人狼物語 三日月国


159 【身内RP】旧三途国民学校の怪【R18G】

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【秘】 怖怖 ライカ → 不知 ミナイ


高校生が買うには、ちょっと高価なカメラ。──それが確かに、君の手に渡る。

なんとなく、
自分が生きていた痕跡を残しているみたいな気分だ。

「そのW誰かWは、
 薬袋が良いなと思ったんだ。」

自分だって、君の事が好きだ。
それは勿論、友情に近い感情だけど。
W特別Wと括るには、十分なほどの大きさ。


「……じゃあ、そろそろ。
 行ってくるよ。」

君と出会えたお陰で、少し心の整理ができた。
……ちゃんとW見出しWて、笑って、彼の元に行けそうだ。





  「
ばいばい。
(-78) osatou 2022/07/11(Mon) 20:01:35
ライカは、君に背を向けて、階段を登っていく。
(a26) osatou 2022/07/11(Mon) 20:02:39

【秘】 怖怖 ライカ → かれがれ ユメカワ





君のメッセージに、既読だけが付いて。
返事は、無かった。

(-83) osatou 2022/07/11(Mon) 21:23:11
ライカは、階段を登る。古びた木が、きしりと音を鳴らす。
(a28) osatou 2022/07/11(Mon) 21:23:30

ライカは、体が軽い、気がする。カメラひとつ分の重みがないから。
(a29) osatou 2022/07/11(Mon) 21:23:37

ライカは、行かなければならない。彼が好きだから。
(a30) osatou 2022/07/11(Mon) 21:23:50

ライカは、……ほんとは、まだちょっと怖い。
(a31) osatou 2022/07/11(Mon) 21:24:01

ライカは、きっと今なら、W見出せているWと思う。
(a32) osatou 2022/07/11(Mon) 21:24:11

【秘】 夢の先 ライカ → かれがれ ユメカワ


3階の、階段を上がってすぐの教室。
ぱた、ぱた、からり──床板とドアが鳴って、
君の前に再び姿を表す。

お気に入りのカメラは、手中にない。
これが自分なりの覚悟で、誠意。のつもり。

「おまたせ、
 ………さっきは、ごめんな。」

もう、怖がったりしないから。
だから、君の側に居させて欲しい。





 ──君以外の全てを、捨てるから。


「好きだ、深雪。
 僕も、ずっと一緒に居たい。」

宵闇の空が、白んでいく。
ぼやけた月明かりに照らされる君が、あんまりにも綺麗で。

惹かれる様に、君の側へと、歩み寄る。
辿り着けば、いつもみたいににっと笑ってみせた。

もうその瞳に、恐怖はない。
(-84) osatou 2022/07/11(Mon) 21:25:37

【秘】 不知 ミナイ → 夢の先 ライカ


「そういって、ボクが黙って送り出すと思ったのかい」

手を振っていそうな台詞を言うキミを言葉で繋ぐ。

「見送る言葉を易々と言うと……?」


なにも遠慮を感じさせなかったキミ。
隠しきれない少年らしさと、男の子らしさ。
それでも可愛いところもあって、一緒に笑ったり。
確かに自分の青春はキミのと隣にあった。

幼馴染みというほど近くはなかったかもしれないけれど。
ずっと一緒だったのだ。
ずっと見ていたのだ。
(-89) toumi_ 2022/07/11(Mon) 22:04:03

【秘】 不知 ミナイ → 夢の先 ライカ


「生きてくれよ」

「夏彦くん」

「寂しいよ、辛いよ、悲しいよ」

「ボクに、キミたちを置いて行かせないでくれ」

初めて見せた、生きて居るキミに見せる悲しげな表情だった。
誰かの死を聞いても、一人の時も崩さなかった穏やかな表情を崩して、その背中に泣き言を言う。
(-90) toumi_ 2022/07/11(Mon) 22:04:24

【秘】 不知 ミナイ → 夢の先 ライカ

「嫌だ。特別だとか、恋がなんだよ」

「一番近かったキミがいってしまうなんて」

「このぽっかりあいた穴の代わりなんていないんだよ」

「だって、キミはキミだから。

 ずるい、一緒に居てくれるひとがいるなんて。
 ずるい、ボクだってキミ達が欲しかった。
 ずるい、」

人の物が欲しいなんて、嫌な言葉を言わないで。
それの何が悪いんだ、好きな人の好きな人を好きになって何が悪いの?

