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【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 傍らに立っていた幹部の一人、有翼獣人のグリフォンが叫んだ。 口にしたのは今落ちた男、彼の部下の名前だろう。 いかに魔族の助けを拒もうとしても、空だけは難しい。 気質の穏やかな者が多いこともあり、駆り出される機会の多い存在。 その為にどんな場所でも、十分な人数を配置出来ない。 だからといって、一体何者が彼を? グリフォンを追って来賓席の合間を縫い、前方に向かう。 悲鳴を上げる者、何が起きたのか空を見上げる者。 殆どの者達が咄嗟に動けずにいた────壇上の魔王ですらも。 ] (15) ガラシア 2020/10/27(Tue) 23:52:32 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ そんな瞬間を狙っていたのだろう。 今や虚しくも唯一の祝祭らしさとなった舞い落ちる花弁が、 何かに押し退けられ、分かたれた波のように二分される。 不穏の風、冬へ向かう節の厳しさとは違う魔の冷気。 凍えるようなのに生暖かくもある、あれは────] (16) ガラシア 2020/10/27(Tue) 23:53:05 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ グリフォンが化身する、部下達を引き連れて空へ駆け上がる。 クリオ率いるヤムベアッカ達が渦巻く雪風を作り出し、 有翼種に続くように舞い上がる。しかし、後は追わない。 極寒に最も適応し、天候を操ることが出来る。 身体の成長を忘れた代わり、魔法を手足のように扱う彼らは 肉体を持たない無実体種族と程近い。 熊獣人であるベアの咆哮が背後で聞こえた。 幾つかの重い足音が遠ざかるのは、恐らく他でも騒ぎが起きている為。 今の王への攻撃は魔族の命を奪えるものではなかった、 仲間がいるのだろう。そして、陛下だけを狙うつもりでもいない。 ] (21) ガラシア 2020/10/27(Tue) 23:56:27 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 総数は、他にどの種族が、陛下の命と何を狙っている。 未知が多い、分かることと言えば 幾多の魔族の種と沢山の人類が集うことを許されている場所で、 特殊な存在の無実体種族は気配を追われる心配もなく、 開戦の狼煙を上げることが出来たこと。 ] (22) ガラシア 2020/10/27(Tue) 23:56:58 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ まるで霞でも切っているかのようだった。 無実体種族に物理的な攻撃は、特殊な武器ではないと通らない。 執拗に自分と王を狙う彼らから離れられたのは、 唯一太刀打ちが出来るヤンベアッカ達が食い止めたお陰だろう。 しかし休む暇などは当然無い。 広場へ向かい押し寄せるが如く現れたのは、リザードマンの群れ。 武器を扱う知能を備えた、本来は遠く離れた地で生きる筈の魔物。 ] (33) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:47:32 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス礼なんていい、早く!都の外に行け……! [ 恐怖で地べたに座り込んでしまった民を立ち上がらせ、 再び標的となる前に走らせる。 想定外が重なっているものの、 我々も人類も何の手立ても用意せず式典を行っていたわけではない。 火災や脅迫だけではない、ここ最近頻発していた事件 恐らくは式典に割ける人員を減らす為だ。 警備の多くと、ある程度魔族と戦える住民らが外に皆を逃せば 控えていたエルフ族の術士らが結界を発動、都をそのまま隔離する。 規模の大きさ通りの最終手段が用意されていた。 この程度の相手に使う筈ではなかった策。 本来現代の人里は強力な魔除けを施され、魔物の侵入など許さない。 無実体種族もまた、肉体の営みから解放されている代わり心が幼く 精々が悪戯の呪いを扱う程度、奇襲作戦など行えない筈なのだが。 ] (34) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:48:01 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 一体一体は大したことはない。 リザードマンのアイデンティティーは武器のみといっていい。 しかし、護衛は合計で二十にすら届かない人数。 量より質とはこのことか、 人混み紛れる鱗に覆われた緑が減った感覚がない。 側で戦う王には戦闘経験の薄さよりも大きな問題があった。 ────本気を出すことも竜になることも、してはならない。 姿を変えただけで人類の建築物など幾つ吹き飛ぶことか。 思えばそれが一番の奴らの勝因なのだろう。 人型に留め満足に戦えない間に仕留める、そのつもりか。 我々は最終兵器を封印したまま、苦しい戦いを強いられる。 ] (35) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:48:22 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 丁度そんな時だ。 ] 逃げろ────! [ 逃げ惑う親子を数体が追い掛け、見る見る内に距離が縮まっていく 分かっていても鍔迫り合いの最中では、叫ぶことしか出来ず 今まさにその背に凶刃が迫ろうとしていた時。 