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【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ「話……死者と?…………。ふむ……」 改めて悩むように首を傾げる姿は、考えたこともなかったといった様子で。 「でも、そうですね。今までと変わりなくこれからも同じように話せるのならば、共に過ごせるのならば、死者になっても話したいと望むかもしれません」 少し自信なさそうに力なく放たれたのは、まだ考えがまとまっていないことの証左だった。 保健室のプレートを確認すれば、危険があっては大変だろうからと扉を開けて中を先に入ることを申し出たことだろう。断られても、大人しく貴方に続いて保健室の中に入る。 ▽ (-11) もちぱい 2022/07/10(Sun) 22:06:16 |
【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ「……」 瞼を下ろして、暫く思案。 「人は本来死にたがりの生き物ではありませんから、そう思うのは当然ではあるのですが。 明日香はとても『生きることをやめる』ということを嫌がっているのですね」 ぱちりと目を開いて、貴方を見やる。 「明日香自身の為に、拙に生きることをやめるなと言うのなら。 拙が、拙の為に明日香に『ずっと変わらずにいてくれ』と望んだら、聞いてくれるのでしょうか」 静かに、そう問うた。 「……なんて。無理難題を投げずとも、拙はそうそう死ぬつもりはありませんよ。死ぬ理由がありませんので。安心してください」 (-12) もちぱい 2022/07/10(Sun) 22:07:04 |
【秘】 元弓道 マユミ → かれがれ ユメカワ『納得、出来ていたらよかったのですが』 入力中。 『拙のこれはきっと納得ではなく』 『 諦めだと思います 』 文章量はたいして多いわけではなかった。それにしては、送信されるまでの時間が掛かっているように感じたかもしれない。 『拙は、変わることが嫌です』 『皆がいなくなることも、違う道を歩むことも、周りががらりと変わるのも』 『でも、そんな事はいくら願っても止まることはないって分かっているから』 どれだけ嫌がっても、現実は自分たちを押し流す。 『見て見ぬふりをしているだけですよ、深雪』 『泣いても嫌がっても叫んでも、意味がないから』 『いつも通り元気に過ごして忘れようとしているだけ。難しいことを考えないようにしているだけ』 『嫌だって思うことも、捨てているだけ』 子供のように何も知らないままならよかった。 大人のように上手く折り合いをつけることができたらよかった。 そのどちらでもない、大人と子供の境界にいる少女は取れた行動は、これ以上傷つかないように諦念と座視で心身を守ることだけだった。 『深雪は、どうしたいですか? 受け入れられないのなら。どうするつもりですか?』 (-19) もちぱい 2022/07/10(Sun) 22:56:47 |
【人】 元弓道 マユミ>>1 シロマ 「かろうじて覚えていましたよ。拙でも分かるくらい覚えやすいものでしたから」 少しだけふふん、と自慢げに眉を上げて答えた。 近くに来たことを横目に見やると、手持ち無沙汰に指を鍵盤の上に踊らせながらぽつぽつと言葉を紡いでいく。 「梢もご存知でしたか。弓道部のこと。 そうです、あの時色々あったものですから。それをなぞっただけです。 あの時の拙もどうしたらいいのか分からなくて、首を吊っていたあの子を動かしたら後ほど警察の人に沢山のことを聞かれました。ですからどうにかしたい気持ちは分かりますが、そっとしておくほうがよろしいかと」 そう語る声は淡々と。随分と機械的なものだった。 「……辛い。確かにそう、だと思います。今までの日常ががらりと変わってしまいましたし」 歯切れ悪く述べるそれはどこか他人事のよう。 「梢こそどうなんですか?分からないと言うのなら、このような事態は初めてなのでしょう? 心身ともに負荷がかかっているのではありませんか?」 (2) もちぱい 2022/07/10(Sun) 23:29:37 |
【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ「なるほど?そういう考え方もあったのでしたか。拙は人の遺体を発見したときの対処法に悩んでいましたから。 でも確かに本人に話を聞けるなら、自殺そのものをどうにか回避できたかもしれませんね」 「そうですね、拙も明日香とならお話したいです。 ……思えば、死んでしまったのなら変化も無いでしょうから。尚の事、です」 いかにもといったおどろおどろしい雰囲気に少女は眉根を寄せた。けれどそれは恐怖からではなく、「使えそうにないな」というたいへん現実的な理由からであった。 「生きているうちにできること……?ふむ。死んだら殆どが出来なくなりますし、殆どのことが該当すると思いますが。幽霊やゾンビにでもならない限りは」 「明日香は、なぜそれが好きなのでしょう」 ▽ (-24) もちぱい 2022/07/10(Sun) 23:54:59 |
【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ「ずっと変わらないは、変わらないですよ」 淀みなく繰り返す。 「明日も明後日も、その先も。こうして皆で遊ぶんです。難しいこと、大人になってからやること、何もかも気にする事なく。 大人になってもあらゆるものに縛られず、誰も欠けることなく、周りも皆も自分も変わらず、ずっとずっと皆と楽しく過ごしていたい。 ……それが拙の望む、変わらないことですよ」 首が、こてん、と。 傾いた。黒髪をさらりと揺らし、おんなはわらう。 (-25) もちぱい 2022/07/10(Sun) 23:55:25 |
