人狼物語 三日月国


71 【R18】歪んだ愛の形【身内】

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視点:


【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……名前というか名字、かな。
   ぐずな葛葉…って。

  ひどい、なんて言われれば苦笑いして。
  まあ許さないとは思っているけれど
  過去の事ですから。
  引きずっているわけでもないのです。

  連絡先はそのまま登録されたようです。
  デートをしようなんて囁かれて
  ドキッとしてしまいました。
  ……遊びでってこと、ですよね?
  真意がよくわからなくて
  わからないまま、頷いてしまうのです。

  ―――断れないのが私の悪いところです。

  ジュースとサンドイッチを渡されて
  私がそれを食べる間に
  彼はシャワーを浴びに行ったようです。
  食べ終わったら入れ替わりに
  シャワーを浴びることになるでしょう。
                     ]
 
(*0) as_252 2021/05/04(Tue) 1:27:26

【赤】 大学生 葛葉 桜子

  *

   ……わかり、ました。


  いつも軽い口調の彼が
  真面目に言うものだから、思わず敬語に。
  結果から言えば、お金を渡されてしまったので
  産婦人科に行って薬をもらうことになります。
  そのおかげか、運がよかったのか
  妊娠はしなかったのです。

  ……責任感があるのかないのか
  よくわからない対応で、混乱してしまいます。
  彼は何を思っているのでしょうか……。 
                         ]
 
(*1) as_252 2021/05/04(Tue) 1:28:27

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   おうじくん。
   私……恋人に愛されてなかったんですね。
   気づかせてくれて、ありがとう。


  部屋を出る前にお礼を言うのです。
  ええ、お礼を言うどころか
  文句を言っても多分、一般的には許されることを
  彼にはされましたけれど。
  それでも……私にとって
  ひと時の救いになったのは
  ごまかしようのない事実なのです。

  
―――あの優しさまで嘘だと思いたくないのです。


  両手を頬に添えて唇を軽く重ねて
  私なりに感謝を伝えたのでした。
                      ]
(*2) as_252 2021/05/04(Tue) 1:29:01

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……また、ね?


  またたくさんしようなんて言われて
  返答に詰まってしまいましたが
  にこにこと手を振られて
  手を振り返すのでした。
                   ]
 
(*3) as_252 2021/05/04(Tue) 1:29:27

【赤】 大学生 葛葉 桜子



  誕生日の出来事としては散々、でしたが。
  でも、怪我の功名といえばいいのか。
  元恋人への未練はすっかり断ち切れていました。
  彼のおかげ、かもしれません。

  ……別に連絡先を交換したからといって
  会う義務なんてないですし、こちらから消せば
  それでおしまいのはずです。
  それなのに、私は……
                    ]


    『来週の土曜日、空いてますか?』



  なんて電話をしてしまうのです。
  理由は……もう一度だけ、なんて
  思ってしまったから。
  それが一度になるわけがないと
  薄々思ってはいても、そういい聞かせて
  連絡を取ってしまうのでした。

  案の定、一度きりで済まなくなるのですが。 ]*
 
(*4) as_252 2021/05/04(Tue) 1:30:23

【人】 大学生 葛葉 桜子

  ― 可愛らしい女の子との話 ―

   ……あ、どうぞ。


  ちょっと薄めの髪色の
  女の子に声をかけられたのは>>0
  ほぼ上の空で大学の講義を
  受けていたあの日。振られた直後のこと。
  たぶん目に見えて私は落ち込んでいたでしょうし
  眠れていないのが顔にも出ていたでしょう。

  それを気づかれたかは定かではありませんが。
  講義が終わって声をかけられても
  返事をせずにいたので
  失礼な人と思われた可能性もあります。
  
  余裕のなかった私は、
  そんな出会いをすっかり忘れてしまっていました。
  再び、席が隣になるまでは。
                         ]*
(2) as_252 2021/05/04(Tue) 1:31:11

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   うん、そうだね。
   そういうこと言う人は最低。
   

[ 
  彼は一瞬ムッとした表情をしました。
  ……人の名前で遊ぶ、ね。
  されたことはあるのかもしれません。
  
  私が名前をバカにする人が嫌いなのは
  勿論自分が笑われたのもあるのですが。
  都恋(みやこ)ちゃんという友達が
  名前でいじめられているのを見たから、でも
  あったりします。名前は読んでもらえなくて
  その当てつけか何かのように
  色々と言われていたのを、身近で見ていました。
  勿論、止められる範囲で止めようとは
  していたのですが。  
                         ]
 
