襲撃が終わって少し後、あなたはまだ部屋の前にいるだろうか？
もしいるのなら、鈴の音と共にやってきたカストルと鉢合わせすることになるが……

貴方がやってきた時、まだテンガンの姿はあった。
扉の外から部屋の中をじっと見つめていたテンガンは、鈴の音に貴方の方を向いた。
背後で扉は音もなく閉まる。

「どうしたんだ、カストル。……見に来たのか？」

部屋の中に用があるのかと問い、扉の横に退いた。

「あ、うん〜……参加しなかったし。
様子見っていうか……参加したの？テンガン……さん！」

取ってつけた敬称と共に問うと、すぐに近くに走り寄る。
かといってすぐに扉を開けて入るわけでもなく、部屋の前に立ったままで。

「そう畏まる必要はない。歳もあまり離れていなかっただろう？」
数百年と生きられるようになった時代。一桁程度の差なら誤差だという認識だ。

「……いいや。今回俺は参加していない。明日からは混ざる事にもなるからな。ただ、体調を崩す者もいるかもしれないと思いここで待機していた」

「やった！それだったら楽で助かる〜」
年上には敬語を使いましょうね、せめて敬称つけましょうね、と先生によく言われる者としては、気をつけずに済むのは助かる。

「そうなんだ〜……具合悪くなっちゃった人いた？ていうか、みんな参加したんかな」
ロビーにいた人たちは参加しなかったのだろうけれど。
それ以外の人はもしかしたらここには来ないで別の場所にいたのかもしれない、とも少し思っている。

「顔色が悪いものは数名いたが、その場で倒れるほど体調を崩した者はいなかった。俺が見た限り、大半は参加したようだった」

答え、ふと思い出したように貴方を見た。

「そういえば、カストルに尋ねたい事がひとつある」

「そうなんだ〜……よかった！じゃあ……」
自分も入っても大丈夫かなぁ、と足が部屋に向きかけ。

「え？なに？」
動きを止めてそちらを見た。

周囲には誰もいない。
扉の向こうに物言わぬ残骸がひとつ。そしてテンガンと、あなただけだ。



「本当の役職は何なのか気になった。それだけだ」

「……何で？」
目を丸くして、あなたを見る。

「テンガン占ったの、ヌンキだから？」
それにしては確信を持っている……ように見えた。
視線をちょっとだけ下を向けて、考えている。

「どうだろうな。ただ、俺は『占い師を知っている』」

貴方の推測通り、この男はなんらかの確信を持って貴方へ問いかけている。

「答えたくないのならば……それでも構わない。
互いに他言無用として、この話は終えよう」

「……そういうの、知れる方法って限られてるよね」
こうして聞くか、あるいは。

「答えたくない、っていうか〜……『オレは占い師だよ』、しか言えないっしょ？
テンガンが嘘だと思っても、思わなくてもさ。そういうルールだし〜……」
あと、何だろう、と言うことを考えている。が、そんなに大事なことは思いつかないだろう。
この場で言えることは少ないから。

「さて、どうだろうな」
肩を竦める。

「そうか。引き留めて悪かった」

それだけ告げて引き下がる。
シャトの部屋に向かう貴方を止めることは、ない。

「……なんかさぁ〜、テンガンウソつくの得意そうだなぁ！」
不満そうにそう言いながら、何度かうろうろ行き来させた手で扉を開ける。

開いてすぐに室内に踏み込み、何歩か歩いた音のあと。
さして間を置くことなく、倒れる音が続いた。

「期待に応えられるよう努めよう」
あまり得意ではないようだ。

貴方を見送り、先程までと同じように立ち。
すぐに響いた倒れる音に慌てて扉を開いた。



慌てて担ぎ上げ、休憩用のベッドに放り込みに行った。

「……わかんなかった……」
運ばれ中に弁解だかなんだかわからないことを言っている。
大きな荷物は大人しく運ばれた。

休憩室でしばらくダウンしていたという……

「テンガンさん、」

ふいに貴方の名前を呼ぶ。

「明確な用事…ではないのですが、お時間があればお話いたしませんか？
………貴方がどんな方か知りたい、と思いまして」


/*　こんばんわ！よろしければゆるく秘話いかがでしょう…！？
　　おそうめん後くらいをイメージしておりますが、どんな時空でも…！

呼び止める声に貴方の方を向く。

「ラサルハグか。あぁ、もちろん構わない」

了承し、近くの座席へ促すだろう。

/*　おそばんわ！ご覧の通り返すのに時間がかかると思いますが、大丈夫ですわよ…！こちらもどんな時空でも大丈夫です！

「ありがとうございます」と、座席につけば貴方をまっすぐ見つめて。

「防衛部に所属しながらご実家のお手伝いをされているのでしたっけ。
…プロフィールを拝見して、動物への愛情が深い方なのだと印象に残っておりましたのでつい、こうして来てしまいました」