甲高い威嚇の声と共に上空から一気に下降したグリフォンが、 両者の間に割り込み、獅子の爪で一体の腕を狙い武器を落とさせ 更にもう一体へと襲いかかり交戦を開始する。 対応しきれていない相手に、王が放った炎が命中した。 気づけば悲鳴と狂騒の中に幾つもの彼と似た鳴き声が混ざる 部下が増えているのは警備と合流したからだろう。 ] (37) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:49:45 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスどうなっているんだ、おい、っグリフォン! 何故、……魔物が中にいる! ベアは一体何処に行ったんだ! [ お陰で情報を同僚に求める余裕が生まれた。 その場をクリオ達に任せて飛んだのは、 種族特有の高い視力で偵察に出たからでもあるだろうと。 期待通りに状況を教えられたものの、 内容には苦々しい顔にならざるを得なかった。 ] (38) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:50:02 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 曰く、 都のあちこちに魔法によるものと思われる光が出現、 その中からリザードマンが現れた。 ベアと部下は現在北寄りの市街でオーガと交戦中。 リザードマンを退けて民を守りながら避難誘導し、 途中遭遇したものと思われる。 彼らは強靭だが敵も同じく、人数の差は歴然。 だから二人はあちらに行ってほしい、と。 ] 転移装置……いや、そんな筈は。 それより、お前らであれをどうにか出来るって言うのか? [ 浮かんだ疑問は今は振り払うしかない。 何しろ再びリザードマンが集まり始めていたからだ。 ] (39) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:50:37 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ リザードマンを追い掛けてきたのは この場に似つかわしくない四つ足で地を蹴り、 ただの獣と呼ぶには大きすぎる体躯を持った ────人狼族が現れた。 ] (42) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:51:37 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 人間を糧にしていた負の歴史の中、 彼らは人里に紛れ込み幾多の騒動を起こしていた。 故にその擬態能力は、魔族随一。 祭りの客に紛れて待機してくれていたわけだ。 人類には話せない隠し玉、その為皮肉にも人数は多く揃えられた。 ] (43) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:51:53 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ あの日先代により転移させられたのは、人狼の隠れ里。 自らの主を守れず項垂れる者達を見つけたのが、未だ子供だった彼。 かつての魔王軍幹部ヴォルフの末息子は、未だ年若いものの 果敢な姿に武人であった父の面影を宿していた。** ] (45) ガラシア 2020/10/28(Wed) 22:53:16 |
【独】 魔王軍幹部 フォルクス/* この後ベアおじさんだけど悲しいくらいクリオのことだけ描写短いな? ごめん戦闘ロルなんて書けないから早く終わらせたくて……かなり省きやすい位置で…… (-64) ガラシア 2020/10/28(Wed) 23:03:19 |
【置】 魔王軍幹部 フォルクス[ 「最後の勇者」は本来、二人いた。 よく似たあどけない顔の同じ箇所に、御印を持った仲の良い双子。 姉弟の金色の髪は戦場であれど陽の光を浴びて美しく輝き、 圧倒的な力で幾度も幹部を退けた。そこには俺自身も含まれる。 まるで本当に女神が存在し、二人を愛しているようにも見えた。 しかし──── ] (L0) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:13:57 公開: 2020/10/29(Thu) 1:15:00 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ ────魔王を倒す程の力の代償は大きかった。 魔王領に入った頃には仲間は全員喪い、 ただでさえ大きすぎる力を絶え間なく使い続けなければならない勇者は 痛ましく悍ましく、二人のまま一人へとなっていたのだ。 最後の最後に双子の勇者を生んだ教会は、焦りでもあったのか? はたまた、遂に念願を果たせる予感を覚えていたのだろうか。 分かるのはその所業の報いは、確かに返ってきたということだ。 ] (*0) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:14:11 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス「生きろ、フォルクス。 ……陛下はお前に未来を託されたのだ。」 「我々が行うべきことは決まっている、奴は必ず────」 [ 王の意思を汲み、転移魔法から逃れることを許さなかったベアは 気丈に振る舞いながらも、声に籠もる感情を隠せない。 父親の死を伝えられ泣きじゃくる仔狼を抱き上げ、母親へと渡し。] (48) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:14:54 |
