁ』
『死んでた方が楽だったかも、とは少し思うね。』

1回目を生きて帰ってきたときの周りの反応も。
腫れ物を触るかのようで、今までもそうされてきたのだけれど。
より一層に距離を置かれたようで、寂しかった。
死が齎す負の感情より、生きて得る虚無の方が多い。
だから死ぬのが、怖くない。
そんな感じだ。
(*26) arenda 2022/02/23(Wed) 17:57:17

【赤】 美術 エノ

『何から?』

躊躇う事もなく、理解の刃を振るう。
その曖昧さを許さないとでも言うように。
理解のためなら、何も省みないとでも言うように。
ずけずけと、踏み入る。

死んでいたほうが良かった。
全く思わない人間は、相当幸せだ。
誰かを、間接的にとはいえ殺して生きることは。
心からそう言えないくらいの負担で。
最も、青年は。
あまりそこを悩んだりはしていないが。

『そうだね。』
『俺の唯一つの夢だから。』
『できれば叶えたいよ。死んだら敵わない。』

それもある種の、未練だろうか。
(*28) arenda 2022/02/23(Wed) 18:28:01

【赤】 美術 エノ

君の答えを聞く。
失った空白。代わりになれなかった。
推察できることはある。
なるほど、と一つ頷いた。

『そっか、残念だったね。』

淡白な返事、は、文章だから。
端末の向こうで、青年は一人部屋で。

恍惚の顔をしていた。


それは君の事情がどうとか、そういうのじゃなくて。
ただ、そう、君を一つ理解できたから。
衣服を一枚脱がすかのように、君の心を薄着にできたから。
それが嬉しくて、理解することと理解されることは紙一重だから。
部屋で一人、笑っていた。

『理解者と一緒に死んだらさ』
『そこで変化が止まるのかな。』
『だったらそれが一番だよね。』

そうありたいな。
(*31) arenda 2022/02/23(Wed) 19:20:21

【赤】 美術 エノ

『うん、また後でね。』

もう時間か、と通信を切る。
この顔の色が戻ったら、自分も向かうとしよう。
(*32) arenda 2022/02/23(Wed) 19:21:01
エノは、自室から、裁判場に向けて歩き出した。
(a108) arenda 2022/02/23(Wed) 19:49:53

エノは、裁判場で、再び絵を描きだした。最初の時と同じように
(a113) arenda 2022/02/23(Wed) 20:36:25