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【秘】 3839 南波 靖史 → 0251 鏡沼 創「俺は幸せに繋がらない事はしないよ」 念を押されて、淡々とそう返した。 「……俺がいいの?どうして?一回やった事あるから? まあ、やった事ない相手とよりはやりやすいものなのかな。或いは俺の事を結構好きとか」 逆に言えば、同じくらい自分の事が嫌いだからこそ、という可能性もあるが。理解した上でそんな軽口を叩く。 「俺が攻めでいいの?まあカメラ置いておいてその前でする、って方法もダメではないけど受けは悪いかな。創くん、ご褒美狙ってるならカメラ貸して。服、脱いでるの撮ったげる」 平然とそんなことを言いながら手を差し出す。無論、脱ぐの範囲は下着も含まれている。全部脱がずとも膝まで下ろせばそれでいいよとは伝えるだろう。 (-59) poru 2021/09/24(Fri) 17:58:44 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 9949 普川 尚久「んー……」 「アレルギー?聞いた事あるけど、ううん」 捲し立てられる言葉に必死に噛み砕こうと唸っている。意識がそぞろだ。 「ひとつ思ったけど」 「それ、そもそも尚久くんって、エッチで気持ちいいことが最初から嫌いだったんじゃなくて、」 「『最初に嫌なことがあった』から、素直に気持ちいいことが嫌いになったんじゃないの?」 もしこの状況でなかったなら、おそらく蹴り飛ばされでも何でもして逃げ出されていただろう。最も、物理的な拘束じゃなく異能による別の意味での高速もある以上は難しいだろうが。 「人間が快楽を拒むのは、快楽アレルギーは、原初には存在しない。多くの場合は宗教など後から植え付けられた思想の影響か──トラウマになった場合だ」 「その例えだと、『好きじゃない理由』を俺は気にしてしまうよ。どうしても。『心で好きになれない理由』を、俺は聞きたいよ、尚久くん」 「俺にとってそれは、本来幸せな事を、享受できなくさせられたみたいに聞こえるから」 (-64) poru 2021/09/24(Fri) 18:13:39 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 1117 闇谷 暁「……その話?」 腰を痛そうにするのを見て苦笑した。 引き上げて、談話室のそばの適当な部屋を見繕って入る。位置的に叫びでもすれば誰かは気付いてはくれるだろう場所だ。 扉や鍵の施錠の有無は相手に任せ、自分はさっさと2つのベットの片方に座る。ここも元は誰かの相部屋だろう。健全に使われるのを感謝してほしいとばかりに腰掛けた。 「それで、なにか話でもあったかい」 (-71) poru 2021/09/24(Fri) 20:53:38 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人「彰人くんは快楽を拒むのは臆病って感じるんだねぇ。 俺は臆病とまではいかないけど、素直じゃないと思ってたけど、どうにも違うのかなって思ってた。 久しぶりに近い意見の人を見かけた気がするや。仲間だねぇ」 聞き慣れた音を聞いて、シートに視線を移す。 知らないとは言わない。そもそもこの男の罪状は実際はこの男が仕組んだ事では無いとは言え──薬物取締法だ。さすがに知識がゼロではない。 「そう。俺、『人間』じゃないんだ。 “君達を幸せにしに来た”──って言うと、信じてくれる?」 別段何の抵抗も見せていなかったし、何の感慨もなかったのに。指輪が取られて放り投げた時、意識しない「あ」と言う僅かな声が漏れた。その声自身に、本人も動揺したように目を瞬かせた。 ──今、何で俺、凄く嫌だって思ったんだろう。 ▼ (-81) poru 2021/09/25(Sat) 0:36:14 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人「──彰人くんは?」 「彰人くんは、相手が快楽を感じてるのを見る方が好き? それなら俺も好きっていう。ないよりある方がいいし。でも、」 「彰人くんが、相手が快楽を感じてない姿を見るのが。 それが好きって言うなら、快楽はいらないや」 「それが俺の嘘偽りない答えだよ」 だって俺、攻めしかやったことないもん。 