人狼物語 三日月国


7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】

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視点:


【妖】 生贄 セレン

 
[ 失望の気配に睫を震わせても、>>875
  届かない腕も言葉もどうにもできなくて。

  きっと、酷いことを言ったのだろう。
  けれどその原因を知らないままではこれ以上、
  何を言葉にしていいのかすら分からずに。

  落ちた腕は距離の遠さの実感を呼んで、
  はふ、と抜けた吐息を狼に落とし苦笑した ]
 
($0) pisca 2019/04/12(Fri) 23:05:36

【妖】 生贄 セレン

 
   ねえ、同じ瞳の誰かって誰……?
   さっき言ってた
セレス
って子がそう……?

   ぼくにはそれが分からない。
   だから、あなたのことをもっと知りたかった。


[ 知らない間に重ねられ問われたことに感じたのは、
  興味と、理由の分からない痛みでしかなくて。
  落とす言葉が置き去りの響きであることには気付かずに ]
 

   ………貴方しか知らない子は、
   開けてはいけない扉の向こうにいるのかな。

   
($1) pisca 2019/04/12(Fri) 23:08:08

【妖】 生贄 セレン


[ 好奇心で殺されるのならばそれでいい。
  故に、過去への配慮を捨て、真っ直ぐに問う。

  答えを期待して、静かに紅眼を射抜き、
  己にとっては残酷な優しさに首を振りながら。>>0:876 ]

   
   ううん、要らない、です。
   ここがぼくの最後の居場所だったから。

   でもここは貴方とその罪の居場所だった。
   そういうこと……だよね?


[ 幾千の夜を越えたのかすら知れない彼の痛みへ、
  手を伸ばそうとすることこそ傲慢なのだろうけれど。

  唇をまたきつく噛みながら、
  拒絶が背を押すのを待つように身を縮めて ]
($2) pisca 2019/04/12(Fri) 23:23:01

【妖】 生贄 セレン

 
   鍵の場所を教えたのは、なんで……?

   
[ 寄り添う狼の毛並みが脚に触れなければ、>>0:877
  空気に耐えきれずに視線を逸らしていただろう。

  繋いだ言葉を静かに。

  自らを化け物と称した綺麗な主を前に、>>0:879
  跪く姿勢を止めずに同じ目線の紅眼を灰と蒼で絡めて ]
($3) pisca 2019/04/12(Fri) 23:33:47

【妖】 生贄 セレン

 
   ……鋭い牙をもって血を吸って生きる貴方と、
   陽で傷める瞳を二つ持つ、色味のないぼく。

   ぼくが特別なら、あなたも特別なだけだよ。
   

[ 辛抱強く言い聞かせる言葉に首を振る。>>0:879
  特別だからこそ排除された子供の感傷だと、
  切り捨てられればそれまでの理屈で頑なに。

  普通から外れた存在という意味では同じだと、
  我儘でしかない感情を発露しながら ]
 
($4) pisca 2019/04/12(Fri) 23:44:18

【妖】 生贄 セレン


   それに……あなたのほうが、綺麗だ。
   誰かをひとりぼっちにしない為に生きて、
   その痛みを抱えてずうっと繋いできたなら猶更。

   ぼくはただ、ただ……自分勝手なだけで。


[ 彼が評価したひとつの価値に、>>0:611
  自分勝手にも過ぎる感情を自覚して熱い息を吐く ]
  
($5) pisca 2019/04/12(Fri) 23:47:11

【妖】 生贄 セレン


   ……化け物がそんな風に生きられるのに、
   ぼくはただ、独りが嫌で、自分が生きたいってだけ。

   自分勝手で……醜くて、
   あなたを殺してあげることも出来ない臆病者だから。
  

[ 愛情を知らなくても知らない誰かへ執着を抱く彼へ、
  臆病者らしく、乾いて罅割れた笑いを模したまま ]
 
($6) pisca 2019/04/13(Sat) 0:18:07

【妖】 生贄 セレン


   ごめんね、ニクスさま。
   あなたの事がもっと知りたいだなんて、
   とても……とても、酷いことを言ってるんだと思う。

   でも、知りたいんだ。
   ……暴くんじゃなくて、できれば、知りたい。*
 
($7) pisca 2019/04/13(Sat) 0:19:06
生贄 セレンは、メモを貼った。
(a12) pisca 2019/04/13(Sat) 0:20:15

【妖】 生贄 セレン

 
   何も……今、何も知らないぼくのまま、
   あなたを殺してあげるなんて嘘を言えないから。

  
[ 狼を撫でる手指はきっと震えていて、
  堪えたものを溢す音は傍らだけに響く小さな声で。

  吐息を混じらせ寝台から滑り落ちた。
  目の前の化け物と称する綺麗な主に苦く笑い、
  傷の残る掌を差し出すことはもうせずに。

  胸の前で緩やかに振って去ることを知らせつつ ]
 
($8) pisca 2019/04/13(Sat) 3:52:51

【妖】 生贄 セレン

 
   ここにぼくの居場所がないことは分かってる。
 
   だから、教えてくれる時がくるまでか、
   それとも貴方がぼくに価値がないと思う時まで。
   ここに……いさせてください。

   ほんの少しの間だけでもいいから、
   ひとりぼっちじゃない夜を過ごす夢を見てみたい。


[ 要らないと告げられることに怯えはあるけれど。
  この双眸も、髪も、特別なものだと説いた古城の主へ。
 
  泡沫だと知る夢から醒める日までの願いを託し、
  そっと撫で、狼を誘い、裸足は扉へと滑らかに歩んで ]
 
