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![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ推薦を受けたエウロパの傍らで ユスティは静かに努力を続けた。 自分もトカリスに入学するなど 決して誰にも伝えずに。 一般公募の高い倍率を乗り越え、 ようやくその切符を手にしたのだ。 ユスティが殺気さえ放つせいで 周囲の人間は推薦のことを 彼の前では話題に出せなくなっていた。 彼はエウロパが居ることを知っている。 だが彼女はどうだろうか。 たとえ知らなくても不思議な事では無い。 (-1) 西 2023/09/30(Sat) 14:28:15 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ関わる気などなかった。 天才は天才らしくぬくぬくしていればいい。 どうせ推薦組と一般公募組では 一年次のクラスは別々だ。 意図しなければ顔を合わせることもない。 そのはずだったのに。 (-2) 西 2023/09/30(Sat) 14:29:32 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ突如として肌が感じ取るのは魔力の濁流。 惨劇の予兆は身体を突き動かして、 先生よりも、ルームメイトよりも 彼は誰よりも早くその場へ辿り着いてしまう。 (-3) 西 2023/09/30(Sat) 14:31:07 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパトカリスは優秀な魔法使いが集まる。 それでもユスティの中で 容易に感知できて寒気さえ覚える魔力を こうも軽々と垂れ流す<kan馬鹿>天才</kana>など たった一人しか思いつかない。 その先で起こりうる惨事も 魔法の制御という技を磨いた己だからこそ、 エウロパという魔女の脅威を知る己だからこそ、 熟練の先生たちちより更に先を見通せる。 (-4) 西 2023/09/30(Sat) 14:32:54 |
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![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパエウロパに届く声は 凪のように優しく、柔らかく。 浸水した床に触れると ぶつぶつと独り言のように詠唱を唱えて その手で水を吸収していく。 普通なら耐えられるはずのことも エウロパの物は一筋縄ではいかない。 吸収が終わる頃には ユスティもまた息を切らし額に汗をにじませていた。 (-6) 西 2023/09/30(Sat) 14:34:19 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ解決を見てしばらくして、やってきた先生たちが 驚いたようにエウロパとユスティを見やる。 こんな危険なことを誰が、と。 こんな問題行動を起こしてしまったら 処罰がないと他の生徒に示しがつかない、と。 しかし彼は冷静だった。 先生たちにただ頭を静かに下げて。 冷静に、エウロパに告げる。 「先生にはボクが言っておく。 キミがここにいてもただの役立たずだ。」 (-7) 西 2023/09/30(Sat) 14:37:47 |
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![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティユスティから拒絶されたあの日から今まで。 私は君からトカリスに行くとは聞けないまま。 でも、来るんじゃないかって思ってた。 あれだけ努力していた君だから。 推薦でなくともきっとその切符を手にできる。 来て欲しい、と思ってた。 だって、そうでなければ私が入学する意味なんて 一つもないんだから。 (-9) alice0327 2023/09/30(Sat) 21:35:43 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ学園生活に慣れない頃は 歩きながら周りをみて君の姿を探して。 よく人にぶつかりそうになってた。 絶対いるはずだと思いながら。 どうしても見つからないのなら。 迷いなく退学するつもりだったんだ。 (-10) alice0327 2023/09/30(Sat) 21:36:18 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ 君の傍に居たい、その一心で 心細さを押し殺しながらここに居るのに。 避けられてるとも知らずに探し続けていた。 (-11) alice0327 2023/09/30(Sat) 21:36:35 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ 私が入学前に魔力暴走を起こしたと 知っている生徒はおそらくいない。 知っているとすれば、君だけ。 先生達の間では共有されていたから。 水や氷を扱うときは 特に気を付けなければならないと。 注意をされていたはずなのに…… 失敗した。 (-12) alice0327 2023/09/30(Sat) 21:37:12 |