【神】 元弓道 マユミ『保健室、明日香と発見しましたがあまり寛げそうに無かったです。明日香のいるいつもの保健室を見習ってほしいものですね』 共に探検したらしい少女も重ねて報告をする。廃校の保健室文句を言うのもどうかと思うのだが、少女はしごく真面目に文句を言った。無茶言う。 『む。稔、ナイスショットですね。エモという奴でしょうか。綺麗な一枚です。 ……ところで画面端に映っている何かってなんなんです?お宝とか?』 猫が屋根に上がって丸い月を見上げると言う幻想的な一枚だからこそ、どうにもそのオブジェクトが気になったようで。なんとなしに聞いてみる。 (G3) もちぱい 2022/07/11(Mon) 0:30:40 |
【神】 元弓道 マユミ『拙はそろそろ皆さんのいる教室に戻るつもりです。 助けも呼べず外にも出られない現状、どうにか出来ないか後ほどまた校内を調べる予定ではありますが』 (G4) もちぱい 2022/07/11(Mon) 0:43:06 |
【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ「実際体験した?ふむ……詳しく事情って聞いても大丈夫ですか?それはここに来てからの事でしょうか」 天井を見上げる貴方の隣にそっと並ぶ。椅子は持ってくることなく、立ったまま貴方の様子をじぃと観察する。 「ああ。成る程。確かに死んだら痛みも何も無くなりますからね。 つまり、痛みを感じている姿こそ貴方にとって何よりも生きている証ということなのでしょうか」 観察していた視線は、貴方の肉体のあちこちに移ろう。 「──だから、明日香はいつも傷だらけなのですか?」 ▽ (-40) もちぱい 2022/07/11(Mon) 2:41:24 |
【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ「随分拙を褒めてくれますね。おだてても拙の好感度と拙の家で取れたお野菜くらいしか出ませんが、そこにお米もつけましょう」 至極真面目に告げた後、さらに考えるように首が傾く。 「しかし、明日香がそんなに欲しがりさんだったなんて初耳です。今の貴方も、拙は好きなのですけどね。気さくに話せて、穏やかに落ち着いて過ごせる。 でも、持ってないものを欲しいという気持ちも分かります。持っていないものを持つ人はきらきらして見えますもの。明日香の望む変化については、拙は何も否定しません」 でも、と挟んで。 「……拙の言う事、無理難題であると拙自身が自覚しているのですが。 いつまでも今と変わらずにいられますか? 子供は、子供のままでずぅっといられるのですか?」 (-41) もちぱい 2022/07/11(Mon) 2:42:04 |
【神】 元弓道 マユミ『急にいなくなった?』 こてん。今度は反対側に首が傾いた。 はて、鹿乃はそんな少女だっただろうか。 疑問が次々と湧いては頭の中をぐるぐる巡る。 『ありがとうございます裏道。すぐに向かいますので』 鯱animalが万歳するスタンプを押して、少女はスマートフォンを懐にしまって駆け出した。 (G8) もちぱい 2022/07/11(Mon) 3:06:01 |
【人】 元弓道 マユミ>>ウラミチ 「裏道!」 廊下の爆走。響く大声。 ここがきちんと学校として機能していたならばすぐさま先生の雷が落ちていただろうが、ここはもう学び舎としては死んだ場所。怒る者など誰もいない。 ビビりそうな子はいるかもしれないが。 「拙が来ましたよ。貴方は無事ですか?怪我とかしていませんね?」 懐中電灯片手にやってきた少女は貴方の姿を見つけてすぐさま駆け寄ってきたことだろう。 (6) もちぱい 2022/07/11(Mon) 3:06:34 |
【人】 元弓道 マユミ>>7 ウラミチ 「うーん、いつだっていい反応しますね裏道。リアクションちゃんぴょんの座は貴方に譲りましょう。でもこの声、すぐに拙だと分かって便利でしょう?」 全く反省の色がない。ほれほれ行きますよ、と懐中電灯を軽く揺らし、貴方の横についた。 「拙は明日香と保健室探しをしたり、梢と音楽室で休憩したり、あとは……まあ、色々しましたが。こちらでは終ぞ鹿乃の姿は見かけませんでしたね」 「行く場所に心当たりがないのなら、片っ端から教室を探すのみですが……」 話し終えて、首をこてんと傾げる。 「というより、裏道と話している途中でいなくなったのですよね?拙はそこにびっくりしているのですよ。何か彼女が会話中去ろうとするようなことでもしたのですか?」 (8) もちぱい 2022/07/11(Mon) 3:35:13 |
【人】 元弓道 マユミ【???】>>9 ウラミチ 「む!なんですか要らないとは!誇りましょうよ、王者の座ですよ!」 とかなんとかぎゃあぎゃあ騒ぎつつ、くるりと踵を返して進み始める。 「お手洗いですか。まあ、鹿乃は可憐で小動物みたいな子ですからね。その手の話は切り出しにくいかもしれませんが……それにしたって、いきなり消えるのは不自然です」 「…………………………」 ふと、唐突に消えた友人のことを思い出す。 「それにさ。 ────大人になったら、 こういうことできないじゃん?」 そう言って先導するようにこの学校に来て。突然消えたかと思えば、次に見た姿は──。 『牧夫いたよ』 『昇降口の隣にある教室』 『死んでるけど』 「──っ」 自然と、歩幅が広くなる。 廊下に響く音は、少しずつ忙しなく。 焦りが校内を駆けていく。 ▽ (11) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:22:25 |
【置】 元弓道 マユミ「鹿乃。懐かしいでしょう、これ!ベイスマッシュですよ、ベイスマッシュ!」 「探偵倶楽部……ああ、栗栖の根城で最近また遊び始めたんです!これがなかなか奥が深くてですね……中身を変えると回転の仕方も少しずつ違ってくるのです!」 「鹿乃、昔は模型弄りもベイスマッシュもしていたじゃないですか!改造もお手の物なのでは?」 声がする。制服のスカートが派手に翻ることも厭わずに、少女の元に向かってはおもちゃを見せて楽しげに話していた頃。 「え?今はやってない?」 「なくした?壊した?」 「それならば拙のをお貸ししますよ!栗栖に勝つ為にいくつか種類を揃えてますから……要りませんか?」 変わらない仲良し。変わってしまった出来事。 いくつもの移り変わりが寂しいと思うこともあったけど、 それでも、 「鹿乃!」 それでも、 「また明日!」 ──それが、また言えるなら。 その小さな約束が果たされるなら。 また明日、会えるのなら。 (L0) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:23:40 公開: 2022/07/11(Mon) 7:25:00 |
