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【秘】 エウロパ → ユスティ 誰もいない食堂。 大好きな人に撫でられて ほんのり頬が赤く染まる。 あの頃みたいな距離がうれしくて。 (-2) alice0327 2023/10/04(Wed) 0:25:40 |
【墓】 ユスティ自分の言ってることが滑稽なことは 自分でも良くわかっている。 力を持つことが罪では無いのなら なぜ自分はここまでエウロパに嫉妬し 彼女に冷たく当たっているのか。 力を正しく扱わないという糾弾ならまだしも 持つ力そのものへ向けている悪いのは自分なのだ。 みっとなく劣等感を剥き出しにして 守りたいはずの子を突き放して ユスティもまた、人間としての器はもろかった。 (+23) 西 2023/10/04(Wed) 18:47:06 |
【墓】 ユスティ寮に戻るとユスティは一人腕を抑える。 流れた魔力が外に出ようと血管を巡り その流れは痛みとなって襲いかかる。 ルームメイトがいると勉強に集中できないと 無理を言って一人部屋にしてもらったおかげで この無茶がバレることは無いはずだ。 人知れず時間をかけて、修復していけばいい。 (+24) 西 2023/10/04(Wed) 18:48:26 |
【墓】 ユスティそれからしばらくは ユスティはポケットに手を入れて過ごしていた。 先生には事前に話は通して 態度が悪いと言われないように伝え 素行不良を疑われないように。 それでも手の心配までしてくるのは たった一人だけだった。 (+27) 西 2023/10/04(Wed) 18:50:59 |
【墓】 ユスティ他の生徒にはなんのことか分からないように 心配そうにしているエウロパに吐き捨てると ユスティは見向きもせずに立ち去った。 この問題には、エウロパを関わらせないように。 彼女が自分を責めないように。 (+29) 西 2023/10/04(Wed) 18:52:13 |
【墓】 ユスティ人の姿に変化することは この学園では難しいことでは無い。 専用の魔法薬さえ作れれば 誰でもできてしまうことなのだ。 しかし似せられるのは見た目と声だけ その言葉も、信念までもを 模倣することなど決して出来ないだろう。 (+31) 西 2023/10/05(Thu) 8:27:15 |
【墓】 ユスティ心の乱れは魔法にとって毒だ。 心を落ち着かせようと座って深く息をする。 このメンタルコントロールが 魔法の制御のもっとも効果的な方法だった。 しかしどうにも落ち着かない。 自分の気持ちとは無関係に どうやら外が騒がしくなっていたせいだ。 (+35) 西 2023/10/05(Thu) 8:31:47 |
【墓】 ユスティ空が黒に染まっていく。 森を中心に嵐のように風や雪が舞う 不自然な雲に覆われたその森は もはや誰も近づけないほどに荒れていた。 その正体に気づけないはずがない。 それは幼い頃に見た、異常気象。 彼女と袂を分かった時に見た、涙。 (+37) 西 2023/10/05(Thu) 8:32:46 |
【墓】 ユスティユスティは走り出す。 走ってはいけないはずの廊下を駆け抜け 一目散に後者の外へと向かうと 既にそこには先生や他の生徒が集まっていた。 どうやら風が強すぎて近づけないようだ。 魔力が次第に弱まっていくのを感じる中、 今は一刻を争うというのに 何も、どうすることも出来ないと往生していた。 (+38) 西 2023/10/05(Thu) 8:33:41 |
【墓】 ユスティ 風が収まったら助けに行こう それはエウロパの魔力が枯渇するということ 魔力の枯渇が魔法使いにもたらす負の影響を 彼らは知らないはずがない。 暗にそうするしかないのだと言い聞かせる先生達に 苛立ちを滲ませたユスティは床に魔法陣を描き始める。 (+40) 西 2023/10/05(Thu) 8:36:00 |
【秘】 ユスティ → エウロパ転移したのは嵐の目 いつか二人が出会ったような森 枯れてしまったはずのスターチスが 何かを取り戻すように息を吹き返していく。 (-18) 西 2023/10/05(Thu) 9:23:30 |
【秘】 ユスティ → エウロパ目の中は酷い有様だった。 木々は倒れ、草花は凍りつき 生命は力尽きている。 ユスティは探す。 この嵐を呼び出してしまった張本人を 力尽きる前に助け出さなければならない。 そして見つけた先で 魔力を垂れ流し倒れるエウロパの頭に触れると 治療のために彼女の前へと膝をついた。 (-19) 西 2023/10/05(Thu) 9:24:29 |