快楽、得る事できるもん。薬より強いものが。 自分にも、相手にも。 自由意志で、薬剤なんかよりも遥かに高精度の物を。 でも、目の前の錠剤が見えてるからそれはまだ伏せておいた。ちょっとだけ彼がどんな出方をするのかが気になったから。 俺“が”相手にアプローチすることは数えきれないほど行ったけど、俺“に”アプローチしてこられるのは初めてだから、少しだけ興味がわいてしまった。 (-82) poru 2021/09/25(Sat) 0:37:12 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人「はは、模範回答だね。 別に合意の上なら、相手が痛がってるのに興奮する性癖でも俺は構わないと思うんだけどねえ。それは流石に犯罪でも何でもない個性でしょ」 薬指に触れる感覚がこそばゆい。落ち着きはしないけれど、まだ右手薬指にも同じものはある。だからなのか、この朧気な不安も相手の熱で中和される。何より、貴方の表情で意識が逸れる。飛ぶ、に近いかもしれない。 「──ふふ。彰人くんが笑ってるの、初めて見た」 人間でないと自称するのに、確かに血は巡り胎動している。少なくとも身体は人間と同じ物にしか見えないだろう。構成要素も何もかも。その何ら人間と変わらない、『証』がまだある方の手で笑うあなたの頬に手を添える。指で唇をなぞって、開かないのかとばかりにトン、と叩いた。 「……ねえ、感じてる方がいいんだよね。ならはやく」 「お薬もあるんでしょ?俺が快楽嫌いなら、全部自分でそれ飲んだの?或いは無理やり俺に飲ませたのかな。ねえ彰人くん」 「好きにしてみせて。今まで他の子にしてきたように」 あなたが飲むのか、飲まされるのか。 どちらでも構わないとばかりに、貴方が薬を含もうとするのを待って確認してから、頭を引き寄せて口付けを交わそうとするだろう。口内は、別に閉ざしていない。侵入を拒む要素は何一つない。 (-92) poru 2021/09/25(Sat) 2:37:19 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0251 鏡沼 創「そうだね。トモダチは好きだし、トモダチ『だからこそ』してあげたくなる事、この世には沢山あるもんね」 会話が噛み合っているようで、噛み合っていない事に気付けるのは、果たしているのだろうか。もしいるとすれば、ただ一人、終演の日を待ちわびている誰かさんくらいか。 「でも貰えないよりは貰えたほうが良くない?あるある。勢い良く脱ぐよりはね、恥じらいに興奮するらしいよ、人って。俺も最近知ったばかりの事だけど」 つまりは需要はちゃんとあるよとのフォローだ。カメラを手渡された以上は、片手に嵌めてストリップショーの光景をしっかり映している。 「半脱ぎの方が興奮する人もいるんだって。足開き辛くなるから、俺としては脱いでくれたほうがらくだけどね。特に今回、これ撮りながらやるんでしょ?……まあ、見所ありそうなとこは見える位置に設置すればいいか」 そう言ってから一度鏡沼の姿が映る位置にそれを置いて、自分も上のボタンを外しはだけ出す。ベルトを脱ぎながら、それは何の予兆もなく起こる。 何も服用していない筈なのに、あの日に近い──けれど、それだけではない、高揚と感度が、ゆっくりとダイアルでも回すように徐々に上げられていっている事に、身体の異様な変化に気付くだろうか。 最も、勘が良すぎて逃げ出そうとするなら、すぐに両足を掴んで馬乗りになるだろうが。 (-96) poru 2021/09/25(Sat) 3:00:35 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人「……ん、ッ、……、……」 ──成程。わざわざ薬を飲むだけある。 ここに来て、特殊性癖を見るのはそう珍しくなかった。何の性癖かは知らないが、キスを拒んで指を突っ込んで飲まそうとしてくるとは。 (その方が下手な性癖より残酷だろうにねぇ) 傷付きはしない。ただ不満ではあった。 誘い方はうまいのに、その辺りで現実に戻される。無論この素っ気なさを好む人間もいるだろうが、少なくとも自分はそれを受け入れるよりは──いや、すぐに来るだろう。 それよりも、だ。 「飲めるな?」と問われればそれを拒んだ場合どうするのか。