人狼物語 三日月国


132 【身内RP】穏健なる提案【R18G】

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【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


合議の後。暫くしてから。
このVR空間を隅々まで駆け回り、君を探す姿がある。

さて、君は、何処にいるだろう。
インドア派の男がヘトヘトになりながら、
君の姿を見付ける事が出来るだろうか?



きっと見つけた暁には、あぁ、と口を開き。

「……こんなところに。」

ふらりとした足取りで、
いつか君がそうしてくれたように、近寄って行くだろう。
(-167) osatou 2022/03/06(Sun) 20:06:17

【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ

 重い話を(しかも、ほとんど初めての会話で)交わしたあとだからか、少女の口はやや軽い。
脅されることになるとも知らずに。

 あなたが気を悪くする様子がない、というのを前提として。

「…………。」
「そうとも、限らないですよ。
 ……
好き
……な、人の。
 負担になるなら会わない方がいい、とも思うし」

 “そういうこと”にもうなってる……。
 葛藤の末、諦めてそこは受け流すことにした。
 
口に出してみたら、ちょっと危ない気がしたのでもう言うのはやめようと思った。
 


 会うとか会わないとか、手紙とか。
 胸に訴える感傷を、コップを傾ける動作で誤魔化して。

「――絵はがきでくれるんですか?」

 雅ですね、と楽しげな相槌。
 平安京からの連想ゲーム。

 じゃあ、あとで教えるから絶対送ってください。
 そんなふうに、あなたとの約束を結ぶ。
 
少女は、先に破るのは自分なんだろうと思っていた。
(-168) 榛 2022/03/06(Sun) 20:11:02

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

合議の後、青年はまだ癒えてもいない体をひきづって、空間の端に近いところまで来ていた。
そこは海になっていて、地平線の向こうを、ぼんやり青年は眺めていた。
多分ここに来る頃には君はそれはもうヘトヘトだろう。

「…おや、アクタくん。」

声が聞こえれば、そちらを振り返って。
意外そうに目を丸くする。

「嫌われたかと思ってた。」

大丈夫?とつかれてる様子に首を傾げ。
(-188) arenda 2022/03/06(Sun) 22:30:48

【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ

青年は話を聞くにあたり嫌な顔をする事は全くなく、
むしろ興味津々と言った様子で聞く。
別にそれが色恋だから、と言うわけではなく。
例えば君が昨日見た夢の話だったり、好きな食べ物の話でも、
青年は同じくらいの姿勢で持って聞くのだろう。
なのでしっかり覚えて、悪用される。


「負担になるの?」
「相手からそう言われたの?」

本当に不躾なので、何でもかんでも聞く。
ちなみに、完全にもう恋慕しているのだなと言う認識だ。

殆ど君から目を背けないまま、時たまジュースを口に運ぶ。
柑橘の香りが仄かに部屋に漂っていた。

「絵が好きだからね。」
「あぁでも、俺名字が違うからな。」
「虹谷って名字からくるよ。」

知らない人だと思って捨てないでね、なんて、他愛もない会話。
叶わない未来の会話。


「俺にも送ってね。年賀状、同年代からは貰ったことないや。」
(-189) arenda 2022/03/06(Sun) 22:44:18

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


荒れた息を整えながら
君の側へ駆け寄って、どさりと膝をつく。

「ッ……バカ!」


肩を掴み、泣き出しそうな顔で君を見る。
君が怪我人でなければ感情のまま揺さぶっていただろうが
それは出来ないので、力任せに抱きついてやった。

嫌いになんて、なるワケない……!

 なんだよお前ッ!
 ぼ、ぼく、僕は、お前に死んで欲しく無いのに、
 勝手にッ……死ぬとか言ってるし………!」

矢継ぎ早に喋り倒してから
ぶんぶんと頭を振る。
違う、こんな事言いたいんじゃない!