【秘】 ユスティ → エウロパそうやって彼女を元気づけたものの 今の自分の魔力では彼女は満たせない。 まずは手始めに頭から流れる血を止めよう。 しかしいくら止血をしたとはいえ 魔力の奔流を止められたわけではなかった。 ともなればやるべきことは 応急処置的な意味の僅かな魔力を最短で与え すぐに学校の医務室に連れていくこと。 (-22) 西 2023/10/05(Thu) 9:26:52 |
【秘】 ユスティ → エウロパ整えるにしろ分け与えるにしろ 魔力の伝達と共有の効率は 触れた肌の面積に比例する傾向にある。 片手よりも両手の方が優れている。 両手よりも全身の方が優れている。 しかし今は両手でも全く足りないのだ。 いま迷っている時間は、ない。 (-23) 西 2023/10/05(Thu) 9:30:04 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 荒れ狂う風に木々は倒され 寒さに草花は凍り付いて 森にいたはずの生命は力尽きたのか 異常を察知して逃げてしまったのか。 何の気配も感じない。 ひとりぼっちなのはあの時と一緒。 自分じゃこれを止められない。 でも、せめて誰も巻き込まないように。 無意識の行動のせいで、私は死にそうだけど。 君を危険な目に遭わせずに済んだのなら、それで… (-36) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:41:03 |
【秘】 エウロパ → ユスティ不意に、自分以外誰もいないはずの森に 魔法使いの気配が増える。 私は、その魔力の持ち主を知っている。 (-37) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:41:40 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 浮かぶ疑問をすべて言葉にすることは出来ず 掠れたような声しか出ない。 体に力が入らない。 魔力が失われ続けているせいで 起き上がることさえできず、君の方を見る。 ごめんね、って謝らなきゃ。 言いたいことはいっぱいあるのに。 (-39) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:43:21 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 意識を保つことがやっとの状況では 君の励ましの言葉も、何をしてくれているかも あまり、理解は出来ていなくて。 責任って言葉の意味を理解する前には もう、私はユスティに抱きしめられてた。 そして―――――。 (-40) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:43:55 |
【秘】 エウロパ → ユスティ口元に感じる柔らかな感触。 微かに目を見開いて、すぐに閉じる。 身体に魔力が流れ込んでくる。 どうして、ここまでしてくれるの? わからない、けど。 (-41) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:44:57 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 君の腕の中で、淡く微笑んで ずっとずっと伝えたかったことを言うと。 満足したみたいに、私は意識を失った。* (-43) alice0327 2023/10/05(Thu) 17:46:07 |
【秘】 ユスティ → エウロパ想いは力に変わる。 歴史に学んだことは間違いではなかった 決して成功しなかった魔法が成功したのは 彼女を守ろうという想いが強かったのだから。 とは言ってもユスティが劇的な進化を遂げるわけでも 急に魔力を得られるわけでもなく、 代償としてやってくる枯渇による疲労は著しい。 (-44) 西 2023/10/06(Fri) 21:24:15 |
【秘】 ユスティ → エウロパ死んでも構わないと思っていたわけではない。 しかし命を懸ける気だったのも本当のこと。 膨大な器に注ぐにはあまりにも微力すぎる魔力も 注ぐ側にとっては命懸けで ここからは生半可な覚悟では立ち入れない世界だ。 (-45) 西 2023/10/06(Fri) 21:24:49 |