どうして二人とも一緒にいなくなるの。
(-91) toumi_ 2022/07/11(Mon) 22:05:02

【秘】 不知 ミナイ → 夢の先 ライカ


一人で、そのカメラを抱きしめる。
そのまま呼び止められなくたって構わない、だけど、

「……でももう決めたと、言うなら。
 一切、責任も、何もとらないなら」

いやだから、見たくないから。そのまましゃがみ込んだ。
少しだけ、ほんの少しだけ休憩をしよう。

せめて。
(-92) toumi_ 2022/07/11(Mon) 22:06:22

【秘】 不知 ミナイ → 夢の先 ライカ


「もう、振り向かないでくれ」



友情、親愛、大好きだったキミに。
やっぱりこんな言葉しか言えない。
(-93) toumi_ 2022/07/11(Mon) 22:07:26

【秘】 夢の先 ライカ → 不知 ミナイ


振り返る事はしないけれど、
少しだけ、足を止めて。

知っている。君のWいつも通りWを。
故に、君のおかげで固まった決意を、僅か揺らがせて。


「……責任なんて、
 誰のものも取れないよ。」

ただ一人を、選んでしまったから。
たった一人だけを、隣に選んでしまったから。




「ねー薬袋、」
「笑って見送ってよ。」

君が笑ってくれないと、
僕だって泣き出してしまいそうだから。

「……さいごの、お願い。
 もうこんな事言わないからさ、聞いてくんない?」

覚悟は、折らない。
君の望みは、叶えられない。

今君は、どんな顔をしているのだろう。
(-96) osatou 2022/07/11(Mon) 23:30:05

【秘】 夢の境 ユメカワ → 夢の先 ライカ


小さな足音が、一人分。

夏の夜の空気と、夜明け前の物寂しさの中。
聞こえた軽い音は、確かに待ち人の訪れを告げていた。
それだけでどうしようもなく嬉しくなるくらい、やっぱり単純だ。

「……夏彦」

名前を呼んで、そっと君と向き合って、いつもと違う事に気付く。
ああ、ずるいな。俺が証明できる事なんてそう多くないのに。

「俺、やっぱり頑張るのは下手くそみたい」

「さっきだって、やり直そうとして、また空回って」

「そんな俺でも、いいの」

なんて、聞いたら決意を鈍らせてしまうかな。
まっすぐな月白色。君の瞳と目が合って、
ちょっと困ったように、けれども自然と笑みを返した。

思えば、始まりも君と目が合った日の事だった。

周囲の同年代とは少し違う雰囲気。少し違う距離感。
それが何だか気になって、駄目元で話し掛けたのが初対面。
実のところ、鬱陶しく思われてしまわないか少し不安だったから。
だから君がこっちを向いてくれたのが本当に嬉しかったんだ。

切っ掛けは、本当にただそれだけ。単純だって笑われてしまうかな。
(-105) unforg00 2022/07/12(Tue) 6:13:47

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ

「…………苦しむ、時間が……長ければ、」
「それだけ恐ろしく思う時間も長くなる。」
「即死とか、それに近い死に方なら」
「きっと怖がらせないんじゃないかな」

「一緒なら、飛び降りても怖く無いかも」


「…よく、なくても。俺も、夏彦の事が好き」

座っていた窓枠から降りて、一度教室の床に足をつけて。
今はすぐ傍の君に我儘な愛を囁くだけ。
三階の高さは、ちょっと心もとないから。

「諦めたくても、諦められないくらい──大好きで、
 愛してるから、離れたくない。離したくないから、だから…」

「今度は、一緒に死のういこうか」

思い返すのは、猫が屋根の上で月を見上げている写真。
屋根裏に行ったらしきあの子が撮った写真。
屋根に開いた穴からなら、校舎の屋根の上に出られそうだった。
(-106) unforg00 2022/07/12(Tue) 6:15:11