(*9) as_252 2021/05/04(Tue) 10:43:50

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ふふ、心配してくれてる…?
   ありがとう、もう大丈夫。


  優しいな、と思ってしまいました。
  どうしてそんな言葉をかけるのは
  やっぱりわからなかったけれど。

  唇を重ねると、頭をなでられて  
  よくできました、なんて褒められるのです。
  
……胸がざわつくのはきっと、気の所為。

                      ]
 
(*10) as_252 2021/05/04(Tue) 10:44:21

【赤】 大学生 葛葉 桜子

  *


  連絡にはすぐに了承の返事が返ってきました。
  ……この人暇なんでしょうか、なんて少し。
  
  まさか、彼が布製の首輪付きの下着を用意してる
  などとは思わず、びっくりしながらも
  押し負けて着てしまって、肌を重ねて。
  その前の食事でいくつか質問したりしましたが、
  彼のことを知ることは出来たでしょうか?

  恋人はつくらないの?とか
  仕事は何してるの、とか。
  そんな質問を、したと思います。
                        ]
 
(*11) as_252 2021/05/04(Tue) 10:45:07

【赤】 大学生 葛葉 桜子

   
   気になるもの……
   ケーキ、食べたい気分かも。


  結局誕生日にケーキを食べ損ねてしまったので
  その原因の一つの彼に奢ってもらうくらいは
  許されるかもしれない、と思ったのです。

  恋人つなぎをして歩くのは……
  断れずそうしていましたが、
  ……それはダメと言うべきだったかも。

  何故なら―――
                        ]


   
『桜子、お前もう彼氏作ったのかよ?

    
案外軽い女だったんだな??』


  
(*12) as_252 2021/05/04(Tue) 10:47:42

【赤】 大学生 葛葉 桜子



  ―――元恋人に、遭遇してしまったから。
  気づかなかったんです、彼のほうを見ていたから
  元恋人がいることにも、こっちに来ていることにも。
  
  
彼との時間が楽しかったから

  
周りなんて、見てなかったんです。


  声をかけられて、固まってしまいました。
  ぎゅうっと反射的に彼の手を
  握って俯いて。何も言えなくなったのです。
                         ]*
  
 
(*13) as_252 2021/05/04(Tue) 10:48:06

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   システムエンジニア……
   プログラミングとか……?

   ……そっか、なんか………
   ううん、やっぱりなんでもない。


  プログラミング?なんて聞いたのは
  大学の講義でそんな内容のものをとって
  いたからでした。あんまりきちんと理解できなくて
  単位をあきらめようかなと思っていたので
  一瞬教えてもらおうか、なんて考えましたが
  ……ちょっと虫のいい話ですよね。

  おうじくんは恋人はいらないみたいです。
  ……勿体ないと言おうとしてやめました。
  私が勝手に思っただけの事ですし、ね。
  胸がチクリと痛むのです。
  ……恋人がいらないのなら私もきっと、
  遊び相手の一人なのでしょう、ね。

  少し考えてしまったせいで、
  彼が結婚願望を持っている話は
  たとえしていたとしても
  聞きそびれてしまうのです。
  
私にとっては、大事な話だったのに。

                     ]
 
(*19) as_252 2021/05/04(Tue) 18:30:08

【赤】 大学生 葛葉 桜子



  ケーキを買おう、なんて和やかに
  話していたのに。
  楽しい時間は簡単に壊されました。

  元恋人はそれなりに顔はいい方でしたが
  成績はそんなに良くなかった気がします。
  ……頭は良くなかったかもしれませんが
  でも、私に“恋人”だと思い込ませるだけの
  口のうまさと、人を丸め込むための観察力は
  持っていたようです。
  それは立ち直ってから、気づいたことでしたが。
                     
  ともかく、私が何も返せずに黙ってしまったのを
  あの人はきちんと見ていました。
  
―――何かを、察したような顔をしました。

  何か言われる前に無視して通り過ぎなければ
  と思って彼のほうを見ましたが
  彼は何故か反論していて。  
  蔑むような笑い方をしているのです。
                         ]
 