【置】 魔王軍幹部 フォルクス[ 立ち続けるべき戦場を失った勇者は、 人類でも魔族でもない存在になってしまう。 それがこの世界が課した、神託を受けた俺達の宿命だった。** ] (L1) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:15:42 公開: 2020/10/29(Thu) 1:15:00 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ この都が最初に戦場になったのは、 魔王を討ち帰ってきた勇者の暴走を止める為のものであった。 侵入は容易いものだった。 何しろ、今更魔族が数人入ってきたところで気にするものでもない。 背信者が顔を隠して紛れ込んだことなど、尚更気づけはしまい。 最初に見つけたあの額の御印の魔物を想起させられた。 城に現れた時よりも、人の名残が擦り減っていた。 それは即ち、思考も獣へと変質しているということに違いない。 なけなしの理性を聖都へと帰る為に使ったのだろう。 誇らしく報告したかったのか、家族に会いたかったのか。 悲しい程に、最期まで従順で望まれた形で有り続けた勇者だった。 ] (*1) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:16:11 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ だからこそ、我々と都を守る人類達によって 多くの犠牲を生みながらも、勇者を倒すことが出来た。 躯の御印を突き付け、自分達魔族も襲われ都の人類を守ったことを示し 背信者達が口々に教会を糾弾すれば、その威光は翳りを迎えた。 最後に残った勇者だった者の証言により、 都の騎士団が教会に立ち入り、多くの証拠を見つけた。** ] (*2) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:16:35 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ 殺められることは無く、しかし辿り着くことも出来ず 器となるには未熟だった身体を、魔物へと化身させた者。 多くを殺め、教会の念願を果たし 完成した勇者から、厄災の如く異形へと成り果てた者。 彼らの辿った道は悲劇であれど、 勇者になってしまった者の正しい末路でもある。 だから、間違ってしまったのは俺の方。 ] (*3) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:51:44 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクスっ、ぐ……ううぅ ッ [ 胸の真ん中に当てた手は何かを掴み五指を丸め、 一気にそれを、慣れ親しんだ形の得物を引き抜く。 気づかれないよう潜める声は、悲鳴の全てを呑み込めはしない。 複数の敵に囲まれながらこの能力を使用すると、 実在化する武器の大きさに比例した隙が生まれる。 人狼族の登場で場を離れられたお陰で使えた。 これでもう少し、戦いやすくなるだろう。 ] (*4) ガラシア 2020/10/29(Thu) 1:52:11 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス──現在── あああっ、クソが! [ 頭上スレスレを菓子売りのワゴンが商品を撒き散らし飛んで行く。 ふざけんな、明らかに鉄製だろうが。 久々に遭遇した理不尽な規模の暴力に育ちの悪さが露呈する。 木の棒でも放るみたいにそんなものを軽々投げられる種族など、 魔族の中でもごく一部に限られている。 熊、牛、虎、犀。体力自慢の獣人らが今共に戦う仲間ならば、 答えは一つ。オーガによる攻撃である。 ] (56) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:08:50 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 今や都は乳白色の紋様を宿した光の網で覆われた。 規模の大きな術が上手く働いたのは発動者の多さと、 魔法の循環が行われやすい円形、即ち魔法陣と似た地形故に。 その空に雪が舞い始めたのは、クリオ達の能力の影響に違いない。 遠く離れた場所にまで現象が起きているのは、恐らく 無実体種族が無力化されたものと思われる。 元から彼らはそう強くはない。 幹部だった男は魔族に時折産まれる、特別な個体だった。 だからこそ同族に慕われ頼られていたのだろう──── ] (57) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:09:03 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 自分達が都に囚われた事実を意に介さない、 ただ頑なに目前の敵の殲滅の為豪腕を振るう。 対峙するオーガ達の様子にも、 無実体種族が見せた敵意に似た感情が見て取れる。 牛や竜とは違う形状の、額から突き出た角。 人型存在の中では高身長の部類の自分と、頭二つ分は差がある 化身したベアで漸く追いつくかという程の筋骨隆々。 戦時中も、終結後すらも。積極的に人類との争いを繰り返し 戦いの中にこそ生きる意味を見出す、血の気が多い種族。 人魔の領域を繋ぐ転移装置の廃止原因となった事件の首謀者。 結ばれた和平に未だ納得していない、反魔王派魔族の筆頭格である。 両魔族の結託理由はそれぞれの種族的特性を考慮しても納得出来た。 残る不可解は、他の部分に。 ] (58) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:09:16 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 先程までの剣は王に渡し、今は使い慣れた三叉槍を手にしている。 