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ

/*
というわけで結婚式と書いて死因の相談なんですけど
飛び降り心中or絞殺リベンジorその他(なんも考えてない)
 の三択くらい
人生に一度の晴れ舞台だし好きな死因を選んでくれな 要望は最大限聞く

個人的には飛び降りで上手く頭からいって即死だと
死因がお揃いになって激アツです
(-107) unforg00 2022/07/12(Tue) 6:19:49

【秘】 不知 ミナイ → 夢の先 ライカ

「お願い、お願いか」

ボクが何も手に入らないお願い?
ああ、でもいまここにあるじゃないか。

あの子が欲しがった、あの子が紡ぎたかった大切なカメラと思い出を貰ってしまった。

ここまで大きな対価があるか?

嬉しい
嬉しい
。ずっとほしかったとくべつ。

キミの声の裏で見える命の灯火が、
このたからものを鉄屑にしないことを物語っている。

「――わかったよ、キミのお願い叶えてあげる」

いつも通りだ、いつも通りで良い。
(-122) toumi_ 2022/07/12(Tue) 13:37:52

【秘】 不知 ミナイ → 夢の先 ライカ



「ほら、ボクのかわいい笑顔だ。
 君にもあの子にも負けないから。

 
知らずままそのまま脳裏に焼き付けていけ
(-123) toumi_ 2022/07/12(Tue) 13:38:13

【秘】 夢の先 ライカ → 不知 ミナイ



「───はは、」

振り向くな、と言われたから
君の笑顔を拝むことはない。
見たかったな、なんて思ったのがバレたら
彼は拗ねてしまうだろうか。

「叶えてくれてありがとう、
      僕の大事な友達よ。」


君に贈る言葉は、たったそれだけ。
だけど良いだろう、長々話せば、決意が揺らいでしまいそうなんだ。


そうして、止めた足をまた動かして
古びた木の階段を、一段ずつ踏みしめていった。
(-151) osatou 2022/07/12(Tue) 20:20:16

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ


君のすぐ隣は、自分の定位置。
頭ひとつ分高いところから、君の声が聞こえるのが、酷く心地良い。

笑い合えば、Wいつも通りWみたいな空気が流れていって
それがなんだか懐かしくて、また笑った。

「どんなでも、良いよ。
 だってそんな深雪が……す、好きなんだから。」

ああやっぱり、慣れないな。
歯の浮く様な台詞は、何度吐いても照れ臭くて。
いつか自然と言える日が来るかな、なんて考えてたけど、どうやら来ないらしい。

「……もう、一人にしないから。
 空回っても、ダイジョーブでしょ。」





幼い頃は、ちょっと体が弱くて。
自分の為にと越してきた先が、この広大な田舎で。

初めはうまく友達が作れなくて、ずっとカメラばかり触ってたから
君が声を掛けてくれるよりも、ずっと前──インスタントカメラを持っている君の姿を見つけてた。

思い返せば、きっとあれが一目惚れ。
(-154) osatou 2022/07/12(Tue) 21:05:38

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ



「……あのさ、
 この町の──夜景が見たい。
 いちばん高い所から、二人でさ。」

自分達が出会って、関係を育んで、
生きていた景色が見たい。
カメラは置いてきたから、
レンズの代わりに、自分の目で。

「この校舎あんま高くないし
 灯りも少ないけど……まあ、
 ギラギラしてるよりは綺麗だと思う。」

最期の、デートの誘い。
自分から何か切り出すのは、数えられる程しか無かったから
さいごくらい、自分から。




「……深雪と見たいんだ。」

そっと君へと、手を差し出す。

屋根の登り方なんて知らないけれど
少しだけ格好付けるくらいは、させてくれ。
(-155) osatou 2022/07/12(Tue) 21:06:37

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ

/*
バタフライ今日は今までの
どんな日々より美しい

飛び降りていこうぜ
結婚死き、しような!
(-156) osatou 2022/07/12(Tue) 21:09:11

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ


ああ、少しずつ、いつも通りが戻って来た。

君が隣に居て、こっちを見てくれて、笑い掛けてくれて。
ちょっとずるい言葉を掛けても、気恥ずかしくたって
ちゃんとこたえてくれるから、つい君の優しさに甘えてしまう。
少し背伸びをする君が、どうしようもなく愛おしくって。

