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【秘】 竹村茜 → 人魚姫 透 静「……透、楽しいのそれ」 泳ぎの練習をしに来たら、やはりというかかちあった。 水着姿で憮然と、水に入りながらアヒルを凝視するあなたに声を降らせた。 ぷかぷかとアヒルが波に揺れる。 (-222) eiya 2021/11/03(Wed) 21:24:44 |
【秘】 竹村茜 → 人魚姫 透 静「ふぅん……」 ここは風呂場か。 そう言いたげに、シオンの放った周囲に浮かんだり泳いだりしているそれらを眺めている。 「泳ぐこと、本当に好きなんだなぁ。エンジョイ勢って感じ」 (-229) eiya 2021/11/03(Wed) 21:53:38 |
【秘】 竹村茜 → 人魚姫 透 静「好きだからってわけでもないっていうか」 ふ、と力を抜いて天井を見る様に浮かぶ。 「内申のためとか評価のためって目的があって、水泳は手段。特別好きってわけじゃないかも。 人より得意だから、何となくやってるだけで」 そのきらきらとした瞳に、水面のように揺れるそこに、小さな石ころを投じるように言葉を投げた。 (-235) eiya 2021/11/03(Wed) 22:13:23 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「……盛ってきた奴も知らなそうだったしなぁ。 下手に放置すると飢えで苦しむし、本当に面倒くさい」 トマトジュースや肉類、自分専用の薬を飲むことで対処はできるが、生血と違ってがぶ飲みドカ食いしなければならず効率が悪い。 「……いいの?」 とはいうものの、断る理由はなかった。 (-242) eiya 2021/11/03(Wed) 22:27:57 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「血液の成分があれば代用できるから微量なら薬で何とかなったんだけどね。 治ってくれないと楽じゃないからなぁ……。 ……じゃあ貰うけど」 他の人の暴走と比べて、自分のそれは慢性的だ。我慢すれば何とかなるから気づきを得られにくい。 多くを喋りたがらない性分もあって、こうして手を差し伸べられるのは正直なところかなり助かっている。 「首で良い?」 そう聞きながら、あなたを抱き寄せた。 (-269) eiya 2021/11/03(Wed) 23:38:57 |
【秘】 竹村茜 → 人魚姫 透 静「……そう、泳がないといけない。 私にとって水泳は楽しいだけのものじゃない。楽しくないわけじゃないけど……楽しむものではないから。 透みたいに、楽しいって思えることが少なくて。そういう意味では羨ましいな」 得意だから、評価を取りやすいから。打算と妥協でやっているスタンスの自分は、彼にとっては異端だろう。 理解は示さなくていい、無理にこねくりまわさなくていい。純粋な彼には似合わない。 「そういう人もいるってことだけ覚えておけばいいよ」 (-270) eiya 2021/11/03(Wed) 23:42:49 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「こうして逃げられないように噛めるし、吸う側は楽かもって思って。 吸血鬼みたいでしょって言えば大抵の人は首を差し出してくれるからイメージの問題っていうのもある。 だから躊躇いも別にないかな。血を流させすぎたら…って最初は思ったけど熟知してるし」 つい、とあなたの細い首を撫でる。両手で押さえる様に添えてから肩を撫でる。 血液の効率考えたら寒いときに温める場所……二の腕か腿が良いと思うんだけどさ。 そっちの方がマニアックすぎてなんか抵抗ある」 吐息が大気を震わせる。耳に囁くように口元を押し付け、唇で何度か首筋に口付けをした刹那。 ガリッ 、と皮膚を貫き、躊躇いなく牙を突き立てた。 (-280) eiya 2021/11/04(Thu) 0:06:00 |