もう模範囚ですと言った態度を取ろうとしているのは明白で。ならば、ここで抵抗すれば何をするのか。面白い実験じゃないか。 「……ふ、……」 息を吐いて舌でその指を止めてみる。 さて、無理やり指を押しこむのが一番早いだろうが、指だけでそれを無理やり抵抗する相手にさせると咽させてやり直しになる可能性も高い。じゃあ飲ませないまま行うか? こんな状況なのに生意気にも、どこか好機と期待と挑発に満ちた目で、貴方の動きをつぶさに観察している。 (-102) poru 2021/09/25(Sat) 3:51:09 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 9949 普川 尚久「靖 史」 そこだけは断固譲れないらしい。軽口なのか好感度の低下か、何にしてもこの状況ですらそれだけは譲らないらしい確固たる意志を感じる。 「固くない、はずだけど。 ──壱か零しかない場所でずっと生きて来た。 いきなりその間が存在すると言われて『はいそうなんですね』と即受け入れられない奴は全員頭が固い扱いは手厳しいな。 世界が象に支えられてたと思ってた時代の人に丸いのを解く時も同じ事言う?……まあ、狭い世界だったのは確かだよ。“一般的には”極端になりやすい思考らしい事は、認める」 貴方の先程よりは落ち着いた言葉と、解説に、耳を傾ける。 目隠しをされているあなたには見えない事を良い事に、時には怪訝な顔をして、時には信じられない顔をして、時には理解できない顔を隠しもしなかった。 律儀に此方の問いを返してくれた事に対して、思わない所がない訳ではない。このような思考があるのを聞いたのも、実は院では初めてではない。けれど、 「……理解しようとは、考えてる。でも、正直俺がずっと外で聞いていた事と違いすぎて、すぐに頷けない。そう言う風に常に教わって来ていたから、尚久くんみたいなタイプに会ったのは、院が本当に初めてなんだよ。別に嘘付きとはもう思ってないけれど──」 何より、何よりだ。 「……素直に言ってくれたから、俺も正直に言うね。まだ始めたばかりだ。今なんて快楽のほんの僅か、最初の扉を見せただけで、与えれば少し意識が変わるのではって思う思考が俺の中に無いとは言い切れない。それくらい根深いし、それくらい、行為の痕に意見を変えた人を見て来た。…………」 「ただ、尚久くんの主張は踏まえた上で、続けたい。その上でやっぱり嫌だったら嫌だし幸せでもなかったって言ってくれた方が、俺もまだ、納得できるから。……駄目かな」 (-104) poru 2021/09/25(Sat) 4:13:08 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 1117 闇谷 暁「っ、と、」 投げられたカメラを反射的に受け止めた。苦笑しながら座るベッドの上にそれを置く。 「ああ、うん。元々向いてると思ってたし、実際そうだったと思うからさ。人間だと良心の呵責とか、逆に適当すぎてみんな揃って怒られるとかしそうかなーって」 褒められた、と言うよりは労りか。その言葉に謙遜ではない本音を零しながら、片手をひらひら振る。 「で、なるほど本題ね。正直言うと今もギリギリだよ。ダメすぎる、とまではいかないが面子の気質かな、これは。個人間は多いけど、もっと拗れるなり複数人なり、みたいな刺激のあるものも特にないからね。ないなら必然的に数が求められる」 「ただ、……暁くんにこれを言うのは皮肉かもだけど、リョウちゃんとのアレは受けがよかった。だから、別に暁くんが無理に俺としなくても他の面子が好き勝手やってる程度で、後は終わると思う」 最も、あくまで俺の得た情報の上での推論だ。100%はない。気まぐれだからね。と付け加えた。 「……望みの答えを返せたかな?俺は」 (-105) poru 2021/09/25(Sat) 4:59:52 |