($9) pisca 2019/04/13(Sat) 4:20:23

【妖】 生贄 セレン


   ……おやすみなさい。
   紅茶を飲んでくれて、ありがとう。
 

[ 扉を開けて振り向き、頭を下げる。
  寒さに強張る表情を髪で隠して、悟られないように。

  部屋に戻る帰り道は狼任せで先導を任せ、
  あとに続く足音はぺたぺたと音を立ててゆっくりと。

  上着を借りたままだったと気付いてももう遅く、
  それに包まれるようにして誂えられた部屋へと戻る ]**
 
($10) pisca 2019/04/13(Sat) 4:27:31

【妖】 生贄 セレン

 
[ ひたひたと続く足音に追従する獣の気配は、
  酷く冷たい城内では優しく、故に孤独を知った。

  おやすみ、と続いた言葉に笑えただろうか。>>$18
  少なくとも不出来な表情ではあったと思う。

  強張っても、歪でも、笑うことに意味があった。
  扉を閉める間際の悲哀に彼の為だけの希望を残してから、
  過去に縫われた男の前から姿を消すことに>>$19 ]
 
($20) pisca 2019/04/13(Sat) 18:14:18

【妖】 生贄 セレン


   ねぇ


[ 囁きを灰色の狼へ落とす。
  狼を恐れることなく寄り添いながら双眸は遠くへ、
  居場所のない城の中を歩く足音も、消えそうな程に儚く。

  言葉を理解するとは知らないまま、
  部屋へ辿り着くまでは問いの言葉を宙に浮かせていた。
  勿論、狼を部屋から追い出すことなど在ろうはずもなく、
  招き入れ、クロゼットの前へと歩きながら ]
 
($21) pisca 2019/04/13(Sat) 18:15:35

【妖】 生贄 セレン

 
   化け物だから殺すだろうって……
   ニクスさまはぼくがそう思うって考えたのかな。


[ それとも生き残るためになら、だろうか。

  生き延びるために何でも――
  想像し得る限り、どこまでもする心算だった。
   
  齟齬は恐らくそこなのだろう。
  贖罪のために殺されることを望んだ彼と、
  この手で誰かを殺すことまでは浮かばなかった、
  世間知らずで無価値だった己との、絶望的な差 ]
 
($22) pisca 2019/04/13(Sat) 18:17:00

【妖】 生贄 セレン

 
   もしぼくが彼を殺せて、ひとりになって。
   それからきみはどうなっちゃうの……?


[ 古城の主が消えたと知れれば大人が群がり、
  そこに富があるならそれを得ようと、
  贄の代価とばかりに奪いに来るのは想像に難くない。
  居場所がない子供など大人にとって無力なものだろう。

  けれど村の悪辣さを知り得なかった夜の怪物に、
  それを知らせることなどはしないと決めている。
 
  眼と、声と、たったそれだけ。>>$11
  それだけが誰かに似ているらしい我儘な生贄に、
  あんな忠告をする優しい主には決して。>>$16 

  どうでもいいと投げ捨てられるならともかく、
  これ以上、塵であっても彼の重荷となるのを避けるために。

  少なくとも、今それを伝えても意味がないのだと、
  忘れられないと溢した想いの重さを知れば当然で>>$19 ]
 
($23) pisca 2019/04/13(Sat) 18:20:40

【妖】 生贄 セレン

 
   森に帰るのかな。
   それともあの人が死んじゃったら、
   きみも死んじゃったりする……?


[ 借りた上着を脱いで皴を伸ばし、
  衣装掛けに吊るして選んだ夜着は一番シンプルなもの。
  バスローブも脱ぎ捨て夜着に袖を通して、
  それでも未だ夜の空気は冷たくて小さく震えながら]
 
($24) pisca 2019/04/13(Sat) 18:21:47

【妖】 生贄 セレン

 
   おいで。名前を、あげる。
   終わりまでの間だけだけど、きみの名はね……


[ 柔らかな寝台へ滑り込む。
  燭台の灯はつけたままベッドの隅に寄って、
  狼を空いた場所へと誘って、その首に腕を巻き付けて。

  毛皮に顔を埋めて無防備に瞼を閉じた。
  人ではない気配も、鋭い牙も恐れないどころか、
  その感触に安堵の息を漏らし、稚くくすくす笑う ]
 
($25) pisca 2019/04/13(Sat) 18:23:03

【妖】 生贄 セレン

 
   クー、とかどうかな。
   ぼくが唯一、触っても逃げなかった犬とおんなじ。


[ 牧羊犬と一緒にされては狼も堪らないだろうけれど、
  過去で唯一の癒しだった存在と重ねて瞼を閉じて ]
 
($26) pisca 2019/04/13(Sat) 18:32:17

【妖】 生贄 セレン



   クーが喋れたらよかったのに。
   そうしたら、もっとあの人のこと知れたかな。

   ぼくが、殺す勇気を持てるくらいまで。


[ 湯に溶かした薔薇の香を漂わせ、
  狼の毛皮に顔を埋めて瞼を鎖し溢れる何かを堪えながら。
  眠れそうにもない夜を、取り留めのない会話が続く。

  不安を少しずつ埋めるかのように。
  過去を遡り語る独白は殆どが傷痕でしかないけれど、
  少しだけ救いがあるとしたら同じ生贄の子たちとの交流で。

  狼の呼気が寝息と重なるのは陽が月を熔かす夜明け前。
  変わり者の子供の話に到ろうとして、眠りに落ちた ]*
 
($27) pisca 2019/04/13(Sat) 18:33:03

【妖】 生贄 セレン

 
 