「………フカワと、二人で。お前を心配してて。
 背中、押して貰って……探してた。」

堪えたいのに、涙を抑えきれなくて
ぼろぼろと雫をこぼす。

「……一緒に、生きたいよ、エノ。」
(-197) osatou 2022/03/06(Sun) 23:41:42

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

青年は、肩を掴まれて。
目を丸くして、君の顔を見た。
まさか、そんな風に怒鳴られて、そんな顔をされるなんて、夢にも思ってなかったから。
力任せな抱擁は、大層体に痛みが走ったけれど。
嫌だとは思わなかった。

「………泣かないで。」
「君が泣くと、俺も悲しいよ。」

ぺた、ぺたと掌で君の頬に触れて。
涙を拭うように、動かすけれど、全然拭いきれなくて。

「………………。」
「うん、俺もだよ。」
「生きたい。」
「生きたくて、生きたくて、たまらない。」
「できれば、誰かと一緒に生きたいし。」
「それが君だったら嬉しいなって、思うよ。」

ぽつぽつと語る言葉。
あぁ、最近、ようやく情緒が追いついてきたようで。
そんな風に言われたら、自分まで頬を濡らしてしまって。
(-208) arenda 2022/03/07(Mon) 0:45:01

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ


「………でも、駄目なんだよ。」


「俺は人を殺しちゃったんだよ。」
「たとえ、ここでそれが罪に問われなくても。」
「あの中で、誰が死ぬべきかなんて、決まってるでしょ。」
「俺、他の人を選べないし。」
「ヒメノさんだけ死んだら、不公平だし。」


「……………それに。」


これは、言おうか、いわまいか迷って、合議の場では閉ざした言葉。
特に、君に聞かれたくなくて、言わなかったのだけど。

「………君も、提供候補者でしょ。」
「このままだと死ぬよ………でも。」
「提供候補者は、臓器が足りてれば、提供を免れるから。」
「だから。」

俺の分の臓器が、君の代わりになればいいと思った。
馬鹿みたいだって、ふざけるなって、思うでしょ?
一度ちゃんと話したくらいの、まだまだこれから知っていく途中だった人に、軽率に命をって、思うかもしれないね。
……でも、君が温もりをくれたこと。
好きなものを教えてくれたこと、傍に寄り添ってくれたこと。
俺にとってそれは、とてつもなく嬉しかったことなんだよ。
だから。
(-209) arenda 2022/03/07(Mon) 0:51:49

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ





レモンティー1本分の感謝を、君に。





                                  
君の事、好きだよ。
(-210) arenda 2022/03/07(Mon) 0:54:18

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


いくら拭って貰ったって、涙は止まらない。
これはヒメノの冷たい身に触れて、
君の死を想像したあの時に流した涙の続きだから。

「ダメじゃないッ!
 死ぬべき奴なんて、ここに居ない!

 生きたいって思って、当然だろ……!
 なんでッ、どいつもこいつも……」

そうやって、最初っから命を簡単に投げ出すんだ。
誰かの為に、犠牲になろうと思えるんだ。
僕だって、ちょっとだけ、人のこと言えないけどさ。



「……やだよ、エノに死んで欲しくない。
 あのとき、思ったんだ。
 このままヒメノと一緒に、お前も死んだら……って、
 そしたら凄く、怖かった……怖かったんだ……、」

君が居ない未来が、怖い。
思い出すだけでも──バツ印のついた掌ごと、君を抱きしめる腕が震えてしまう。

もしかしたら、この数日篭っていたのは
自分の命を軽んじられたのは
……そんな気持ちから目を逸らして、どうにか押し込めたかったからかもしれない。

(-218) osatou 2022/03/07(Mon) 2:13:14

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


確かに、
君は人を殺した。

ここがどうであれ、許される事ではない。
W理解できるWとは到底言い難い行為だ。

そうして自分に刻まれたバツ印が、自分が生きて帰れない事実の証左。

「えの、」

だからこれは、フカワと話した都合の良いW奇跡Wの話。

  ──選ばれても、臓器提供をしなくても良い世界を願う
  ──そして、その先の未来で一緒に歩く約束をすること
  ──アクタさんは、出来ますか?

