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![]() | 【人】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「は?」 真っ先に、それを聞き取った耳を疑った。 次いでそれらを文字列として見た目を疑った。 最後に今起きているかどうか、自身の頭を疑った。 数秒後にわかった。いずれも正しかった。 そしてそうと知った瞬間、自身の率いるチームに かつてない速度での伝達が為される。 『カンターミネより伝達。ノッテファミリー全体へ連絡。 緊急連絡用の回線でだ。ニュースページのURL、 そして『反社会組織取締法』の施行及び、 即時執行が確認された、文面は以上! 逮捕者……ガイオと、警察の巡査パオロについては 盗聴機から出た情報些細なのも全部洗ってこっちに流せ、 逮捕理由がマジなのか確実にしたい。 全員、偽情報も疑え。なにより、足跡をつけるなよ』 今から数時間、最も忙しい時間になるだろう。 複数の端末を机に広げて、PCの電源を入れ、 ブート音を聞きながら息を吐く。 6本セットのエナジードリンクを引きずって、気合を入れた。 「最悪な一日になりそうだな」 その言葉から20秒。あらゆる部署からの 誤報を疑う声と、どうなってるんだの怒号、 情報を求める冷静な声、etcetc...全ての端末が鳴り響く。 カンターミネのチームは、それらに晒される事となった。 (0) shell_memoria 2023/09/14(Thu) 21:21:40 |
![]() | 【独】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ/* 耳の早い情報係として絶対1レス目取りたいって思ってた 取れた もう悔いはない……(高速成仏) いや悔いあるよヴィットーレ姉貴ィ!!! (-4) shell_memoria 2023/09/14(Thu) 21:25:41 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ取締法施行により世間が騒然としたその日のこと。 勤務を終えた女が向かったのはあなたのモーテルだ。 あなたがきっと今日は忙しくしただろうということは想像にかたくない。 問題はその忙しさが少しも想像できない上、きっと想像したところでそれを遥かに凌駕しているだろうことだった。 …いるだろうか。 若しくは帰ってくるだろうか。 帰りがどれだけ遅かろうと、その入口で女はあなたを待つつもりでいるが。 ――夕方からは、雨が降る。 女は傘を持ってはいない。 (-37) oO832mk 2023/09/14(Thu) 23:14:33 |
![]() | 【神】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネアジトの一画の、その隅で毛布を被ってくたばっている。 ここに居る面々の端末に恐らくは連絡を入れて、 対応をして、その他諸々。現在は短い休憩中だ。 「俺の耳がもげて落ちてたら拾っといてくれ。 あと指。ついでに目。喉も。乳は落ちねえよ触ったら殺すぞ」 疲労のせいだろう、いつもより言語の治安が悪くなっている。 そんな折、また端末がひとつ震えた。舌打ちの音。 「10分……いや、3分で戻る」 端末の向こうの部下の声に何か思う所があったのか、 普段の通りに『情報』を食う為の気力か。 宣言通りに3分後、毛布を引きずって歩いていく。 「各位急用があったら俺の個人端末によこしな!」 去り際、それだけ投げかけて扉の向こうに消えた。 #アジト (G21) shell_memoria 2023/09/14(Thu) 23:46:37 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラモーテルの扉には『chiuso』の看板。 本来ならこういう時は一緒に理由の書いた紙が貼られている (ただし、大抵は「昼寝」だとか「散歩」だとか) のだが、今日に限ってはその紙すら貼ってない。 きっと朝から既にモーテルの主の姿はなく、 昼を過ぎても帰る事もなく。 珍しく一般客が寄ってきたかと思えば、 看板を見て首を傾げて帰っていく。 いつもならシエスタの時間と洒落込む頃にも帰らず、 緩やかに伸びる影は建物と空を覆う雨雲だけ。 ぽつ、ぽつと降り始めた雨音が少しずつ数を増し、 モーテルの軒先に隠れても濡れる頃。 「腐れ署長が金でずぶずぶの癖しやがって俺の時間をめちゃくちゃにした挙句大した情報も寄越さずにへらへらしくさりやがるクソが俺がプレデター並みにステルス出来てたらあのボケの歯全部にドリルで穴開けてキンキンに冷えた炭酸をスポイトで毎秒垂らし続けてやるっつーの」 疲労と殺意を漲らせた女が小さな折り畳み傘で防ぎきれない 雨を受け、覚束ない足取りで歩いてくるのが見えるだろう。 そしてあなたの姿を見たなら、驚いた顔で呆然と立ち尽くす。 口をはくはく、どうしたらいいかわからないという風に。 (-55) shell_memoria 2023/09/14(Thu) 23:59:54 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ強まってきた雨の中、どれだけそこで待っていたのか。 軒先で膝を抱えた女はあなたの姿に気付くと徐に立ち上がり、濡れることも厭わずその姿へと近付いた。 「よかったあ…。帰ってこないかと思ったあ…。」 へにゃりと脱力した笑顔。 髪が頬に張り付き、眼鏡のレンズも結露みたいに濡れていく。 幸いというべきか、この雨のお陰か付近に人気はなかった。 「…おかえりい。お疲れ様あ、ミネ。」 雨音に消されない程度の、けれど決して大声でもない間延びした声。 そうこうしているうちに、女の衣服も雨に濡れて少しずつ重くなっていく。 (-108) oO832mk 2023/09/15(Fri) 6:14:00 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラこういう時、お喋りな奴ほど言葉が出ないのはなぜだろうか。 