(*20) as_252 2021/05/04(Tue) 18:31:14

【赤】 大学生 葛葉 桜子

   
   『僻む?そいつに?
    まさか。なんか勘違いされてるみたいだけど
    そいつはハナから本命じゃねーし、
    今、本命のコとは付き合えてるし?
    そいつは性欲満たすためだけに付き合ってたけど
    思ったより何倍もめんどくさい女だったわ。
   
    そいつの魅力?
    体だけだろ、そんなの。
    たかだか学生の付き合いで
    将来まで考えようとするとか重すぎて
    誰も付き合いたくねーよ。』



  馬鹿にされたのに苛立ったのか
  なおも彼は何か言い募っているようでしたけれど
  正直聞くだけ無駄です。
  彼の手を少し引っ張って、もう行こう
  と促そうとしましたが……
  彼は動いてくれたでしょうか。
                     ]*
 
(*21) as_252 2021/05/04(Tue) 18:32:13

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……単位がその…
   そういう科目があって……


  ちょっと目をそらしつつそんなことを言って
  もし時間があるのなら教えて欲しいと
  頼んでみたことでしょう。
  
  思ったことをそのままいえば
  もしかしたら何か違ったのかもしれません。
  でも、言えなかった。
  聞けなかった意気地なしの私は
  こう思ったんです。

  
“恋人がいらないのなら好きになったら嫌われる”


                         ]
(*25) as_252 2021/05/04(Tue) 23:25:40

【赤】 大学生 葛葉 桜子

 *


  おうじくんは何か理路整然と話しています。
  ……なんでそこまでかばってくれるのか
  わかりませんけれど。
  きっと優しいから、ですよね…?

  はったりだとは分からず聞いていましたが
  元恋人の方はといえば
  めんどくさいと思ったのか。
  私たちが動くのとほぼ同時に
  通り過ぎようとしました。
  
  ……私の横を通ったあの人は
  私にだけ聞こえるような小声で
  最後にこんなことを言い残して。
                      ]
(*26) as_252 2021/05/04(Tue) 23:26:13

【独】 大学生 葛葉 桜子




   
『 ―――本当に付き合ってんの? 』
   
 
 
 
(-0) as_252 2021/05/04(Tue) 23:26:45

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  思わず元恋人のほうを見ました。
  何も、言えなくて動揺してしまって。

  私の反応を見たあの人はふぅん、と
  それはそれは嫌な笑みを浮かべました。
                     ]


   『馬鹿な女だな、ほんと』



  どちらにも聞こえるように言って
  今度こそ去っていきました。
  ……そう、私がいくら意気地なしでも
  ここまで何も言い返さなかったのは
  私を知っているあの人にとっては
  私たちの関係性を推しはかるには十分な情報で。

  その一言が、何より私には辛かったのです。
  何を言われたのか聞かれても
  おうじくんに教えるつもりはありません。
  先ほどかばってくれたお礼を言いましょう。
                        ]

   あの、ありがとう……
   ごめん、ね、巻き込んで……

   * 
(*27) as_252 2021/05/04(Tue) 23:27:27

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   そりゃおうじくんにとっては
   簡単でしょう……

[ 
  少しだけ拗ねてしまいました。
  私の理解力がないのかもしれませんが
  余裕そうなおうじくんをみると
  少し悔しくなってしまったのです。

  プログラミングを取った理由は
  時間割表と相談して空いてたからっていうのと……
  
  出来たらかっこいいなって思ったんです。
  だから、教えてもらった時は
  ちょっとおうじくんがかっこよく見えました。
  ……わかりやすかったです、悔しいことに。
                        ]
 
(*30) as_252 2021/05/05(Wed) 1:05:14

【赤】 大学生 葛葉 桜子

 *

   気分…私の、せいで……
   ごめんね……。

   うちって、おうじくんの?

