【神】 花信風 トット>>G11 バレンタイン 「ほんとお!? じゃー……がんばるか!」 「おっきくなるぞお!そしてバレンタインとよこならびになる」 今からそれが間に合うかどうかは定かではない。 だいぶ頑張らなければならない。 「ね! かっこいーひとも、かわいーひとも、おちついたひともいっぱい」 「おめかししたらもっとカッコよくなるかも……!? おめかししたらみせて!!」 「おれのおはなとかあげるか!おしゃれになる」 こういうの、と元々頭に飾っていた花を触りつつ。 「あ、そだ!そーいえばバレンタインってほけんいいんだったよね」 思い出したように、唐突に声を上げた。 (G12) susuya 2022/05/02(Mon) 13:18:01 |
【秘】 花信風 トット → 充溢 バレンタイン「きずにいいおはなっている?」 「おれねえ つくれる から あずけとこーとおもって バレンタインに」「じぶんでつかってもいーし」 んと、んと……と言葉を選びながら。 「…………みんな、ふあんになってると、おもうから……」 「かみかくしで」 「ふあんてーになって へんなけがとか、びょうきでなんかなったりするのがおおくなったら、どーしよっかなっておもってた」 「おれのはななら、けがならすぐになおせるから!」 「えーと つまり おくすりの……『薬草』のていきょーです」 「あしたのあさごはんのあと、わたしたい……」 「ほけんいいんにごきょーりょくしたい」 ──要約すると。 傷に即効性のある薬草の類を、保健委員である貴方へ渡したいと。 そういう事だった。 (-196) susuya 2022/05/02(Mon) 16:19:32 |
【秘】 ライアー イシュカ → 花信風 トット「……え、」 困惑がまるで隠しきれてない声。 疑問で問い返されるなんて欠片も思ってなかった顔。 「……だ、ダメじゃないけど…… なにをって、そんなの……。……」 そんなの、の先が紡がれない。 それどころか至極当然のように告げられて、 小等部相手に圧倒されて尻込みする始末だ。 ……小等部だから、ともいうかもしれないが。 「……な、なら好きにしろよ!割り切ったフリして搾取される前に自分で全部使い切れるって自信があるならさ! どうせうまくいかないだろうけど。 ……搾取される前に何とかしてやろうって思ってる時点でそもそも……」 目を合わせられなかった状態だが、啖呵を切るように負け惜しみを叫ぶ時だけは威嚇のように目を合わせてくる。 年少者が自分よりも遥かに考えている事実と、その上で悲惨な境遇しかみんな語らない現実から目を背けたくて仕方ない。 (-204) poru 2022/05/02(Mon) 18:05:38 |
【秘】 花信風 トット → ライアー イシュカ「つかいきるときはー たぶんしぬときなので……」 言いながら作物を集めて、束ねて。 持ち帰る用の袋は畑の横に置いてある箱に常備されている。 それに一つ一つ入れていった。 本当に他愛無い世間話でもしてるかのようだ。 「それでも、うまくいかなくてもね」 「やるの」 そうして全て入った袋を、はい、と貴方に差し出した。 言葉を返せなかった貴方の事に何か言うでもない。 自分の前で貴方がそういう態度を見せるのは、きっと珍しい事だろうに。 「イシュカにもあしたあげよっか」 「おれのはな。いるかもしれないし」 「なにかあったらいやでしょ?」 (-209) susuya 2022/05/02(Mon) 19:03:46 |
【秘】 ライアー イシュカ → 花信風 トット「何でそんな達観してんだよ……」 こちらがヒートアップしようが、みっともなくヒステリーを起こそうが、引くわけでも怒るわけでもなくただ普段通りの相手を見ると、1人感情で捲し立てていた事が冷や水でもぶち撒けられた気分になる。 「…………」 静かにはなったから結果オーライかもしれない。 立ち尽くしていた姿勢から、 疲れたかのようにその場にしゃがみ込んだ。 「……うまくいかなかったら辛いだろ」 袋に餌がわりの植物を入れていく貴方を、 正確には手元だけを見ながら呟く。 「一回ならいいけど、何回だって続いて、 それでも全部無駄になる時だってあるなら、 ……もういいじゃん。苦痛が長引くだけ」 差し出された袋と問われたはなの言葉に頭も目線も上げる。 力なくそれを受け取りながら、首を横に振った。 「……子供に怪我させてまで無事にいても、 それこそ僕まで嫌いな奴らと同じになる」 だから、いい。 そう返して立ち上がる。 例の言葉の代わりに、袋を持った手を軽く上げた。 (-211) poru 2022/05/02(Mon) 19:33:12 |