恐らく、その大半は後になって同じ事を口にする。 『言いたい事が多すぎて何も言えなくなっていた』と。 カンターミネもまた、そう口にするだろう。 「なっ」 なんでこっち来ちゃうんだよせめてそこにいた方が濡れなくて済むだろよかったじゃないよなに笑ってんだよあーあー雨が当たっちゃって。 「い、」 一体いつからそこにいたんだよまさか朝からとか言わないよなそうだよな今日仕事のはずだろって事は来たのはさっきだろ昼とかも言わないだろ幾らエーコでもそうそう早退とかしないだろうしいや半休か?いやそこはどうでもいいんだ今なんつった帰ってこないかもって? 「ま……」 まさかとは思うが心配だったとか言う気か?だからってこの雨ん中で膝抱えて待ってたって?本気で言ってるのかおいおまわりさんがこんなモーテルの前で座り込んで誰かに見られたらそれこそ怪しまれるだろ、心配してたんだとしたらあの法律の事だってわかってるだろわかっててここにいるのかそんな訳ないだろ思い上がりすぎだろ俺いやそうじゃなくてああもう。 言葉の欠片だけ、雨よりもずっと少なくぽつりぽつり。 疲労と混乱でこういう時ばかり動かない頭の代わりに、 ひとまず動く身体で近寄り、小さな傘をぐっと あなたの方へと傾けた。ほとんど密着するような距離で、 また口をもぞもぞ動かして、あー、とか、うー、とか、 そういった欠片の後にやっと一言。 「……ただいま、エーコ。」 零した後に、ため息もセットにして、やっと頭が回りだした。 「……これ以上濡れたら風邪ひくぞ、とりあえず入ろうぜ」 鍵を開けて、中へと誘う。 どうせ客は来るまい、看板は『chiuso』のまま。 (-167) shell_memoria 2023/09/15(Fri) 17:37:16 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「んー?」 その欠片だけで、不思議と。 言わんとすることの大半が分かったような気がしてまたへにゃり。 「ありがとお。」 あんまり変わらない背丈の2人がひとつの小さな傘の下。 それでも少しだけ大きい女は、ほんの少し屈む形でもう少しだけ身を寄せた。 頬の水滴を軽く拭う。そんなしぐさでも小指のエナメルが目に留まった。 はあい、とゆるく首肯をしてまた軒先へ。 あなたが鍵を開けるまでの間、ようやく少し濡れた眼鏡を気にしてガーゼのハンカチで拭った。 誘われるまま屋内へ足を運ぶ。先日と同じように、靴底が床を叩いて鳴らした。 「…忙しかったでしょお、今日〜。」 世間話、というには真に迫っている。 たった1日で、がらりと世界が変わってしまった。 (-176) oO832mk 2023/09/15(Fri) 18:40:17 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「我らがお嬢はこんな時でもお可愛らしい事で」 嫌味のような言い方で嫌味のような内容の言葉を しかし嫌味ではない音で投げ渡し、 そこでむう、と頬を膨らませる。なんだか諸々悔しいぞ。 折り畳み傘をばさばさやって軒先に水を飛ばして置いて、 屋内に入ったら入ったで今度は白衣をばさばさやって、 こりゃ着回しはやめとこ、と雑に洗濯物として籠に放った。 「……そりゃあなあぁ〜。まあお互い様だろ? で、そんな状態で俺のモーテルの前におまわりさんが一人、 膝抱えて待ってたら心臓止まりそうになると思わねえ〜? 雨ん中で傘も差さないでさあぁ」 なるべく明るい声音で、ふざけるような仕草も見せた。 それからあなたの服があまりに濡れてるようなら、 着替えを貸すから脱いどきなよ、と白衣を放った籠を示す。 そしてシャワーの準備するかあ、とカウンターを越えた。 (-201) shell_memoria 2023/09/15(Fri) 21:57:35 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「あはー。ごめえん…。」 それに関しては。 責められるとぐうの音も出ないというのが本音である。 己の立場がデリケートなものであるという自覚だって当然あるのだ。 …その上で、それでもここに足が向いてしまった。 不在の理由なんて分かりきっているのに、不安を拭いきれなかった。 「……ミネはあ、あたしが逮捕しに来たって、思ったあ?」 お言葉に甘え着替えを借りることにして、上着をするりと脱いで籠に入れる。 背を追いながら、微かに茶化すように、けれどどこか静かに訊ねる。 (-207) oO832mk 2023/09/15(Fri) 23:05:34 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「俺も心配させるくらいには普段からあちこちに 虫ばら撒いてるからな、そこもお互い様って事で」 器用な事に歩きながらブーツを脱ぎ捨て、 よろめきながらニーソックスも放り、 ぺたぺたと足音を響かせて歩く。 後ろからの静かな声にもその歩み、止まることなく。 「いいや?エーコは俺をよく知ってるからな。 俺を逮捕するとしたらエーコじゃないね。 ……そう願ってる。お前に俺を捕まえさせるなんて、 そんな惨い事あるか?俺が一番嫌がる事だぜ、それ」 にひ、と笑って振り返る。疲れの色が滲む笑顔だ。 そして上衣を脱ぎながら、もごもごと布の向こうで声がする。 「まあ、エーコが警察の上からの命令で 絶対そうしなくちゃ疑われるってんなら、」 ぷは。 「俺はいいよ。捕まってやるさ。 けど、俺のチームがどうするかはわかるだろ? だから、出来ればお前が逮捕には来ないでほしいな」 ぷち、ぷち。ブラを外して、スカートもその場に落とす。 丁度、浴室の扉前に着く頃。一糸纏わぬ姿で、背を向けた。 (-212) shell_memoria 2023/09/15(Fri) 23:31:04 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「…うん、そっかあ。」 やわらかな声。 