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【人】 雨宮 瀬里恋と貴方の命、天秤にかけるまでもない。 だからすべて話されていたとて、 答えは決まっていただろう 病気、の言葉を聞いて表情を曇らせ、 そして続く貴方の言葉を聞いた。 恋熱病=c初めて聞く病気だ。 (25) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 18:01:58 |
【人】 雨宮 瀬里貴方が話してくれたのはほんの一部だったから 尚更、私は貴方の言葉に即答をする。 「 …そう、なんだ。 でも よかった 。治す方法があって宮々の家に行くのは…気は乗らないだろうけど 」 ねえそういうこと≠ナしょう? 貴方が、それを言い渋っていたのは。 私の表情は明るい、とまでは言い難いけれど、 きっと安堵の表情を浮かべていた。 ……のに。 (26) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 18:02:20 |
【人】 雨宮 瀬里どうしてそんなに、まだ。 貴方の表情は曇ったまま、なの? その違和感に、すぐ気づくほどには 私ね、貴方の表情を一年ずっと見てきたんだ (27) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 18:03:00 |
【人】 雨宮 瀬里「 治療法、難しいの? 」 貴方がまだ顔を曇らせている理由が、わからない。 だから私は、また少し不安そうな表情を浮かべて 貴方に尋ねる。 * (28) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 18:03:11 |
【人】 宮々 蓮司結局、宮々に全てを奪われるのか。 宮々に生まれたことがまるで呪いであるかのように。 「 ……瀬里は、 自分に刺さった恋矢を今でも感じるか? 」 俺はない、と小さく零す。 「 俺には四つの矢が刺さっている。 治療法は……それを抜きさることだ。」 今もこの胸に刺さったままの恋矢。 とうに気持ちが消えていると思っていた彼女との絆すら、今も繋がったまま。 (29) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 19:09:45 |
【人】 宮々 蓮司もしも、この恋矢が今もこの心を縛っていたら? そんな心配を口にした俺に、祖父はこう言った。 『 恋天使の恋矢はとても強い。 矢を抜けば、それによって変化した心も、 そして……その前後の記憶すら失いかねん。」 それは最悪の答えだった。 (30) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 19:10:06 |
【人】 宮々 蓮司「 ……瀬里…… もしも恋矢が俺たちを結ばなかったして、 それでもお前は俺を好きになっていただろうか。」 意味のない仮定。 恋矢は二人を結びつけた。 それはきっと、数ある可能性の中から、ただ一つだけ現実となったもの。 過去は変えられない。 だからそんな仮定は意味を持たない。 だけど、それがこの先の未来の話なら? * (31) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 19:10:50 |
【人】 雨宮 瀬里「 恋矢を? 」 恋熱病の治療法を尋ねたあとで、 唐突に出たその単語に、私は首を傾げる。 それから、無いという風に首を横に振った。 それが、治療法とどう繋がるのだろうかと、 私は貴方の言葉を待ち、そして、 「 そんなことが、できるの? 」 貴方に刺さった恋矢を抜くこと。 思わず聞き返したけれど、答えは変わらずYESだろう 宮々の家にはそれを行う手段がある。そういう話だ。 (32) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 19:40:52 |
【人】 雨宮 瀬里恋矢を抜くこと。 私は貴方が知る最悪の答え≠聞かされていないから ただ、想像することしか、できない。 貴方との絆は恋矢によって、結ばれた。 それを抜いてしまうということは ── そういうことだ。 こんな時でさえ、 四つの恋矢、という言葉に 違う意味で胸が痛んだこと ……それが、まさしく恋≠ネんだろう。 (33) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 19:41:25 |
【人】 雨宮 瀬里私がもしも、人間ならば。 貴方からの問いかけに、仮定≠ノ、 すぐにでも肯定を返せていたんだろうか。 だけど私は好き≠持たない恋天使だった。 恋矢が結ばなかったのならば。 私は貴方に恋をすることは、なかった。 貴方と出会うこともなかったし 貴方のことを知ること≠烽ネかった。 (34) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 19:41:41 |