【秘】 花信風 トット → ライアー イシュカ「んえ?たっかん?なにそれ」 疑問だけは子供じみている。 自分の死や境遇を語るには、齢十二にすれば落ち着き過ぎているのはそうだ。 けれどもトットは淡々としていた。 普段の喧しさは鳴りを潜めていた。 しゃがんだら自分の頭より貴方の頭が下の位置になって面白い気分になった。 なでなででもしてあげようかな、なんてうっかり思いついたけど、そんな事をすれば今度こそ怒りそうだなと思って、やめた。 「おれそういうはなのことなんていうかしってるよ」 「それ『徒花』ってゆーんでしょ」 「おれならないし!だいじょぶ」 根拠も何も無い。ここにあるのはただの幼稚な言葉だ。 「…………イシュカはやさしーね」 「ほかのおとなとちがう」 「だからすきだよ」 立ち上がる貴方を目で追って、後ろ手に手を組んではにかむ。 「うさぎのごはんがなくなったらまたきてね!」 「なくなってなくてもきてもいーけど」 (-216) susuya 2022/05/02(Mon) 19:57:55 |
【秘】 ライアー イシュカ → 花信風 トット「……子供の割に、大人みたいにこう…… 何事にも落ち着いて動じない、みたいな……?」 いざ説明を求められると案外難しい。 つくづく、己が教師に向いてない事を実感する。 したからと言って、止められるものでもないけれど。 「何でそう言うろくでもない方向の単語だけ覚えてんだよ。 意味は間違ってないけど……僕は言ったからな」 止めたんだ。とポーズをとって、 相手の言う事に反しただけで恩着せがましく言う。 貴方の言葉が幼稚なら、こちらは生まれてすらいない。 「…………。 考えが異質だと、好き嫌いまでおかしくなるのか? 悪かったな、全然大人じゃない大人で」 こうしてまた素直に正面から取り合わないで、 その癖ちゃっかり貰うものは貰っていく。 相手の身を案じたのではなく己の心を守るのを取っただけだから、それを優しいとは到底思えなかったのだ。 「僕と同室のテラには絶対バレるから、 アイツに分けてても騒ぐなよ。それじゃ」 「明日の……痛むから、まあ朝か。もってく」 それだけ言って踵を返して去っていく。 朝になるまでにもう一度会う事になるのも、 ──どうせ渡せるはずもない事も、この時は知りもしない。 (-219) poru 2022/05/02(Mon) 20:17:11 |
【秘】 花信風 トット → ライアー イシュカ「…………?」 わからない顔をしている。わからなかったらしい。 「おはなのことだからおぼえた……」 とめられちゃったな……と呟く声に残念さはあまりない。 止まらない気でいるので半分受け止め半分流しているようなものだったかもしれない。 「おとなじゃなくていーじゃんね」 「だれでもあんなふうになりたくないもんね」 「あしたのあさ!!わかった!!」 あ、そっか。じゃあだめだ。 「おれたのしみにしてんね」 「ふふ」 ……パタパタと手を降って、その背中を見送った。 次見送る時は、きっと手は振れないんだろうな。 (-220) susuya 2022/05/02(Mon) 20:26:37 |
【秘】 花信風 トット → ライアー イシュカそれから、日が暮れて。 みんなの影が伸びて、月が顔を出す頃。 「イ〜〜シュカ」 「イシュカ〜〜?」 「イシュカぁ」 心細そうな声で、貴方を呼びながら探しているトットの姿がある。 ランプも持たず、暗くなり始めた空の下。 ギムナジウムには灯りがともり始めるけれど、ここは暗いかもしれない。 小さな歩幅にあわせて、頭の花が揺れていた。 (-221) susuya 2022/05/02(Mon) 20:32:48 |
【秘】 ライアー イシュカ → 花信風 トット「あ?……え?」 良くも悪くも人を気にしてしまう男は、 己を呼ぶ声を拾って、真っ先に時間を確認した。 高等部の連中なら、こっそり夜も練り歩いててもまあよくあることだと終わる話なのだが、聞こえて来た声は違う。 「寝ろ」 無茶と乱暴極まりない一言を述べながら前に立ち塞がった。 なお、焼いた物は自室に置いていたため、持って来ていた方がよかったか?いやこの時間に食わせるとさすがに面倒だろ。との脳内会議もすぐに終わった。 (-225) poru 2022/05/02(Mon) 20:47:10 |
【秘】 花信風 トット → ライアー イシュカ「あ!!!!!!」 「いたイシュカ……」 「あのね あのね あの……」 寝ろの2文字を聞いているのか聞いていないのか。 前に塞がられた子供が浮かべるものじゃない安心した顔をする。 モゴモゴと言い淀んで数秒、口を開いた。 「へんなひといたの」 「おれのしってるひとじゃない……」 「こわくて」 「こわいからイシュカよんじゃった」 「……んん"〜〜」 「いっしょにかえろ……」 そのまま前にいる貴方の手を勝手に掴んだ。 (-226) susuya 2022/05/02(Mon) 20:51:57 |
【赤】 花信風 トット夜。 空き教室に一人で机に伏せている。 顔を腕に埋めて。 なにもしない。 なにもしていない。 なにもしたくない。 明日の朝、きっと彼の姿は見えない。 「………………。」 「おれのばか」 (*43) susuya 2022/05/02(Mon) 20:56:54 |
susuya 2022/05/02(Mon) 20:58:18 |
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