【秘】 ユスティ → エウロパユスティがエウロパを抱き上げる。 エウロパの心を表すかのように さっきまでの異常な嵐が収まっていた。 これならなんとか歩いて抜けられるだろう。 今となってはもう先生達の助けなど あてにしたところで仕方がない。 頼れるのは己の足だけ。 姫を守れるのは自分だけしかいない。 (-48) 西 2023/10/06(Fri) 21:27:31 |
【墓】 ユスティ*** しかしエウロパは独りではない。 彼女を助けようとする人は必ずいる。 狼狽える先生や生徒など 初めから眼中にはない。 そして意外にもその人は天才というよりは秀才で 薬学においてはユスティを超えていると言っていい。 彼女の素直な性格に惹き込まれたその一人は まるで待っていたかのように ユスティが向かったその先、医務室にいた。 (+55) 西 2023/10/06(Fri) 21:29:46 |
【墓】 ユスティシトゥラに困ったような笑みで答えると エウロパを医務室のベッドに寝かせる。 彼女の置かれている状況は わざわざ言わずともシトゥラなら分かるはずだ。 「今回の暴走はだいぶ酷いね。 一体何が原因なのか…わからないな。」 ここまで事態が悪化することも珍しい。 まさか自分が大きく起因しているなどと その程度を計り知るには至らず 薬を受け取りながら表情を曇らせた。 (+57) 西 2023/10/06(Fri) 21:31:26 |
【墓】 ユスティ受け取った薬をエウロパに与えると シトゥラの方へと向き直る。 「エウロパからも聞いたことがあるかな。 昔、ボクが彼女の前から消えたって話。」 天才には話せない。 かつて犯した過ちと、決して語らなかった心の奥。 (+59) 西 2023/10/06(Fri) 21:35:26 |
【墓】 ユスティユスティはふらふらと歩き出す。 責任を取ると言った以上、 エウロパから逃げることはない。 しかし今この手を、 魔力が枯渇し、ひび割れた手を エウロパに見せるわけにはいかない。 (+63) 西 2023/10/06(Fri) 21:38:57 |
【墓】 ユスティ「少し屋上で治療してくるよ。 ここでキミの治療を受けてしまったら エウロパに気づかれて 彼女はきっと自分を責めてしまうから。」 (+64) 西 2023/10/06(Fri) 21:40:05 |
【秘】 エウロパ → ユスティ ぼろぼろの身体に注がれる魔力は 決して多くはない。 でも、それを補って余りある想いは この状況を変えるには十分すぎるほどで。 (-50) alice0327 2023/10/07(Sat) 1:25:56 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 誰かに魔力を分け与える行為は 下手をすれば命に関わる。 私にそこまでしてくれる理由は分からない。 でも、死にそうだった私の元まで 颯爽と駆けつけてきてくれるその姿は まるで、物語の王子様みたい。 (-51) alice0327 2023/10/07(Sat) 1:26:34 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 瞼を閉じる直前に見えたユスティの顔は 昔みたいな拒絶じゃない。 もしかして、受け取ってもらえたのかな。 それを確認することは今は叶わない。 (-52) alice0327 2023/10/07(Sat) 1:27:54 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 確認できなくても、好きな人が傍に居る。 その安堵から、嵐は収まっていた。 魔法は使い手の心の中を映す。 強大な魔法よりも強い想いが、暴走を止めた。 こんなこと、他の誰にもできない。 (-53) alice0327 2023/10/07(Sat) 1:28:21 |
【秘】 エウロパ → ユスティ「助けに来てくれてありがとう。」 それでも、これだけは伝えたくて。 互いの鼓動さえ聞こえそうな距離で伝えるのは 守ってもらったことへの感謝だった。* (-56) alice0327 2023/10/07(Sat) 1:44:03 |
【墓】 ユスティ自分と似たような人物がいたとして 自分に変化したということになるが、 その意味とは?エウロパとの関係は? 点と点が次々と生まれていく中、 それらを線で繋げることは今は難しい。 調べたところで ユスティがどうこうすることはないが シトゥラが何かを調べたいようなら 素直に任せておくことにする。 この手の情報調査は実はユスティの苦手分野だ。 (+87) 西 2023/10/07(Sat) 2:27:53 |