たったそれだけの なんでもなくて、かけがえのない日々。


「………あは、じゃあ、…このままでも、いいのかな。」

「…うん。俺、夏彦が居ないとだめみたい」

寂しがり屋だから、を免罪符にして、図々しく誰かの傍を陣取って。
毒にも薬にもならない言葉を吐く事なら、いくらでもできるけど。
努力は下手で、取り柄は無くて、得意な事は人に甘える事、くらい。
結局はそんな人間だ。

また甘えてしまっていいのかな。
なんて、今更なんだろうけど。
(-181) unforg00 2022/07/13(Wed) 1:28:58

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ


「いいよ。見に行こう、二人だけで
 どうせ怒る人なんて居ないから、屋根まで登っちゃおう」

「同じ場所で、同じものを見よう。
 嘘のない、ありのままの綺麗なものを見に行こう。
 きっと今なら、それがよく見えるから……」

自分達が生きていた事も、想い出も、過去になっていくけれど。
現実はきっと、自分達を置き去りにしていくけれど。
これからは。ずっと変わらずに、二人一緒に居られるから。
ずっと、同じ場所で、同じを見ていられるから。

カメラが無くたって、楽しくないから、写真が撮れなくたって。
今を今のまま、切り取る事はできるから。


「………夏彦、」

差し出された君の手に手を重ねて、

──ぐ、と引き寄せて、不意打ち気味に唇を重ねた。
できるなら、ただ触れ合うだけよりもずっと深く。
理由は単にやり返しておきたかったのと、それと。
今しておかないと、終わりを先延ばしにしてしまいそうだから。

だからきっと、これがちょうどいい。
少ししたらちゃんと仕切り直して、
また格好付けてエスコートしてくれるかな。
(-182) unforg00 2022/07/13(Wed) 1:30:22

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ


「──……〜〜っ、!?」

懐かしい唇の感触。目を見開いて、次にぎゅっと閉じて。
──もっと、と、唇を薄く開いて、控えめに舌を絡めていく。
静かな教室内に似つかわしく無いリップ音を立てて。

「……、ん、」

自分達が付き合って、だいたい一年くらい。深いキス。君と数えきれない程交わした筈なのに、上達しなかった、とぼんやり思う。


───暫く、そうしていて。
 息苦しさに胸を叩いて、どちらからともなく唇を離す。

「……やるなら、やるって、」

ちゃんと言ってよ。なんて、どの口で言うのか。
君をじとりとねめつけて、それでも繋がれたままの手を引けば

「……行こう死のう
 僕が居るから、大丈夫。」

もう離さないから、命を終わらせに。
夢の先へ、向かう為に。


さて。
「や……屋根って、
 どう行ったら……良いんだろな。」
(-189) osatou 2022/07/13(Wed) 11:31:08

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ


ふたりきりの教室に、微かな吐息と濡れた音。

そっと舌を重ねて、優しくその輪郭をなぞって、深く深く。
薄い粘膜同士で触れ合って、誰よりもずっと近くで君を感じられる。
どうしようもない多幸感でじわじわと満たされていく。
それでももっと欲しくなる。


「………あは、」

そうしている内に、とん、と胸を叩かれて。
名残を惜しむようにゆっくりと唇を離して、息を吐く。
いつになっても君の息継ぎは少し辿々しくて、
だからいつも音を上げるのは君が先だったな。

