人狼物語 三日月国


212 【身内村】桜色のエピローグ✿

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【人】 水面 禎光

 
 
  知らない人の家 ≠ニいうワードに
 瀬名も、僕と同じく驚きの声をあげた。>>12

 けれど ─── 瀬名が想定していたスポットとして
  賭博場 ≠竍 怪しげな店 ≠出してくるあたり
 やっぱり双子なんだな、とふたりの顔を見やった。
 
 ヒトデが出るのは理解した。 >>7
 いや、理解できなかったけど話が進まないので頷いた。
 
 どうやら埃っぽくない場所らしいのは有難い、けど。
 僕が少し首を傾げたのは、
  掃除は定期的に行っている ≠ニいう部分で。 >>8
 誰が掃除しているか主語は抜けていたが
 瀬名も引っ掛かりを覚えたようで。 >>15
 
 けれど、追及するでもなく賛成するのなら
 ほらもう 多数派の出来上がりだ。
 思い出作りを真っ先に賛成した僕にも反対する理由が無い。
 
 
(36) よし☆ 2023/05/05(Fri) 19:58:24

【人】 水面 禎光

 
 
 「 今日は雨か …… ちょうどいいかもね 」
 
 
 僕は知らなかったけど、天気予報は雨らしい。>>18
 考えもないまま 思わずでた言葉に
 何がちょうどいいのか思い浮かべてみたら ───
 すぐ思い当った。
ヒトデが喜びそうだからだ。

 
 七瀬が此処を去るのなら、桜も散ってしまえばいい

             ─── そう感じたからだろう。
 
 
(37) よし☆ 2023/05/05(Fri) 19:58:26

【人】 水面 禎光

 ***** 
 

 姿形も声もそっくりな七瀬と瀬名。
 
 僕だって、初めて会った瞬間から見分けられた訳じゃない。
 初めは ─── たぶん、
 同じように扱うべきなんだろうって思ってた。
 彼女達が" 同等 "を嫌がっていた素振りは
 きっと感じる事がなかっただろうから。
 
 それどころか、わざわざ外見を揃えて
  どっちがどっちでしょうか!
 なんて試された事もあったっけ。 >>30
 
 
(38) よし☆ 2023/05/05(Fri) 19:58:30

【人】 水面 禎光

 
 
 「 え……? なに言ってるの瀬名 」
 
 
 だけど、そんな遊びをぶつけるほど
 僕らはもう友達だったのなら。
 僕に初めて出来た" 友達 "だったのなら ───
 扱いを同じにしていただけで
 きっともう 間違える事なんて無かったんだよ。
 
 違う名前、姉と妹。繋いだ手は右手と左手。
 まばたきのタイミングだって同じじゃない。
 やがて、七瀬が敬語を使いだしたりすれば猶更。
 
 彼女達と 共に過ごせば過ごすほど ────
 僕の中で、個々へ抱く感情もまた違いを見せていった。
 
 
 ***** 
(39) よし☆ 2023/05/05(Fri) 19:58:36

【人】 水面 禎光

 
 
 「 え? もちろんだけど
   七瀬にだって ちゃんと用意しているよ
   また…… 帰ってからね 」
 
 
 目的地へと歩き出し、少し経った頃。
 七瀬が、瀬名にホワイトデーのお返しを用意しているのか
 僕にそっと耳打ちで聞いてきた。 >>25
 例年通り、"同じモノを"用意していると言わなかったのは
 今年は 七瀬と瀬名で貰ったチョコに違いがあったから。
 
 だから僕も、今年は思い切って
 七瀬と瀬名へのお返しを違うモノにした。
 
 
(40) よし☆ 2023/05/05(Fri) 19:58:45

【人】 水面 禎光

 
 
 もう高校生にもなろうとしているのに
 男女3人で寄り添えている僕ら。
 
 それがどうしてかなんて ──
 僕は深く考えたコトも無かったんだ。


       僕らのささやかな対立はいつだって
       敗れたあとも
       多数派に混ざる事を許されていたから
**
 
 
(41) よし☆ 2023/05/05(Fri) 19:58:48

【独】 火澄 瀬名

/*
>>41

       僕らのささやかな対立はいつだって
       敗れたあとも
       多数派に混ざる事を許されていたから


こういうの!!すごいな。好きだな。
さすがよしさん。
(-5) papico 2023/05/05(Fri) 20:07:48

【人】 火澄 七瀬




 「 ここにいたのですね、瀬名。
   もうすぐバレンタインデーですよね。
   今日は一緒に禎光へのチョコを作りませんか?