[ 
  ぐっと引っ張られて
  ぐらりとよろめいてしまいます。
  転びはしなかったけれど、
  おうじくんに抱きついてしまいました。

  タワーマンションにたどり着くと
  ここ……?と思わず彼のほうを見てしまいます。
  普通のアパートに住んでいた私にとって
  びっくりしてしまうのは仕方のないことだと
  そう思うのです。

  ……おうじくんはどこか
  機嫌が悪そうな気がします。
  いつもにこにこしているけれど…
  どこか表情がいつもと少しだけ違うような…。
                       ]
(*31) as_252 2021/05/05(Wed) 1:05:47

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……おうじくん、その、
   私、だいじょうぶ、だから……。


[ 
  覗き込むようにしてそういったら
  彼はどんな反応を見せたでしょうか。
  部屋に招き入れられるのなら
  少しだけ躊躇してから、
  お邪魔することになるのです。]*
 
(*32) as_252 2021/05/05(Wed) 1:06:15

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ……にがて、かも
   
[ 
  あんまり要領がいいわけではないので
  繰り返しやって、少しずつ理解していくことに。
  慣れてくると、少し面白いな、
  と感じるようになったのと
  ……一緒にいる口実にちょうど良くて
  単位に関わらない部分まで教えて欲しい、
  なんてお願いをするようになったのでした。
                       ]
 
(*37) as_252 2021/05/05(Wed) 14:18:14

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  *


  抱きついてしまって、いつもなら
  嬉しそうというか、そんな反応をする彼が
  今日は反応しませんでした。様子が少し変です。

  煙草の匂いがする部屋に通されて
  促されるまま、ソファに座ります。

  ……誰も入れたことがない、などと言われては
  私は特別なのか、なんて期待してしまいます。
  頬がほんのり染まったような。
                       ]
(*38) as_252 2021/05/05(Wed) 14:18:35

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   はじ、めて……
   あ、いってらっしゃい…?


  煙草を吸ってくると言われて
  引き止めることも出来ず、そのまま見送るのです。
  冷蔵庫に甘いものがある、と言われても
  私は立ち上がりませんでした。
  ……冷蔵庫って、その人の生活がよく見える気がして
  見ていいのか、迷ってしまったんです。

  
恋人じゃないから
、遠慮が先に出てしまって。
                          ]
 
(*39) as_252 2021/05/05(Wed) 14:19:11

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  おうじくんが出ていってから、
  先ほど言われた言葉を反芻していました。
  ……本当に付き合っているわけではなくて
  だったら、彼にとっての私は
  何なのでしょうか。

  ―――特別な何かを期待したいのに。

  恋人はいらないならそれは違うんだろうな
  と思ってしまいます。
  ……好意を伝えることだって
  きっと迷惑なんだろうって思うのです。

  あぁ、私は確かに―――
                       ]

   馬鹿、だよね……
  
(*40) as_252 2021/05/05(Wed) 14:20:03

【赤】 大学生 葛葉 桜子



  体だけの関係というには一緒にいすぎたんです。
  愛されているって錯覚が
  錯覚じゃないような気がしてきてしまって
  
  錯覚じゃないと、思いたくて。

  一人になるとそんなことが頭をよぎってばかりです。
  一人だからこんなことを考えてしまうんです。
  ……泣きたくなってしまいます。

  きっとおうじくんがいれば忘れられる…
  全部忘れさせてくれる……

  そう思って、リビングの扉を開けて
  どこにいるのか、探そうと歩き始めたのです。
                        ]*
  
(*41) as_252 2021/05/05(Wed) 14:20:28

【赤】 大学生 葛葉 桜子


[ 
  プログラミングを教える講座を
  していたという話を聞く機会はあったでしょうか。
  聞けていなかったとしても、対価まで
  私は考えていませんでした。

  ……体で対価になるのなら喜んで払うけれど
  抱かれたいと思っているのに、果たしてそれは
  対価になりうるのでしょうか。
  教えて欲しいと頼んだのは私ですが、
  何故教えてくれるのか、
  私にはわかりませんでした。
                      ]
 
(*45) as_252 2021/05/06(Thu) 13:05:40

【赤】 大学生 葛葉 桜子


[ 
  部屋を出ていったおうじくんを
  探そうときょろきょろしていると
  彼はは隣の部屋から出てきました。
  何か言う前に抱きしめられるのです。
  ゆらゆらと体を揺らされて、
  私は身体を預けて返事をします。 
                     ]


   ……一人で食べても、寂しいから。
   どうして、そんな……
   頼りないことと私がケーキを食べないの、
   関係あるの……?
  