  ──一緒に"助けて"くれませんか、彼のことを



「何も考えずに、僕の傍で生きたいって、
 ひとつぐらい
我儘言えよ、エノ……!」


君の傷なんてお構いなしに、
震える身を寄せて、とびきり力を込めて、君を抱きしめた。

君と交わした言葉や温度、その全てが心地良くて大切だ。
沢山の愛の言葉や時間なんて、関係なくなるくらいに。


でも──とか、それに──とか、言わないで
共に奇跡を願ってくれやしないか。
(-219) osatou 2022/03/07(Mon) 2:21:44

【秘】   の名残 カミクズ → 美術 エノ


その日の話し合いの裏、落ちていく意識の中。

──ああ、死ぬのだろうな、と思って。
それから、きみに言われた言葉を思い出して。
やっぱり悲しませてしまうかな、なんて罪悪感が蘇って。

それでも、きみには生きて欲しいな、と思った。

その未来をこの目で見る事は叶わないけれど。
それは、ある種の呪いになってしまうとわかっているけれど。
重荷を背負って生きる事は、苦痛を伴うと知っているけれど。
話し合いの様子を、知っていたわけではないけど。

『絵乃さん』

『僕はずっと、きみに生きていて欲しいと思っていたんですよ』

『だから』

『きみが生きていたいと願うなら、
 僕は、きみの友人は、それが叶う事を願っています』

でも、それでも、そう願う事は。
友達の無事を、幸せを願うのは、それこそ普通の事でしょう?

そんな、ちょっとずるいメッセージは、確かに送信された。
だから、どうか、どうか。
これ以上、大嫌いなこの制度に、
僕が生きて欲しいと思った人が、奪われてしまいませんように。
(-221) unforg00 2022/03/07(Mon) 3:10:55
エノは、生きてほしいと願われている。
(a19) arenda 2022/03/07(Mon) 12:19:13

エノは、沢山の人に、生きてほしいと願われている。
(a20) arenda 2022/03/07(Mon) 12:19:31

エノは、何故、俺なんかにそんなことを言ってくれるのだろう、と思った。
(a21) arenda 2022/03/07(Mon) 12:23:18

エノは、ここ数日、泣いてばかりだ。20年の分を、取り返すみたいに。
(a22) arenda 2022/03/07(Mon) 12:23:52

【秘】 美術 エノ →   の名残 カミクズ

青年は、その通知を。
どこか、海の見える場所で見た。

「……なんだよ、そんなの。」
「俺だって、ずっと思ってたよ。」
「君に生きてほしかったんだ。」
「俺だって。」

「……俺、だって……………」


ぽた、ぽたと、砂浜に涙が溢れていく。
ずるいよ、自分ばっかり。
俺は君の事、ちゃんと見送りだしたじゃん。
君もそうしてよ。
そうして、くれないと。

「……っぅぅ………く…………」


───せっかくの脆い決意が、揺らいじゃうよ。馬鹿。


呪いみたいな優しさに、浸されていく。
友達って、ずるいよ。
(-240) arenda 2022/03/07(Mon) 13:03:32

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

抱きしめられた青年の体は、ずっと小さく震えてて。
小動物は、自分の鼓動で体が揺れてしまうのだと聞いた。
きっと今の自分もそうなのだろうと思う。
恐怖で張り裂けそうなくらいに叫ぶ心臓が、
死にたくないと体を揺らし続けている。

虹谷 絵乃は、恐怖に打ち震えるだけの小動物だった。


「俺は」

そんな奇跡を願っちゃいけない人間で。
だって俺、人を殺してるのに。
皆それを知ってるのに。
人殺しだって石を投げられて、当然なのに。

俺、自分の意思で彼女を殺したんだよ。
刺された場所と同じ場所を狙って撃った。
斬られた場所と同じ場所を、自分でナイフを作って斬った。
それでどうなるかなんて、分かってたのに。
理解したくて。
ただそれだけの理由で人を殺しちゃうような、
優しくされちゃいけない人間なんだよ。