[ まるで、陽に泳ぐような夢を見ていた ]

 
($28) pisca 2019/04/13(Sat) 20:48:22

【妖】 生贄 セレン

 
[ 陽に透ける金の髪。
  生贄の意味も知らない子供の目の前で、
  柔らかな髪を風にそよがせて微睡む誰か。

  眩くて、遠い、鈴音を知っていた。
  誰もが厭った異色の瞳で見ても、
  ただ笑うだけだった変わり者の子供。

  売られた時から捧げられるためだけに生かされて、
  順番をただ待つ子供の中ではただひとりだけ、
  陽のように暖かく、眩かった誰かの夢を ]
 
($29) pisca 2019/04/13(Sat) 20:50:39

【妖】 生贄 セレン

  
   ……ああ、でも。


[ 夢だと知るふわふわした感覚の中、
  眩い誰かは唇を動かして己の記憶を刺激する。

  彼女がおかしそうに綴った言葉を艶やかに。
  何故か忘れるべきだと塗り潰していた思い出を鮮烈に。

  “ わたしたち おんなじね ”

  何が、同じだったのだろう。
  祝福されたかのような暖かい髪の色。
  空を映す瞳を持つ彼女が順番を迎える日に、
  届かないと知りながら手を伸ばし聞いたことがあった。

  笑い方を――心の動かし方を。
  周りの全てから気味悪がられてひとりきりの子供に、
  悪戯げに同じだといった、その真の意味を ]
 
($30) pisca 2019/04/13(Sat) 20:54:18

【妖】 生贄 セレン

 
[ ―――彼女の答えは聞けなかった。

  自ら探せと言い残し、
  順番を迎えた彼女が消えたあとはまたひとりきり。

  名か、境遇か、それとも他の何かだったのか、
  存在感だけが残ってその幻想は夢で語りかけてくる ]
 
($31) pisca 2019/04/13(Sat) 21:01:28

【妖】 生贄 セレン


  “ 大切なものは、なに? ”


[ 幻想が織る、未来と過去と願望と拒絶の狭間で。
  掴めそうな何かに無意識に手を伸ばす ]
 
($32) pisca 2019/04/13(Sat) 21:12:07

【妖】 生贄 セレン

 ― 翌日 ―

[ 陽が窓から差し込んで暫く。
  目許を濡らす舌に身動ぎを幾度か繰り返し、
  漸く眠りから浮かんだ意識で陽を眩しげに見る。

  眼が痛かった。
  寝際にカーテンを引いた記憶がなく、
  差し込む陽光に目の奥まで刺された痛みに蹲る。

  無意識に伸ばした手で目を覆えば少しは楽で、
  見守る狼に手を伸ばし頼りながら起き上がり、
  カーテンを引いて光を弱め、そこで漸く息を付く。

  淡い光源でなければ傷める眼は相変わらずで、
  こんな瞳のどこが特別なのか己では理解できない。

  陽で傷めるだけでなく焼かれてしまう主との差は、
  自分で思うよりかは深刻なのだろうとは思うけれど ]
 
($33) pisca 2019/04/13(Sat) 21:17:13

【妖】 生贄 セレン

 
[ 誂えられた服に着替えて、
  その上に外套を羽織ってフードを目深に。
  髪も瞳も隠すそれは如何にも陰鬱そうだったが、
  今まではこれが己にとって身を護る盾だった。
  いまも、きっとそう。 ]


   きみもお腹がすくよね、
   ありがとう、夜に一緒にいてくれて。


[ 扉を開けて狼の自由を促して、
  用意されていた靴を履いて己も部屋を出る。
  空腹が胃を痛ませるが今更そんなものには慣れていた。

  麺麭のひとつやふたつ城の食料から貰っても怒られまい。
  主にとってこの身体は殺されるまで継ぐモノで、
  その価値が失われる日がくるまでは生かして貰える ]
 
($34) pisca 2019/04/13(Sat) 21:19:25

【妖】 生贄 セレン


[ こんな風に生きていられると、>>$15
  困ったような笑いを浮かべる主を思い出せば胸が痛んだ。

  いったい、どんな風に生きられるのだろう。

  憐憫を重ねて綴られた言葉に締め付けられた感情を、
  顔に映して聞いてしまった己はきっと、
  同じように困った表情をしていただろうに ]
 
($35) pisca 2019/04/13(Sat) 21:25:44

【妖】 生贄 セレン

 
[ 足は自然と、空腹の訴える先ではなく。
  広い城内でまだ点在する空き部屋のひとつ。

  鍵のかかっていないいくつかの部屋は、
  過去に訪れた子供たちの部屋でもあっただろうから。

  確かめたかったら探して見せろと>>$11
  まるで突き放すような彼の言葉通りに。
  ひとつひとつ、扉の中身を確かめて覗いていく。

  男、女、それぞれに価値を見出され、
  捧げられ続けた子供たちの、僅かに残る痕跡を。

  辿り着く先がどこかは既に知っている。
  これは時計の針が鍵となる部屋の向こう側にある答えを、
  覗く勇気が出るまでの梯のようなものだろう ]
 