【秘】 竹村茜 → 人魚姫 透 静「大抵はそんな感じだと思うよ。透みたいに心の底から…なんて人、そう多くないよ。 私みたいに打算的か、ただ一時お祭り騒ぎに浮かれてるだけで持続なんてしない。 例えば競技に出るから水泳するって言っても、一か月持てばいい方だもん。そのあと持続するかは分からない」 「大変……だけど、それでも楽しむ人は多いんだと思う。この準備期間だってそういう人はたくさんいる。 大変なのが楽しいっていうのもあるものらしいよ。知んないけど」 (-283) eiya 2021/11/04(Thu) 0:10:35 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「高校に上がってからは絵莉が初めて。ふざけて血を吸う真似をしてたら何となく覚えちゃっただけ。 人数も多くないよ。片手で数えられるくらい?」 「急所って言っても、一番大事な場所は突き刺さないようにしてるから。 暴走してたりしたら、どうだったかは分からないけど」 こくこく、と喉を鳴らす。首に開いた穴から流れる命の雫を受け止める。 舌先で首筋を押し付けるようにして飲みやすくしてから――一頻り飲み続けた。 「……絵莉の、やっぱり飲みやすくて良いかもしれない」 (-289) eiya 2021/11/04(Thu) 0:33:40 |
【秘】 竹村茜 → 人魚姫 透 静「案外、ヘンなのだらけだよ。私からすれば透だってヘンな感じはする」 「大変だから楽しい、そういうのだっている。意味不明でしょ。準備していたり苦労していたり。 そのあとに待っている達成感みたいなものとか、喜ぶ顔が見たいとか、そういうのが欲しいっていう人もいる。 ……まあ先輩だから」 お茶を濁すように、ゆっくりと周囲を泳ぐ。 (-292) eiya 2021/11/04(Thu) 0:37:48 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「ほとんど子供の遊びみたいなものだったから」 「……それもそうかも。一日中誰もいないところに閉じ込められていたから被害は出なかったし。 部屋に戻されてたら問答無用で襲ってただろうから……まあ結果的に助かってるのかな」 牙を離し、まだ少し流れそうになる血液を舌で舐めとる。熱い吐息と爛々とする瞳を隠すようにそうしたまま。 魅了に類する異能の影響で、恍惚とさせる側面もあるのかもしれない。 「若い女の子の血だからとか。処女の生血は美味しいっていうけど」 (-297) eiya 2021/11/04(Thu) 0:53:57 |
【秘】 竹村茜 → 人魚姫 透 静「私も分からない。でもそういうのがいるっていうのは分かってるから。 褒めても何も出ないからね」 ぷかぷかと水面に体を一度沈めてから立ち上がる。 「……もう少し水の中にいる。行っておいで」 (-299) eiya 2021/11/04(Thu) 0:55:44 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「子供は時に怖いもの知らずな生き物になるのよ」 抱き締められる力が強くなる。怖がっているのは目に見えて分かっていた。 こんなこと、付き合わせるのもきついだろうに。 「いやわかんないけど。あてずっぽうだし適当言ってる。 処女しか吸わないとかそんなこだわりないし、味の違いもよく分からないから。映画にいる吸血鬼はそういうのが好みなんだって。 絵莉がそうでもそうでなくても、たぶん美味しいって言ってるよ」 (-314) eiya 2021/11/04(Thu) 1:41:37 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「虫に触れるのと似たようなものだと思うよ。 子供って無知だから怖いもの知らずでしょ。そういうのが五本の指にはいる程度はいたってだけ。 絵莉も奇特だけど……ちゃんと怖がってくれてるんでしょ。その点は安心してる」 軽く止血をしてから、もう一度あなたを抱き締めた。 「テイスティングで判断できたら気色悪いじゃない。血は血だけど、好みなのとそうでないのもある……って思うけどね。どこ産の肉が美味しいかくらいの違いはあると思うよ」 (-323) eiya 2021/11/04(Thu) 2:04:17 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「そういうやつ。血に置き換えてもいいかもね」 「私も全容がわかってる訳じゃないしね。異能のすべてが把握できてたら簡単だけど。 半分は気持ち込みかな。食べても良さそう、大丈夫そうって思いと、まあ大丈夫だった、そうだろうなっていう気持ち。 ずっと一緒にいたし、絵莉なら安心して食べられそうだから……やっぱりいいところの肉じゃんっておちついたんだと思う」 (-330) eiya 2021/11/04(Thu) 2:24:41 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「人に影響を与えるものだから下手に使うと大変だし……。だから面白い部分もあるんだけど。 