なのに。
(-241) arenda 2022/03/07(Mon) 13:17:38
美術 エノ(匿名)は、メモを貼った。
arenda 2022/03/07(Mon) 13:18:03

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

「───くない」


「─きたい………」


「……死にたく、ないよ…………」

「生き、たいよ……………」

雨のように零れる言葉。
未来への未練、渇望、望み。
死への恐怖、後悔、怯え。
一度降り始めれば、ざぁざぁと。
音を立てて降り注ぐ。

「なんでそんな風に、言ってくれるの……」
「なんで、一緒に生きようとしてくれるの……」
「なんで」
「……なんでこんな印をつけられて、そんなことが言えるの………」

掌を、両手で手繰り寄せる。
付けられた印を、指で撫でる。
君、夢があるって言ってたじゃん。
夢を語る君の顔が、楽しそうで、素敵で。
俺、君には生きててほしいよ。
……俺が死なないせいで、君の分の臓器が足りなかったら。
俺、死んだ後も後悔しちゃうよ。自分を許せないまま死ぬよ。


───そんな辛い決断を、俺にさせる気なの?ねぇ……
(-244) arenda 2022/03/07(Mon) 13:26:51

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

合議が終わって、すぐの頃。
青年は君の遺体がある場所を人から聞いて、
そのすぐそばまでやってきた。
VRの世界では、遺体は奇麗なままだ。
あるいは遺体はもう残っていないのかもしれないけど。

「…………ヒメノさん、俺ね。」

挨拶もなしに語りだす。
青年にとっては、独り言のようなものだ。
死人は喋らない。だからこれは、自己満足な自分語りだ。

「本当は、虹谷 絵乃っていうんだ。」
「ニジヤ製薬って、知ってる?凄いおっきい所で、多分、うちの薬くらいは何回も見たことがあるレベルの。」
「そう、その製薬会社の社長の、息子なんだ、俺。」

ぽつぽつと、語っていく。
それはあるいは、『自分が特別である』という事を誇示するような。
自慢話にしか聞こえないのかもしれない。

「特にお金とかに困る事も無くてさ。」
「欲しいものは何でも買ってもらえたし。」
「美味しいものだってたくさん食べた。」
「著名人が集まる立食パーティとかもね、家で開かれたことがある。」
(-247) arenda 2022/03/07(Mon) 13:38:57

【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ

 膝の上に置かれた、コップを握る手。
 中身のオレンジは目減りしている。

「言われたわけじゃ……」

 というかそこまで深く話したこともないし、と。
 旗色が悪くなってきた少女はちょっと捨てばちな返答。
 ここでこの話はおしまい、と言外に物語って。

 逸らしていた目をぱっとあなたの方に向ける。
 苗字ちがうの、とぱちぱち瞬いて、首を傾げた。

「ペンネーム?
 ……じゃあ、エノさんで覚えておきます」

 どっちで来てもいいように。
 そう言って、それから笑って頷いた。

「うん。暑中見舞いも送ってあげる」
(-249) 榛 2022/03/07(Mon) 13:41:06

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

「なに一つの苦労もない人生だった。」
「虹谷って名前があるだけで、色んなことが許された。」
「俺さ、そんなに体格だってよくないけど。」
「変なのに絡まれたこともないんだよ。」
「ドラマみたいな誘拐事件だって、1回も経験したことない。」
「ただそれなりに、やりたい事を自由にやれる人生だった。」

自分の人生を思い返す。
嫌なことを我慢してやる、という事もなかった。
誰一人、叱ったりすることもなかったから。
したい事をして、したくないことはせずに生きてきた。
それでも、青年はそんなに破天荒な性格でもないから。
きちんと学校には行き、法も犯さずに生きてきた。
ただ家柄がいいだけの、普通の人生だった。

「……でも俺は、この名前が嫌いなんだ。」
「『虹谷』っていう、一生付きまとうこの看板が。」
「『絵乃』を覆い隠してしまいそうで。」
(-251) arenda 2022/03/07(Mon) 13:44:53