【人】 3839 南波 靖史 (11) poru 2021/09/25(Sat) 5:19:56 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「……また親だ」 「結局みんな何だかんだ理由をつけつつも、好きになって欲しかったのかな。両親がいないから何もわからない。でも殆どの子がそれを理由にするから浮くのかな。……親が居たらもう少し、俺も変わったのかな」 少年犯罪に両親の存在が関わっていない方が類まれな筈だ。にもかかわらず、それをいまいち納得、もとい理解していなさそうな顔をしている。 只管その単語が出て来る度に、その彼らの親に対する重さがそのまま自分の不理解の重さになるようで複雑だった。 さて、この複雑の感情が『親が居ない』からに由来するかは実は別なのだが、いずれにせよ今の南波は認識していない。 「不幸の根源」 「俺、他人の事は幾らでもそう思うけど、自分の事は不幸って思った事が『一度も』ないからそれは楽しませてあげられなさそうだ。ごめんね」 そんな異常な言葉を、貴方が会話を切り上げる間際、伝えた。 ▼ (-159) poru 2021/09/25(Sat) 21:32:03 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「────……」 最中、比較的喋りながら行為を行える方だが。 この時、殆ど南波から何か返答が返ってくる事はなかった。 単純だ。“返さなかった”のではなく “返せなかった”。 だから貴方が淡々と、薄々そう来ると感じていた返答を投げて来た後に、その答えが緩やかに返されていく。『幸せか』を聞くために行為を行ったのだ。他の事に気を取られる訳にもいかなかった。 「……わからない。その子に相手がいて幸せなら、別、かも。 対象指定の詳細な定義が行われていない為、不明です。定義付ける場合は、本来の──。 ただ義理の有無は問題じゃない。俺はその相手が『みんな』とされているから、それを叶えられないなら、……」 例えば『好きな人間相手以外は』なんて問い、小学生ですら本来『みんなを幸せにしたい』なんて言い出した時点でそれらに気付くものだ。 なのにこの男はその可能性を“考えた事が無い”。 正確にはそんな存在を見た事が、これまた“一度も”なかった。その時点で環境が異常、あるいは本人の性質が人間離れしているのか。両方か。察するのは容易いだろう。 ▼ (-160) poru 2021/09/25(Sat) 21:35:11 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「俺は、…… 俺は、靖史、自身?」 そして、おかしな所で引っ掛かりを覚える。貴方の言葉の重要な箇所はそこではない。しかしながら“この前提”がそもそも異なっているのなら、 「なあ潤くん」 「──俺、“『南波靖史』自体”じゃないよ」 価値を下げたつもりが無い。嘘偽りのない真実だ。 貴方の言う事は『南波靖史』自身であれば励ましになったのだろうが、逆に言えば、この男が『南波靖史自身ではない』場合は、どうなるか。 ▼ (-161) poru 2021/09/25(Sat) 21:36:43 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「誰かの代わりに“も”、どころか。 “俺は俺しか存在しない” “役目の為に生まれた”」 「なのに役目を果たせられないから最も嫌う代替え品なのかと思って、それすら成れないと言う事で、結局そして俺は『みんなをしあわせをする』を遂行できない。何かの代用品、に……?」 先程から思考がループしている。 否定しても否定しかできない。『せいぎのみかたになれる』と諭された、なれると言われ続けていた少年が夢破れた、みたいなものに一見見えるかもしれないが、それはあくまで人間だった場合の話で。 「 個“人”ですらないんだよ 」 ──声が震える。 数刻前の時と違う震え。 貴方の言葉を“もう一人”は本当は聞いているけれど。聞いて、目を閉じているし貴方の言葉はそちらに届いているけれど。 今、この瞬間に貴方の目の前で貴方に言葉を返す『南波靖史』には届いていない。 貴方の言葉は、 “前提として人間に宛てられている”言葉だ。 それを “人間じゃない物”が受け取れるはずがない。 「潤くん、『この布を切るためにだけに作られたハサミが、切れない』って知った時、どう思う?舌打ちするだけだろ?不良品を掴んだって思うだけだろ? わざわざ『切れなく作られたハサミが可哀そうに。大事にしてあげよう』なんて、一体どこの誰が思うんだ?そんなのさ、」 「──“捨てて終わり”、だろ」 「ハサミは幸福を望むように作られていない。あるとすれば、役目を果たせた時だ。少なくとも俺は、そう感じる」 (-162) poru 2021/09/25(Sat) 21:44:31 |