「俺、夏彦と同じ事しただけじゃん」

先に不意打ちしたのはそっち。
なんてのは、子どもの言う屁理屈みたいなもの。
君の様子は想定内で、手を引かれながら、目を細めて笑った。

繋いだ手は、今度はきっと、恋人同士のかたち。
今度こそ──同じ夢を見て、その先へ。
(-198) unforg00 2022/07/13(Wed) 14:01:54

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ


「ここ出て右の方の突き当たり、」

廊下の隅、目立たない階段。
普段使われる事の少ない場所だろうし、それはそうだよな。
一度見に行って、そんな事を思ったのを覚えている。

「から、屋根裏に上がれて。
 屋根に穴が開いてるみたいだから、
 適当に何か積めば屋根の上に出られると思うんだけど」

屋根裏に無造作に積み上がった箱や瓦礫は、
猫にとっては階段のようなものだっただろうけど。
人間が登ろうとしたら、少し頑張らないといけないだろうな。

「連れていってくれる?」

とぼけたふりして先導はせず、
さいごのデートは君に手を引いてもらおう。
だってほら、君達に甘えるのは俺の特権だからさ。
(-199) unforg00 2022/07/13(Wed) 14:02:22

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ


同じではない気がする。いつだって君の方が一枚上手だ。
……なんて言ったところで、水掛論。

「………もう。」

仕方ないな、と独りごちれば
五指を絡めた手を引いて、君の言葉の通りに空き教室を後にする。

「連れて行くよ。
 離さないからさ、安心して。」

ここを出て、右の突き当たり。
廊下の隅の目立たない階段。
屋根裏に上がる──前に、音楽室からパイプ椅子を拝借してやった。
足りなければ、瓦礫でも何でもかき集めてやればいい。

「さっきセンパイと来た時、
 階段なんて見逃してたな……。」

情けないけれど
君以外見えていない、証左。

さて。
パイプ椅子を引き摺って屋根裏へと登れば、確かに上へと続く穴がある。
ぎし、とパイプの鉄錆を鳴らして踏み付けて、屋根の上──いちばん高い場所へと辿り着くだろう。

君を先導して、手を引いて。
存分に甘やかすのは、僕の特権。
(-241) osatou 2022/07/14(Thu) 1:15:18
ライカは、君を連れて行く。
(a81) osatou 2022/07/14(Thu) 1:15:42

ライカは、「足元、気を付けて。」
(a82) osatou 2022/07/14(Thu) 1:16:53

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ


───屋根上。
星空にいちばん近い場所。

落ちてしまわないように、確と足腰へ力を込めて
ゆるりと屋根へ腰を下ろす。勿論、君を隣へ誘って。

「……カメラじゃ、
 上手く撮れないんだよね、星って。」


電気の灯りが少ない町では
夜空に星々が力一杯煌めいていて、
そうして、大きな月が、僕たちをいっとう優しく照らす。

まるで二人の選んだ夢を、
見守ってくれるみたいだ。

「……綺麗。」

星空、それから君が。
僅かに残る死への恐怖を、全部飲み込んでしまいそう。

「夜景は、見に行った事無かったよね。
 夜は……いつも、家で……、だったし…………。」


……もう少し。
もう少しだけ、デートを楽しませて欲しい。
これから踏み出す一歩は、あまりにも大き過ぎるから。
(-243) osatou 2022/07/14(Thu) 1:17:23

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ


仕方ないな。
隣から聞こえた言葉は期待していた通りで、嬉しくて。
また一つ笑みを零して廊下を行く。一緒だから、大丈夫。

途中踏み台代わりに椅子を拝借して、そうして──


一歩、そして一歩、そしてまた一歩。
ふたり階段を上るたび、少しずつ最後の一瞬へと近付いていく。
屋根裏に辿り着けば、軋んだ音を立てて、また一つ上る。
椅子を踏んで、君が引く手に行き先を委ねて、屋根の上へ。

終わりの先へ辿り着く為に。
(-244) unforg00 2022/07/14(Thu) 3:45:30

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ

そうして校舎の外へと出てしまえば、
静かな夏の夜の空気は先ほどまでよりずっと澄んだものに感じて
月明かりだって差し込むだけのものよりもっと明るくて。
屋根の上に居る特別感も合わさって、違う世界に来たみたいだ。