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

「『虹谷』というだけで、皆が俺と距離を置く。」
「あんまり話しかけても貰えなかった。」
「話しかけられても、無理して笑顔を作ってるような」
「媚びるみたいな感じだった。」
「友達と一緒に出掛けることもなかった。」
「『万が一怪我させちゃったら怖いから』とか」
「『庶民向けのご飯屋だから貴方の口には合わないと思う』とか」
「言ってもいない言葉で遠慮されて」

この前ね、人から、コンビニで売ってるレモンティーを貰ったんだよ。
美味しいんだね、あれ。
午後のって書いてあったけど、午前中でも飲みたいくらい、なんて、笑って。

「………親も、忙しくて、あんまり家にいなかったな。」
「兄弟仲も、悪くはないけど、仲良しって程でもなかった。」
「俺が、『虹谷』じゃなかったら。」
「もっと家族の距離は近くて、友達は普通に笑ってくれて。」
「一緒に遊んで、怪我して、安いご飯をお腹いっぱい食べて、楽しい時間を過ごせるような」
「そんな、『普通』の人間になれたのかなって。」

それは、特別であることを押し付けられた贅沢な青年の、呟きだった。
(-253) arenda 2022/03/07(Mon) 13:52:04

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

「………ねぇ、君はどうだったんだろう。」
「『普通』が嫌だって言ってた、君は。」
「どんな人生を送ってたのかな。」
「知りたかった。本当に。」
「君の事を知りたかったんだ。」

それは、懺悔の色を帯びて。

「……怖かったよね、最初に印が付いたとき。」
「むかついたよね、それを付けたやつに。」
「自分がもう死ぬってなった時、頭が真っ白になるし」
「なんで、とか、どうして、とか、そればっかり浮かんで」
「そうしてただ、『死にたくない』しか考えられなくなって。」

俺もいまそうなんだよ、と、震える手を握って。
もしこれが、理不尽に突き付けられた死だとしたら。
きっと君と同じ様に、何か活路を探して、刃を手に持ってしまうのではないかというくらいに。
怖くて、怖くて、逃れたくてたまらなくて。

「……俺がつけたんだ、君の印。」
「合議に遅刻して、参加してなかったってだけで。」
「君を、"死んでもいい人間"って判断したんだ。」
「……馬鹿だよね。人が死んでも構わないって、本気で思ってたんだよ、その時は。」

自分に生への執着が芽生えて初めて、死の重さに気付くなんて。
呆れるくらいに幼稚な情緒で。
(-256) arenda 2022/03/07(Mon) 13:59:33

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

「……俺が君を殺したんだ。」
「君の体も。」
「君の心も。」
「俺が殺してしまったんだ。」

ごめん、と。
ぽつりと零れた言葉が、やがて。
雨のように降り注ぐ。
ごめんなさい、ごめんなさい。
恨んでください、呪ってください。
決して許さないでくださいと、何度も、何度も。


やがて、言葉が止んで。

「………今、君の死にたくない気持ちが、嫌というほど理解できる。」
「…きっと、それだけが良かった事。」
「………それだけ、ごめんね、ヒメノさん。」
「……………ごめんね。」

そうして立ち上がり、離れていくことだろう。
(-257) arenda 2022/03/07(Mon) 14:03:36
エノは、遺体の前で懺悔した。
(a25) arenda 2022/03/07(Mon) 14:03:55

【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ

青年は二度目のコップを早々に空にした。
血が足りない分なのか、喉が渇く。
まぁ、ジュースでは水分補給もままならないが。

捨て鉢な様子には、ふ、と小さく笑って。
それ以上の追及はしないであげておく。

「うーん、どっちかというと逆。」
「また今度教えてあげるよ。…あぁでも。」
「この後は君、デートで忙しいもんな。」

じゃあ話す機会ないかも、なんて。
やっぱりちょっと茶化しをいれて。

「いいね、君から来たって一発で分かるようにしといてね。」
「たくさん来るから、埋もれちゃう。」

なんてお願い一つ。
ハガキではなかなか難しいお願いだ。

「………そろそろ合議の時間かな。」
「君は準備したら?俺も………もう少し休んでからいくし。」

そろそろいい時間かな、と時計を見やった。
(-261) arenda 2022/03/07(Mon) 14:08:41

【秘】   の名残 カミクズ → 美術 エノ


それがずるい事だとわかっている。

誰だって死にゆく人には生きていて欲しいと言いたくて、
けれどそれ以上にその意思を尊重したいから口を噤むのだと。
でも、きみがもし、生きていたいと望むなら。
やっぱりそれも尊重したいなと、思うから。