「せいかあい。…捕まえないよお。」 「ぜったい。あたしも、ミネを檻の中に入れた人になりたく、ないしい」 それはもちろん、あなたのことやそのチームのことをよく知っているというのもあるけれど。 …けれどの先も、女は告げやしないけれど。 「…でも」 「………」 「……ううん」 ふるりと、言いかけた言葉を止めて。 「とりあえず、行ってらっしゃあい」 微笑み顔で、背なを見送る。 (-227) oO832mk 2023/09/16(Sat) 0:45:32 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「お、意外〜。『一緒に入る』なんて言い出すかと思ったぜ」 けらけら笑って、すぐ出るわー、なんて告げて扉を閉じて。 ノズルを捻り水音を出す。ざあざあと外の雨より激しい音の中、 「――――――」 何事か呟いて、大雑把に身体を流した。 「……?あっ眼鏡外し忘れてた」 妙な視界に気付くのは、バスタオルを手にしてからだった。 大雑把に水気を拭いて本当に数分程度で出てくる。 「お待たせ。エーコも入るだろ? 風邪引いたって俺は看病に行けないんだぜ〜?」 へらへら笑いながら、下着もつけずに ぶかぶかのシャツと新しい白衣を身にまとう。 今日はもう仕事場に戻らないで自室内に留まるのだろう。 シャワー使わないにしろ着替えはその辺の使ってくれ、と 示す棚には多少、あなたの趣味に合わせた服が入っている。 (-231) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 1:15:35 |
![]() | 【独】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「なーにが"でも"だよ、何言ってもいいのに。 ……でもエーコ俺が聞かないと言ってくれないよなあぁ〜」 シャワーの最中、全幅の信頼を寄せる親友に。 「一回だけ聞いてみようかな……。 それで何も言ってくれなかったら、その時はその時だ。 何言われてもエーコの言う事なら信じるしやるが…… エーコが悲しまないように、したいよなあぁ〜……」 変わらぬ信を貫くと決めて、浴室を後にした。 (-232) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 1:20:24 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「いいのお。…行ってらっしゃあい」 再度、念押すように言って今度こそ見送る。 浴室の扉が閉まる音がした直後、その顔から笑顔は消え失せていた。 次に扉が開いたときには、元の変わらぬ姿でそこにいる。 借りまあすなんて言いながら脱衣して、こちらはきちんと眼鏡を外すと入れ替わるように浴室へ。 ただでさえぼやけた視界が湯気で曇り、霧の中にいるようだった。 「ただいまあ。」 雑に拭いた身体で女が浴室から出てきた女は、眼鏡を外したままあなたと同じように1枚だけシャツを着る。下着はない。 …徐にその手が伸びてあなたの服の袖をきゅ、と掴んだ。 それだけで、続く言葉も特にない。 (-235) oO832mk 2023/09/16(Sat) 1:32:11 |
![]() | 【秘】 拷問吏 ネロ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「……女史。 この生業を、拙の郷では『とぐり』と呼ぶが。 実は警察側にもとぐりの使い手がおる」 混乱と猜疑が乱れる中。 唐突に、貴方の元を訪れて、そんなことを言う。 暇話だ、時間や余裕がなければ捨て置いてよい、と付け加える。 別の用事で忙しければ、触れずに別れてもいい。 それほど重要な情報は持ち合わせていない。 (-236) reji2323 2023/09/16(Sat) 1:32:33 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ浴室が使われている間、鼻歌を歌う。 口遊む音は子守歌。 「ん、おかえり〜」 その姿を見て、おや、と首を傾げる。 続く動きにもまた、おやおやと今度は口に出した。 「……とりあえず、俺の部屋行こうぜ。 廊下で、この格好で、じゃまた冷えちゃうから」 服の袖を掴む、その手に手を添える。 あなたの意図が何にせよ、この後どうなるにせよ。 拒否されないなら、手を引いていく。 熱が足りないならば、腕を抱く。 部屋まで行けたなら、ベッドに腰かけて。 ぎ、とスプリングの音と共に、珍しく静かになるだろう。 (-240) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 1:46:07 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 拷問吏 ネロ「おん?とぐり?」 あなたが訪ねた頃……というよりは、 訪ねられるくらいにファミリーの状況が収まった頃。 正確に言えば収まってはいないのだが、 ペネロペが吼えたおかげで多少落ち着いた頃。 尤も、混乱と猜疑はまるで消えていない中ではあるが。 聞きなれない言葉に、ぐったりと机に垂れていた女は 頭を揺らしながら聞き直した。 「……警察ぅ?意外な所から意外な情報だな、ネロくん。 今の俺に中々なブローを入れてくるじゃあないか。 ……まあいいや、頭の休憩にその暇話とやら、 ちょっと聞いてみるとしよう。続きをどうぞ?」 (-242) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 1:52:26 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ視界は不良。 おやおや、の声にまた脱力した笑みが返る。 えへへと漏らす声にも照れや躊躇いはない。いつも通り。 提案にはまた間延びした返事を返し、大人しく手を引かれている。 まるで迷子の子どものようだ。 …いや、どちらかというと迷子から連れ帰られる子どもだろうか。 部屋へとたどり着き、あなたがベッドに腰かけると、そんな女の手がまたするりと伸びた。 肌の表面を掠める程度に頬に触れる。そのまま通り過ぎて、濡れたライムグリーンの髪を退かせた。 珍しくて鮮やかなこの髪の色が、あなたの瞳と同じこの色が、女は本当に好きだった。 「……ねえ、ミネ」 どこか静けさを纏った声が、空気を揺らす。 「……暫く、もう、…会えなくなる…?」 ――現実を見れば。 それが当然であると、女だってわかっている。 (-248) oO832mk 2023/09/16(Sat) 2:31:38 |
