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アタナシアスは、まだ気配がない。 (c4) otomizu 2021/10/08(Fri) 22:50:48 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス宣教用は、今日も傍らに腰掛けている。 あなたの胸元に預けたロザリオを一度見て。 「……やあ、アナ。今日もよく眠っているな。 まるで『眠り姫』だ。 子どもたちに本を読んで聞かせたのを思い出す」 君の綺麗な声で読み聞かせたら、きっと直ぐに人気者だ。 なんて笑って、それから緩んだ口元を少し引き締めた。 自分の膝元に視線を落とす。 「……昨日、ユーと話してきたんだ。 君が望んで、ユーが与えた救いのこと。 君たちが願った、 グレイが幸せな道を歩めるような世界のこと。 そして託されたんだ。君のことを」 『アタナシアスの事を宜しく頼む』 と。救済者は、確かにそう言った。 (-31) dome 2021/10/09(Sat) 1:27:32 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス「なあ、私達は、少し長く生き過ぎたな。 長く生き過ぎたから、世界が変わりきるその日を 見届けることはないかもしれない。 けれど、私達二人の世界を幸せで満たすことはできる。 二人で幸せな道を歩もう。そして『証明』しよう。 君の心は、救われたと」 あなたに遺された道は、死だけではなかったことを証明しよう。 未だに微睡みの中にいるあなたにそう語りかけ。 「……似合わん言葉を言ったかな。 忘れてくれて構わない。さあ、もう少しおやすみ」 今までつらかった分、まだ休息をしていても許される筈だ。 ひとつ咳払いをしてから、 聖典の言葉を側で読んで聞かせ始めるだろう。 静かに、時間は過ぎていく。 (-32) dome 2021/10/09(Sat) 1:36:28 |
【秘】 復讐者 スオ → 待っていて アタナシアスいつかの時間、塔内に一人で潜入し エネミーから攻撃を受けながら周囲を見回す。 反撃はしないのではなく出来ない。 ナイフを振るったり、銃を打ち込んだりする関節の機能が上手く動かない。 「この辺りか…」 ここで邪魔なエネミは無理矢理四肢を動かし一掃する。 「…アタナシア、お疲れ様です。貴方にも死んでほしくはなかった。」 姿はなくとも、言葉を紡ぐ。 「俺は頭が固すぎましたかね。どうも上手くいかない。 傷付けてしまった方がいたんです。 悲しみを捨てなければ、もっとちゃんと向き合えたのかもしれません…。ふふ、まるで懺悔ですね?」 貴方の気配が最も濃い場所に花を添える。 「この残酷な仮想空間が終わったら、俺も数日後には其方…、其方へは行けないか…。どこへ行くのかもわかりかねますが…」 「天国があるのなら、俺は地獄へ行くのでしょう。貴方はどうか、天国へ。 …本当に、お勤めお疲れさまでした。」 願わくば、己以外全てのグレイが現実で受け入れられるよう。 (-60) kou0957 2021/10/09(Sat) 17:33:28 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス5日目の午後。 宣教用は、いつもの様に傍らに腰掛けている。 いつの間にか寝台の横には黒いサイドテーブルが置かれ その上で珈琲が、ほろ苦い香りを部屋に漂わせていた。 「ブラックが連絡してきた。君には聞こえたかな。 明日でゲームは中断されるらしい。 斯様な事態に陥っては、致し方あるまい」 穏やかな海色の瞳は、 ただグレイたちを見守るしかできなかった。 静かに息を吐いて、そろりと手を伸ばす。 眠るあなたの真っ白な頬を、揃えた指の背で撫ぜた。 「……明日には君も目覚めてくれるだろうか。 それとも王子の接吻が必要か? なんてな。 君の前だといつもより饒舌になる気がするよ」 ころころ笑ってから、 頬を撫でていた手で眠り姫の前髪を整える。 きっと君は聞いていてくれるから、 この習慣はもう寂しい独り言なんかじゃない。 (-84) dome 2021/10/09(Sat) 20:40:32 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス「時に、君の好物はなんだろうな。 教会に連れ帰った暁には、司教らの要望なんぞ聞かずに ご馳走でも振る舞いたい気分なんだが」 それからは、やれ『子どもたちの様子をメッセージで聞いたのに返事が遅い』とか 『自分がいない間も教会が普通に運営できていたら絶対に仕事を減らすように抗議する』だとか、 教会の他愛ない話をして 夕飯までの時間が過ぎていったことだろう。 (-85) dome 2021/10/09(Sat) 20:41:30 |
【秘】 待っていて アタナシアス → 宣教用 ルツ部屋の中を、暖かい風が吹き抜ける。 あなたの声に応えるように。 肯定的な意味があるかのように。 (-99) otomizu 2021/10/09(Sat) 23:12:28 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス5日目の夜。 宣教用は、相変わらず傍らに腰掛けている。 「…………」 ぱたん、と聖典を閉じ、窓の外へ視線を向ける。 雲間から月が顔を覗かせる、データで作られた夜空。 「この数日で本当に色々なことがあった。 大変な出来事が多かったが…… 悪いことばかりではなかったと思っているよ」 あなたや、他のグレイたちとの日常は、 とても得難い充実した時間だった。 それは紛れもない真実だ。 「そろそろ就寝時間か。 ここで明かす夜も最後になるな」 椅子から腰を上げてあなたの顔を覗き込む。 寝台に片手をつけば、微かに軋んだ音を立て くすんだ緑青色の髪がその身体の上にさらりと垂れる。 人工的な月明かりが二人を照らし、 室内は薄っすらと青い光で満たされていた。 (-111) dome 2021/10/10(Sun) 12:50:56 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス未だ眠りに揺蕩うあなたの頬に手を添えて、 輪郭を確かめるようになぞる。 それから胸元に手を伸ばし 銀のロザリオをそっと持ち上げれば、 黒水晶の珠同士が微かに当たる音だけが部屋に響いた。 瞼を閉じ、柔らかく十字架に唇を寄せる。 ───祈りを贈るように。 「……おやすみ。また明日」 薄く笑い、それだけ伝えて、 暫くあなたの寝顔を見守ってから、部屋を後にした。 (-112) dome 2021/10/10(Sun) 12:51:39 |
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