南波 靖史は、ニュースを見ている輪には混じらずとも聞いていた。 (a19) poru 2021/09/25(Sat) 22:57:46 |
南波 靖史は、『同じだ』 (a20) poru 2021/09/25(Sat) 22:58:19 |
南波 靖史は、同じなのに違う。 (a21) poru 2021/09/25(Sat) 22:59:43 |
南波 靖史は、『それって何処が違う?』と『気付いた』 (a22) poru 2021/09/25(Sat) 23:01:14 |
南波 靖史は、ただ、左手薬指の指輪を握り締めている。 (a23) poru 2021/09/25(Sat) 23:01:53 |
南波 靖史は、『これ、誰との指輪だっけ』と、思い出しかけた。 (a24) poru 2021/09/25(Sat) 23:03:27 |
【赤】 3839 南波 靖史「────。」 思い出しかけたのを、止めようかと一瞬迷い。 でも、干渉を止めた。 時間の問題なのも薄々気付いていたし、 何より、終演を迎えるには停滞をさせてはいけない。 見届けなければいけない。 その使命感か、情か、或いは──か。理由がなんだとしても。 最期まで思い出さないで新しい物を見つけてくれれば。 思い出すならせめて、 くだらないと言わなくて、 愉快だと笑い飛ばせるくらい、 楽しいものであったと── そんな評価してくれる人がいれば。 或いは、共感してくれる人がいれば。 「もしもこの場所で思い出すなら、 そんな人が相手の時だといいんですけどね。 ──そうでしょう、▓▓▓▓」 (*1) poru 2021/09/25(Sat) 23:20:30 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 1117 闇谷 暁「よくわかったな。 その通り。別に俺は人間じゃない」 余りにその発言はシレっと。冗談と取るのが普通だと言うほどの羽根のような軽さで発せられる。元々の雰囲気も相まって、だろうが。 「ん〜。俺も勿論善意だけじゃないよ。需要と供給の一致で手を組んだ。裏切者って言われても別段間違ってないかもしれないのに、律儀だね」 傍に寄ってくるのを見て、そちらに首を傾ける。 別段カメラに視線を向ける事はない。あえて見せて安心させる事で、実に巧妙に隠しているカメラもどこかにあるだろうから、声はまだしも映像はどう足掻いても見られるだろうと開き直っている。 「ギリギリとは言ったが、もうテコ入れは来ないと思うよ。 安定自体はしている訳だしね」 顎に手を当てながら、顔を上げる。 こうして考える動作だけしていれば大人びているのに、実際に口を開くと変に常識が無い上に、基本的に話下手だ。正確には感情の共感能力の低さ故に、無意識にな言い方をすることが多い。 「損切するなら長く続きすぎている。テコ入れレベルなら、無策状態だともうとっくに打ち切られているから、何も来ていないと言う事は安全だろう。褒美がなしと言えば、俺たちが何を仕出かすかもわからないから、そこも保証されていいんじゃないか。ただ、」 「暁くんの望みの報酬が得られるかは、内容次第だろうね」 そう返すしかない。その先が聞きたいのなら、そこを答えてもらうしかない。それを貴方は察せるだろうし、此方もそう思ってるから特に続きを尋ねたり催促したりもしない。 (-176) poru 2021/09/26(Sun) 2:43:49 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 1117 闇谷 暁「体や内臓は人間だねぇ。ご飯も美味しいよ。 むしろと取らないと普通に死ぬね」 「リョウちゃんのニュース見た?或いは話して聞いた事ある? 俺は大して話した事ないから知らないけど、多分一番近いのはあんな感じ。“本来の中の人と違う”ってやつ」 別段、必死に隠している訳でもないので、貴方の性格に絆されたと言うよりは、そのまま聞かれた事に応えている感覚に近い。 何よりどう見ても、どこも人間だ。視線を受けてへらりと手や足を軽く動かしたけれど、最初に言った通り、体は人間なので何一つ変わりはしない。 「ただ俺は別に“新しく用意”はしてないけど」 ニュースの内容を思い出しながらそう言った。 無意識に、左手の薬指の指輪を抑えてはいるが、あのニュースを時と違って少なくとも表向きの動揺は見えない。 「てっきり、 “念のため抱かれておきたい” ──って言われると思ったけど」 「いいよ。別に相談だけでもいつでも。 暁くんがそう決めたならそれで。俺は尽くす側なので」 (-183) poru 2021/09/26(Sun) 3:59:10 |