![]() | 【秘】 拷問吏 ネロ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「女史も知っての通り、情報とは資源だ。 故にその資源の融通が組織間を通して行われぬとき、 "とぐり"を使えぬならば社会通念に照らし合わすしかない。 罪悪感、社会的道徳、社会圧力、それらが彼らの得手だ。 だがそれらでも口を割らぬ者がいた場合、 最も安易で安価な方法が"とぐり"であるのは、 あちらもこちらも同じであるという話だ」 つら、と独り言のように述べて、 止める間もなく、和服を腰まで開ける。 ――白い肌を捩じるように、背中一面に、拷問痕がある。 「故。警察の拿捕は無事を保証出来ん。 長く生きたければあちらを深追いするべきではない、 という旧知からの在り来たりな助言と共に――」 ▽ (-270) reji2323 2023/09/16(Sat) 16:17:24 |
![]() | 【秘】 拷問吏 ネロ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「女史は―― 彼奴らに"面子"を潰されてでも長く生きたいか? という問いを投げに来た」 その笑顔は、彼らから見ての"悪"のそれである。 同胞を辱められてなお、震えて安寧に過ごせるほど 己も人間が出来てはいない。 少しでも情報を知る者がいたら、 命を奪うまで責めよう、と視線が告げている。 (-271) reji2323 2023/09/16(Sat) 16:18:36 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ頬と髪。それに触れて嫌な顔をされない者はたったの二人だ。 ひとりは、自分。そしてもうひとりが、あなた。 そのあなたの口から伝わる静けさを受け取り、 真面目な顔で暫し、考える。触れたままの手は、そのままに。 髪の水気があなたの指を湿らせる頃、その手に手を重ねた。 「いいや。毎日だって会えるさ。 だって俺は変わらず街ん中を歩くから、 巡回の警察と会う事くらいおかしくない。 秘匿回線で通信するのもいいな。端末隠しとけばいいし。 まあ開き直って毎日通ってもいい。 俺から警察署に行ってみるってのもアリか?」 重ねた手にすり、と頬を寄せる。 手の平に唇をつけ、上目遣いに微笑みを渡す。 冗談なのか、本気なのか。子供染みた、屁理屈のような言葉。 (1/2) (-282) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 18:25:12 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「……なあ、エリー」 昔はきっと、そう呼んでいた。 けどいつからか、ファミリーネームの方で呼び始めた。 理由を聞けば、そっちの方が可愛いとか、言っていたけど。 一度だけ、徹夜と酒でふにゃふにゃの時に零した事がある。 『この名前は俺だけが持っていたいから』。 他人に聞かせないように、内緒でしまいこんだ大事な名前だ。 それを取り出す時は、決まってあなたの傍にいると決めた時。 カンターミネがノッテに入る時も、きっとそうだった。 「そんな寂しそうな顔するなよ。釣られちゃうだろ。 大丈夫だ、俺はいつだってお前の傍にいるから。 捕まったら?その時は……はは、毎日尋問しに来てくれ。 エリーが捕まったら毎日面会に行くさ。 それで俺が捕まったら、隣同士の独房になって、 毎日壁越しにモールス信号でお喋りだ。 いいだろ、楽しそうで。足りない?それじゃあさ――」 いつもの笑みとも、楽しそうな笑みとも、違う。 頬に触れる手を、唇でなぞりながら。 「今日を、お互い一生忘れられない夜にしてみる。 ……ってのは、どうかな、エリー。」 誘惑するように、唇の端を歪めた。 (2/2) (-284) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 18:29:07 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 拷問吏 ネロ「ああ」とか「そりゃあな」とか「ふうん」とか。 相槌を並べて、情報を食らう。 そうして聴覚情報の次に、視覚情報を得て、目を細めた。 「……随分派手にやるもんだなあ、あっちも。 最近……って訳じゃあなさそうだが。 助言はひとまずしっかり受け取っておくとして……」 身体を机から起こし、しかし頬杖をつく。 或いは、それはあなたにとっては『期待外れの反応』か。 「生憎、その問いに即答は出来ないな。 なぜなら、そこまで難しく考えて生きてないんでね。 今の俺の行動原理は簡単だぞ、ネロくん。 『俺に無駄に疲れる仕事をさせたバカタレを、 いかにして徹底したひどい目に遭わせてやるか』。 尚且つ、『俺自身はいかにしてそのバカの目を 掻い潜って日常のクオリティを保つか』、だ」 つまるところ、署長代理とやらと、その背後の富豪以外に カンターミネの目は向いていないのだ。 ノッテファミリーのボスもただ離れただけでは絶対にない。 なれば、必ず『カウンター』の機会はやってくる。 「極東の方じゃ『研ぎ澄ます』って言うんだろ?こういうの。 しばらくは大人しくするが吉、が一応の上官たる メイドマンとして俺が言える事だな。 