($36) pisca 2019/04/13(Sat) 21:31:04

【妖】 生贄 セレン


   クー、……ぼく、ね。


[ 狼がいてもいなくても話し相手など彼だけで。
  背後に語り掛ける言葉の抑揚はなく、感情を殺したまま ]
 
 
   誰かが死んでもどうでもいいものだと思ってた。
   ……でも、きっと、違ったんだね。
 
($37) pisca 2019/04/13(Sat) 21:38:48

【妖】 生贄 セレン


[ 人を殺したことがないから違うと諭す彼が、$13
  己に殺してほしいと願う裏腹さに瞼を半ば閉じて。

  薄暗い部屋に馴染んだ視界は灯がなくとも部屋を見る。
  あてがわれた部屋と間取りはそれほど変わらず、
  家具も片付けられているだけの痕跡の消された部屋。

  ここにはなにもない。
  子供たちが残した何かがありはしたけれど、
  衣装棚の隅に宝物のように隠された金貨が1枚だけでは、
  何もしることはできないと苦笑して ]
 
($38) pisca 2019/04/13(Sat) 21:57:19

【妖】 生贄 セレン


[ これは返すべきだろうか。
  それとも貰っていいものなのだろうか。

  見た限りでは普通の金貨にしかすぎず、
  自分の物ではないそれを懐に入れる気もおきず。

  けれど、彼を訪ねる理由にはなった ]
 
($39) pisca 2019/04/13(Sat) 22:02:42

【妖】 生贄 セレン


   斜陽の頃なら、起きているかな。


[ それとも土足で暴きにいくべきか。
  未だ踏ん切りがつかない臆病さは独言に満ちて、
  そっと溜息を重くし、部屋の扉を潜って階段を降りていく。

  外を歩けば何か変わるだろうか、この沈む意識が。
  記憶を辿るように歩いて何かを見つけることができれば、
  誰かの何かが救われたりするのだろうか。
   
  足は食堂ではなく薔薇の生い茂る庭園の中へ。
  陽に香る薔薇の匂いは濃密で、
  手入れをするには子供の手には余る広さに映る ]
 
($40) pisca 2019/04/13(Sat) 22:23:46

【妖】 生贄 セレン


  ……


[ 赤い、紅い、痺れる程に濃く香る薔薇。 
  葉が多くを吸って枯れる花弁も目に付く庭園に、
  ぽつんと立って改めて思い知るのは独りだという意識で。

  空腹が限界を迎えるまで思考を巡らせた。
  どうせ陽が僅かでも傾くまでは動きは鈍いままで、
  やることなどそれきりしかできない。

  過去の扉を開く時計の針を得る勇気を得るまで、
  手間のかかる薔薇の庭園が残されてある意味を。

  なにより、“おんなじ”の意味を、幾度も、幾度も ]*
 
($41) pisca 2019/04/13(Sat) 22:39:25

【妖】 生贄 セレン

 
[ 森の影が伸びる頃合いまで、
  思考に沈む間の手は余計な薔薇の芽を摘み、
  荒れを緩やかに押し留めようと従事していた。

  陽は白い肌を赤く焼く。
  それに気付かない程に幾度も繰り返す思考は、
  子供部屋に残された痕跡のいくつかを中心としている。

  忍ばされたナイフを片付けなかった理由。>>$50
  見逃されたのか、残されたのか、
  描かれた絵の笑顔の意味とその心情も。

  涙の滲む羊皮紙には息を詰まらせた。
  これを見たのだろうか、彼は。
  見たうえで彼は子供たちに望み続けたのだろうか ]
 
($57) pisca 2019/04/14(Sun) 1:15:07

【妖】 生贄 セレン

  
   ……痛いな


[ ひりひりと痛む焼けた肌を、
  土に汚れた指でゆるりと撫でて息を吐く。

  連なる謝罪の言葉から響く重なる彼への想いは、
  この古城の主の過去に繋がる扉のひとつなのだろう。
  けれど殺し方やその手段を目に見えて残したままなのは、
  意図的だとしてもそこに残された痕跡まではどうなのか。

  なにより聞き憶えのある名が示された、
  何気ない日々が綴られたあの日記の存在は……?>>$51 ]
 
($58) pisca 2019/04/14(Sun) 1:17:52

【妖】 生贄 セレン


[ 考えても答えを持つのは夜の名を持つ彼だけで、>>$56
  その名を名乗った彼を思い出し、唇をきつく噛み締める。

  そこまで繋がれば己の鈍い頭でも理解はできた。
  明らかに同じ村の出だろう奉仕を仕込まれた女の子。
  似た名前と、彼女だけが持たされた金貨のお守り。

  愛されるべき子供の行方はここで、
  ここはその女の子と、夜の怪物の居場所だったのだろう ]
 
($59) pisca 2019/04/14(Sun) 1:24:52

【妖】 生贄 セレン

 
   ……要らないね、これ。


[ 聖水の瓶は中を捨てて空にして。
  ピアノの音色が響いて顔を上げるも、>>$52
  陽に焼けてしまった鼻の頭がひりりと痛んで。

  また唇を噛んで痛みを誤魔化し、
  土を払って立ち上がれば狼が小さく鳴いた。
  ずっと傍にいてくれたらしい律義さに、
  そっと微笑んで大丈夫、とだけ唇の動きで囁いた ]
 