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![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ耳に届く柔らかな声。 顔を見なくとも確認しなくとも君だってわかった。 パニックになっていたけれど ゆっくりと息を吸っては吐くを繰り返す。 一人じゃ止められなかったはずの水の流れは 少しずつ弱まっていき いつも通りの呼吸になった頃には完全に止まった。 でも、水浸しにした教室を元通りにする方法は 身に着けていないから。 少し苦しそうに水を吸収させていく君を 心配そうに見つめていた。 (-14) alice0327 2023/09/30(Sat) 21:38:26 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティしばらくしてやってきた先生を見て 慌てて説明、しようとしたけれど。 冷静に君に告げられた一言に声が出なくなる。 「―――――っ。」 やくたたず、そうだよね。 ろくに制御も出来ない私がそう言われても なんにも言い返せない。 結局なんとかしてくれたのはユスティだから。 (-15) alice0327 2023/09/30(Sat) 21:38:59 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ 泣いちゃだめだ、私が全部悪いんだから。 そう、思ってもあふれる涙を止めることが出来ず。 何も言えずに、教室から出て行った。 部屋まで戻る気にはなれずに ぽろぽろと涙を流しながらうずくまって。 私なりに必死になって、 もうこれ以上何も引き起こさないように 魔力を抑えていた。* (-16) alice0327 2023/09/30(Sat) 21:39:30 |
![]() | 【墓】 ユスティどうしようもない事実に空気が淀む。 沈黙を最初に打ち破ったのは 一瞬だけ寂しさを滲ませたエウロパの方。 どうしてそんな顔をするのかと 聞いてもきっと教えてはくれないだろう。 亀裂のその向こう側に飛び越えることさえしないなら こちらにはその心を聞く資格もない。 (+20) 西 2023/10/01(Sun) 8:53:23 |
![]() | 【墓】 ユスティ「勘違いか。 仮にされてしまったら 謝りはするけど断るよ。 ボクもあまり暇じゃないから。 きっと寂しい思いをさせてしまう。」 (+22) 西 2023/10/01(Sun) 8:54:32 |
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![]() | 【墓】 ユスティその意図を知ってしまえば 断るのも違うような気がして 素直にホットサンドを受け取る。 周りに誤解されるかもしれないが どうせ誰もいやしないだろう。 ホットサンドの暖かな味わいが 口の中に広がっていく。 これを食べ終わったら今度こそ寮へと帰ろう。 食べながら思い出したように指先を振り カバンの中に入っていた紙とペンを中に浮かせると すらすらと遠隔で文字を書き始める。 しばらくして書き終えた紙に魔法をかけると まるで生きた鳥のようになって空へと飛んでいく。 (+28) 西 2023/10/01(Sun) 8:57:43 |
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![]() | 【墓】 ユスティこればっかりは分からないが 扱いが問題児ということもあって 他人の宿題を丸写ししたとか そういう中傷を受けても不思議じゃない。 しかし今回に関しては彼女の努力は本物だ。 努力は笑われずに報われるべき 彼は己の信条にいつも従っていた。* (+30) 西 2023/10/01(Sun) 8:59:48 |
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![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ「ご理解いただけて何よりです。 ボクもこのことを美談として ひけらかさないことをお約束します。 まさか天下のトカリスの教師ともあろう方々が こんなただの一般生に遅れを取ったなどと 後ろ指をさされるのも癪でしょう。」 (-20) 西 2023/10/02(Mon) 0:01:32 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパこの事件を生徒に先回りで解決されたなどと 教師陣の面目は立たないだろう。 それを見逃してやるから エウロパのことも見逃せ。 ユスティはそう言いたいがために わざわざエウロパを追い出していた。 もしエウロパがここにいれば 魔力の扱いに長けると言われる自分と先生を 疑う者などいない。 誰のせいかなど、一目瞭然だ。 (-21) 西 2023/10/02(Mon) 0:02:33 |
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![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパどうやらモモイが気になるのは 自分の態度のことのようだ。 ユスティにとっては慣れた質問で 答えるのは容易な事だ。 しかしモモイの目はユスティの片腕を 捉えて決して離さない。 (-28) 西 2023/10/02(Mon) 0:08:37 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパやはり隠しても無駄なようだと 観念したユスティはその掌をモモイに見せる。 掌は醜くひびわれ、ひびからは 赤黒い血と魔力が混ざった液体が零れていた。 数日すれば治るだろう軽傷だが 見る者にとっては痛々しくもあるだろう。 (-30) 西 2023/10/02(Mon) 0:10:56 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ「力を正しく使わないことは罪かもしれません。 ですが力を持って生まれてきたこと そのものが罪になるのは道理がちがいます。 持って生まれてきた子に、罪はないんです。」 (-31) 西 2023/10/02(Mon) 0:11:36 |
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![]() | 【秘】 ユスティ → 教師 モモイ「ですが好きな女の子の前でくらい 格好のひとつくらいつけたいんです。 たとえ嫉妬に薄汚れて もう彼女の隣にいる資格がないとしても。」 (-33) 西 2023/10/02(Mon) 0:16:19 |