刃を抜く時は一瞬でいい……ってな」 「ああ、あと――」 (-288) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 18:46:57 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 拷問吏 ネロ「警察の中には俺の地雷も埋まってるもんでね。 ネロくん、間違ってもそれを踏まないようにしてくれよ?」 常の笑みは瞬時に剥がれ落ち、疲労の向こうに殺意が滲む。 無論、あなたはそれに動じるような相手ではない、 そう知っているが。知っていてなお、する。 その意味は、ファミリー傘下のアソシエーテなら分かるはずだ。 やってはいけない事もある、と。知らせるため。 「……ま、そういう訳だ。俺は手伝いを喜んでしよう。 カスの署長に辿り着く情報があるなら諸手を挙げて 取りに行くとしよう。薬も試し、それ以外も試し。 ネロくんの身体に刻まれたものより酷い事もしよう。 ただ、間違っても踏んでくれるなよ?」 言外に、軽率な行動は慎むべし。そう含んだ言葉だった。 これは、あなた以上に悪である。 運命の女神が用意した天秤の傾きを、 誤魔化してやると言って聞かないのだから。 (-289) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 18:55:22 |
![]() | 【神】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ『ごめん無理疲れて行けねえ』 『手ェぷるっぷるなんだけどマジ打鍵しすぎた』 『なんか夕方から雨降りそうだし』 『事故らないようエナドリキメて帰るわ』 『盗聴器とカメラ仕掛けたぬいぐるみ置いていくから』 『よしなにしといてくれ』 情報部門、K.O.の連絡が入った。 時間になるとチームのくたびれきった部下数名が、 申し訳程度に緑色のヅラをかぶせたテディベアを 半ば這うようにして置きに来るだろう。 #アジト (G38) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 19:48:48 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ子どもの頃から、あまり思いを顔に出さない方だった。 だけど、笑おうと思えば笑うことだってできる子どもでもあった。 どれだけ寂しくても、笑って母を見送れる、そんな子ども。 そんな女の“寂しい”に気づける人は数えるほどしかいない。 そしてその1つ目の指に、あなたがいる。 「ミネ……。」 ほんのささやかな、言葉遊び。 たったひとりの友人の名前を縮めると、とある国では“わたしのもの”と意味する言葉になるらしい。 ほんの少しのいたずらごころが芽生えた子どもの頃からずっと、女はあなたをそう呼んでいる。 (1/2) (-302) oO832mk 2023/09/16(Sat) 20:10:05 |
![]() | 【秘】 拷問吏 ネロ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ"胆"を向けられ、肌を焼くような感覚がある。 ……成程、ここが彼女の分水嶺か。 皮を剥ぐように生死の境界が見えない分 こちらの方が人の死としての陰が見えづらい。 殺気に、半歩、踏み出した足を僅かに戻し。 「……心得た。学びがあるな。 釈迦に説法であったようだ。 互いに棄て鉢に刺す熱釘は己で用意出来たか」 或いは最初からその熱釘で焼かれる肉への覚悟を、 内側に持ち合わせているかのどちらかだ。 「忙しき時に時を潰させたな。 古傷を自慢したがる男の性質として忘られよ。 そちらも心得た。向ける足先の踏む陰に気を払おう。 拙としても人を傷つける行為など、最も忌避するところだ」 居住まいを正し、飄とした顔で肩を竦め、場を立ち去った。 (-303) reji2323 2023/09/16(Sat) 20:10:06 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネあなたの髪に触れ湿った指先にうすらと熱が灯る。 けれどそれは女から見える蠱惑的な景色を理由としたものではなかったように思う。 ただその言葉がひとつひとつ、じんわりと胸に染み込んでいって、息が詰まる。 「…うん」 「ミネが捕まったら、尋問にこっそり食べ物持ってくしい」 「一緒に捕まったときはあ、夜通し、おしゃべりするんだあ…」 するりと衣の擦れる音がして、あなたの身体に覆い被さる。 その耳元に顔を埋めた。心臓の音が、とくん、とくん。 「約束…するの。忘れないよおに」 「ミネがいつも傍にいるって、…あたしが忘れちゃわないよおに」 やおらになだれ込むように。あなたの身体と一緒に、布団にころぶ。 「…忘れられない夜」 「ご教授、お願いしまあす」 へにゃり、と笑った。 今度は寂しさを隠すための笑顔では、なかった。 (-304) oO832mk 2023/09/16(Sat) 20:11:06 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 拷問吏 ネロ「お互い様だろぉ?」 釈迦に説法、その言葉。 へら、と笑うその顔はいつもと同じ。 剥がれた皮を被り直して、手を振り振り。 「いいさ。いい休憩になった。 かたき討ちに行く時は呼んでくれよ? そういう方面の仕事で頼りにしてるんだから うっかり蛇の尾を踏んだりするんじゃないぞ〜ネロく〜ん」 踏み出す先を選ぶ、その目があるアソシエーテ。 恨みつらみが深まれど、迂闊に踏み込まないその心。 カンターミネは一応の上司として評価している。 さて、あの傷をつけたのは誰なのやら。 ぼんやりと休憩時間の終わりを見て、 こちらも肩を竦めてモニタに向き直る事となった。 (-306) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 20:26:19 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「そう来なくっちゃな」 くすくす、笑いながら肌が重なる。 