($60) pisca 2019/04/14(Sun) 1:32:30

【妖】 生贄 セレン



[ ひとりには、なれてるから ]


 
($61) pisca 2019/04/14(Sun) 1:33:45

【妖】 生贄 セレン

 
[ 食堂で手を洗って、
  空腹を今更思い出し林檎を一つ手に取った。

  森を探して食料を得る時間は思考に奪われ、
  麺麭を焼くにはもう陽は落ちて、
  焼きあがるまではお腹が持ちそうにもない。

  それに、音色が途絶える前に。
  裸足と違って乾いた音を響かせて、 
  ピアノに誘われ部屋へと戻り扉を叩く。

  与えられた部屋なのに客人のように。 
  誰かのための部屋だったここに慣れてはいけないと、
  檻を課した無意識を発露しているのには気付かずに ]
 
($62) pisca 2019/04/14(Sun) 1:37:27

【妖】 生贄 セレン


   おはよう、ニクスさま。


[ 顔を覗かせ、唇だけが覗く格好で“笑う”。

  左手にはぴかぴかの赤い林檎がひとつ、
  右手には棘を払った薔薇一輪を挿したグラスがひとつ。

  ピアノの傍には寄らず薔薇を飾るために、
  窓辺に寄ってそこにグラスをことりと置いてから ]
 
($63) pisca 2019/04/14(Sun) 1:43:40

【妖】 生贄 セレン


   お部屋をたくさん見て回ったんだ。
   あなたのことを描いた絵も、手紙も、ナイフも、
   残していたのはわざとだったりする……?
 
 
[ 問い掛けは直球で、
  けれど言葉遊びのように答えを期待するでもなく。

  フードを脱ぎ顔を覗かせ小首を傾いで見せながら、
  外套の内側に入れていたコインを掌に乗せ差し出した。
  
  あの子のお守り。
  知らなかったのならこれを持つに相応しいのは、
  己なんかではなく、彼の方だろう ]
  
($64) pisca 2019/04/14(Sun) 1:58:05

【妖】 生贄 セレン


  月の落とし物を拾ったから、夜に返すね。
 

[ 月というには黄金のそれは、陽のようだったけれど ]*
($65) pisca 2019/04/14(Sun) 1:59:28

【妖】 生贄 セレン

 
   んー…
   ぼくにも夢が見れたくらいには。


[ あてがわれた寝台は身に余る柔らかさで、
  記憶の上では初めて怯えずに眠れる夜だった。
   
  枕も毛布も揃う寝床がなんて幸いだなんて、
  この夜の怪物には想像が及ばないことだろうか。
  ごく短い時間を繋ぐように眠るのに慣れる程、
  他人の気配に怯えながらこれまで生きていたことも。

  夢を繋ぐなど、二重の意味で許されなかった。

  故に、問いかけには微かに柳眉を寄せて、>>$66
  謎かけのように、けれど実際には素直にそのまま答えて ]
 
($78) pisca 2019/04/14(Sun) 15:20:09

【妖】 生贄 セレン

 
   そう……?

   でも、これは誰かに想われた子供の証だから、
   ぼくが持っていていいものでは、ないかな。


[ 掌の上の金貨は受け取られずに、
  落ちた言葉に白金の髪を不思議そうに揺らす。

  美麗な顔立ちを顰める様子に、>>$67
  思い出に浸ることすら苦痛なのだろうと察しはした。
  けれど日誌に綴られた金貨の正体は己から最も遠い物で、
  己の元では思い出を穢してしまうとでも言いたげに。

  冷たい指を動かすのを視界の端で捉えながら、>>$68
  とりあえずは金貨を楽譜台の上へと置き去りにして、
  彼を未だ知らないからこそ深い溝を自覚し、苦笑する ]
 
($80) pisca 2019/04/14(Sun) 15:22:45

【妖】 生贄 セレン

 
   あの子は太陽のようで眩しいひとだった。
   あんまりはっきり思い出せないけれど、
   ぼくと似てる場所なんてどこにも……


[ 男にしては細くて高い声音は少し似ているか。

  自声に関しては認識が歪んでいそうで、
  その想像すらも烏滸がましいと思える眩い陽の少女。

  シスターに心配されてお守りを貰うだなんて、
  双眸の物珍しさと年齢の都合だけで捧げられた己には、
  知りたくもない現実を突きつけられたかのよう。

  生贄としての立場は“おなじ”でも、
  そこにすら居場所はなかったのだという現実を ]
 
($81) pisca 2019/04/14(Sun) 15:27:26

【妖】 生贄 セレン


   ううん、ごめんね。
   貴方を殺す勇気はまだ出ない。

   貴方を殺してもいいなって思えるくらいに、
   早くなれたら……楽にしてあげられるのにね。


[ 故に問い掛けには、>>$69
  失望を伴うだろうとしても素直に答えた。

  拒絶され続けた世界で最後と信じた場所を失い、
  そのまま繋げられると思えるほどには、
  未だ彼を思いやろうとする感情には足りない。

  最初に触れられてなければ、
  この手を穢す躊躇いはなかっただろうか。
  誰もが疎んだ異色を躊躇いなく覗かれて、
  何かから一瞬でも逃れられたのだと安堵しなければ。


  考えても結論などは出る筈もなく、
  きっと、大人をひと匙混ぜた曖昧な笑いを浮かべて ]
($82) pisca 2019/04/14(Sun) 15:41:16

【妖】 生贄 セレン

 
   ううん大丈夫、でもありがとう。
   林檎は好きだし、これひとつで足りるよ。


[ 空腹に慣れているからこそ、林檎ひとつで十分。
  そう伝えて足は自然とピアノの椅子の傍らへ。

  彼の視線から逃れるようで距離を縮めたのは、
  もう一つ言葉を足す反応を間近で見たいから ]
 
($83) pisca 2019/04/14(Sun) 15:59:18

【妖】 生贄 セレン

 
   ……あなたの、食事は?
   