【人】 元弓道 マユミ【???】>>9 ウラミチ 「鹿乃!どこにいるのです!裏道泣かせたいんですか!」 途中から最早、早歩きというより走ると言ったほうが正しいくらいに脚を動かして。自分よりも手足の長い山中ですらも気持ち急がなければならないほどの速度で校内を駆けずり回った。 別のところにいるのではと他のお手洗いも見た。 先に帰ってしまったんじゃないかと自転車置き場も確認した。 歩いて、駆けて、走って、 最後に足を運んだのは── 「……昇降口の、隣にある教室」 ──鳥飼牧夫が発見された場所。 突然姿を消した彼が、見つかった場所。 考えたくはなかった。 行方をくらませた彼と同じように、突然姿を消した少女。 ……それなら、もしかしたら。 それは悪い考えだと、半ば逃げるように他を探して。 結局見つからず、ここに辿り着いてしまった。 「……」 扉を開けるのに躊躇いはなかった。けれど、固く引き結ばれた唇だけは、彼女の焦りを滲ませていた。 ▽ (12) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:27:25 |
マユミは、扉を開けて、 (a14) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:30:02 |
マユミは、……"二人"を、見た。 (a15) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:30:20 |
【人】 元弓道 マユミ【???】>>9 ウラミチ 「…………裏道」 「鹿乃、いましたよ」 それは酷く、酷く冷えた声。 少女は目が良かった。そうでなくとも、彼女は短パンからすらりとした脚を出していたから。 扉を開けた時点で、その体の異変を見てしまっていた。 ろくに確認もせず、頭が「ああ、多分駄目かもしれない」と水をかけられたように冷えていくのは、これはきっと……諦めだ。 期待して、裏切られたら、心が辛くなるから。 少女はそうやってすぐ、諦める。 身を守るために、心と頭の操縦桿をすぐに手放す。 「……拙は、拙だけで鹿乃の様子を確認するのを勧めますが」 だって、素直じゃないけど優しくて、心が柔らかな貴方はきっと酷く傷ついてしまいそうだから。 「……貴方の目で、鹿乃を確認したいですか?」 心配しているのなら、きっと自分の目で確認しなければ気が済まないだろうとも判断して。 扉の前にあった体を、僅かにずらしながらそう問うた。だからきっと、少しでも教室の中を見てしまったのなら。 "机に突っ伏した二人の姿"が青年の視界に飛び込んでくるかもしれない。 (13) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:32:20 |
【神】 元弓道 マユミ『鹿乃いました』 裏道がどうするか答えを出す前に、素早く指を動かして連絡を行う。 グループ宛の文章は酷く簡潔なものだった。 『牧夫と同じ教室です』 『今、裏道と様子を確認してきます』 ただ、それだけ。 「……もしかしてこれは、子供のまま変わりたくないと駄々をこねる罰なのでしょうか」 ぽつり、独り言が空気に溶けて消えた。 (G9) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:40:34 |
【秘】 元弓道 マユミ → 奔放 クリス『栗栖。タイマンしましょう』 小柄な少女がいなくなったと、山中から連絡がくる前のこと。 『ツラを貸してください。顔を合わせて話をするのです。 希望の場所はありますか?なければ適当な教室でもいいですが』 (-47) もちぱい 2022/07/11(Mon) 7:45:21 |
【人】 元弓道 マユミ【???】>>14 >>15 >>16 ウラミチ 「二人とも、何故黙っていってしまうのですか」 先に、手早く確認だけしてしまおうと。 少女は教室内の二人の様子をまじまじと見つめる。 「……鹿乃は、何故こんなにも痩せているのでしょう……」 麦わら帽子の乗せられた少年は、首に無数の引っ掻き傷が纏わりついていて。 小柄の少女は異様なまでに痩せ衰えて、ぴくりとも動かない。 「……」 指を伸ばして、 延々と大人に尋ねられ続けたことを思い出して、 結局彼らに届くことなどなく。触れられもせず。 口元まで寄せて呼気の有無を確認するだけに留めた後は、 「おやすみなさい。牧夫、鹿乃」 教室から出る直前それだけを呟いて、それきり。 少女はみどりの黒髪を踊らせてその場を後にした。 ──彼らには不可逆的な変化が起こってしまった。 嗚呼、けれど。もう、変わることなんてないんだ。 そう思いながら。 (20) もちぱい 2022/07/11(Mon) 13:46:11 |
【神】 元弓道 マユミ『鹿乃は死んでいました』 まず最初にそれだけの短いメッセージがグループ内に送信される。 『誰か裏道を見ていませんか?ショックのあまり、叫んで逃げ出してしまったのです。拙もこれから探しに行きますが、見かけた人がいたら連絡をお願いします』 『あと栗栖、貴方もどこにいるのです?探偵倶楽部の力を発揮する時が来たというのに』 『……鹿乃の様子が変でした。まるで長い間何も食べていないように、痩せ細っていました。死因は餓死なのではと思うくらいに』 それは暗に他殺ではあり得ないと、特に白間に伝えるように。 『ひとまず、連絡は以上です。 拙は裏道を追いますので。何かありましたら連絡を』 (G10) もちぱい 2022/07/11(Mon) 13:48:37 |