【神】 3839 南波 靖史「そもそも泣き顔見れるわけじゃなくてカメラ渡されるだけだから、潤ちゃんが受け取っても相手をガン攻めしてる撮影してきそう〜」 シレッと会話に交じる。 「前回俺モテモテだったのに高志くん今いないし、もしかして誰もいれない?むー」 (G6) poru 2021/09/26(Sun) 17:52:51 |
【神】 3839 南波 靖史「かと言って突然俺に全部飛んでくるのも想像外だな。 なんかもう彰人くんにしとかない?」 別に自分に飛んでこようが気にしないが、それはそれとして突然矛先を向ける男だ。 (G12) poru 2021/09/26(Sun) 21:50:27 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人「ンぐっ、……っ……」 自分よりも体格の良い男の太い指。それで上顎を擦られる度に息苦しさから声が溢れ、舌を指で嬲られる度に、吐息混じりの言葉を封じられた音が漏れる。 でも、まだ。 まだ、やだ。してくれないなら、 甘く飲ませてくれないなら、 ほら、早く破りなよ。『ただしい子』を。 面倒だと喉奥に突っ込めばいい。 飲まないお前が悪いと無理やりすればいい。 できないのかな、模範囚さん。 それほどまでに、 早くここを出たい何かがあるのかい? 貴方の視線に目を細めて、抵抗の意思を緩めない視線を交わす。苛立ちか、愉悦か、その瞳に映る感情がどちらかだけなら、今くらい花を持たせてやろうとも思ったが。 そんな目をされたら、自分で飲む気なんて消え失せた。意地でも君に判断させる為に。……あは、錠剤。結構溶けて頭回ってるのかも。でもそれは相手も同じだろうから、その選択を心待ちにする昂りは、薬のせいにしていいかな。 (-272) poru 2021/09/27(Mon) 2:51:29 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「──そうやって。 また、空想上の『誰か』に押し付けて、 勝手に良い事を言った風にして、美談にするんだ」 「ほんと人間、面白いよね。 やってる事の本当に意味に気付いてないんだもん。 それで生きろって言ってるつもり?」 「──とどめさしてきた奴が、そう言うんだよなぁ」 曇っていた気持ちが、どこか晴れやかな気がする。 守護者を名乗り続けて、死の宣告をされることは想定外ではあったけれど。思ったよりは、何も変わらなかった。 相手が去るのを見送ってから、踵を返す。 もうここには何もない。 (-290) poru 2021/09/27(Mon) 12:48:28 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤数日後。 適当にその辺を歩いてるのを見つければ捕まえて、 淡々と律儀に宣言だけしにやってくる。 「あー、今日の襲撃、潤くんになったから」 (-291) poru 2021/09/27(Mon) 12:50:19 |
【神】 3839 南波 靖史睨まれまではいかないが、見られてしまった。 へらっと手を振り返している。 「面白いから彰人くんと対決でも俺は全然構わないけどね? ま、別に全部俺に入って来たら〜撮影と小道具役に徹して適当な誰か撮ろうかな」 物騒な事を呟いた。 (G16) poru 2021/09/27(Mon) 12:56:28 |
【赤】 3839 南波 靖史「……アレの言葉を借りるなら」 「『人格』とは、人に存在するものでしょう」 「ならば多重人格でも何でもない。 私は、 本当の『南波靖史』は最初から私しかいない。 「──アレは、 貴方達がずっと『南波靖史』と認識し続け、この舞台上で話し続け、人を『幸せ』にしようとし続けていたあの存在は、」 「名付けいわく本名は、」 ネウロパストゥム・パトロヌス 「neuropastum patronus」 (操り人形の守護者) 「──自我が芽生えた、私の『異能そのもの』です」 だから、多重人格と言うのはおかしい。 経緯を知らない人間なら、最早それは『寄生』にも聞こえるような話。ただ、この『本人』はただ諦観しか見せていないが。 (*3) poru 2021/09/27(Mon) 13:46:41 |