(*46) as_252 2021/05/06(Thu) 13:06:18

【赤】 大学生 葛葉 桜子



  冷蔵庫を開けてすらいませんが、
  開けたとしても、きっと私は食べなかったでしょう。
  ただ甘いものが食べたかったんじゃないんです。
  
“おうじくんと”食べることに意味があったから。


  彼の声はいつもよりずっと落ち着いていて
  年相応、というと変かもしれませんが
  私よりずっと大人に聞こえました。
  とても、落ち着く声で
  もっと、聞いていたい声。

  
……その声で名前を呼んでくれるのなら

  
それだけで幸せになれそうな、声。

                         ]


   おうじくんは頼りなくなんてない。
   さっきだって私の事、守ってくれた…
   そうじゃない、の……?
  
   *
(*47) as_252 2021/05/06(Thu) 13:07:36

【赤】 大学生 葛葉 桜子

  ― とある日の事 ―

  
   ……いた、い…………。


  人より生理が重い体質で痛みに苦しんでいた日。
  周期より早く来てしまったせいで、
  彼との約束に被ってしまった時の事です。
                      ]

   ごめんね……体調良くないから行けない……。


  一度電話をかけてみて出てくれるようなら
  直接、だめならメッセージを送って
  布団に潜り込みます。
  高校の時は鎮痛剤とかを飲んで誤魔化しては
  いたものの、あまり効きがよくなくて。
  飲まない選択をしたらしたで
  動けなくなってしまうのです。

  ……こんな時、恋人なら
  傍にいてくれたりするのでしょうか。
  それをねだることが許されるのでしょうか。
  
  私にはきっと、許されないだろうけれど
  つい、今日会うはずだったおうじくんのことが
  頭によぎるのでした。
                        ]
(*51) as_252 2021/05/06(Thu) 23:45:16

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  *


   ……傍にいてくれるんでしょう?
   それなら、寂しくない、よ。


  嘘です。本当はこの関係のままでずっといるのは
  寂しくて苦しい。
  でも、恋人がいらない彼に告白することなんて
  出来るはずないじゃないですか。
  だから、作り笑いを浮かべて嘘をつくんです。
  
  
……恋人になりたい、のに。

  
恋人になれたなら、その先だってきっと考えるのに。

                           ]
  
(*52) as_252 2021/05/06(Thu) 23:46:35

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ――――――……。


  名前を呼んでほしいとすら、言えないのです。

  ほら今だって。彼は優しいから、
  “女の子が”泣いてる姿なら
  きっと私じゃなくたって守ってたんです。

  
とくべつには、なれないんです。


  それでもその優しさに縋ってしまう私は
  馬鹿だと、思います。
                      ]


   一緒に食べよう?
   コーヒーか紅茶があるなら一緒に。


  柔く微笑んで、ケーキを食べようと
  誘えば、冷蔵庫の方へと移動することに。
  数種類の中から、ミルクレープのほうを
  じっと見てしまったけれど
  そもそもこれはおうじくんが食べる予定だったもの。
  希望を言う前に、おうじくん自身が食べたいものを
  聞くことにするのです。
                          ]*
  
(*53) as_252 2021/05/06(Thu) 23:47:30

【赤】 大学生 葛葉 桜子

   ― 自室にて ―

   食欲ない からそれは……
   …………○○大学の近くの―――


  来て、とは言わなかったですし、
  来るなんて思ってはいませんでしたが
  住所を教えたのは、心のどこかで
  会いたいと思っていたからでしょう。

  ……本当に来た時は驚いたけれど。
                    ]

   ……だいじょうぶ、だよ


  あんまり心配をかけたくないというか
  病院に行く、なんて言われたくなかったので
  ついそうやって強がってしまいました。
  あがって、と小さく言って招き入れれば
  グラスに麦茶を入れて差し出しました。
  白とピンクを基調としたワンルームには
  ミニテーブルと座布団、勉強机と椅子が
  それぞれ置いてあり、座れる場所はどちらかなので
  適当に座って、なんて言えば再びベッドへと。

  布団の中で丸くなって、彼にあまり
  顔を見られないように背を向けていたことでしょう。
                          ]
(*57) as_252 2021/05/07(Fri) 15:54:48

【赤】 大学生 葛葉 桜子


 *
 
   ……うそじゃないよ。
   そばに、いてほしい。
   
いまだけで、いいから……。




  彼も望んでくれるのは…
  やっぱり体が目的でしょうか?
  ……傍にいて欲しいけれど
  もしそうであるなら、束縛は出来ません。
  だから、今だけなんて言うのです。