【人】 元弓道 マユミ>>17 シロマ 「ああ、よく言いますね。自分がなんとかしないと!みたいな気持ちでも働いてしまうのでしょうか」 他人事めいているのは、この少女の場合周りにさほど左右されず我が道を行くタイプだからなのかもしれない。 「……。揉め事の件についてですが、少なくとも梢の場合は貴方の母さまの問題でしょう。梢は何もしていないなら、貴方に悪意の矛先が向かうのはお門違いというものです」 「……ですが、それはさておき」 鳴らない鍵盤に添えられた指を穴が開くほど注視しながら。 「梢は」 倣うように指を再び鍵盤に置く。 力任せに、指を押し込める。 「牧夫が誰かによって殺されたのだと」 「拙達の中に、友達を殺した者がいると」 とーん、と。朽ちかけのピアノが高く鳴く。 まるで異議を申し立てるかのよう。 「……そう、言いたいのですか?」 黒黒とした眼が、ゆっくりと少女を捉えた。 (21) もちぱい 2022/07/11(Mon) 14:08:11 |
【秘】 元弓道 マユミ → 甚六 カナイ「鹿乃」 眠る貴方から離れる直前。 その音はこぼれ落ちる。 「……もし、そちらに拙も行けたのなら」 「もうこれ以上変わらず、貴方とも」 「ずぅっと、何にも怯えず一緒に過ごせるのでしょうか」 「拙はもう、どうしたらいいのか分からないのです」 (-54) もちぱい 2022/07/11(Mon) 14:14:44 |
【秘】 元弓道 マユミ → かれがれ ユメカワ「諦めることだけはしたくない」 液晶に視線を落としたまま彼の言葉を繰り返す。無意識に、きゅうと目が細められた。 『辛さと苦しさに苛まれ続けるとしても、ですか? それでも深雪は、諦めないと?』 叶わぬ願いに手を伸ばす愚かさを、虚しさを、改めて痛感する。 掴めないものに手を伸ばし続ける限り、内側を蝕む淀みは湧き続けるまま、心は痛みに泣き続けるままだ。 ▽ (-57) もちぱい 2022/07/11(Mon) 15:12:56 |
【秘】 元弓道 マユミ → かれがれ ユメカワ『意味ですか?』 『……少なくとも、今の拙では見いだせません』 一瞬でもあらゆる痛みすら掻っ攫うような、冷たい水を被ったかのよう。 続くメッセージを見た感想を見て、何故だか血の気が引くような心地に襲われる。 なんだかそれは、温度のない終わりに手招きされているような気がして。 『死んでしまえばもう変わることなどありませんから。そう考えれば、無理に生きるよりもずっと魅力的に思えます』 『でも』 『今しかないのに、その今は変化していく』 『その曖昧な今という範囲をきみは好きなんだろ』 『変化しないわけないじゃん、今だって』 『どっかで飽きるよ、きみだって』 『そんでまた新しい今を欲しがる』 『好きな今を。楽しい今を』 『或いは、悪魔がいたとして』 『満足したという事実を忘れてまた今を繰り返す』 『別に、態々いう事でもないでしょ、こんなこと』 入力中。入力中。入力中。 入力中………… ▽ (-58) もちぱい 2022/07/11(Mon) 15:13:34 |
【秘】 元弓道 マユミ → かれがれ ユメカワ貴方の考えは痛いほどに理解できる。 そこに反対の気持ちなど欠片も無くて、稼働している頭の殆どが夢川の意見に頷いている。 『でも』 それでもまだはっきりと答えを口に出来ないのは、 『まだ拙は、自分自身のことを、理解しきれていないから。このままだとあちこちに流されてしまいそうだから』 『本当に意味が無いのかもう少し考えます。 拙自身の結論を、ちゃんと出します』 答えを出したくないと思考することを拒んでいるのか。 或いは、未だ微かに少女の中で諦めたくないという気持ちが息をしているのか。 『……深雪は』 『生きていることよりも、生きることを手放すことに』 『意味を見出しているのですね?』 (-59) もちぱい 2022/07/11(Mon) 15:15:07 |
【秘】 元弓道 マユミ → 奔放 クリス『ご存知です?そう言うと今度は"じゃあ足を出すね"って言われるんですよ。 今回は話し合いですし、滅多なことがない限り拙は足も出しませんから安心してくださいな』 貴方が何処を指定しようかなどつゆ知らず。 教室でいいと言われたならば合流場所として使用している空き教室……から少し離れた教室を指定した。 貴方がそこへ足を運ぶなら、腕を組んで椅子に座る少女の姿が見えることだろう。 いつも通りの仏頂面に見えるが、唇はにわかに固く引き結ばれている。 (-134) もちぱい 2022/07/12(Tue) 15:51:54 |
【人】 元弓道 マユミ>>25 マユミ こっ、こっ、こつん。 こっ、こっ、 。 爪の先が鍵盤の表面を叩く。 爪の先が欠けた鍵盤を叩くふりをして、何もない空間に指が沈む。 「あり得ない話ではないでしょう」 至極冷静に、真面目な顔つきで唇を震わせる。 「たとえば拙が外に出られない現象について、どう説明するのです?信じられないならば梢も学校の外に出るのを試みてください。 ……そのような不可解な現象が起きているのですから、幽霊のような存在に殺されるといった不可解な現象で命を落とすのもおかしな話ではないと拙は思うのです」 それは真剣に考えた結果ではあるが、同時に友人達を疑いたくないが為に出した答えでもあるかもしれない。 (31) もちぱい 2022/07/12(Tue) 16:04:43 |