[ 人間は林檎で足りると伝えたのだから当然のように。
  血を啜ると噂に聞く夜の怪物に尋ねる言葉は、
  どうしたって残酷に響くのだろうと想像しながら。

  紅茶では到底、大人の身体は足りないだろう。
  見ていない場所で何かを食べているのならその理由を。

  陽が落ちて夜に満ちた室内では異色の双眸は真っ直ぐに、
  まるで人のような男を射抜いて、静かに問いかけた ]**
 
($84) pisca 2019/04/14(Sun) 16:01:22

【妖】 生贄 セレン

 

[ ――早く、どうなれたらというのか。 >>$82

  まるで人のような姿をして苦しみながら、
  人を殺す怪物の領域へ誘う彼を嫌いに?

  それとも、この手で殺してやれるほど、
  自分を殺せる程に彼を特別に思えたら……?
  
  夜の城に送られた子供たちの様々な痕跡は、
  好いたか懐いたか彼の笑顔の記憶だったり>>$50
  決意の刃であったり、流れた涙の痕だったり ]
 
($88) pisca 2019/04/14(Sun) 22:25:00

【妖】 生贄 セレン

 

[ それぞれは小さな断片でしかなくて、
  ひとりきりで生きた己の想像しか及ばない。
  
  まあ、明るいものでないのは確かだろう。

  断片たちはみば涙に濡れた謝罪で終わり、>>$51
  死にたがりの怪物は未だ死を願っている以上は ]
 
($89) pisca 2019/04/14(Sun) 22:26:09

【妖】 生贄 セレン


   悪いことを聞いちゃった……?


[ ふふ、と息を抜くように笑う。
  子供の無邪気さが罅割れた、乾いた笑い。

  潤いなど知らないからこれが本来の笑いだった。
  だからごく自然に。
  双眸は相変わらずニクスを見たままで、>>$84
  指だけが鍵盤の上へ、ぽろぽろと高い音を響かせながら ]
 
($90) pisca 2019/04/14(Sun) 22:26:52

【妖】 生贄 セレン

 
   あなたはぼくが幼くて、
   誰かが愛してくれるかもしれない。
   諦めは早いよ心配してくれたでしょう……?

   ……でもね。
   それを知ることがあったらきっとここに居なかった。
   陽に弱くてろくに陽射しを歩けない、
   瞳はちぐはぐで、互いの視力もよくはない。

   抜け落ちた色の髪も陽の下じゃただの白髪で、
   要らないってずうっと言われ続けてここに送られて、
   ここがなくなったらどこにも行き場はないんだ。
 
($91) pisca 2019/04/14(Sun) 22:29:02

【妖】 生贄 セレン

 
[ 責める口調ではなく訥々と事実だけを重ねて、
  それこそ本心から不思議そうに。
  食事をとらずに顔色を悪くしていった彼が、>>$85
  人になりたかったらしき彼が、
  もし、今も……いまも、食べていないなら?

  ただの想像でしかない。
  この問いが彼の逆鱗に触れるのかもしれない。

  けれど、自分は彼の事が知りたかった。
  知りたいからこそ惨めな過去を伝えた上で言葉にし、
  それこそ“期待”するのならと、狡く ]
 
($92) pisca 2019/04/14(Sun) 22:31:26

【妖】 生贄 セレン

 
   そういう子供だから気にしなくていいんだよ。
   ニクスさまも、食事をとればいいんだ。

   それとも、あくまで人でありたい……?
   ぼくに、そういう貴方を殺させたい?


[ 日誌に綴られた彼女の想いをなぞるように。>>$72
  過去にはほんのりと漂うはずの血の匂いよりも濃く匂う、
  薔薇の香気を纏う彼の食事はどうしているのか。

  答えが想像できてしまうせいで、
  響かせたピアノの音まで物悲しく感じて苦笑し、
  だからといって疑問を飲み込んだりはせずに真っ直ぐに ]
 
($93) pisca 2019/04/14(Sun) 22:34:35

【妖】 生贄 セレン


  ……あなたのいちばんたいせつなものって、なに?


[ 己の過去にはなにもなかったからこそ。
  その疑問を彼へ、そっと、柔らかく投げかけた ]*
 
($94) pisca 2019/04/14(Sun) 22:44:35

【妖】 生贄 セレン

 
   貴方は、悪夢でも見た?
   