きみは上葛を送り出して、上葛もきみを送り出した。
ただ、送り出す先が、抱く決意が違っているだけ。
なんてのは、屁理屈だろうか。

屁理屈でもいいから、願わくば。
なるだけきみが後からゆっくり来てくれたらいいな、と思う。
文句なら、向こうでいくらでも聞くから。
いつまでだって待てるから、そこは心配しないでほしいな。
(-271) unforg00 2022/03/07(Mon) 16:01:14
エノは、もうマップに反応のない"友人"に会いたいと思っていた。
(a26) arenda 2022/03/07(Mon) 17:09:00

エノは、その友人から送られてきたメッセージに
(a27) arenda 2022/03/07(Mon) 17:09:26

エノは、「………ずるいよ…………馬鹿………」と、ただ、俯いて呟くのだった。
(a28) arenda 2022/03/07(Mon) 17:10:02

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


君が生きたいと口にすれば
涙で潤んだ瞳が、にっと笑った。

「なんでって……、」

君の指が、掌をなぞる。
バツ印は消えないし、歪むこともなく
逃れられない未来の終わりを告げてくるけれど

「……分かんない、
 エノが目の前で死にそうになってて、今こんなんで、
 吊り橋効果とか、かも、しれないけど、」

ぐい、と自らの瞼を袖で拭う。
それから同じように、まっさらな方の手の先で、君の頬から──目の端まで。
雨に傘をさすかわりに、拭ってやった。

「でも、これが誰かをW好きWって気持ちなら
 ……なんか良いなって、思う!」

我ながら、どうにも、舞台の台詞っぽいだろうか。
でも、たまにはペンで綴る言葉を吐いたって、良いだろう。
……だってこんな気持ち、知らなかったから。

(-294) osatou 2022/03/07(Mon) 18:44:06

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


「僕も、どうせ死ぬんだって思ってた。
 文字さえ書ききれば思い残す事ないやって、
 ちょっとは好きになれたW友達Wの為に死んでやるかって、思ってたけど、」

震える君の背を、まるで子供にそうするように
優しく、慈しんで、あやすように撫ぜながら

小さな声で、秘密の話を君に囁く。
誰にも言うなよ、と前置きして。


「そいつがさ、
 僕に投票しておいて、
 僕の為に臓器提供してやるとか言う癖に
 ……今更奇跡を信じろとか、言うんだよ。」

おかしいよな、と小さく笑う。
男の頭に浮かんでいるのは、
不運
の名を有する──ここに至るまでに、背中を押してくれた彼だ。

「だから、なんかさ、
 バカみたいに信じてみたくなった。」

それだけ、と告げて君を腕中から開放する。

「後悔してるならさ、生きろよ。
 逃げないで、ちゃんと全部背負って生きてさ。
 ……重くなったら、支えてやるから。」

そろりと君の顔を覗き込むその表情は、夢を語った時と同じで、君と歩む未来を想像して、瞳を煌めかせていた。
(-296) osatou 2022/03/07(Mon) 18:47:54