「ん……撮るのも忘れちゃいそうなくらい、」

傾きつつある月は、手を伸ばせば届きそうなくらい近くに見えて。
その後ろでは大小さまざまの星がまだ暗い空を飾っていて、
高層建築も少ない土地だから、そんな空が遠くまでよく見える。

君の隣で見るこの景色が、この時間が、ずっと続けばいいのにね。


「きれいだね」

それだけを言って、隣に座る君にそっと肩を寄せた。
ずっとは続かない。この先に行かない限り、それは叶わない。
けれど、けれど、せめて。
記憶の中に切り取る今が、少しでも多くなればいい。

「………あは、いちゃいちゃするのに忙しかったね?
 俺は夏彦の事を構う方が好きだし、何より二人きりの時は
 普段よりもっと可愛いから。別にいいんだけどね…」

声を潜めて囁くように、ちょっと意地の悪い言い方をする。
レンズ越しじゃない君の月白色の瞳が、
自分だけを見ているのは、事実とっても気分が良かった。

これからもそうなるのだと思えば、
やっぱり諦められそうにはない。まだ少し、時間はあるけれど。
(-245) unforg00 2022/07/14(Thu) 3:49:29

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ


君と当たり前みたいに隣り合って、
綺麗なものを綺麗だと、好きなものを好きだと言って
まるで普段と変わらないW日常Wを、味わって。

レンズを通さずに見上げた空は、いつもよりも綺麗に見えた。
嗚呼、これから死ぬんだ、なんて。実感は未だ湧かない。


「か、わいいって……僕が………?」

そうして、君のストレートな言葉には、むっと眉を顰める。
可愛がられるのも嬉しいけれど、
他の誰でもない君には、もっと───

「格好良いとか、頼り甲斐があるとか
 そういう方が嬉しいんだけど……?」

……そっとその横顔に、頬に唇を触れさせて
意地悪には、不意打ちで仕返してやった。

(-278) osatou 2022/07/14(Thu) 20:04:32

【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ


そんなふうに君と笑い合って、戯れて。
どれだけの時間が経っただろう。

軽口から、意地悪、愛の言葉まで。
伝え合って、何となく互いに言葉が止まる頃。

「………、」

そろそろかな、なんて
誘うように両腕を広げて、君をまっすぐに見据える。




「好きだよ、深雪。
 ずっと……一緒に居よう。」

太陽が目を覚ます前に。
行かなくちゃ。僕たちの夢の先へ。

君をこの腕に抱いて、その後はどうしよう。
何もかもに逆らって、空でも飛んでやろうか。
(-281) osatou 2022/07/14(Thu) 20:06:12

【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ


ふたりきりの世界で、今は他愛無い戯れを。
肩を寄せ合って、言葉を交わして、愛を謳って。
かけがえのない時間の中、広がる沈黙は心地良い。

そうして、ふと。
まっくらな、なにも写っていない写真を取り出して。
屋根の端の向こうへ少し腕を伸ばして手放せば、
ひらひら はらはら 風に舞って屋根の下へと落ちていく。

それを暫し眺めた後に、君がゆっくりと腕を広げて。
まっすぐな君の眼を見て、一歩。

「うん。…大好きだよ、夏彦。」

ああ、幸せだ。そっと笑って、誘われるまま君の腕の中へ。
片手を繋いで、そっと身体を寄せて、

「これからも一緒に居よう、ずっと、ずっと……」

「──そのリボンで小指と小指繋いでみたらどうだろう、」


小指、だけじゃ、嫌だな。
そう思って、胸元のリボンを解いて、繋いだ手に結んで。
そうしたらあとの片手は君の背に回して、

「ずっと、離さないから」

ぎゅっと抱き合って、宙を舞う写真達の後を追う。
そのまま、同じ夢の底へ落ちていく。
(-285) unforg00 2022/07/14(Thu) 20:53:45