[ 何気ない日常を綴るのと同じに、
  擽るような呼気の混じる声音を鈴のように響かせて。
  慰めを感じて目許を緩めて見せはしたものの、>>$95
  唇が綴る言葉が的を射抜いているなどは気付かずに。

  うん、と肯く稚い仕草。
  揺れる髪をさらさらと肩から落として、
  問いのどれに対する仕草かは言葉で静かに継いでいく ]
 
($105) pisca 2019/04/15(Mon) 2:11:54

【妖】 生贄 セレン

 
   そーだね、多分、違うんだと思う。

   あのこは誰かに愛される素質も、資格もあって、
   ぼくはなにも無かったんだ、そういう違い。
  
   同じ場所にいても違うなんて不思議だよね、世界って。


[ 慣れていることだ、これも。
  故に憐憫を誘おうとしているわけでも何でもなく、
  ただ事実だけを伝えているに過ぎない淡々とした口調で。

  穏やかな笑いは崩れることなく、
  子供らしからぬ諦めを宿し、笑顔は保たれたまま ]
 
($106) pisca 2019/04/15(Mon) 2:15:57

【妖】 生贄 セレン

 
   どれくらい待ったのかな?

   ……なんて、そんなことも知らないのに、
   貴方にもう少し待って欲しいって。

   自分勝手にも言えちゃうんだ、ぼくは。
   ニクスさまが辛そうなのが凄くわかるのにね?


[ 月のようだなんて綺麗な言葉に、>>$96
  滲んだのは自己否定の言葉の羅列ではあった。

  物心というものを知った頃から奴隷で、
  否定され続け、やがて憶えて深く沁み込んだ記憶。
  だからこそ睫を震わせただけで流して、
  双眸を細めて言葉を受け取ったことだけを知らせつつ。

  寂しそうな夜の怪物に己の醜悪さを伝えて、
  日誌に残されていた少女の優しさと重ねる違和感を誘う ]

 
($107) pisca 2019/04/15(Mon) 2:22:15

【妖】 生贄 セレン

 
   ぼくを飲んでいいんだよニクスさま。

   貴方がぼくに殺されることを望んでるなら、
   吸いつくして殺しちゃうなんて間違いはしないでしょう?


[ そうして、応えるように林檎をひと齧り。>>$97

  蜜の入った酸っぱい甘さに目を細め、
  子供らしく意識を散逸させた食事の仕草を模して。
 
  ほら、美味しいと、双眸を細めて訴える。

  己の感覚であっても飢えの痛みを知るからこそ、
  何より、日誌に綴られた切実を知ったからこそ。>>$87 ]
 
($108) pisca 2019/04/15(Mon) 2:36:05

【妖】 生贄 セレン


[ あのこの代わりには、きっとなれないけれど ]
 
($109) pisca 2019/04/15(Mon) 2:37:09

【妖】 生贄 セレン

   
[ 不要とされたから売られて、
  都合がいいから生贄に選ばれて。

  ここにいる子供の前で綴られる言葉は、>>$101
  どれも優しい残酷さに満ちてはいるけれど。

  彼がそれを否定するならそう受け止めるしかない。
  己も不要ではないなら何のためにあるのか、
  不器用でも導き出した答えを囁いて、誘って。>>$108

  不要ではなかった子供だというのなら。
  未だ殺せない手のかかる子供に価値があるのなら。

  ピアノの椅子に並んで座る喉は白く、無防備に ]
 
($110) pisca 2019/04/15(Mon) 2:48:44

【妖】 生贄 セレン

 
   怪物とか、人間とか、関係ないよ。
   

[ 彼が手を伸ばせば直ぐに届く距離のまま、
  零れた独白に共鳴させる音は、細やかな響き。>>$103

  邪魔をしてはならないと身に染みている。
  彼の心の内から滲む色合いは複雑で、
  だからこそ添えた言葉は肯定のような否定で。

  彼がなんであってもいいのに。
  ここに来た子にとってはたったそれだけの話なのに。

  そんな風に思うも彼が割り切れないことも、
  抱えた感情の重みは彼しか知らないのも理解して ]

 
($111) pisca 2019/04/15(Mon) 2:57:28

【妖】 生贄 セレン


 
[ 笑顔の仮面に何を隠しているのかは、未だ。>>$104
  手を伸ばせば届く距離だからこそ、
  想像でしか埋め得ない感情の行方を探るように ]


   ……ぼく、頑張るから。

 
[ 指を伸ばして撫でるように触れたのは歪に笑う頬へ。
  過去の記憶を振り返ってもたったひとつだけ、
  己が唯一知る他人からの優しい仕草を写して返す。>0:216

  彼はきっと意識していなかっただろうけれど、
  己が人に優しく触れられた経験は、これしかなくて ]
 
($112) pisca 2019/04/15(Mon) 3:29:50

【妖】 生贄 セレン


[ 人のようになりたい怪物を――
  人を殺していないから怪物とは違うと諭す彼を、
  殺せば己は何になるのだろうかと考えながら。

  その思考の意味のなさに、すぐに気付いて散らす。
  夜にしか生きられない月の子供は、
  夜を失えば消えるしかないのだから答えは自明だ。
 
  だからあとは死なない為に生きて来た己を殺し、
  たいせつなものに縛られた夜を、
  眩い陽へ還すための感情を産む時間を作るだけ ]

 
($113) pisca 2019/04/15(Mon) 3:36:00

【妖】 生贄 セレン

  
[ 解放が、赦しが、殺すことなら。
  そうしてもいいと想う感情とはなんだろう。

  何もなかった己が抱いた疑問の答えこそが、
  きっと、己のたいせつなものなのだろうと考えながら ]
 