【人】 雨宮 瀬里もしも本当に聞きたいのなら そんな言葉を交わした一年前のあの夜が もう、遠い昔のことのように思える。 恋を知る前の私。 昔の恋を乗り越える前の、貴方。 (35) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 19:42:03 |
【人】 雨宮 瀬里「 いつか、蓮司が言ってた、 恋矢が、恋を自覚させるだけのもの ………本当に、そうなのだとしたら。 私は、もし恋をしていい≠フなら きっと、蓮司に恋をしてたよ。 」 答えはYESでもNOでもない。 恋矢で結ばれる前の私は、 貴方を好きになってはいけなかった≠ゥら。 だから恋をしていた、って首を縦には振れない。 (36) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 19:42:18 |
【人】 雨宮 瀬里でも。 あの時確かに私は貴方を知りたいと思った。 どんなに貴方に腹を立てていたって 私では貴方の役に立てないんだと思っていたって それでも私は貴方の名前を書いた。 あの気持ちが私の恋のきっかけだった。 だから答えはNOじゃない。 * (37) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 19:42:32 |
【人】 宮々 蓮司宮々の家は恋天使であることを生業にしている古い家だった。 恋矢による縁結び≠ヘもちろん、一度結ばれた縁を別の縁で結び直したり。人間には無いその力を最大限に利用していた。 それもあって、宮々の家には他の恋天使にはあまり知られていない知識やノウハウがあった。 恋熱病にしてもそのひとつ。 それは宮々の血筋が昔からその病に患わされてきた証でもあった。 (38) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 20:28:49 |
【人】 宮々 蓮司「 そうだったな。」 それは友人の受け売りだ。 でも、確かにそう信じたはずの言葉。 もしも恋矢が刺さったままなら、なぜ以前の恋心を失ってしまったのだろう。なぜ、瀬里にだけ恋焦がれるのだろう。 「 最初は、 瀬里のことを失うぐらいな、 いっそ治療なんていらないとさえ思った。」 この恋を失ってしまうのなら。 瀬里のことをなんとも思わなくなるぐらいなら。 この命に何の意味があるのだろう。 (39) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 20:29:28 |
【人】 宮々 蓮司「 お前は俺の全てだ。 たとえ恋矢の力が無くなって、 それで何かが変わってしまったとしても。」 俺はもう一度お前に恋をする。 その誓いを胸に強く抱く。 それが強い不安の裏返しだとしても。 「 ……、一緒に来てくれるか? 」 もしかしたらお前を傷つけることになるかもしれない。 それでも、お前がそばにいてくれるならきっと乗り越えられる気がするんだ。 * (40) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 20:30:04 |
【人】 雨宮 瀬里そうだったな、の声に、 そうだよ、って精一杯の微笑みを返す。 私は貴方の受け売り。貴方も誰かの受け売り。 でもその言葉に納得して、一年間生きてきた。 恋矢が刺さったままなら…なんて問いを 私にもし投げかけられていたならば、 きっとそれは刺さってるだけ≠ネんだよって。 貴方に返したんじゃないかな。 刺さっているだけだったから、 貴方は今まで恋熱病には罹らなかった。 きっと今回はしっかり恋矢の効果が持続している。 だから、恋熱病にも罹ってしまった ……なんて。机上の空論でしかないけれど。 (41) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 20:50:27 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……うん。 」 私が聞くのは貴方の決意。 貴方が心に誓った、強い想い。 「 私にとっても、蓮司は私のすべてだよ。 治療をしないで、一緒に居られたとしても 命に関わって……万が一蓮司を失うくらいなら、 」 言葉を失い、貴方を見る。 恋と命を天秤にかけるなら、私は命を取る。 (42) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 20:50:39 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……私は、 蓮司に生きていてもらって、 また、蓮司に恋をしたい。 」 もしも奇跡が起きるなら。 ううん、それは奇跡なんかじゃなくて、 私たちにとっての必然なんだ、って 心に強く言い聞かせる。 (43) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 20:50:49 |