薄衣二枚、所により一枚、或いは遮られず。 鼓動が響く。皮、肉、骨、血液、伝わっていく。 ――余裕そうな顔をしながら、あなたよりずっと速い鼓動が。 「……ばれちゃった?」 ふへ、と笑う。何が、とは絶対言わないけれど。 だって、今更恥ずかしくて言えないし。 笑顔で誤魔化せないその分を、 動かない口の代わりに身体に乗せて。 おずおずと指先を絡めて、衣の内に指を這わせる。 上に居るあなたに、顔を寄せて、重ねた。 建物に打ち付ける雨音に、微かな水音と吐息を混ぜて。 「エリー」「約束、して」「俺にも、エリーを刻んでよ」 見上げる微笑みに、瞳を潤ませて。 「傍に居させてくれよな」 きっと、昔と同じように、屈託のない笑顔で。 あなたの傍で、あなたを求めた。 (-308) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 20:52:05 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ重ね絡めた指の先。 控えめに艷めく、マリーゴールドの色をしたエナメル。 「…えー。」 「知ってたよお。」 くすりくすりと、喉を鳴らして。 そう言ってしまえば恥ずかしがってくれるかなとか。 そこまで深くは考えなくとも、自分にしか見せないあなたの姿をつよく望む。 するりと素肌に滑らせたもうひとつの指先もまた同じように。 誰も知らないあなたを求めて。自分を求めるあなたを求めて。 「…うん。約束。」 「あたしも、ずっと」「ミネの傍に、いるよお」 「だから」「ミネも。」 落とす言葉に、吐息を混ぜて。 時折2人の吐息も交ぜて。 「そばに、」 ぱちんと頭の中が白んで震えて。 それでももっと、もっとと、あなたを求む。 (-336) oO832mk 2023/09/16(Sat) 22:57:33 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ今日が大騒ぎの日でなかったなら。 もし、その上で来ることが分かっていたなら。 そしてそれでも同じような事になっていたのならば。 きっと、こちらの指先も瞳と同じ色に染めて、 あなたの全てを見ようとしていた。 「……ずるいよなあぁ〜……」 結局、全部見られていたのは自分だった訳だから、 頬に朱を差す羽目になる。顔を隠そうにも、 両の手はもう捧げて、絡めて、滑らせ、重ねているし。 吐息も、心も、身体も混ぜるような、そんな距離では。 きっと、薄い闇なんて衣では、ミントブルーを遮れない。 「した、からな」「約束」 「取り消せ、ない」「から……っ」 それは、自身の内に。そして、相手の内に。 刻むように、深く。抉るように、強く。 吐息だけじゃ足りないから、と重なり、混ぜて、交ぜて。 ああ。 抑えが、利かない――。 「そば、に――」 そうして幾度も、幾度も。幾度も……。 どちらともなく、どろどろのまま、眠りに落ちるまで。 或いは、落ちても。どこまでも――忘れない夜を、過ごした。 (-347) shell_memoria 2023/09/16(Sat) 23:54:59 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ――そうして。 声も、水音もいづれ聞こえなくなくなって。 微かな雨音と呼気の音だけが残されてから、暫く。 穏やかに眠る女の寝顔があなたのすぐ隣にある。 身じろぎ。擦り寄るように、肌に触れる。 「……んぅ…」 ゆっくりと、目を開けた。 そのミントブルーに映ったのは、あなたの体に残ったいくつかの鬱血痕。 女からあなたへ、あたしのひとと主張するためだけの。 必要とした証。必要とされた証。…約束の証。 満足げに目を細めて、またそっと口を寄せた。 (-386) oO832mk 2023/09/17(Sun) 1:27:22 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ昨日……もう一昨日になるか、その時とはまた別の、 幸せそうな穏やかな寝息と寝顔。 そんな深い眠りも、約束の前では形無しだ。 だっていつでも、お姫様を起こすのは王子様のキス―― 「……これじゃ立場が逆じゃんかぁ……」 ふにゃふにゃの声と顔。伸ばした手がぎこちなく髪を撫でる。 ライムグリーンの監視カメラは、自分と同じような状態の 素敵な装飾品で着飾った姿を映しただろう。 「肌の出る服、着れないな?……いや、着てもいいけどさ」 ベッドの上で、もぞりと動く。 淫靡さではなく、親愛を込めて身体を重ねて熱を共有した。 それと同時に、気付いた事がある。 「……またシャワー行こうぜ、朝が来る前に」 互いに浴び、擦りつけ、吸い……証明し続けた結果。 そこには『どろどろ』なんて言葉が生易しく思えるほどに、 二人の混ざり物が広がった痕跡が残る。 恐ろしい事に、それにすら――愛しさしか、感じない。 だから提案はしたけど……あなたの手を取って、口を付ける。 狙いは一か所だけ。左手の、薬指に。少し長めに、お返しを。 終わった後に、少し残った頬の朱を自覚しながら。 「あのさ」 ▼ (-422) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 9:46:29 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「だいすきだよ、エリー」 今まで軽口や早口で言っていたものとは違う。 心根の奥底から、そう。 自然に溢れたあなたへの約束の証を耳に沁み込ませて、 きっと霧と闇で見辛い中でもよくわかる、 耳まで真っ赤な顔が、真っ直ぐにあなたを見つめていた。 (-425) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 9:50:40 |