  
―――嘘ばっかり、なんて心のどこかで

  
泣いている私がいるのは見ないふり―――

                      ]
(*58) as_252 2021/05/07(Fri) 16:06:59

【赤】 大学生 葛葉 桜子



   あった、ね。
   本当に来るとは思ってなかったけど……


  おうじくんはガトーショコラを選ぶようです。
  特に気を遣っている様子もなかったので
  私も遠慮なくミルクレープを選ぶことに。
  コーヒーもあると言われて欲しいと頷きました。
  ダイニングテーブルに持っていくのを手伝えば
  二人でケーキを食べ始めることになるのです。
  
……来年の春、同じことが出来たらいいなと

  夢見るくらいは、許されるでしょうか。
  彼にはもちろん、言わないのだけれど。
                         ]*
  
(*59) as_252 2021/05/07(Fri) 16:07:51

【人】 大学生 葛葉 桜子

   ― ぐずな女の子のお話 ―

  

  私はとてもぐずな子でした。
  かけっこはいつもびりで、
  ハンバーグとオムライスどっちがいい?
  なんてちょっとした選択に
  延々と悩んでしまうような、ぐずだったんです。
  だから、でしょうか。

  ぐずな葛葉、なんて言われたことは
  数知れずありました。
                       ]
 
(10) as_252 2021/05/07(Fri) 17:03:27

【人】 大学生 葛葉 桜子



   ……お母さん、名字って変えられないの?

 『どうして?……何か言われた?』

   ぐずなのはくずは、だからだろうって

 『……あのね、桜子。そんな言葉は気にしなくて
  いいのよ、それを言った子達は失礼なことを
  言っていて、あなたが気に病むことはないの。
  変えたいなんて思う必要もないのよ?』

   ……私は、悪くない?

 『そう、悪くないの。
  名前にはね、誰かが込めた思いがある。
  それをバカにすることは許されないこと。
  だから、桜子がもし自分と同じ目に遭っている
  そんな子を見つけたら……
  味方でいてあげるといいわ。
  きっと、その子も救われるから。』

 
(11) as_252 2021/05/07(Fri) 17:04:17

【人】 大学生 葛葉 桜子


  都恋(みやこ)ちゃんに出会ったのは
  そんなことをお母さんに言われてからでした。
  その子は名前を読んで貰えないことを
  寂しがっていて…いじめられていました。

  変な名前、とか言われたり、
  話しかけても無視されたり。
  直接的ではないけれど、そんな悪口の積み重ね。

  見える範囲で、止めようとしたけれど――


  
彼女は結局、心を病んで

  
転校していってしまったのです。

                       ]


   
……守れなかった




  ぐずな私は、見えてないことが多すぎて
  彼女に寄り添えてなかったんだと思います。
  次なんて、あって欲しくはないけれど
  もしあるのならその時は絶対に
  その人に寄り添いたいと、思っていました。
                       ]
 
(12) as_252 2021/05/07(Fri) 17:05:26

【人】 大学生 葛葉 桜子


   
   素敵な名前だよ


  あの時の言葉は、心からのものです。
  彼の容姿は本当に王子様みたいですし
  ……あの時のキスは、あまりに優しくて
  おうじさまみたい、って思ったんです。
  彼にとても似合っている名前だと思います。
  
  
だからこそ、あなたの言葉が、苦しかった。

  
名前が嫌いなんだろうと推しはかれる

  
あなたの言動が、くるしくて。


  もう一度、と思ったのは
  そんなあなたに寄り添いたいって、
  思ってしまったのもきっとあって……。
                     ]*
  
(13) as_252 2021/05/07(Fri) 17:06:25

【人】 大学生 葛葉 桜子




    
ねえ、おうじくん、


             
私の―――

 
 
 
(14) as_252 2021/05/07(Fri) 17:08:07

【独】 大学生 葛葉 桜子




   
私だけの、おうじさまになってほしい

 
 
 
(-1) as_252 2021/05/07(Fri) 17:08:43

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   …病院はいや……。


  行きたくない、と首を振っていたのに
  おうじくんは全然引いてくれません。
  耳元に囁かれる声はとても優しいもので
  恋人に宥められているかのように
  錯覚してしまいます。
  ずっと囁かれて、根負けした私は……
                    ]

   行く、から…
   おうじくん、キス、いっぱいして…?