/*　わーい！ありがとうございます！宜しくお願いします！

>>a170
「量はまだ不安だが、きちんと食べている事は、偉い」
褒めるべきところは褒める。

「後は睡眠だな。眠れないのなら、子守唄でも歌いに行こうか？」
冗談のようにも本当にやりそうにも聞こえる提案。

「あぁ、うちは兄弟も多いから特に忙しい時にはな。
皆が元気にしているかどうか、顔を見に行くのも兼ねている。

ラサルハグも動物が好きなのか？」

「ふふん、偉かろう」

しかし量は褒められたものではない。

「睡眠は今のところは薬が合ってるからだいじょ……」

子守唄でも歌いに行くと言われ動きを止め

「ばっ……バカじゃないか！！！そういう……そういう所だぞ！！！！！そ、そんなこと言われると好きになるだろ！！！！バカ！バカ！」

顔を真っ赤にしながらぽすぽすとあなたの腹にパンチを叩きこんだ。恐らく全く痛くない。

「えぇ、動物は好きです。…というより、人間でも、動物でも。
体温が感じられるのが好きなのです。

触れている間、寂しさを忘れられるから。
…けれど、お別れが辛いので、自分で飼った事はありませんね」

とん、とほんの僅かな軽い音を立てて貴方の傍にふらりと寄ってきた。
使用人はそのままブロンドの髪を揺らし、そっと距離を詰めて貴方の耳に唇を寄せる。

「これは推理と全く関係ない話だから、その点は安心してくれていい。
テンガン殿、大丈夫かい？議論、どうしても怪しい点があると勝利のために突きたくなるものだが……揃って反対されるとクるものもあるだろう。悪い意味で。

身も蓋もない早い話が集中砲火を受けて君がメンタルやられていないか心配なんだ。占い対抗とか今の俺の立場一切関係なくね。船を共に過ごす仲間として。
大変だとは思うが、どうかあまり無茶しないでくれよ」

『失礼。俺が今一番疑われている事は百も承知だが、俺は今夜襲撃される可能性が高く、占いの結果も今後の議論にも参加できる見込みが低そうだと判断したため、『共鳴者』の片割れである貴方に通信を送らせてもらう。……今のうちにな』

『推理で言った通り、俺はヌンキを黒だと判断している。
実は占いの後、カストルと『話』をしに行ったんだ。
結果、どうにも煮え切らない回答を貰った。俺の判断だが、あちらはの可能性が高い。

……とまぁ、これも弁明に聞こえるのだろうな。
生きていればの話にはなるが、俺は明日、霊能者を確かめに行くつもりだ。
今COしていないグレーな者達より、どの役職が死んだか明確になる霊能者を洗い出す方がいいと判断した。
……ただ、あちらに狂人か崩れ星がいた場合は、占い師である俺では判別できない。片方が人狼だと踏んではいるものの、無駄足になったらすまない』

『以上だ。
……最後に、COのタイミングについては本当に済まなかった。貴方方に大きな負担をかけてしまった事、謝罪する』

「あぁ、とても偉い」

次の目標はあともう一口二口増やすことです。

「そうか。自慢ではないが、俺は結構歌が……

…………
……す、すまない。嫌われているとは思わなかった」

好きにならない＝嫌われている……？という思考回路。思考が一か百なのだろうか。
しょげた大型犬のような顔でパンチを受け止めている。
腹筋ガードで貴方の手にダメージが反射されていないだろうか。

『此方こそどうにも疑う立場になってしまい、すまないな……真占いで有れば猶更。ともあれ貴方の考えは分かった、受け取っておこう。
　しかし、話とは……？個人宛ての通信で話しているという事は、推理用の端末に記録されていない事項と認識しているが、合っているだろうか。
　差し支えなければその内容について、詳しく聞きたいのだが……』