【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ生きていない者がいる、その事自体は既に不可解な現象が起きているのだから別段派手に驚くこともなかった。 むしろ、死んでも人と会話できるのだと、良くない知見を得てしまった。 「…………」 黙って貴方の話を聞く少女の顔は、微塵も変わらず。 「拙には、理解が難しい話ですね」 まず飛び出してきたのは、そんな一言。 音もなく手を伸ばす。柔らかな白い髪を、そっと梳くように撫でる。 「難しいですが、明日香は優しい子だということは分かります。平等、公平を重んじる子なのだと。 ただ、同じように傷つくのは対価になることは無いんじゃないかと、拙は思うのですが」 言葉をまとめる合間、うむむと唸るような音がした。 「例えば片目を貰い、対価に明日香が片目を失ったとしても。それは実際に眼球を移植しあったということですか?そうでないなら、決して等価交換ではないでしょう。 明日香の自己満足で、互いに損耗するだけだと拙は思うのです」 「やめろとは言いません。明日香が好きでやっている事ならば、止められません。 ですがその生きる証を得たいが為に傷付き続けて、限界を迎え死んでしまうなんて本末転倒なことにならないか。 ……拙はそれが、明日香が心配なのですよ」 ▽ (-139) もちぱい 2022/07/12(Tue) 16:58:05 |
【秘】 元弓道 マユミ → 不知 ミナイ胸に手をつかれれば、貴方の手には控えめな柔らかさが伝わってくるだろう。 その様子を黙って見下ろしながら、淡々と紡ぐ。 「明日香。 ……拙は、大人になりたくありません。子供のまま、皆とずぅっと過ごしていたい」 「その為に死ぬ、なんてことは。 …………愚かだと思いますか?」 (-140) もちぱい 2022/07/12(Tue) 16:58:22 |
【独】 元弓道 マユミん?ああでもミナイの秘話で死者ほんとにおるん?の会話してるから、ユメカワとのやりとりはミナイの後じゃないと不自然か なら自然とユメカワはミナイの後になるな (-142) もちぱい 2022/07/12(Tue) 17:06:28 |
マユミは、ふにゅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (a68) もちぱい 2022/07/13(Wed) 3:28:46 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 夏の雪 ユメカワ『難しいことを考えているのですね。 拙より深雪のほうが、ずっと大人です』 少女はただ、避けようのない事実から目を逸らして駄々をこねていただけ。 逃れられないと知っていながら、それでも何もせず意識しないよう遊び呆けていただけ。 「……」 入力中。 それは、貴方が故人であると知ってから。 暫く、入力中の三文字が貴方の視界に映るかもしれない。 『死んだ人と会話をしたと、とある子から聞いていましたが』 『深雪がそうなのですね』 『まず、拙達に会いにきてくれたことに、お礼を言いたいです。 ありがとうございます、深雪』 ▽ (-204) もちぱい 2022/07/13(Wed) 15:51:04 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 夏の雪 ユメカワ『そうですね。突然でした』 『突然、拙の"いつも通り"が崩れました。 完全に元に戻ることはありません。 どれほど拙が大丈夫なように振る舞っても、周りが意識するのです。壊れた時の傷跡は、必ず何処かに残っている』 それは不可逆の変化。 知ってしまったら、知らない頃に戻ることなど出来やしない。 『あの日、崩れた時から』 『拙はずっと考えていました。子供のままいられたら、と。大人になるにつれ皆と離れ離れになることが嫌で、叶うならばずっとずっと皆と何も難しいことを考えることなく遊んで楽しく過ごしていたい』 『まさに深雪の考えと同じです』 『けれど生きている以上、歩むことを放棄し時を止めることが出来ない以上、叶えることは無理難題と同義で』 『それこそ死ななければ、深雪のいる場所に行かなければ掴めないことです』 ▽ (-205) もちぱい 2022/07/13(Wed) 15:51:28 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 夏の雪 ユメカワ『でも』 『見て見ぬ振りは長続きしないと言ってくれたように』 『ずっと続く"今"に浸り続けても決して満足しないだろうと言ってくれた人もいます』 『拙にとっては、深雪もその人も大事な友達です。無視できない言葉です』 液晶をなぞる指の動きは緩慢で、けれど着実に。 『拙は考えることを沢山やめてきました』 『辛いのが嫌だからと、痛みを感じたくないからと、何も考えないようにしていました』 『けれど、今ここで何も考えずに答えを出してしまったら。今まで通り、流されるまま流されていたら』 『真摯に拙に言葉をくれた深雪にもその人にも、同じだけ返せたとは言えません。誠実ではありません』 『深雪はきっと、自分側に来てくれるだけで構わないと思うかもしれませんが……拙が納得できないのです。 話をちゃんと聞いて自分で考えて出した答えでなければ、拙はきっと死んでも死にきれない。昔通りの楽しい気持ちで深雪と一緒にいられない』 『それこそ、"楽しかったあの頃そのもの"になれない』 思考は錆びついている。動かすことは容易ではない。けれど、同じものを同じだけ返せないまま流されることも許容できなかった。 『ですからどうか、皆ともう少しだけ待っていてください。 答えを出して、改めて話に来ます』 (-206) もちぱい 2022/07/13(Wed) 15:53:21 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 甚六 カナイ少女は何かを感じ取ることが出来た。 素直に受け取って、染まりやすく、流されやすかった。 その音を、その声を拾えたのはそれが理由だろうか。或いは、感じぬふりをしながらも貴方をずっと想い続けていたからだろうか。 「っ」 ぎぃ、と。床が鳴る音。何かが確かに存在する証。 それを拾い上げて、思わず其方へ勢いよく視線を向ければ。 「かな、い」 「鹿乃!」 今までと何一つ変わらないように。 名前を呼んで、駆け出して。 今までと何一つ変わらないように。 すっかり馴染みとなった転ぶ貴方に、当たり前のように手を貸そうとする。 嗚呼、それでも。不可逆の変化は確かに訪れた。 差し伸べても、今まで通り貴方に触れられるだろうか? (-207) もちぱい 2022/07/13(Wed) 15:59:31 |