  病院に行く代わりに
  おうじくんにそんなことをねだってみるのです。
  体が弱っていると心まで弱くなってしまうのか
  甘えたくなってしまったのです。
  満足するまでキスしてもらえるなら
  私は渋々パジャマから着替えて病院へ
  おうじくんと行くことにするのです。
                        ]
(*64) as_252 2021/05/08(Sat) 13:12:42

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  *

   
   ウェディング…?!
   ……近くだとだめなの?

[ 
  ドレス姿を見たいなんて言われて
  顔が熱くなってしまいます。
  でも……こっそり、なんて。

  相手になっている可能性どころか
  招待すらされないような言い方に
  きゅうっと心が締め付けられるような
  気分になるのです。
  あなたの隣で着たい、とは言えずとも
  近くで、なんて言ったらどう思うのでしょうか。
  彼を困らせてしまうのなら、
  その話は切り上げたことでしょう。
                        ]
(*65) as_252 2021/05/08(Sat) 13:13:38

【赤】 大学生 葛葉 桜子



   美味しい、ね。
   おうじくん、甘いの好きなんだ。

   ……私が何してても
   おうじくんには、関係ないと思うけど。


  ガトーショコラを美味しそうに食べている姿を
  見ていると、この人はバレンタインにはチョコを
  沢山もらえていそうだな、と想像してしまいます。
  
  心配してくれているような言葉なのに、
  その優しさの意図がわかっていない私は
  冷たい響きを持つ言葉を言ってしまうのです。
  
……ただのやさしさであそこまでするとは

  
思えないけれど、だとしたらその意図は

  
何なのか、なんてわからないのです。


  少し微妙な顔をする私とは対照的に
  彼は機嫌が戻ってきたようです。
                         ]*
  
(*66) as_252 2021/05/08(Sat) 13:14:41

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   ん……でも…お金払ってもらうのは…


  しんどそうなのは確かに一目瞭然でしょう。
  汚れたシーツだったり生理用品を
  目に付くところに置きっぱなしだったりして
  余裕がないのがわかるでしょうし。

  キスしてほしいというお願いは答えてくれるようです。
                           ]
 
(*73) as_252 2021/05/08(Sat) 23:00:59

【赤】 大学生 葛葉 桜子

   
   ふ、ぅ……


  恋人みたいに指を絡めた状態でのキス。
  煙草の味が少しだけするような、
  それでも甘いキス。
  頑なにしてた心が溶けていく。
  もっともっと、と求めてしまって
  暫くは水音だけが耳に届いていたのです。

  それからようやく一緒に産婦人科に行って
  低用量ピルを勧められて
  それを服用することになるのでした。
  彼が毎月、薬代まで払ってくれているのは
  申し訳なく思うけれど、
  両親に言えないから強く拒否も出来なくて。
                       ]
  
(*74) as_252 2021/05/08(Sat) 23:02:01

【赤】 大学生 葛葉 桜子


  *

   ……な、何…?


  突然の事で素直に口を開けてしまって
  そこに何かを入れられてしまいました。
  こくり、と飲み込んでしまったものが何か
  と聞くと、彼はにやりと笑うのです。
                      ]

   クスリ……?
   な、なんでそんな…!
   いや、離して!


  クスリを飲まされた、などと言われて
  焦り始めたのが彼にも伝わるでしょうか。
  そんな状態でするなんて嫌です。
  でも抵抗しても寝室まで連れていかれて
  組敷かれてしまうのです。

  ……なんで、急に。
  そう思っていると理由は教えてくれました。
                       ]
  
(*75) as_252 2021/05/08(Sat) 23:02:20

【赤】 大学生 葛葉 桜子


   蚊帳の外……

   …………だったら何だって言うの?
   別に他の男の人に抱かれてたって
   
あなたには関係ないでしょう?!


  きちんと否定すればいいのにしなかったのは
  きっと怒りと苛立ちからです。
  あの時の言葉>>*69に上手く返せなかったけれど
  自分がいい人じゃないと貶めているようで
  苦しくて、私が隣にいてはいけないと
  言われたような気すらしてきて。
  それなのに、干渉するようなことを言われたって
  怒りが増すだけです。

  ………頬に赤みがさしていって
  下のほうが疼くのは気のせいです…
  脚をもぞもぞと動かしてしまったのは
  見られてしまったでしょうか……
                     ]*
  
(*76) as_252 2021/05/08(Sat) 23:02:59