![]() | 【独】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ/* こちらロールうまおにボコボコにされている図です この実質初日に雨音の中で致しているの、 かなり命の危機を前に盛り上がっているような感覚で 状況的な正しさを感じますね 明日をも知れぬ自分達の身を知って、 それでも明日を掴みに行くぞという強い意志…… 好い……………… (-431) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 10:00:43 |
![]() | 【神】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ部下が持ってきたカンターミネ風ヅラを被ったテディベアが 席について大人しくしている。お腹を押すと喋る。 《おかけになった電話は現在、電波の届かない所にあるか、 出るのがかったるいなあって思っているのでかかりません》 《情報チームにご用命の際は!XXX-XXXX-XXXXまで!》 《口からどんどん情報が出て来るねえ》 《カフェイン万歳!甘いモノ万歳!》 《なあなあ、最近どう?俺は順調》 などなど。全15種類のどうでもいいセリフが詰まっている。 (G45) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 10:36:13 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ薬指へと、長めの口付け。その隣で煌めくエナメル。 女はとても幸せそうに、へにゃりと笑った。 「――あたしもお」 「…ミネ。だあいすき」 甘えた声で言ってまた肌を寄せる。 あたしの王子様。ずっと昔に、ひとりぼっちの“寂しい”から救ってくれたひと。 いつもと違う姿。頬に刺す朱はもちろん、交じり汚れたその肢体すら愛おしい。 満足するまで、なんてしてると朝が来てしまう。 だからほどほどに切り上げて体を離した。 「…ミネ。あの、ねえ。」 シャワールームへの道のさなか。 ゆっくり、女は切り出した。 「お風呂、終わったらあ。」 「マニキュア。…塗って欲しいんだあ。」 えへへぇ、と少し気恥ずかしそうに。 気付けば、左手の小指のエナメルが欠けている。 (-439) oO832mk 2023/09/17(Sun) 10:36:55 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「へへぇ」 すり、と衣と肌を寄せる音。 俺のお姫様。ずっと昔に、どこにも馴染めなかった自分を救ってくれたひと。 あの時からずっと、一目惚れだなんて言ったら笑われるかな。 笑われないよなあ。だから好きなんだ。いつまでも。 「んー?」 いつもと同じ声と顔。……いや、どっちも今は着崩して。 繋いだ手をふりふり歩みを進める。 「喜んで、俺のお姫様。……にしても派手にやったよなあぁ」 お互いの姿を改めて眺めて、思わず笑う。 頭をあなたに軽く傾けて、二人でくぐった浴場の扉を閉じた。 (-445) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 10:48:22 |
カンターミネは、ダヴィードをリアルタイムでは見れていない。が、後日録音機器とヅラが送られてきた。 (a15) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 10:50:07 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「あはー。うん、どろどろお」 頷いて笑いながら、扉の奥へ。 暫くすると、浴室の外に、さぁと雨のようなシャワーの音が微かに響く。 また髪を濡らしてそこを出た。今度は、ふたり一緒に。 ドロドロがなくなっても、赤いしるしは消えていない。 昨日のまま置かれていた眼鏡をかける。視界は良好。 着衣を整えると、鞄から15mlの小瓶が幾つか入ったポーチを取り出した。 ベースコート、ポリッシュ、トップコート。 除光液と脱脂綿、あとは保湿のオイルも。ネイルセットだ。 「じゃあー、お願いしまあす。」 欠けたエナメルを拭い、オイルを塗布。 椅子に座るとその左手を差し出した。 ゆら、ゆらと足がふうわり揺れている。 (-452) oO832mk 2023/09/17(Sun) 11:16:38 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ湯気も立たせて、手もまた繋いで。 なんなら、しるしは入る前より増やしたかもしれない。 「手ェ震えないように願っといてくれよ、 仕事と一緒にお姫様のお世話で手が過労だから」 へらへら笑いながらネイルセットを手に、 一先ず傍のデスクに並べて、指を鳴らす。 オイルで滲まないように、少し時間を置いてから のんびりとベースコート。乾かす傍ら、口を動かす。 「毎日会えるし、毎日会おう。街で偶然でも、連絡しても」 爪の先端にポリッシュを。集中しても口は止まらない。 どちらにせよ手は震える訳だし。 今度は付け根から。案の定はみ出たから、 はにかみながらリムーバーで整える。 「いつだって、どこだって駆けつける。 約束したしな。安心して、生きようぜ。 毎日、ずっと、どこでも、一緒だよ。エリー」 トップコートでしっかりと保護。 ドライヤーで冷風を当てながら、微笑みを。 最後に、ネイルオイルを添えてマリーゴールドに輝きを。 「……どうよ?」 少しの緊張と共に、小指を恭しく持ち上げた。 (-462) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 11:49:14 |