マユミは、何かを囁いた。 (a77) もちぱい 2022/07/13(Wed) 16:10:39 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「……動機が恨みではなく、他のものだとしたら」 「そしてそれが、拙達でなければならないものだとしたら」 貴方の耳朶を、少女の声がかすかに擽る。 「……拙も、疑いたくないですけれど」 「 拙達の誰かが既に死んでいて 、寂しさ等怨み以外の理由で常世に連れていこうとした 」「要は、梢が先に話した通り『自分たちの中に犯人がいる』ことになりますが」 「そう考えると、少しはしっくりきませんか」 「…………本当に、疑いたくありませんが」 「…………明日香も、話していましたもの。 "死んだ者と話をした"、と。 けれど、害を与えられている様子はなかった」 「幽霊は、害意以外で動いていると思うのです」 ▽ (-208) もちぱい 2022/07/13(Wed) 16:12:07 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「逆に問いますが、何故貴方はそんなにも機嫌が良さそうなのですか」 機嫌良さそうな姿を見て、眉間に皺を刻み苦い顔をした。 文句を言うでもなく、教えを授ける者が立つべき教壇に落ち着いた貴方を捉える。 「どうも、栗栖」 自分と貴方、ふたりきり。口煩い教師も賑やかなクラスメイトもどこかに行ってしまって、学校が終わった後特有の漠然とした開放感と静けさが入り混じる空気。 日常の延長線に、確かに自分達は立っていて。 けれど。 「こんなところだからこそ、いつもみたいじゃないですか?」 終わりを告げるのも、不変を壊すのも。 延長線の端を見出すのも。 「栗栖」 「話をしましょう。いつもみたいに」 「いつもと違うお話を」 ──他ならない自分達だ。 「先程伝えたように。貴方の話を聞いて、少しだけ理解したことを話しますね」 (-209) もちぱい 2022/07/13(Wed) 16:33:20 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「……たいへん俗っぽい言い方になりますが。 そーゆー、性癖という奴なのでしょうか」 こんな野暮な言い方をしては認めるものも認められないのではと思いはしたが、生憎少女の引き出しに気の利いた言葉は無かった。 抱きつかれれば、腕の動きに注意しつつも好きなようにさせる。なんなら髪も優しく梳き始めた。 「死ぬなら全てがどうでもいい、なんてことは無いのですよ。死ぬ理由があったから死ぬだけで」 見上げる貴方を、どこまでも深い黒色がじぃっと射抜いている。 「拙は頭の出来がよくありません。 ですから、明日香の綺麗な言い回しの意図もきちんと把握できないのです。 "元気"とは、どんな状態を言いますか?心身共に万全な状態なのですか?」 ▽ (-210) もちぱい 2022/07/13(Wed) 16:48:04 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「そうですね。とても我儘です」 怒るわけでも嫌悪するわけでもなく、静かに答えた。自分でも分かりきっていたことだから。 「明日香にしてほしいのは意見です。肯定ではありません。 ……拙は今、どうすべきか迷っています。今まで流されて生きていたから、自分で考えて答えを出すということが非常に難しいのです。 ですから、自分で自分が納得できる答えを出す為に。判断材料として一つでも多くの意見が欲しい」 両腕をずらし抱き寄せる。腕の中の温もりを大切に囲いながら、はっきりとした口調で言い切った。 「現在の自分にとって友達と過ごす"今"が何より大切で、 どうしてもどうしても寂しくて仕方がなかったとしても。それでも、人生を辞めない方がいいのでしょうか」 「生き続けて、環境が変わり酷い寂しさに襲われて。そうしてもなお生き続けて何になるというのです?」 責めるつもりは無いし、怒っているわけでも無いのは柔らかな声音から読み取れるだろうか。 ただ純粋な疑問を、貴方にぶつける。 (-211) もちぱい 2022/07/13(Wed) 16:48:16 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「拙は」 ぽつり、音が溢れる。 「未だ、迷っています。 幽霊についていけば、一緒にいられる。けれど、それで本当に己が満たされるのかと指摘されてから心がもやもやするのです」 「ですから肯定でも否定でもない複数人の話を聞いて、考えて、答えを出すつもりです。 既に明日香には話しました。そして今、貴方に。この後は、栗栖に」 「話を聞いて、自分がどうしたいのか見極めるつもりです」 ▽ (-224) もちぱい 2022/07/13(Wed) 21:14:12 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「……ああ、でもひとつだけ。 幽霊がいたとして、その子について行くかどうかはさておき。 拙は、その子を罰するつもりはありませんよ」 「……梢」 「梢はどうなのですか?」 大きな瞳が、真っ直ぐ貴方を射抜く。 「梢は拙達の意思を尊重すると言いますが、 貴方の意思は、どこにあるのです?」 (-225) もちぱい 2022/07/13(Wed) 21:14:24 |