           ああ、……
             そうなのですね ──── 」
 
 

 
(42) 希 2023/05/05(Fri) 20:56:24

【人】 火澄 七瀬




 変化の兆し。 私は見て見ぬ振りをしました。


(43) 希 2023/05/05(Fri) 20:56:33

【人】 火澄 七瀬




 お菓子作りを趣味にしているわけではありません。
 私は例年通り、初心者でも失敗しないレシピで、
 友チョコの名に恥じない味を贈ったでしょう。

 …… 私にとっては、
 普段と変わらないバレンタインデー。

 エプロンを付けて、湯煎をする私の隣に。
 揃いのエプロンを纏う瀬名がいないことを除いては。
  
 
 
(44) 希 2023/05/05(Fri) 20:57:18

【人】 火澄 七瀬




 「 …… それを聞いて、安心しました。 」


 瀬名が禎光にチョコを渡さなかった可能性。
 彼の言葉で否定されました。>>40
 ならばどうして彼女は、
 私と同じものを贈ることを避けたのでしょうか。
 
 …… どうして私達は、並んでキッチンに立ち、
 冬の寒さに震えながら、
 頬についたチョコを見て笑い合うような。
 そんな時間を過ごせなかったのでしょうか。 
 
 
 
(45) 希 2023/05/05(Fri) 20:57:57

【人】 火澄 七瀬




 どうして。
 変わらないままでいられなかったのでしょうか。>>40


(46) 希 2023/05/05(Fri) 20:58:13

【人】 火澄 七瀬




 「 …… 雨、降ってきましたね。 」


 きっとそれは、小雨も小雨で。
 地面を1,2滴の粒が叩いた程度。
 
ヒトデには物足りなかったでしょう。


 なのに私は、幸いとばかりに持っていた傘を広げて
 曇天の下に、薄紅色の花を咲かせました。
 
 
 
(47) 希 2023/05/05(Fri) 20:58:58

【人】 火澄 七瀬




 「 はい。 ──── 帰ったら。 」


      その時の私がどんな顔をしていたかを、
      覆い隠してしまうように。>>40
 
 
 
(48) 希 2023/05/05(Fri) 20:59:05

【人】 火澄 七瀬




 「 ああ、駄目ですよ瀬名。
   流行っているからと言って、
   賭博場や怪しげな店に出入りをするのは。

   貴女は昔から、少々危なっかしいんですから。 」


 …… 次に傘を小さく揺らす頃には、
 私はお姉ちゃん≠フ顔をして。
 妹を見守る眼差しを浮かべていたでしょう。**
 
 
 
(49) 希 2023/05/05(Fri) 20:59:20

【人】 火澄 瀬名

   
 

 「 すごいね、禎光。また正解!
   今日は間違わせる自信があったのにな。 」



 連続正解を止めたいなってお揃いに磨きをかけて
 一方で本当は、見分けてほしかったのかもしれません。


 だってこんな友達≠ヘ
 これまでにはいなかったのですから。


 *****  

 
(50) papico 2023/05/06(Sat) 1:11:25

【人】 火澄 瀬名

 

 

 「 ごめん、今日は用事あるの。
   だから今年は、七瀬と作れない。 」



 
(51) papico 2023/05/06(Sat) 1:11:37

【人】 火澄 瀬名




  いつまでもお揃いではいられない。

  先にそれに気が付いたのは、誰だったのでしょうか?


 ***** 


 
(52) papico 2023/05/06(Sat) 1:11:46

【人】 火澄 瀬名

 

 
 小粒の雨が髪を濡らしました。
 七瀬の広げた傘が花咲きます。
 倣って広げた薄水色は、
 曇天に馴染んむ私の心のようでした。
 


 「 …… 別に、私がどこに出入りしたって、
   七瀬には関係ないでしょ。 」



 決して賭博所や怪しげな店に出入りしてるわけでは……
 あーー、怪しげな店くらいはあるかもしれませんが。
 それを言うとまた面倒なことになるので、
 今は黙っておくことにしました。
 
 
 
(53) papico 2023/05/06(Sat) 1:12:47

【人】 火澄 瀬名

 
 

 兎にも角にも、七瀬の何かあるとすぐに
 お姉ちゃん≠フ顔をするところに、
 私はいつだって納得いっていない顔を返すのでした。

 
 一緒に生まれたのに。ずっと隣にいたのに。
 ほんの数分の差が何だっていうのです。


 私だってもう他にも、
 自宅town怪しげな店townくらい
 ひとりで行けるのですから。 **

 
 
(54) papico 2023/05/06(Sat) 1:14:39

【人】 水面 禎光

 