頑張れば大きなものができるようになるとか?」 オッケーサインを作る手に視線をやりながら、何の気なしに答える。 「そういうのを作る気が私にないから難易度高い。 私には絵莉だけいてくれたらいいよ。 って言ったら喜ぶものなのかな」 (-333) eiya 2021/11/04(Thu) 2:39:05 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「使うときは躊躇いなく使うけどね。ナンパに絡まれたときに使ったりとか」 日常的に使えるものなら、湯水のごとく使うのもよくある光景だ。 空を飛ぶ異能があったとして、それを制限する権利も理由もないのだし。 「便利だけどかゆいところに手が届かないんだなぁ……」 高鳴るあなたの鼓動。口許の血を拭うとあなたの顔を見た。 顔が近い。 「血を吸った後だからかな。少し興奮してる。 少し……強制起動する異能だから無意識に使ったかも。 絵莉は悪いやつに引っ掛からないようにしなよ」 (-340) eiya 2021/11/04(Thu) 3:03:37 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「守る守る。デートでもしてるときにそんなことされたらダルいし」 決め台詞でも考えとくか、などと心の内に。 「……まあ、そうかもね。私は言われる分には気にならないけど。 嫌ってないならそれでいいから」 (-347) eiya 2021/11/04(Thu) 3:37:41 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「ホントだ、便利じゃん。 さすがに大変そうなときや忙しそうなときは私も遠慮するけど……絵莉にいい人が出来たときとか、空気読まなきゃ行けないし。 ……スムージー奢るくらいはするから」 (-405) eiya 2021/11/04(Thu) 10:09:51 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「じゃあ甘えられるときに甘えさせてもらうよダーリン。 さすがに放置は不味いと思う。この調子でい続けるにしても絵莉に負担はかけられないし……都合の良い輸血タンク増やすとかかなぁ。 異能自体の強さ……私の場合は強制力や拘束力かな……が強化されてても、吸血衝動が強くなってるのが目立ってるし。 まあ最悪、薬ガブ飲みすればいいんだけど。抑制剤とか、抑制装置をレンタルするとか」 自分のポケットからピルケースを取り出した。赤色のカプセルが大量に入ったそれを軽く揺らしながら見せた。 「例えば絵莉が明日いなくなったとして……どうなるんだろうなって漠然と思うところはあるけど。 だから焦ってどうこうとか考えてもそういうのって進展しないし、変わらずいつも通り振舞うことがいっそ安定化する……とか考えてるから。 きついと思うけど、少しくらいなら耐えられると思うから」 その間に解を見つけるなり、治療なり解毒なり、効果が切れるのを待つのが良い。他人事みたいにそう言う。 (-425) eiya 2021/11/04(Thu) 13:11:49 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「結局なる様になるしかないと思う。……でもそういう風に悩んでくれるのは嬉しいけど」 「いなくなったら私の時みたいにLINE凸くらいはするかもね。ともだちだし」 今回の吸血はさておいても、曖昧な距離感は悪い心地はしない。 よくくっつくけど近すぎない、ルームメイトや友人にしては甲斐甲斐しい。 言語化の難しい関係性は、二の句で面倒という竹村茜をそうさせない良さがあった。 背中に手を伸ばしてくっつく。 (-430) eiya 2021/11/04(Thu) 15:38:23 |
【秘】 竹村茜 → 笹原絵莉「……じゃあ考えるタイムはおしまい」 色々課題もある。それでもそればかり考えたって疲れるだけだ。 体育祭、準備、デート、クレープ。花の女子校生にはそんなことより重要視すべきものがたくさんあるという。 執着も頓着もしないから世相とズレている認識はあるが、温もりを共有することだけは、自分は違わないと思う。 「うん。あったかい。絵莉は温かいな」 もう少し温もりを独り占めしたくて、強く抱きしめていた。 (-447) eiya 2021/11/04(Thu) 18:50:37 |
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