カンターミネは、《今日もいい腕してるねえ》と鳴いた。テディが。 (a20) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 12:19:13 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「いいよお、ちょっとくらい、歪んでもお。」 「それはそれでえ。」 けたけた、それでいて控えめな笑い声。 あんまり笑うと揺れてしまうから、すぐにそうっと落ち着いた。 「…うん。」 「………うん。」 「…………………、うん…」 毎日。どこでも。いろんな場所で。 お互いを守るために決めた、月に2度の逢瀬。 自分の立場を思えば、絶対に捕まってはならないことに変わりはないけれど。 少しだけ、怯えは減った。王子様が傍にいてくれる。傍にいたい。 左手小指に咲いた太陽の花。 艷めくそれを見つめては、目を細める。 …これで、もう、忘れない。 大切なものを、間違えない。 (1/2) (-474) oO832mk 2023/09/17(Sun) 13:33:52 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「…えへへ〜。」 「ミネ、じょおずう。」 ――果報者だ。 大切なものが、ふたつもある。 ひとつはもちろん、あなた。 もうひとつは、…父親代わりの、papà gambalunga 。 そのどちらも守りたい。これからはこの小指を見る度に、そのことを思い出す。 手の甲に記した、メモみたいに。 「ありがとお、…ミネ。」 静かに、万感込めて女は言った。 そうしてまた幸福そうに、へにゃり、と笑う。 (2/2) (-475) oO832mk 2023/09/17(Sun) 13:35:57 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「どういたしまして、エリー。」 にへ、と笑顔を返して立ち上がる。 今度はちゃんとした着替えを用意した。 あなたのものと、自分のものと。 「……さあ、少し休んだら俺はベッドのお片付け! そして……『エーコ』は、朝帰りだな? なんか聞かれたら言わせんな恥ずかしいとか言っときな。 じゃなきゃ……首筋にもうひとつくらい付けとくか?」 へらへら笑ういつもの顔。『先生』にしては過激な発言。 その内に幸福と愛を込めて、頬をもう一撫で。 約束の通りに、これはあなたと共にある。 あなたを送り出してなお、魂はあなたと一緒に歩く。 情報を盗んで食らい、生きてきた。 人の口から出る言葉が、次の瞬間裏返るのを知っていた。 カンターミネにとっては、全てが疑う対象でしかなかった。 たったひとつ、あなたを除いて。 これからも、あなたは不動の位置に在り続ける。 何があっても。 (-481) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 14:19:47 |
![]() | 【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「ふふー。だいじょおぶう。」 「だあれも気にしないよお。」 母が亡くなってから、家はひとり暮らしだし。 そうして頬に触れた指先に面映ゆさを感じはにかんだ。 「…じゃあ。ミネ。」 ――大切な、あたしの王子様。 「いってきまあす。」 ひらりと手を振り、立ち去る指先に。 塗ったばかりのマリーゴールドが、煌めいていた。 あたしが、まもるよ。 …絶対に。 (-497) oO832mk 2023/09/17(Sun) 15:29:16 |
![]() | 【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「そりゃあ……よかったかなあ?」 気にしてくる奴が傍に居ないのを喜ぶべきか、 気にしてくる奴が傍に居ないのを心配するべきか。 まあ、後者は自分だからいいと言えばいいのか。 そんな事を勝手に考えてひとり頷く。 「はいよ、エリー。」 ――大切な、俺のお姫様。 「いってらっしゃい。」 身体は手を振り見送り、心は共に。 それから部屋に戻ってさあて、と一声。 「……ベッド買い直した方が早いかなこれは」 スプリングどころかその下まで水気が落ちていそうなほどの、 約束と……愛の結果を見て苦笑した。 (-506) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 16:07:04 |
カンターミネは、経費ってどこまで適用されるかな……と考え始めた。 (a26) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 16:08:57 |
カンターミネは、《待て!これは罠だ!落ち着いて目薬をさせ!》とテディが喋った。誰かが腹を押したらしい。 (a27) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 17:38:21 |
カンターミネは、《今《今日もいい腕して《今日も《今日もいい腕してるねえ》。連打にも対応している。 (a28) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 17:49:51 |
カンターミネは、《どこ触ってるんだよエッチな奴》《自爆スイッチ作動。半径5m以内を破砕します。5,4,3,2...》 (a29) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 18:07:58 |
カンターミネは、《このセリフを聞けたらラッキー!発生率2500分の1!》 (a30) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 18:24:16 |
カンターミネは、《ペネロペの噂。実は家では裸族らしい》《ダヴィードの噂。虫歯の治療が怖いらしい》嘘も混じっている。 (a31) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 18:25:52 |
カンターミネは、ぺふ。テディベアは倒れた。《どこ触ってるんだよエッチな奴》誤作動だ。 (a32) shell_memoria 2023/09/17(Sun) 18:53:04 |
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