($114) pisca 2019/04/15(Mon) 3:41:10

【妖】 生贄 セレン


   あなたが何であっても殺せるように……
   皆みたいに、思い止まらないよう頑張るからさ。


[ だから大丈夫と囁いて仄かに笑いながら。

  何が大丈夫かを――その解釈を夜に託して、
  大切なものを知らない子供らしく無邪気を装う。

  そうすることくらいしか己にはできないのだから ]**
 
($115) pisca 2019/04/15(Mon) 4:16:11

【妖】 生贄 セレン

 
   けんり……


[ 陽は沈み夜気の冷たさが焼けた肌に触れる中、
  交わす言葉の重みに震えるように、意味を探る。
  
  彼の言葉は不思議な響きがあった。>>$116

  生贄には未来など最初からなかっただけの話で、
  その生贄に彼の永遠の幕を引けと願う傍ら、
  己が未来を諦めればそれを責める権利があると云う。

  これは優しさなのだろうかと首を傾げた。
  彼は世界からいなくなるのだから、
  残った子供の行く末など気にしても仕方がないのに ]
 
($120) pisca 2019/04/15(Mon) 18:23:19

【妖】 生贄 セレン

 
   難しい、な……権利……。
   ぼくは貴方に責められちゃう……?


[ けれど、だからといって。
  これまでがそうだからこれからは違う筈だと、>>$116
  夢を語る彼を否定までは出来ずに眉尻を下げる。

  その心こそが人間らしく眩く、遠くて。>>$117

  人らしく生きようとする夜の中には、
  陽のように輝く月が浮かんで彼を照らしているのだと――

  そう理解できてしまう彼から滲む寂寥もまた、
  仄かではあれど勇気の欠片として己の胸に宿るから ]
 
($121) pisca 2019/04/15(Mon) 18:25:59

【妖】 生贄 セレン

 
   でも、そうだね。
   だってぼくにそんなことを言う人なんて、
   初めて会ったから――もしかしたら、違うのかも。


[ だから、鎖された未来を懇々と語ることはせずに、
  この諦観が瞳に宿ることはあっても声音は努めて明るく。

  生贄にしたくないと拒む彼に、>>$118
  ただ壊れそうな笑みを浮かべる事しかできない。
 
  そんな、儚い努力ではあったけれど ]
 
 
($122) pisca 2019/04/15(Mon) 18:27:20

【妖】 セレン

 
   強欲でも傲慢でも怠惰でもなんでも。
   貴方があなたであることに変わりないし、
   ぼくはそんなニクスさまが嫌じゃない。
   
   今まで見てきた人間たちと同じだ。
   たいせつなものがあって添って生きてる。
   だから愚かだとは……思わないかな。

   ちょっとだけお腹が空く貴方を前にしたら、
   ぼくが……そう、
ぼくが
、悲しいだけ。


[ 生贄を生贄として扱わないのなら己の価値は。
  彼の幕を引くための従者か、或いはただの子供か。

  それを尋ねてもいいのだろうか。
  また、この手を払われたように、
  問いをはぐらかされ、流されたなら……?

  己ひとりでは怖くて出せない答えだった。
  自分が何なのかを理解できないままに育った子供は、
  曖昧な笑いを浮かべるしかできなくて俯き、
  髪でそれを隠す狡さを以て壊れそうな何かを自衛する ]
  
($123) pisca 2019/04/15(Mon) 18:50:06

【妖】 セレン

 
   ニクスさまは、
   正解をたぶん知ってるんじゃないかな。


[ けれど小さな響きに自然と手は伸び、>>$118
  無意識に彼の背中を撫でて柔らかく叩いて見せて。
  
  喉を震わせ紡ぐ言葉まで漣とならないよう苦心し、
  大切なものを既に抱く彼へ柔らかな囁きを返す >>$103
 
($124) pisca 2019/04/15(Mon) 18:56:17

【妖】 セレン

  
   あなたなかの化け物は、ぼくが殺してあげるから。
   心配しなくてもいいよ……いいんだ。

   ニクスさまが飢えで苦しむことなんて、
   “誰も”望んでいなかった……そうでしょう?


[ 嘘は、言わない。
  裏切りもしない。

  ただ誓うようにして綴る言葉が、
  己を罅割れさせて乾いた声音に変え大人びさせて。

  彼の優しさを利用するようなものだろうか。
  飢える苦しみを知っている。
  けれど、彼の痛みだけは想像にすぎないからこそ、
  彼を良く知るだろうし彼もよく知るセレスを匂わせる。

  あの子は彼の怪物を赦していたのだろうから ]
 
($125) pisca 2019/04/15(Mon) 19:06:05

【妖】 セレン


  ……我慢できなくなる前に、言ってね。
  

[ 選んだ言葉はごく軽く未来の約束に繋げるもの。
  曖昧に濁されても心が痛まない自衛手段でもあるけれど、
  彼にとってもこの話題を先に延ばせるのは良いことだろう。

  急ぐ気はなかったのだから。
  だから、今は、話題を柔らかく変えて ]
 
($126) pisca 2019/04/15(Mon) 19:08:19

【妖】 セレン


   ぼく、ニクスさまに聞いてばっかりだね。
   貴方が知りたいことって、ある?


[ 自分のことを知りたがるものなど居なかったけれど、
  他に話題にできるようなものは彼を傷付けるだろうから。

  己には何もないと認識する痛みを無視して問いかけた ]**
 
($127) pisca 2019/04/15(Mon) 19:10:54

【独】 セレン

/*
>淡々と落ちる声は小さく、
 困ったように笑みは消えないまま

これスーパーかわいいからね
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(-132) pisca 2019/04/15(Mon) 19:23:53