【秘】 普通 ナツメ → 美術 エノ

 笑んだ吐息に、恥ずかしさとか怒りとか好感だとか。
 他愛ないそれらがないまぜの、子供じみた感情を抱きつつ。

「そ……うです、デートなので!
 明日じゃなかったら、またお喋りしてあげますけど!」

 かなりやけっぱちだ。
 友達とのお出かけをそう呼ぶくらいの……
 つまるところいつも通り、を装うのに見事に失敗している。

 そうして、一発で?とオウム返し、考え込む素振り。
 促す言葉にはっと顔を上げ、掛け時計へ目をやって。

「……うん、じゃあ。先に行ってきます。
 手伝いが必要だったら、呼んでくださいね」

 そう言って、立ち上がる。
 コップを洗って、必要ならあなたの分のおかわりを注いで。
 また後で、と医務室を後にした。

 4日目。
 少女が投票用紙を2枚、取りに行く前のできごとだった。
(-299) 榛 2022/03/07(Mon) 19:09:51
エノは、4日目の投票前、「じゃあ、明後日にでも話すよ」と誰かに言った。
(a31) arenda 2022/03/07(Mon) 19:44:37

エノは、その数時間後、その約束を破るように、裁判所で挙手をしたのだった。
(a32) arenda 2022/03/07(Mon) 19:45:15

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

君の、にぃ、と笑う顔が素敵だと思った。
涙を拭われれば、目を細めて。
その顔は、随分幼げに見えただろう。
青年は、まるで幼児がそのまま大人になってしまったかのような。
拙い情緒のまま、君の腕の中に納まっている。

「……俺、愛とか恋とか、わかんない。」
「人とちゃんと仲良くなったことが、ないから。」
「……でも……」
「………君に好きって言ってもらえるのは、嬉しい。」
「………嬉しいし、俺も好きだよ………」

たどたどしく、まだ震える喉から声を出す。
誰かに、愛される事。
きっと自分が心の底から望んでいた事。
もし、生への執着を知らなければ。
ただ、理解だけを追い求めていたらきっと。
『じゃあ、一緒に死んでね』と言ってしまったであろうその言葉。

…今は死にたくないし、死んでほしくもなくて。
(-311) arenda 2022/03/07(Mon) 19:56:55

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

「……あの人はさ、勝手だよね。」
「………勝手なことばっかり、言うんだ。」

君の背を押したであろう、その姿を思い浮かべて。
理解したいと言われて。
でも理解できないと言われて。
自分は死ぬけど、君は生きてほしいと言われて。
今はこうして、誰かの背まで押して、俺の決断を鈍らせて。
……ずるいよ。ずるい人ばっかりだ。

「………俺は、でも。」
「俺が、俺を許せない………」
「ここの誰より、殺してしまった彼女より、自分が自分を許せないんだよ。」
「だから」
「だから…………」

青年は、口を噤んで。
生きたくて仕方ないと泣き叫ぶ心を、抑えて。

「………してしまった罪の、清算は、したい。」
「……もし、もしもだよ。俺の中で清算が出来て」
「それでももし、俺が生きてたら。"奇跡"が起こったら」
「その時は…………」
(-314) arenda 2022/03/07(Mon) 20:03:56

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ




「俺の未来を、貰ってくれる?」





耳元で囁くそれは。
決意が揺らいで、ほんの少し、未来を求めてしまった、その証。
(-319) arenda 2022/03/07(Mon) 20:07:30
エノは、ナツメ>>6にどこかからメッセージを送った。『俺の好きな奴』
(a35) arenda 2022/03/07(Mon) 20:21:33

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


子供みたい。
そう揶揄ってやろうかと考えて、辞めた。

「…………そ、そうか……
 わ、わかり……ました………」

言い出しておいて、その手の言葉にめっぽう弱い。
俺も、と返ってくることが嬉しくて、
むずむずして、何とも言い難くて、視線を逸らした。

(-332) osatou 2022/03/07(Mon) 20:47:34

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


「分かった、」

「ちゃんとやれよ。」

何を、とも。どう、とも。聞かないけれど。

「投げ出すなよ。」

君がそう決めたのならば
W清算Wを見届けようと思う。
本当は少しだけ、怖いけど。

それでも誰もが、奇跡を願っているのだから
これが最期になるとしても、

前を向いて、生きていたい。



──夜の砂浜。
すっかり時間は経っていて。

君の隣で、奇跡を待とう。
(-333) osatou 2022/03/07(Mon) 20:48:21
 




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