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【人】 入院中 阿出川 瑠威[あと一歩。 いつだってあと一歩の勇気か何かが足りなくて それで死に損なってきた。 べつに死にたい訳じゃない。 けれどもう生きているのに疲れてしまって。 あと一歩、踏み外したら それで楽になれる筈だった。 もう楽になろうと、そう決めていたのに。 ある日、突然、なかなか愉快なことが起きた。 ] (58) yahiro 2022/05/17(Tue) 23:38:38 |
【人】 入院中 阿出川 瑠威[目の前には、代わりに踏み外した男が、ひとり。 ─────さて、 囚われているのは果たしてどちらか……*] (59) yahiro 2022/05/17(Tue) 23:40:08 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ お互い膝を折って向かい合い湯船に浸かる男二人。 なかなかにシュールな光景だ。 しかも一人は思い切り勃起してるし。 ちょっとおもしろすぎる。 けど湯船に浸かって温まってる間に落ち着いてしまいそうで それは少しつまらないなと思うから、 伸びた足が悪戯を仕掛ける。 親指と人差し指の間に挟み込むようにして そろりと撫で上げたり軽く踏みつけて足裏で擦ったり 浴槽の淵に頬杖をついてニヤニヤ笑いで様子を伺う。 単純明快に文字通り『洗われ』て内臓までふやけていそうな 壮絶な尻の違和感は健在だったから 気をそらしたかったのもあるし 彼一人平然としているのが気に入らなかったのもある。 ] (-19) yahiro 2022/05/18(Wed) 1:15:00 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞……そりゃあ……圧し折れるよね。 ばっきばきに。 だって。 これからせんせぇーのちんぽで、 俺、女の子にされちゃうんでしょ? 平気な方がどうかしてる。 [ 悪戯を咎めてか、封じるためか移動を促され素直に応じた。 背中を彼の胸に預けて伸びをする。 ………なんかわりと平気な気がしてきてるけど そう正直に話すのは流石にまだ少し抵抗があった。 抱く気だと聞かされた瞬間は 5階から飛び降りるよりも上の葛藤を感じてたのに 嫌ではないんだよなぁって気付いてしまったので。 ] (-20) yahiro 2022/05/18(Wed) 1:16:12 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ ずっと好きだった人とセックスできるんだから どっちでもいいって完全に割り切れた訳ではないけれど そりゃ抱く方がいいし今からでも抱きたいけど それでも手馴れているのは完全に彼の方なのはわかる。 だから納得はしている。 あと一歩の勇気が足りないだけで。 ちょっと優しくしてくれりゃあその気にもなるだろうに 耳の後ろで彼が物騒なことを言い出すから 思わず若干吹いたし軽く蒸せた。] まって。俺処女。 ……いや、男でも処女であってる?わかんないけど。 兎も角はじめてです。もっかい言うよ?はじめてです。 なのでお手柔らかにお願いしたいんですけど……? [ 死にたくなるほどのハードなことする気なの? 安全性を考慮して抱かれる側を受け入れようとしていたのに。 本当にすると思っていないからこそ そうツッコミたくて堪らなくて、笑えてくる。 彼が酷い事なんかする筈ない、って なぜだか信じきっていた。無防備なくらいに。 無自覚だけれど、多分それこそが 彼になら『なにをされてもいい』って 心の表れだったのかもしれない。 ] (-21) yahiro 2022/05/18(Wed) 1:17:18 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ 『今から、君は私のものになるんだから』 その言葉に圧し折れる予定だった筈の心臓が震える。 うん、って短い返事を返して 背後の彼に向き直って、唇を重ねた。 彼の心を同じだけ震わせられる上手い言葉は 経験値不足の俺の頭からは生憎でてこないから せめてこの気持ちを伝えるために 恋人同士で交わすみたいな、 雰囲気ばかりが甘ったるい口付けを。 ] (-23) yahiro 2022/05/18(Wed) 1:18:27 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ 向き直って、彼の膝に乗り上げて、唇を何度も柔らかく食んで 隙間なく触れ合うように平らな胸をすり合わせる。 まだ硬いままの彼のと、いまいち反応しきれてない俺のを 重ねて、こすり合わせて、一緒に扱いて…… 口付けの合間に溢す感じ入った吐息の音が 浴室に湿って響いて……… ねぇ?完全におっぱじめる雰囲気と流れ作ったよね?俺。 これっぽっちも流されなかった冷静な彼に聞こえるように これもよがしに零した溜息は、熱さの所為とみなされたのか のぼせていないか心配された。違う、そうじゃない。 ちょっとくらいその気になれよ。我を忘れたりしろよ。 こっちはちんぽ咥えるまでしたんだぞ? 上がって速攻もつれ込むかとおもいきや バスタオルとか渡されるし。いや必要だけども。 そうじゃないだろ? ちょっとふてくされながら体を拭いてたら 子供扱いするみたいに髪を拭かれてもう諦めた。 諦めたのに。 ] (-24) yahiro 2022/05/18(Wed) 1:19:46 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ 雰囲気を?大事に?してるんだ? なるほどね?????? 髪を乾かすか心底真面目に問う彼の言葉に なんかちょっと頭を抱えたくなった。 いや何もなるほどじゃないな。 なんもわからんわ。 二度目のため息をこれ以上ないくらい長く深く零して 湿ったバスタオルを雑に床に落とした。 そうして空けた手を伸ばして彼の顎を捕まえて もう一度、風呂場でやったのを、やり直し。 多少雑なのは大目にみろよ。 誘うのは二度目なんだよ、一応。これでも。 ] べつに……いい、どうせすぐ汗だくになるんだし。 [ でしょ?って同意を求めて目を細めて笑う。 もう一度、何度も、唇を重ねて、 口付けが深くなる一歩手前で離し。 ] (-25) yahiro 2022/05/18(Wed) 1:21:52 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞……───、…… ね。ベッド、行こ……? [ 甘ったるい吐息の音を響かせたあとに、 簡素な誘いの言葉を、 とびきり性的な声色に聞こえるよう紡ぐ。 絡めた視線に恍惚を灯して細め、 最後に名残惜しむようもう一度 ちゅ、と可愛らしい音を立てて啄んだ。 これでちょっとくらいその気になればいいんだけど…… どうせ変わらず冷静なんだろうなぁって、 若干達観しかけながらその手を取って、 素っ裸のまま彼の手を引いて、ベッドまで…… * ] (-26) yahiro 2022/05/18(Wed) 1:23:38 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ これから彼の女にされるんだとしても 女のように振る舞う気は更々なかったから。 ベッドに押し倒してやろうとしたのに それよりもひと呼吸だけ早く手を握り締められる。 どうかしたかと振り返った先 紡がれた言葉には心が灯って聞こえるのに 真剣な顔はどうしたって仏頂面にみえてしまって。 なるほど、どんな時でもその顔なのか。 さっきまでちっとも誘われやしない彼に焦れていたけど 案外、実際はそうでもなかったのかもしれないと思い直す。 ただ本当に、自分の欲より俺の体を心配していたんだとしたら 真偽はわからないが悪い気はしなかった。 そのポーカーフェイスでは気付けなくとも仕方あるまい。 「好きだ」なんてたった三文字。 その短い一言だけで全て差し出してしまいたくなる。 どうせ捨てるつもりだったのだから安いものだ。 無理やり拾ってきたくせに今になって 奪うでも押し付けるでもなく懇願してくるのが可笑しくって あの頃と変わらず、かわいいなぁ、と思ってしまうから。 しょうがないんだ。 好きな人に、大切に扱われて 不快に思うほど性癖は歪んでない。 ] (-50) yahiro 2022/05/18(Wed) 17:27:09 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞いいよ。……せんせぇーになら、幾らでも。 [ 差し出された舌先を唇で柔く食んで 熱の篭った口内で、舌先で触れて、擽る。 