![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ苦笑混じりの表情をモモイに向けて ユスティは教室を後にする。 エウロパがどこにいるかはさておき 今の話を聞いていないことを願っておこう。 それにもしも出会うことがあったのなら 慰めのひとつくらいはしよう。* (-34) 西 2023/10/02(Mon) 0:18:25 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ 教室から出たものの、 私が引き起こした問題で、私が悪いのは明らか。 怒られて当然だとも思っていたから 教室を出てすぐの廊下でじっとしていたんだ。 盗み聞きしようと思ったわけじゃないんだけど。 今いる場所だとどうしても話が聞こえてくる。 泣きながら話を聞いていれば、 ユスティがしてくれようとしたことが 少しずつ、みえてくる。 (-41) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:47:48 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ そっか、庇われたんだ、私。 助けられただけじゃなくて。 私は退学処分にすらなりかねないと思ってた。 ユスティが来てくれなければそうなってたと思う。 (-42) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:48:28 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ………すごく迷惑をかけちゃったな。 ユスティは大丈夫、なのかな。 手までは見れていなかったけれど 私が魔法で出した水なんだから かなりの魔力を含んでいたはずで……。 問題が全くないとは言えなさそうだけど 詳しく聞く暇もなく教室を出てしまったから ユスティがどうなったか分からない。 (-43) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:49:02 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ次に会ったらお礼を言いたいし 何か不調がないか聞かなきゃ、とか 思うことはいろいろあるけれど。 ユスティが教室を出る前に ここを離れなきゃ、って立ち上がったら まだ二人の話は終わりじゃないらしい。 (-44) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:49:22 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ ……モモイ先生にはお見通しなんだ。 私がユスティのことを信じてるってこと。 ユスティにはそれが伝わってないのかな さっきの態度で自信がなくなってた。 優しくなければ助けないよね、 そう思ったのは私だけじゃなかった。 (-45) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:49:56 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ「手…………?怪我、したのかな。」 それを目にしたのなら 私はきっと冷静じゃいられなかっただろうね。 わかってて、私の目に触れないようにしたのかな。 (-46) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:50:20 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティユスティの言葉はまだ続く。 W力を正しく使わないことは罪W 私の事、だ。 ユスティの言う事が正しいだけに 苦しくなってきてしまう。 全部私の不注意で起きた事。 努力をどこか避けているのも含めて。 全部私が悪い。私なんていなければ………。 (-47) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:51:08 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ これ以上を聞きたくなくて。 泣きながら走ってその場を後にした。 だから、大切な箇所を聞けないまま。 (-48) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:51:42 |
![]() | 【秘】 エウロパ → ユスティ教室から離れた私は よくわからないまま走って。 中庭で息を切らして転んでしまうんだ。 ………怪我こそしなかったけれど 上手くいかないな、色々と。 もし君に会えたなら。 手、大丈夫?ってまっさきに聞くんだ。* (-49) alice0327 2023/10/02(Mon) 23:52:21 |
![]() | 【墓】 ユスティいつか聞いてみてもいいかもしれない。 なにか魔法を扱うことに抵抗があるのか それともなにか心残りがあるのか。 やや踏み込んだことかもしれないけれど エウロパのために必要かもしれないから。 (+42) 西 2023/10/03(Tue) 1:03:54 |
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![]() | 【墓】 ユスティ飛んでいく鳥を眺めながら ユスティはエウロパに答える。 意図して彼女に優しくするなど とうの昔に過去の氷花として砕け散った。 エウロパにとっては今も優しさに見えるのだろうか 自分の信条に従っただけで自分の為でしかないが 解釈の違いを正すことに意味などない事は知っている。 「ただボクは正しくあろうと 努力した人は報われるべきだと思う。 それだけのことだ。」 ユスティはホットサンドを食べる傍ら 汚すまいホットサンドを持っていなかった手を エウロパへと伸ばすと、優しく頭を撫でた。 (+45) 西 2023/10/03(Tue) 1:06:50 |
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![]() | 【秘】 ユスティ → エウロパ誰もいなくなった食堂で 少しだけ心の距離を縮める。 寮に戻るまでの間 この時だけはまるであの頃のようだった。** (-51) 西 2023/10/03(Tue) 1:12:11 |