しかしこれでも、防御に回ればオーガの武器たる爪を防ぐのが精一杯 まともに攻撃を受け止めたのならあっさりと折れかねないだろう。 ] なあ、お前らはいつまでこんなことを……! 続ける気、なんだっ! [ 近距離からの競り合いは出来る限り避けたい。 ワゴンの投擲に怯んだところを狙ってか 距離を詰めてきた相手の攻撃をバックステップで回避。 その怪力の欠点は、巨体故にどうしても大振りになるところだ。 逃げ回る敵は、相手からすれば煩わしい鼠のようなものか。 呼び掛けには苛立った声が返ってきた。 曰く、王の首を取りかつての時代を取り戻すまで。 ] (59) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:09:28 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスそうか、…… やはり分かり合えないみたいだな、俺達は。 [ 両者の思いは同じであったのだろう。 雄叫びを上げながら再びこちらへと駆ける、 喉元を裂かんと鋭い爪を持つ腕が持ち上がる。 その光景をじっと見据え、もう逃げることはしないまま ────槍をその場で足元に突き刺した。 地面が隆起し、石畳を押し退けながら相手の足元へ向けて突き進む。 強靭なオーガの筋肉は、体躯に見合わないスピードを生み 既に敵の目前へと迫っていては、避けることは出来なかった。 体勢を崩した瞬間、横から犀獣人がその男に突進した。 オーガは勢い良く壁に衝突し、盛大な罅と多少の破壊を齎す。 そして、当人も動けなくなってしまったようだ。 ] (60) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:09:40 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 各所からリザードマンが出現した理由は、転移装置に違いない。 しかし転移装置とは、一つ作れば何処にでも飛べるものではなく。 来る先と行く先両方に用意し、周囲に妨害魔法が掛かっていないこと それら二つの条件を満たしても尚、魔物が勝手に使用するなど。 特にリザードマンは群れを作り、独自の生態系を築いている。 人類や魔族の文明は奴らにとって異端かつ忌避すべきものだ。 子供のように幼い思考の無実体種族による奇襲も、 己の力を過信せず本気で魔王を狙わない知性的なやり方も。 幾多の事件を起こした短絡的で好戦的なオーガが 大人しく開戦まで人混みに紛れていたこともおかしい。 魔族の能力や魔物の数を存分に活かすべく、 都の警備を掻い潜り装置を用意し、作戦を立てた者は一体? ] (63) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:11:05 |
【置】 魔王軍幹部 フォルクス[ 争いを知らない身、汚れなき両手。 平和を謳う唇と、かつての敵に歩み寄る様を民に示す足。 正統な魔王────真祖竜の血統と強大な力。 終戦後、「最後の勇者」により人口の半分以上を失っていた我々が 人類に根絶やし、或いは奴隷化されない為それらが必要だった。 明らかになったヤドリギの真実は、 決して魔族の生命の継続を正当化出来るものでは無かった。 魔族のみならず、新しい時代の象徴的存在が どうしても必要だった──── ] (L2) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:13:03 公開: 2020/10/30(Fri) 2:15:00 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス「巫山戯た綺麗事を……!」 やめろ! [ ほんの一瞬でもその隙を敵は見逃さない。 陛下を庇い前に出て、丸太のような腕を槍で受け止める。 動けたのは脚と腕だけ。最善の選択を思考する余地は無かった。 やはり、無理がある行動だった。 負担の掛かる柄から亀裂が入れば、 三つに分かれた穂先まで侵食するのに時間は掛からず 今にも砕けてしまいかねない────] (71) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:15:23 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクスなるほど、しかし…… [ どのようにして目前の敵をやり込め、障壁の側へと向かえばいい? ベアに投げられたオーガが立ち上がる、 何処か歩みに揺らぎが見られるが、その目に未だ光が宿る。 正直に言えば王を守ることに集中して心血を注ぎたい程の、 危険で生命力に溢れた相手だ。 狙いの一つであろう御方を外に出せば、 必ずしや敵も追い掛け作戦が台無しになってしまう。 そうした理由があったからこそ、彼は未だ此処にいるだけ。 ────一際気温が下がったように感じられたのは 緊迫した状況のせいかと思ったのだが、 何かが空に影を作り、錯覚ではないと知る。 ] (73) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:16:34 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ グリフォンとクリオの部下達が空を征く。 空の鷹、地の狼が揃った戦場は 対するのが数だけの魔物ならば、十分に好転したのだろう。 中に残っていた都の住民が、教会残党と交戦中。 彼らはその情報を残し、恐らく既に上司達が向かっている方向 魔法障壁の元へと飛んで行った。 ルーに任せてきたのかリザードマンは殲滅されたのか、 どちらにしても恐らく、近い内に人狼族も同じ場所へ駆けるだろう。 ] (74) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:16:46 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ この都に住みそれぞれの研究を行う者の多くが、 かつての背信者達の末裔だった。 彼らは争いに疲れ、魔族と共に戦うことは無かったが 教会の糾弾を含め、多くの協力をしてくれた。 異端扱いされようとも技術を磨き、文明を発展させようとしていた者 旧き時代の歴史を密やかに継いでいた家系……。 人類側の遺跡の情報、見つかった機械の復元や資料の解読。 この時代に至れども我々には傷一つ付けられないヤドリギ、 それを倒す術を見つけられないかと思ってのことであったが 思わぬ形で役に立ち、大変に大きなものを生んだのだ──── ] (*6) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:16:59 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 「彼らと人類を、信じよう。」 その言葉は、いつも険しい顔をし感情を見せまいとする男には合わず、 先代から魔王族を見守り、深く忠誠を誓って 幾多の悲しみを乗り越え軍を率いてきた彼らしい言葉だった。 王の魔法で守られながら、もう一度槍を生成する。 三叉は変わらないが中央の一本が長く、二本は脇に広がるような形。] ああ、俺達の戦うべき場所は此処のようだ。 [ そんな形状の真鍮色を手に、先程立ち上がったオーガへと対する。 族長は近接するベアと王に任せ、槍を構えた。 首を掻っ切らんと振りかざされる爪が、頬を掠ってゆく。 怯むことなく距離を詰め跳躍し、穂先を真っ直ぐに──── しかしこの槍もまた、オーガの筋肉質の身体の奥までは届かない。] (75) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:17:15 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ だが、敵の身体は崩れ落ちた。 槍を構成する鉱物の麻痺毒によって。 鋭い金属結晶を自分自身から創り出し、 自在に形を変えて実在化する。 その種類は一つでは無く、武器にしたものの性質の強弱を操作出来る。 それがかつて刃の勇者と呼ばれた者の能力だ。 ] (76) ガラシア 2020/10/30(Fri) 2:17:36 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 神託を受けてから変わってしまった瞳の色は、 その濃桃を通り越して、今は右目だけが赤く。 荒い呼吸を繰り返しながら、主を見やる。 相手に向けるべきではない鋭い視線は、 傷つき怯え、威嚇する獣にも似ている。 ] (81) ガラシア 2020/10/30(Fri) 3:43:29 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ その瞳の周囲から首を下り肩を通り、指先まで 先程まで握っていた槍と似た真鍮色の結晶が覆っていた。 ] (*7) ガラシア 2020/10/30(Fri) 3:43:44 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ 捕まえた手を引き、乱暴に距離を縮める。 逃げぬように腕の中に囚えてしまえば、 すんと鼻を鳴らし、自分を誘った甘い芳香の在り処を探す。 触れ合う程に近いのだ、気づくまでにはそう時間は掛からなかった。 首に唇を寄せ、彩る赤色を辿りその跡を消してゆく。 やがてその流れてくる先へと到達すれば、 味わうように舌がゆっくりとなぞった。 ] (*8) ガラシア 2020/10/30(Fri) 4:54:27 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ この姿勢では獲物の様子は見て取れない。 何かが気になった気がしたけれど、分からない。 感じるのは低い体温と何かを堪えるみたいな呼吸音。 それより、もっとこの味が欲しかった。 美味しいのだろうか?分からない。ただひたすらに欲している。 尖らせた舌先で奥に溜まるものを引き出そうとしたけど、難しい。 もどかしく歯を立て、また繰り返す。 ] (*10) ガラシア 2020/10/30(Fri) 4:55:28 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ 夢中になっていた動きを止めたのは、弱い声と背の痛み。 この人はいつもそう。求められている自分で在ろうとする。 脆い部分は、隠さなければならないと思っている。 俺達がそんな風にしてしまった。 ……誰だっただろうか、この人は。 顔を離して、視線を合わせた。 この人は、夜明けのような色の目をしている。 ] (*12) ガラシア 2020/10/30(Fri) 4:56:30 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ されるがままに動かされ、再び傷に噛み付いた。 少しづつ溢れてくるものを逃さないよう、啜ってゆく。 何か別の液体が、自分の目から流れてきていたけれど それは求めているものじゃ無いから、気にしなかった。 ] (*14) ガラシア 2020/10/30(Fri) 4:57:37 |
【赤】 魔王軍幹部 フォルクス[ やがて────音を立てて結晶が崩れ始める。 殆どが落ち、砕けた後。 気を失うように身体は傾き、相手に身を預け眠り始めた。 空から、遠くの地から 魔王の配下達が集まってきたのはそのすぐ後。 ] (*15) ガラシア 2020/10/30(Fri) 4:57:56 |
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