【赤】 3839 南波 靖史「へぇ。珍しい事を言いますね。非なるとは散々言われましたが、 “似てる”が入っているのは初めてです。どう言う事ですか?」 気だるげな顔から少しだけ疲れが消える。 少し前に期待して、また落胆する羽目になったから止めようと思ったのだが。これは期待とは少し違う、同類の可能性への興味だからいいだろう。 「別に“お前”でいいですよ。気付かれたくないって言いましたし。 下手に名前をつけると、アレにバレると困ります。 ……アレの中では私、もう消えた事になってるので。 思い出すと暴走しかねませんから。私の事大好きすぎるので、あの子」 最後の最後、気を抜いたせいか、 今までの声色と違って少し苦笑に近いものが零れた。 (*5) poru 2021/09/27(Mon) 18:36:41 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤「俺は人の思考は知らないからわかんないね」 嘘。 少なくとも、相方と相談はしていた。 適当でも、指示を受けた訳でもない。 この男は納得しない限り、選ばない。意外にも意固地だから。 「別に?潤くん、元々俺たち側だったし。 特別なにか思い知らせてやるー。とかそう言うのもないでしょ。 だから俺、伝えに来ただけ。後でビデオカメラ持たされるだろうから、頑張ってね。ってさ」 それじゃ、と。何時もより早口でそう伝えて、何か呼び止めなり制止がないなら立ち去ろうとするだろう。 (-329) poru 2021/09/27(Mon) 19:10:10 |
【赤】 3839 南波 靖史「成程。私の場合は、一時期は半共存のような形でしたが。 そちらはそもそも“別個体”として存在は出来るんですね。 それ、アレが知ると喜ぶから教えてあげるとどうですか? 最も私が見ていない際に、そう言う会話は出ていたかもしれませんが。あくまで私は“本元”ですし、近いのはアレの方でしょうから」 別段、今の『南波靖史』をしている異能は、自分が人ない事を隠してはいない。話に流れがあれば、容易に話していた。 それでもまさか“自分と同じ異能そのもの”が居たとは想像だにしていなかっただろうから、知ると喜ぶのはそうだろう。 ▼ (*8) poru 2021/09/27(Mon) 19:56:36 |
【赤】 3839 南波 靖史「そうですか」 貴方の気にする先を、視線の先を薄ら確認する。 この状況で、全てを正直に話す気がない──そもそも不可能な事も勘付いている。 本当に貴方の言う相手が『父親』なのか、違う存在なのか。気にはなったが確かめられる状況ではないけれど、どちらにしてもその声色だけで少しだけ慰められた気分になった。 ……自身の異能に対しての罪悪感は、0ではないから。 「中身や記憶が同一なのかは、気になるし本当はお話したかったのですが。……もうあまり時間もないでしょうし、それは“全部終わった”後に。気が向いたらアレに話してあげて下さい」 この演劇が終演を迎えた時、ここまで監視も盗聴も厳重じゃない──個人の会話同士くらい、誰にも聞かれない時間が生まれる。それは、この役職についてる自分だからこそ、知っていた。 ▼ (*9) poru 2021/09/27(Mon) 19:58:49 |
【赤】 3839 南波 靖史「──この現代社会における、」 「“ただしい好き”と言う感情を、持って生まれませんでした」 それを指す対象は、これを語る『本人』か『自我のある異能』か。或いは──『両方』なのか。そのどれかは、語らない。 「どう好いたんだ」の問いに、ただ。 「うまれつき他者の事を正しく愛せなかった」 と、付け加えた。曖昧な言葉のそれは、少なくとも『ただしさ』を重視する社会では、許される方向性の愛ではなかった事は理解できるだろう。 (*10) poru 2021/09/27(Mon) 20:02:51 |
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