 彼女達が個々を認めて欲しいのか、同じでいたいのか。
 それは 長年傍で見てきた僕にも分からない。
 
 言葉の口調を変え、今だって咲かせた傘は違う色。
 その一方でお姉ちゃん≠フ顔をすれば
 妹≠ヘ不満を目いっぱい含めて反発する。
 
 どう扱われたいのか、なんて聞いたところで無意味だろう。
 数式や化学式のように整然とした解を
 彼女達自身、持ち合わせていないと思うから。
 
 
(55) よし☆ 2023/05/06(Sat) 5:26:22

【人】 水面 禎光

 

 「 ねえ、瀬名 ……傘貸してくれない?
   ほら …… 僕、病弱だからさ 」
 
 
 ぽつ、ぽつと雨が地面を濡らし始めれば
 僕が視線を向けたのは、傘に隠れた七瀬の表情ではなく
 いつの間にか空を覆っていた灰色の雲で。
 
 彼女達が傘を持っていたから
 どこかで雨が降るんだろうとは思っていたけど、
 天気予報を知らない僕は 当然傘の持ち合わせがない。
 
 僕がどちらかの傘に潜り込んでもいいけど、
 背の高い僕が1本借りて
 同じ背丈の彼女達が相合傘をするのが一番濡れないだろう。
 
 
(56) よし☆ 2023/05/06(Sat) 5:26:26

【人】 水面 禎光

 

 ちなみに ───
 今の僕は、彼女達が思うほど病弱ってわけでもない。
 引っ越してきた当時は まだ少し入院もしたけど
 友達≠ニ外で過ごすようになってからは
 少しづつ体力もついてきて、
 中学では普通に体育の授業もこなしている。
 
 "身体が丈夫じゃないから無理をさせないように"って
 僕と遊ぶとき、彼女達の母親が何度も釘をさしていたから
 きっと今でもその印象が強いんだろうね。
 
 自虐ネタとして冗談に使える程過ごせるようになったのは
 紛れも無く、彼女達のおかげなんだよ。

 
 
(57) よし☆ 2023/05/06(Sat) 5:26:29

【人】 水面 禎光

 

 僕は、半ば強引に瀬名から薄水色の傘を借り受けると
 押し込むように瀬名を七瀬の傘の中に入れようと。
 
 ふたりでひとつの傘 ───
 
 ああ、そうだね。
 同じがいいのか、個々がいいのか。
 相合傘に押し込んだり、別々のお返しを用意したり
 僕だって、答えなんか持ち合わせていなかった。**
 
 
(58) よし☆ 2023/05/06(Sat) 5:26:32

【人】 火澄 七瀬





 「 大丈夫ですよ、瀬名。

   何があっても。
   お姉ちゃんが貴女を守りますから。 」


 禎光に出会い、私と瀬名が別々の人間だと知って。
 それと時を同じくしてでしょうか。
 自分が姉だと気付いたのは。


 私にとって当然となる言葉を繰り返せば、
 貴女はやはり、
 納得のいかない表情を浮かべたのでしょうか。>>54



(59) 希 2023/05/06(Sat) 10:40:46

【人】 火澄 七瀬




 お父さんとお母さんが死んだときも、きっと。


(60) 希 2023/05/06(Sat) 10:40:50

【人】 火澄 七瀬




 「 …… そうですか。 」


 怪しげな店には出入りしてほしくないし、
 自宅へはひとりで行けてほしい。
 
 そんな思いは飲み込むしかなかったでしょう。
 最初に手を離したのは私なのですから。>>0:30
 
 
 
(61) 希 2023/05/06(Sat) 10:40:59

【人】 火澄 七瀬




 全身を濡らすには及ばない雨。
 それでも互いに傘を開いた分、
 私達の距離を開かせるのには十分で。


 「 …… 禎光?
   ああ、それは。 仕方がないですね。

   禎光は ─── 身体が弱いのですから。 」
 
 
 だから、瀬名の手から傘が離れて、
 唐突に彼女が私の隣へと飛び込んでくれば。
 縮んだ距離に、思わず心臓を跳ねさせました。
 
 
 
(62) 希 2023/05/06(Sat) 10:41:42

【人】 火澄 七瀬




 不意に思い出したことがあります。
 確かあの日もこんな風に、
 今にも落ちてきそうな曇天の下でした。

 瀬名と禎光の遊びのこと。>>50
 知ってはいましたが、自ら参加はしていませんでした。
 微笑ましいと、少し呆れた表情で見守ること。
 それが姉の役割だと思っていましたから。
 
 不意にむくりと沸いた悪戯心だったのです。
 
 
 
(63) 希 2023/05/06(Sat) 10:42:22

【人】 火澄 七瀬




 「 禎光、今帰り?
   雨降りそうだけど、傘は持ってきた? 」


 ある日の放課後の昇降口。
 たまたま瀬名が隣にいない帰り道でした。
 私はそっと、自らの装飾品を外してみたのです。**>>24
 
 
 
(64) 希 2023/05/06(Sat) 10:45:44