促されるままベッドの上に腰を下ろして 繋いだままの彼の手を引いてベッドの上に誘った。 探り合うような、じゃれあうような 浅い口付けを何度も交わしては、 合間に継ぐ息に鼻から溢れる穏やかな笑い声が交じる。 幾らでも、欲しいまま、好きにしたらいい。 優しくでも、乱暴にでも、どうだってよかった。 ] (-51) yahiro 2022/05/18(Wed) 17:27:48 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ 彼に求められるのなら、彼に与えられるのなら なんでもよかった。なんだって。 あの日からずっとそうだった。 彼のことが、ずっと…… ] すき……、俺も、……っはぁ、…すきだった。ずっと。 せんせぇのこと…… [ 言葉にして、吐き出してしまえば、 一気に抑えが効かなくなったのは俺の方だった。 ずっと好きだった人と素っ裸でベッドの上にいて 興奮せずにいられる程まだ枯れていなかったらしい。 ここ暫くすっかりどこかに留守にしていた性欲が 纏めて帰ってきた心地だなんて 頭の片隅で他人事のように考えながら 覚えたての頃みたいな凶暴な衝動を持て余す。 傷のある腕を気遣う余裕も失せて、 掻き抱いたまだ湿った背を弄りながら 口付けが舌を深くねじ込んで絡め合わせる 深い交わりへと性急に移ろいでゆく。 吸い上げ、啜った唾液の音が なかなかに汚くて、余計に興奮を煽る。 ] (-52) yahiro 2022/05/18(Wed) 17:31:22 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ も、すぐにぶち込んでがんがん腰振ってやりたい。 いれたい。 いや、いれられるの俺だけど。 わかってるんだけどさ頭では。 それでも…… ] おれも、…っ、はやくほしい。せんせぇのこと。 [ 抱きたいの気分のままに譫言みたいに強請る。 全然抱かれる女々しさのない、男臭い顔をしていても 無意識にどこか甘ったれた声になるのは 昔築いた関係性のせいだろう。 行儀悪く足を絡めて抱き寄せた腰を 押し付ければすっかり勃ち上がったのと彼のが触れて その一瞬の心地よさがもっと欲しくて 淫らに腰をくねらせ摺り寄せる。 立場が立場なんだから、同じ言葉でも 抱かれたいの意味でも受け取れる いれて欲しいと強請ったようなものだ。 ……なんて、そんなこと 今は考えられるだけの余裕がなかった。* ] (-53) yahiro 2022/05/18(Wed) 17:33:09 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ ほんとそれ。少しじゃなく真面目に悔いて。 思ったけど責め立てる気もなければ 笑い話をする気分でもないから黙っておく。 随分と遠回りを強いられたけどもう過ぎた話で なんでこんなことになったのかはわからないままだけど 今こうして目の前にいてくれるからそれでいい。 細かいことをごちゃごちゃ悩むには俺の頭は まだ疲れきったままだったから、却って丁度良かった。 あの時応えてくれていたら、どうなっていただろう。 そんなふうに考えるのも、今でなくていい。 今はもう、今目の前のことしか考えられなかった。 理性なんてもうすっかり焼ききれてしまっていた。 ] (-78) yahiro 2022/05/19(Thu) 2:36:39 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ どっちのかわからないけどもうずるずる滑って 風呂場でしたみたいにこすり合わせようと手を伸ばしたら 肌を滑った彼のものがあらぬ方向にずるりと滑った。 そっちじゃないって思ってから、 いや、そこで正解なのかと思い直す。 これから抱かれる実感はまだ全くない。 尚も意味がわからないと思ってるくらいで。 なんなら頭が沸騰しそうな程に挿入れたいと思っているし。 けれど。 自分と同じだけ、抱きたくてたまらないって顔をしながら ぎりぎりの理性で気遣う言葉を紡ぐのを聞いたら 一気に気が変わった。 その気遣いが嬉しいのに、腹が立って。 伸ばした手を、ふたつの肉茎を重ねるためじゃなくて 彼のに添えて、擦り付けてくる場所に切っ先を固定する。 