【独】 傷弓之鳥 マユミ>否応なく大人にならざるを得ない子供もまた、存在する。 シロマも幽霊枠か!?!みんな幽霊に見えるな!?と思ってたけど これ読んでたらなんか 幽霊っていうよりも 何? 和崎節全開の恐ろしい人間の醜さで固められた生々しい背景ありそうだな 梢の意思なく孕まされたとか、売られたとか、政略結婚的な奴とか、そういうのかな (-246) もちぱい 2022/07/14(Thu) 6:18:08 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「例えば直接傷つけたとか、そうでなくても唆したとか。他の人を脅かすというのは怒られる行為です。 けれど、もし犯人が恨み以外……例えば、寂しかったからとか。そういったものであれば。少なからず理解はできますから。拙からきちんと怒ることは、出来ないでしょうね」 もし自分が幽霊だとしたら。きっと、自分と同じ立場になってほしいと願ってやまなかっただろうから。 どうして、その者たちを責められよう。 「深雪ですか?分かりました。忘れず、きちんと聞いておきます」 少女はしっかりと言葉を覚えていたのだが、それよりも早く件の夢色の彼自らが少女に連絡を入れたのは……もう少し先の話。 ▽ (-247) もちぱい 2022/07/14(Thu) 6:26:29 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「梢」 多くを取り落としてしまったような虚ろを見る。 「どうしてそんなに、自分が蚊帳の外にいるような口ぶりなんですか」 意思がないとはっきり言われた。 夢も、願いも問われた。なんだかそれも、自分にはもう無いと言っているように聞こえた。 「まるでもう、少年時代から踏み外してしまったか、或いはもう抜け出してしまったかのよう」 犯人を断定したわけでも無いのに「彼」と呼ぶことについて気になったが、それよりも貴方が静かに紡ぐ内容のほうが気にかかった。 「拙は、拙はただ…… …………皆と、ずっと一緒に楽しい時間を過ごしていたい。 ………………ただ、それだけです」 (-248) もちぱい 2022/07/14(Thu) 6:27:00 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 甚六 カナイ「はい。拙ですよ」 いつも通り、にしては何処か少し、噛み締めるような低い声音。 ぽそぽそと内気な、親愛をぎゅっと詰め込んだ声。 転んで膝をつく、短パンからひょろりと伸びた脚も、 前髪とフード越しにへにゃりと笑う顔も、下がる眉も、 おずおずと自分の手に触れて重なる、長袖から覗く指も。 いつも通りに、いつかと同じで。 ……嗚呼、けれど。 触れる体は、もういつも通りじゃない。 「ふふ、相変わらずですね。転んでもいいですよ、拙が何度だって手を貸しますから」 それでもいい。貴方が貴方であるのなら、自分は。 ▽ (-256) もちぱい 2022/07/14(Thu) 14:30:25 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 甚六 カナイ「その代わり」 少女はさらさらと流れる黒髪を揺らしてそっと両腕を広げた。 そのまま小柄な貴方を囲うように、腕を回して閉じ込めて。 「…………今だけ、こうさせてください」 縋るように、或いは何かから隠れるように。 貴方の肩口に、力なく顔を埋めた。 熱はない。いのちの欠片が何処にもない。いつも通りと一緒に、何処かに置き去りにしてしまったのだろう。 けれど、貴方が貴方である証はいくらでもある。 声を、華奢な体を、詰め込まれた親愛を。 残っているいつも通りをよすがにして、少女は貴方に体を寄せる。 「……」 「…………」 「ねーちゃん……」 ぽつり。 それは、いつも通りじゃない声は、貴方の服に吸い込まれた。 今まで一度も、そんな呼び方をしたことがない。けれど、いつも通りじゃない今だからこそ、少女はその呼び方を音にした。 少女は一度も、貴方を「だめだめなねーちゃん」だと思ったことなどなかった。 気弱でも優しくて、一緒に過ごしてくれた大切なお友達。 寄り掛かりたいと思う、素敵なねーちゃん。 (-257) もちぱい 2022/07/14(Thu) 14:30:52 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「常世はこれ以上悪くはならない、ですか」 ……果たして、本当だろうか。 自分たちが思考できる存在である以上、精神という不確かな機能を持つ以上、意識があるうちは永い時が毒となり得ることもあるかもしれない。 少女はそう、考え始めている。 「希望とはなんでしょうね。 今まできちんと考えてこなかった拙には、むつかしい話です」 ほんの少しだけ瞼を下ろした。豊かな睫毛に縁取られた瞳は影を帯び、仄暗い色を湛えて手元の白と黒の世界を見つめる。 卒業よりも、引っ越しよりも、大人になるよりも。それらよりも遥かに深い溝によって、既に道は違えてしまった。 未来を歩む為の星が、見えないままだ。 「……今のままでは、あまりに欠けすぎています。もうだいぶ休みましたし、そろそろ人と話をしてきます」 鍵盤の欠けたピアノをひと撫でしてから少女は立ち上がる。呼び止めなければ、そのまま音楽室を後にするだろう。 ▽ (-270) もちぱい 2022/07/14(Thu) 18:30:13 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 陽葉 シロマ「梢」 扉をくぐる直前。少女は貴方を見向きせずに音をこぼした。 「拙の質問に答えなかったのは、意図的ですか」 答えないことが、もう答えのような気がした。 意思がなく、常世について語り、がらんどうのまま生者たる自分に忠告を与えてくれる。 「梢」 「……意思も何も無いのなら。 せめて、貴方の辛さ苦しさを聞いて、抱えたかったです」 貴方ではなく歩む先を見つめたまま、紡ぎ続ける。 「話してどうにもならないことだから話さなかったのでしょうか。 他人に余計なものを持たせたくなかったから話さなかったのでしょうか。 ……それでも、拙は。 貴方の一部になったもの、なってしまったものを持っていたかったです」 そう呟いた後、「いってきます」とだけ告げて進み始めたのだった。 控えめな足音が、少しずつ遠ざかっていく……。 (-271) もちぱい 2022/07/14(Thu) 18:30:59 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「え、と……。明日香は、その。元々体が弱くて、色んな人から色々提供してもらって回復した……ということでしょうか」 断片的に話される貴方の事情に、俄かに驚いたように口が半分開いていた。 「返したいのなら、それが明日香の意思ならば、拙は……止めません」 理不尽でままならない世の中だからこそ、最も尊重されるべきは自分自身の意思だと、少女は考えている。 ▽ (-282) もちぱい 2022/07/14(Thu) 20:41:42 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「死んでから満たされる感情を知ることだって……、 ………………」 意見を聞いて、真っ先にそんな言葉が出たけれど。すぐに口を噤んだ。 不変を望んで死のうとしていたのに、死後の世界に不変を望んでいたのに、変化を求めているなど都合が良すぎる。 「結局、何処に行こうと、誰も何も保証してくれない。 未来だって誰かがきっちりレールを敷いてくれるわけでもなくて、死後の世界を明確に照らしてくれる人もいない」 くしゃりと、顔が歪む。貴方を強く掻き抱いた。 『面白いことというのは起こる、じゃなくて見出す、だよ 』 誰かの言葉が頭の中で響くのを聞きながら、 「明日香。この世界は、 目がみえない人にとって、とてもいきにくいですね」 ぽつり、呟いた。 ▽ (-283) もちぱい 2022/07/14(Thu) 20:42:14 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 不知 ミナイ「……今の拙は何も見出せません。 何処に行っても、まっくらです」 暫くしてから、腕の力を緩めて貴方から離れようとする。 「欲しいものが本当に無いのか、後悔も、やりたい事もないのか。 もう少し動き回って、色々見渡して、探してみようと思います」 「その時にまた、お話をしますね」 (-284) もちぱい 2022/07/14(Thu) 20:42:34 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「悪趣味」 言い切って捨てた。余計に機嫌が斜めに曲がる。こちらはそちらの腹の下なぞ、めくりあげることができた試しがないのに。 とはいえ、へそも口も曲げていては話が進まないので適当なところで仕切り直しとばかりに咳払いをひとつ。 「まず、少し前に栗栖が出した宿題は『分かっている自分を話してくれ』でしたね。 拙はずっと、『何も難しいことを考えずに無邪気に楽しい時間だけ過ごせる、子供のまま皆とずっと一緒にいたい』と思っていました。 学校を卒業してしまったら、大人になってしまったら、皆バラバラの道を歩むでしょう?今生の別れにならない者だっているでしょうが、大人になれば今よりずっと不自由で窮屈な時間を過ごすことになる。 拙はそれが嫌だったんです。何も余計なことなど考えず、好きな人と好きなことだけをしていたい」 あまりに稚拙であまりに我儘で、あまりに困難を極めた願い。 子供の時間を、子供のように無邪気なフリをして現実から逃げて夢見ていた。 ▽ (-286) もちぱい 2022/07/14(Thu) 20:58:06 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「でも流石に拙も本物の馬鹿にはなれなくて。抱える願いは叶えるのが難しいと分かっていました。 でも、だからといってどうすることも出来なくて。夢を見続けたまま遊び呆けて現実に目もくれず、後ろ向きのまま前進し続けていたのですよ」 きっと、逃れられない別れの時が来てしまったならば。虚しさと寂しさを抱えたまま流されるだけ流されるつもりだっただろう。 「……それなのに」 かたん、と。少女の座っていた椅子が軽い音を立てて後ろに下がった。 「栗栖。貴方は拙が願いを叶えたとしても満足出来ないだろうと言ってのけた」 かすかな衣擦れの音を連れながら、少女は大股で教卓へ。 「そして。拙もまた、その可能性は否定しきれないと思ってしまった。貴方のついさっき放ったばかりの言葉で、長い間抱えた願いがぐずぐずに崩れようとしているのですよ」 「長い間思い続けてきた願いが、そんなあっさりと砕けることってあります? 結局それは、その程度だったということなのでしょう」 教卓を挟んで、その向こう側。 相馬栗栖ただ一人を、黒黒とした双眸が真っ直ぐ射抜いている。 ▽ (-288) もちぱい 2022/07/14(Thu) 20:58:38 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 奔放 クリス「だから、本当は自分が何を求めているのか考えました。色んな人の話も聞いたんですよ。 生きても死んでも、今の拙では変わりなく寂しいままだから、本当にやりたいことがないか考えろと教えてくれた子がいました。 無理して生きることが必ずしも美談ではないし、死を選んでも誰にもその人を咎める資格は無いと言ってくれた子がいました。 本当に皆とずっと一緒にいる事を望む子から、死んで不変を手にしようとも誘われました」 「皆が皆、それぞれ道を歩もうとするなら背中を押してくれるのです」 はぁ、と。 ため息ひとつ。同時に視線が机へと落ちた。 「でも、今の拙は。 何がしたいか、自分ですら分かりません」 「考える必要のなかった過去ばかり見つめ続けて。 未来にも死後にも、 ──何も見出せていません」 「拙はきっと、歩く理由が欲しかった。 がらんどうを埋めるものが欲しかった。 ……きっと、そうだと思います」 話し終えて、顔を持ち上げる。これで満足したかとばかりに、くりりと大きな瞳に貴方を映した。 (-289) もちぱい 2022/07/14(Thu) 20:58:58 |
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