【人】 絵描き 要「えっ!い、いのでしょうかっ!」>>67 弾んだような声に、逸れていた目はぐっと彼女の方を向き直った。サラサラと彼女の絹のような髪は揺れる。 邪な気持ち、があったといえば嘘になるけど、そこまで喜んでもらえる、なんて確信はなかったから。 喜んでもらえるとやっぱり嬉しい。 ところが急に彼女は暗澹たる雰囲気を醸し出した。 「す、すみません…。せっかく言ってもったのにっ。けど、ダメなんです。やっぱり描こうって思うとかけなくて…」 あー、すごいわかる。 確かに、僕だってそう。 描こうと思ってかけるものでもないし、描こうと思えても描けないことなんてザラだ。 その点、僕は自分の欲望に気を取られすぎて、芸術家としての彼女を軽んじてしまっていたのかもしれない。 「こちらこそ、ごめん。同じ絵描きとして、しずくさんの気持ちは分かるはずだったのに……差し出がましいことを……」 そう言いかけて、彼女の言葉に驚く。 「あ、あの…もし、私が文化祭の中で須藤くんを描きたいって思ったら…お願いしてもいいですか?」 え?これは、えっと……? 動揺している僕を察したのか、彼女は言葉を続けた。 「だ、ダメですよね。こんなの図々しいです、よね…」 「いや、だ、ダメなんてことは無いよ!むしろいいって言うか!うん!」 ダメ、という言葉に反射的に反応してしまう。 で、でもこれはいいことなのでは?いい事なのか? (68) 猫じゃらし 2020/06/13(Sat) 21:07:22 |
【人】 絵描き 要彼女が僕を描きたいと思えば、僕のやった事は間違いではないだろうし、他の人を描きたいと思うのならば、僕のやった事は負担でしかないだろう。 つまり、これから次第、ってこと……? 僕はぐっと握りこぶしを作った。 きっと彼女のモデルにふさわしい男になるぐらいならば 神様だって許してくれるだろう。……多分。 「あ、でも、その絵、文化祭までに完成させないといけないんじゃ……?」 ふと浮かんだ疑問を口にする。 そういうのは無理な時はパスとか一回休みとかできるんだろうか?詳しくないからよく分からない* (69) 猫じゃらし 2020/06/13(Sat) 21:07:59 |
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