柔くふやけた場所は思ってたより抵抗なく まるい先端を浅く食んで その異物をなかに欲しがるみたいにひくつくから 排泄の為に無条件に心地よさを感じる入口が、 擦れる単純な快感に まぁいいか、とあと一歩、迷ってた気持ちが定まった。 ] (-79) yahiro 2022/05/19(Thu) 2:38:30 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞……ふ、……っ…がまん、できないくせに。 [ あと一歩を踏み外せずに戸惑ってる彼を 口元を優しく嗜虐的に歪ませて唆すように嘲笑う。 首裏に腕を回して抱き寄せて、唇を寄せた耳元を 興奮に弾む熱い吐息で擽りながら いーからはやく、と吐息で急かした。 はやく、おなじだけ馬鹿になってしまえばいい。 俺の体を気遣ってぎりぎりで踏み留まれている彼が 自分よりも夢中になっていないみたいに思えてしまうのが 寂しくて、腹立たしくて。 ] (-80) yahiro 2022/05/19(Thu) 2:38:57 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ あと一言、言ってしまえば彼だってもう迷わないだろう。 「挿入れて欲しい」って。 でも抱く側を譲ってやる以上 俺が抱きたいと思ってるのと同じだけ 抱きたいと思われたかったから その先は彼の意思で進めて欲しくて言い渋る。 焦らされたのはほんの短い間だっただろう。 なのに永遠にすら感じて、 直接的な言葉で強請りそうになってしまう 唇が何度か無意味に戦慄いた。 くだらない意地は捨てて、もう、言ってしまおうか。 敗北感を受け入れようとした寸前のところで 漸く彼が腰を進めてくる。 待ちわびた瞬間に……、…… ] (-81) yahiro 2022/05/19(Thu) 2:39:43 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ あ、これ無理だわ。 思い切り我に帰った。無理だ。絶対。物理的に、むり。 内臓を内側からぎりぎりまで ……否、ぎりぎり無理なとこまで 押し広げられる圧迫感に思わず息を呑んだから 拒絶の言葉は喉の奥に張り付いて咄嗟に出てこなかった。 背中に冷えた嫌な汗がにじむ。 苦しくて苦しくて堪らないのに 息の吐き方が解らなくて文句を言う余裕がない。 そうしている間に今まで意識したこともない内側を 逞しい侵入者がじりじりと押し開いてゆく。 ごめんほんとむり。 ここでやめろとかそっちも無理なのはわかるけど ぜったいむりだってこれ はいっちゃいけないとこはいってる。 今更まともに機能し始めたねぼすけの恐怖感が どっと押し寄せてきて、体が強ばれば 腹の奥に変に力が入って 勝手に畝った熱い内側の粘膜が彼の切っ先を きつく包み込むように纏わり付いただろう。 過呼吸になりそうな下手くそな息継ぎを繰り返して 漸く吐き出そうとした制止の類の言葉は 彼の声に遮られて、結局また飲み込んだ。 ] (-82) yahiro 2022/05/19(Thu) 2:41:29 |
【秘】 入院中 阿出川 瑠威 → 眼科医 紫川 誠丞[ 散々強請った二文字だった。 すっかり感じ入って欲の滲んだ男臭い声だったのに 腰がぐずぐずにとろけそうなくらいに甘く響いて、 なんか、もう、ダメになった。 馬鹿になってしまったんだと思う。 散々焦らされた二文字は、そのくらいの衝撃と 訳がわからないくらいの中毒性があった。 俺の名前だ。彼の声が紡いだその名に、漸く 思いが通じ合った今への実感が湧き上がってきて 泣き出しそうなくらいの幸福感に胸が苦しくなる。 ] せんせぇ……、っ 、……は、っ。…ぁ、 …せんせ、もっと────… [ もっと呼んで。そう強請りたいのに。 突然襲ってきた訳のわからない法悦に 甘く震えてしまった内側が彼を締め付けるせいで 丁度気持ちよかったみたいになって 少し前まで止めさせようとしていたこの行為を 強請ったみたいな声になった。 馬鹿になった頭でも今度は気付いたけど、 なんかもうそれでよかった。 そしたらもっと呼んでくれる気がしたから。 それでよかった。* ] (-83) yahiro 2022/05/19(Thu) 2:45:50 |
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