【人】 雨宮 瀬里「 もちろん。 ……私が、着いて行っていいのなら 」 もちろん、は即答だったけど、 そのあと言葉を濁して付け足した。 宮々の家に、私、着いて行ってもいいのかな。 そこだけは明らかに不安そうな顔をしたまま 貴方に向かって微笑むんだ。 * (44) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 20:51:21 |
【人】 宮々 蓮司瀬里の手を引いて抱き寄せる。 「 いいに決まってる。 一緒に来てほしい。 宮々の家にお前を紹介する気はないが、 爺様だけにはお前を会わせたいし。」 ただひとり、宮々の家で俺がそこにいることを認めてくれた人。 恋熱病、皮肉にも恋天使であることを証明するその病の原因が、その相手が瀬里なんだって、この娘なんだって知らせたい。 でももしも、恋矢を取り除いた時、瀬里への恋心を失っていたら?瀬里のことを覚えていなかったら? 消えぬ不安をかき消すように強く瀬里を抱きしめる。 (45) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 21:16:39 |
【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里「 ……瀬里…… 」 奪うように唇を重ねた。 乱暴なまでに、瀬里を求める荒々しいキス。 不安を押し潰し、愛しさだけを胸に灯すように。 (-20) JohnDoe 2022/05/25(Wed) 21:18:15 |
【人】 雨宮 瀬里「 うん、わかった。 行くよ、って、……わ、 」 一緒についていっていいのなら 一番近くで貴方を支えたい。 恋をしていなかった私も抱いていた気持ち たとえ恋心を失ってしまったとしても きっと、その気持ちは変わらない筈だから。 記憶が消えてしまう可能性があることは 私は、聞かされていないから、 どこか楽観的に映るのは否めなかったと思う ……と、確かに頷いた矢先に、強く抱きしめられた。 貴方の言葉が、耳に、届く。 * (46) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 21:44:17 |
【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司「 ……ん、蓮司、 」 乱暴に唇を奪われ、 小さく眉間にしわを寄せたけれど 避けることなんて決してない。 「 ずっと一緒だよ。 私も、蓮司のこと 愛 してる 」貴方の背中に腕を回して 貴方をぎゅっと抱きしめ返して。 たとえ恋矢の先がなくなったとしても 貴方の温度を、愛おしく想う気持ちを、 未来で確かに思い出せるように。 * (-22) ししゃもん 2022/05/25(Wed) 21:44:48 |
【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里瀬里の言葉。 抱きしめ返すその手にどれだけ勇気が貰えるだろう。 病への恐怖もある。 それ以上に瀬里を失うことへの恐怖。 瀬里を想うこの気持ちを忘れたくない。 瀬里の頬を優しく撫でると、 今度はそっと静かに唇を重ねた。 この温もりがいつまでも胸の内を暖めてくれるようにと。 * (-23) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 9:20:40 |
【置】 宮々 蓮司瀬里へ この手紙をお前が読むときに俺は隣に居るだろうか。 もしもそうなら、この先は読まずに俺に突き返して欲しい。 俺はお前に恋をした。 きっとそれは恋矢の力だけじゃなくて、あの日、あのお見合いで、俺は雨宮瀬里に惚れたんだ。 その強さも弱さも、もちろん可愛らしさも、全部含めて、 お前を女の子として、そしてひとりの人間として、好きになったんだ。 宮々で何が起きるのかは俺にもわからない。 祖父は恋心を失うだけでなく、その前後の記憶すら失う可能性があると言っていた。 この手紙を読んでいるとき、もしかすると俺はお前のことを覚えていないかもしれない。 そんな想像をするだけで手が震えそうになるほど怖くなる。 だけど、俺は信じている。 どんなことになっても俺はお前を必ず取り戻すと。 恋を失っても、もう一度お前に恋をする。 記憶を失っても、必ずお前を思い出す。 そのときは、 俺はお前に言いたいことがあるんだ。 だから、今の俺を忘れないで欲しい。 必ずお前のところに戻るから。 愛している。 誰よりも、いつまでも。 蓮司より (L0) JohnDoe 2022/05/26(Thu) 9:59:41 公開: 2022/05/26(Thu) 12:55:00 |