【墓】 ユスティシトゥラがユスティの手を掴むと その意図を察して直ぐに従う。 怪我の具合をせめて見せろと そう言われたような気がした。 「情けないよね。 たった数分でこの有様だ。」 自虐の詩を奏でながら シトゥラに自分の状態を見せると 不甲斐なさにため息をついてしまったが 一時間残されていると分かると その表情もすぐに元に戻る。 (+92) 西 2023/10/07(Sat) 2:31:04 |
【墓】 ユスティ薬を受け取ったユスティは シトゥラに礼を伝えると医務室を出ていったのだった。 これくらい無茶のうちには入らない。上等だ。** (+94) 西 2023/10/07(Sat) 2:31:44 |
【墓】 ユスティ次第に痛みが出てきた腕を抑えながら 屋上の壁に背を預けると、 さっきシトゥラから貰った薬を使う。 身体の回復はあまり見込めないが それでも気分はかなりよくなったし なにより三十分ほど過ぎた頃には 手のひび割れもほとんど目立たくなっていた。 流石は薬学に精通しているだけあって ユスティが求める効果が的確に現れている。 これならば後は徐々に回復してきた魔力を 緩やかに全身に馴染ませればいい。 (+95) 西 2023/10/07(Sat) 2:32:40 |
【秘】 ユスティ → エウロパふと身体を調整しながら過去を思い返す。 大事なのは力があるかどうかではない、と シトゥラの言っていることは正しいはず。 しかし自分は力の為に全てを捨ててしまった そんな中で今更力に固執しないなど 自分の存在意義さえぐらついてしまう気がする。 (-57) 西 2023/10/07(Sat) 2:33:00 |
【秘】 ユスティ → エウロパやはり導き出される結論は変わらない。 自分は彼女の傍にいていい存在では無いのだ。 これでいい。 また静かにある程度の距離を持って 互いに不必要な干渉はしないまま 卒業を迎えてしまえばそれで終わりだ。 (-58) 西 2023/10/07(Sat) 2:33:38 |
【秘】 ユスティ → エウロパ怪我人がなにしているんだと 叱りたくなる気持ちをグッと堪えて なんとか彼女を抱き止める。 暴走の後遺症なのか魔力の回復が著しく遅く 幸いこちらに悪い影響は感じなくて 彼女に離れてもらうための大義名分は どうやら暫くは使えなくなりそうだ。 (-61) 西 2023/10/07(Sat) 2:38:27 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 君に好きな人がいるなら 私の事が嫌いなら、傍に居たいと思っちゃいけない。 そう、思っていたけれど。 さっき聞こえてきたシトゥラとユスティの会話の中で 好きな女の子、って聞こえて。 話の流れからどう考えても私の事で、 それが私の聞き間違いじゃなないのなら……。 (-64) alice0327 2023/10/07(Sat) 20:06:52 |
【秘】 エウロパ → ユスティ怪我人がこんな所までくるなんて 怒られたって仕方ないのに。 抱きとめてくれる君はやっぱり優しいね。 魔力をほぼ使い果たし 回復もまだできていないから 今は限りなくただの女の子に近いんじゃないかな。 魔法も使えない、あの頃みたいなエウロパに。 (-67) alice0327 2023/10/07(Sat) 20:09:13 |
【秘】 エウロパ → ユスティ「 助けてくれたのはユスティだもん! だって、あの嵐の中に来てくれたのも 私に応急処置をしてくれたのも 学校に連れ帰ってくれたのも……」 (-68) alice0327 2023/10/07(Sat) 20:10:49 |
【秘】 エウロパ → ユスティ 「魔力を分けてくれたのも……」 魔力を分けてもらった時のことを思い出して 少しだけ目を逸らす。 だって、恥ずかしいし…… 初めてのこと、だったし……。 (-69) alice0327 2023/10/07(Sat) 20:11:25 |
【秘】 エウロパ → ユスティ「全部、ユスティがしたことなのに。 どうしてそんなこと言うの?」 どう考えたって君が助けてくれたのに。 答えは返ってきたかな。 どちらにせよ、私が来たのは 君と話がしたかったからで。 (-70) alice0327 2023/10/07(Sat) 20:11:43 |
【秘】 エウロパ → ユスティ「……あのね。 色んなこと聞きたくてここに来たんだ。 えーっと……その……。」 聞きたいことはいっぱいあって 伝えたいこともいっぱいあって。 少し迷って、思い出したのは、 あの森の中での会話。 (-71) alice0327 2023/10/07(Sat) 20:12:07 |